ガンダムビルドブレイカーズ:オルタナティブsideL   作:ひほーZZ

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久々の悪夢に魘され目覚めたタクマは、足早にミサの待つ模型店へと急ぐ。そこで二人一緒に機体のバージョンアップをしていると、カドマツが改めてチームエンジニアとして移籍することを伝え、アセンブルシステムに手を加えたと言う。ビルダーズパーツによる性能の大幅向上にはしゃぐミサ。相手プレイヤー戦においてもいかんなく性能を発揮するタクマ。バトルが終わるとカドマツから報酬として仕事を手伝って欲しいと持ちかけられ、騎士ガンダム型のトイボット、ロボ太(ミサ命名)を託され、シミュレーターへと向かう。


十一話 騎士ガンダム物語る

シミュレーターを使うためイラトゲームパークへ足を運ぶと、いつも通りインフォちゃんが出迎えてくれた。

『ミサさん、タクマさん、ご来店ありがとうございます』

俺の名前も通ってるうちに覚えられてしまった。嬉しいけどね。

するとインフォちゃんがロボ太の方へ向き直り、挨拶をした。

『初めまして、ロボ太さんですね。記録します』

「なんで名前知ってるの!?」

これにはミサも驚いたようだ。だがインフォちゃんが当然の事のように答える。

『先程お聞きしました。光暗号通信でですが』

「なんかロボットっぽいこと言ってる!」

『ロボットですが』

なんだこれデジャブってやつか?

とにかくシミュレーターに3人(正確には2人と1機)で入り、出撃した。ロボ太の機体はSDの騎士ガンダムのようだ。

「さーて、じゃあ行きますか!」

「うん。行こう!」

「心得た」

…あれ?今なんか聞きなれない声がしたような…?

「…今、なんと?」

ミサも違和感に気づいたらしい。声の主…というかロボ太に聞き返した。

「どうしたミサ。私は心得たと返答しただけだ」

「喋ったぁ!?」

「えぇぇ!?」

いやカドマツさんロボ太喋れないんじゃなかったの!?

「あぁ、うむ。シミュレーターに合成した音声データを入力し、それがスピーカーから出力されている」

「だ、だってカドマツさんが喋れないって…」

「カドマツは発生機能が付いてないと言っただけだ。わたしのボディにはスピーカーが無い。ガンプラバトルシミュレーターにはスピーカーがあるのだから、当然喋ることも可能だ」

そういえばカドマツさん確かにスピーカーがないから発声機能がないとしか言ってなかったな…

「ガンプラバトルというのはチームで行動するものだ。コミュニケーション手段が無ければ不都合だろう」

「そ、そーですね…」

「まあ、何はともあれ、これでスムーズにテスト出来そうだな」

「さあミサ、そして主殿、油断せず進もう!」

ん?主殿?

「ちょっと!なんで私は呼び捨てでそっちは主殿なの!?」

「私はカドマツのインプットしたデータに従っているだけだ」

「カドマツゥ!」

…ほんとなんで俺は主殿にしたんだろ…それとこの件がきっかけでミサがカドマツさんのことを以降ずっと呼び捨てになるのは別のお話…

さて、そんな話は置いといて敵機として、アストレイのレッドフレームとグリーンフレームが現れた。

俺とミサはいつも通り難なく撃破したのだが、驚いたことにロボ太は騎士ガンダムをほぼ完璧に使いこなせていた。

「ここまで完璧に使いこなせるなんて…すごい腕だな…」

「カドマツにある程度操作方法、使用可能武装などのことはインプットされている。そこから応用していけばこれくらいの戦果は当然だ」

ここまでできるAIを作るなんて…カドマツさんもすごいな…

その後の中ボス機体のジョニーライデンザク、敵プレイヤー(今回は省略させてもらう)、スサノオが追加された敵軍2陣も難なく押しのけ、ボス機体と相見える。

「ボス機体は…真武者頑駄無…それも戦国の陣…かなりの強敵だな…」

「どんな敵だろうと我々の敵ではない!ミサ、主殿!共に行こう!」

「むぅー!私だけ呼び捨てなのやっぱり納得できないぃ!」

「あはは…とりあえず今は目の前の戦闘に集中しよう。相手は一体とはいえ相当な強敵だ。連携で倒そう。俺とミサで撹乱しつつダメージを蓄積、トドメをロボ太に任せたい。いいかな?」

「おっけー、任せて!」

「承知!」

作戦が決まったところで、早速実行に移す。まず俺が2本のGNソードのライフルモードとソードビットで相手の注意を引きつつダメージを与える。そしてこちらに集中しきったところにミサのアザレアのライフルとヴァーチェバックパックからのビームキャノンが火を噴いた。もちろんこれだけで倒せるほど武者頑駄無もやわでは無い。だが今の俺たちは3人いる。

「今だロボ太!」

「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

隙をつき騎士ガンダムのナイトソードが武者頑駄無を真っ二つに切り裂いた。

「やった!倒せたよ!」

「見事な指示だった。主殿!」

「上手くいってよかったよ」

そしてバトルが終わり、シミュレーターから出た俺たちはそのまま模型店へ帰ってきた。帰ってきてカドマツさんへ報告すると、一瞬驚いた顔を見せたが頭を掻きながら説明してくれた。

「シミュレーターのスピーカーで喋るとは想定外だったなぁ…」

「想定外?」

「ヒヤリング用の言語データベースを利用して音声データを合成するとは…」

「勝手にやってたってこと?」

「まあそうなるね…」

「ここまで出来るAIを作るなんてさすが俺。でもこれはダメだ…AIに禁止させるかなぁ…」

これにいち早く反応したのはミサだった。

「なんで!?喋れなくするなんて可哀想だよ!」

だがカドマツさんはあくまで開発者としてすっぱり言い切る。

「ほらな?必要以上に感情移入しちゃうだろ?例えは悪いが、こいつが車に轢かれそうになった時、持ち主が助けようとしたら困るんだよ…」

これを聞いたミサが納得したようなしてないような声で返答する。

「あー…言いたいことはわかった…でも…」

しかしカドマツさんは意外な言葉を発する。

「んー…だが確かにガンプラバトルでコミニュケーションが取れないのは不都合だな」

この答えは…うちらのロボ太に関しては目を瞑ろうということなのだろう。

「カドマツぅ…」

ミサも嬉し涙を浮かべながら泣きそうな声でカドマツさんの名前を呼ぶ。よほど嬉しい…と言うよりかはロボ太と会話ができるのが楽しいのだろう。

するとロボ太がとてとてと近づいてじっとカドマツさんを見てる。

「なんだロボ太?……ん!?お前ってやつは!!」

「ん?どうかしたんですか?」

「どうしたの?」

「このモニターを見ろ!今こいつが出力したテキストだ!」

そういうとカドマツさんは文字が映し出されたモニターを見せてくれた。それによると…

「『私は、私の主やその仲間に危険が及ぶことを望まない。その可能性を生むものは排すべき』」

と書かれていた。つまり俺たちのことを仲間として認めてくれてるということであり、何があっても仲間を守りたいというロボ太の意思でもあった。

「バッキャローお前!こんなこと言われて、出来るわけないだろう!」

…カドマツさんが若干涙ぐみながら奥へ消えていった。

「…感情移入しすぎ」

「…案外その方がちょうどいいのかも…ね」

こうして新しい仲間がまた1人(?)増えたのだった。




「なんか緊張してきた…」
「そんなに気負うなよ」
「おい!カドマツ!」
次回 ガンダムビルドブレイカーズ : オルタナティブsideL
『リージョンカップ』
また個性強いひとが出てきたなぁ…

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