ガンダムビルドブレイカーズ:オルタナティブsideL 作:ひほーZZ
ある日仲間の急死にショックを受け、引きこもるようになってしまったタカミヤ・ヒカル。サポートAIマリオンの提案の元、少し外出をした彼は帰りにクロス・ヨウスケの家の前を通りかかる。そして彼は翌日に再度ここを訪れようと考えるのだったーー
「…よし、こんなもんだろう…さて…行くとしますか」
俺はこの日、久々に朝から支度をしていた。もちろん目的地は昨日通りかかったクロス・ヨウスケの家だ。
「いってきます」
俺はリビングにいる両親に言う。
父のタカミヤ・アキオは「あんまり遅くならないようにな」と、母のタカミヤ・キョウコは「気をつけて行ってらっしゃい」と送り出してくれた。久々に朝から出かけるから嬉しいのだろうか、いつもより笑顔だった気がする。
場所や道のりはある程度覚えているので、20分程度で着いた。ちなみに今日持ってきたのは、昨日と同じAGE-1とライザーウェアだ。
「……よし」
俺は緊張を払い除け、門にあるインターホンを押した。しばらくすると、道場からクロス・ヨウスケが姿を現す。
「む?貴様はレイカの…このワシに何用か?」
(おお…さすがは東方不敗…緊張感というか…プレッシャーが半端じゃない…!)
俺は圧倒されながらも、一息つき頭を下げる。
「…どうか…俺と一戦交えて貰えませんか…?」
数秒の沈黙の後、クロス・ヨウスケが問いかける。
「小僧、貴様は強さを求めるか?」
その問いに対し、俺は首を横に振り答える。
「いえ…ただ、今の自分がどれほどのものか…見て欲しいのです」
すると彼は何かを察したような顔で
「よかろう。ワシについてくるが良い」
そう言い、俺を奥へと案内する。
ついて行った先にはシミュレータが1台置いてあった。クロス・ヨウスケが俺の対角線上に着いた時に、
「小僧、改めて聞こう。貴様の名を名乗れぃ!」
と問いかける。俺はそれに全力で答える。
「湯ノ森高校在籍、2年のタカミヤ・ヒカルです!よろしくお願いします!」
「ヒカルか…良き名前よ。さあヒカルよ!ガンプラとデバイスを構えぃ!」
その一言の直後、俺とクロス・ヨウスケがほぼ同時にガンプラとデバイスをセットする。
ARモードでのスキャン中、俺のガンプラを見たクロス・ヨウスケが質問をなげかける。
「時にヒカルよ。なぜレイカと組んでいた時のガンプラではないのだ?」
これには明白な理由があった。
「AGE-2Breakerは本来、俺の反応しきれない瞬間や隙をEXAMやマリオンに補ってもらう前提で作ってあるんです。ですが今回は俺の本当の実力を…見てもらいたくて…なので、スペックが似ているAGE-1を持ってきたんです」
俺のその答えにクロス・ヨウスケはこう答える。
「ほう、己の力を試したいと言うのか?システムの力に頼りきっていた無力な自分ではない……そう言いたいとも捉えられるのがな……?」
少し挑発気味だ。この時点で既に試されてるのだろう。…俺が勝手にそう思ってるだけかもしれんが。
「前者です。今の自分がどの程度なのか…自分でも知りたくて」
「そうか。ならば見せてみよ!貴様の実力がどれほどのものか!」
「…お願いします。AGE-1ノーマル、ライザーウェア!タカミヤ・ヒカル、出る!」
バトル開始のアナウンスと共にライザーウェアに乗って飛び出したAGE-1。前を見ると、グランドマスターガンダムと表記されたカーソルに映る、クロス・ヨウスケのガンプラがディフェンスモードで待ち構えていた。
「さあ!来るが良いわァ!!」
おそらくレイカ同様、ビームライフルは通用しないはず。ならば…!
「接近戦あるのみ!」
AGE-1がライザーウェアから飛び降り、腰部からビームサーベルを抜き斬りつける。だが次の瞬間、
「がっ!?」
後ろから衝撃が走った。見ると先程まで前にいたはずのグランドマスターガンダムが、真後ろに回り込んだ上に蹴りを入れていた。しかも一撃が重すぎる…
「…1発でイエローゾーン行かないギリかよ…さすがはレイカの師匠…マスターアジア…!」
「どうした?その程度かヒカルよ。その程度では準備運動にもならんぞ?」
(くそっ!マリオンやEXAMに完全に頼りすぎてた!だが、この程度で終わるつもりは無い!)
俺のAGE-1がバク転で1度距離を取り、体制を立て直す。
「まだ…手はあります!」
(とはいえおそらくもう一度下手に格闘を仕掛けると返り討ちにあう。ここは一気に決めるしか…!)
AGE-1が高く飛び上がり、そして俺が叫ぶ。
「ウェアチェンジ!ノーマルtoライザー!」
するとAGE-1の脚部、両腕、バックパックが外れ、ウェアフライトから発射されたライザーウェアが外れた部分に装着される。ちなみにウェアチェンジのセリフはリライズのヒロトのコアチェンジがかっこよかったから真似してるだけで、深い意味は無い。
「ほう、戦法を変えるか。かかってくるが良い!」
グランドマスターガンダムが再び構える。が、俺は格闘を仕掛けるつもりは無い。
「一気に決める!ゼロ!トランザムライザー!!」
AGE-1ライザーが赤く染まり、右腕に装備してあるGNソードIII改から巨大なビームサーベルを展開させ、グランドマスターガンダムへ振り下ろす。
ガッ!
ライザーソードに何かしらの違和感を感じた。目標であるグランドマスターガンダムを見てみると信じられない光景が。
「ちょっと待って…嘘でしょ…!?」
なんとグランドマスターガンダムは、ハイパーモードでもなんでもない、しかもヤタノカガミなんてものも持ってないはずなのに、ライザーソードを掴んでいたのだ。
「どうした?その程度ではわしの機体にダメージは入らんぞ!!」
正直、これ以上出力は上げられなかった。これが最大パワーだからだ。
「どうやらそこまでのようだな。ならば終いにするとしよう。でぇりゃぁぁ!!」
グランドマスターガンダムはそのままライザーソードごとAGE-1を投げ飛ばした。打ち付ける衝撃が俺にも伝わってきた。
「ぐうぅぅぅ…!」
立ち上がろうとした次の瞬間、グランドマスターガンダムのパンチ1発と蹴り1発がAGE-1に入り、あっという間にバトルエンドのアナウンスが鳴った。
シミュレータのバトルモードが解除されると同時に、クロス・ヨウスケが口を開ける。
「……どうだ?貴様は己の無力さを痛感しただろう」
俺が無言でいると、クロス・ヨウスケは続ける。
「このグランドマスターガンダムのディフェンスモードを突破できぬ限り、このワシには勝てぬぞ!」
「……あれを破らねば勝てない…か…」
俺が小声で言ったのを聞いていたのか、クロス・ヨウスケはこう言い放つ。
「レイカはこのディフェンスモードの試練を僅か半日で突破した。何故かわかるか?」
(あれを突破しただと!?しかも僅か半日で!?何故なんだ…何が足りない…!?)
考える俺を見てクロス・ヨウスケは続けて答える。
「貴様は自分が覚醒を使えるとおごっているからだ。強者とは常に拳に力を込めているもの。レイカはそれにいち早く気づき、ワシに全力で向き合った。システムに頼らず、己の持ちうる力、知識、戦略、その全てを使ったのだ」
「…っ!」
「貴様の実力はよくわかった。だがワシに挑むにはまだまだ未熟!」
「…未熟…」
「貴様には貴様なりの課題が見つかったはずだ。それを乗り越えた時、貴様は真に本物の強者となれるだろう」
「……」
(俺は…調子に乗ってたのかな…自分だけ特別みたいに勝手に思ってて…)
考え込む俺を見たクロス・ヨウスケはこう口に出す。
「貴様、この街を出ようと思っているな?」
「なっ!?」
俺はこの言葉に驚いた。それも当然。なぜなら…
「…どうして…わかったんですか…?」
密かにそのことを、考えていたからだ。
「父さん、母さん。話があるんだ」
「そうか…それがお前の考えなら…」
「お父さん!私は認めません!」
次回 ガンダムビルドブレイカーズ : オルタナティブsideL
『決断』
子の申し出に、親の答えとはーー