ガンダムビルドブレイカーズ:オルタナティブsideL 作:ひほーZZ
電車に乗り、湯ノ森市へやってきた彩渡商店街ガンプラチーム。
荷物をカドマツさんに任せ、ミサとタクマは電之商店へと向かう。幸いレイカやイチカは居なかったものの、正体バレをかなり警戒したタクマはアマリさんに口止めを願う。その後2人とも欲しいものを購入し、店を出た後に帰宅したイチカとレイカを背に旅館へ戻るのだった。
俺の名前はナギツジ・タクマ。今俺はとんでもなく危機的状況に置かれている。
「私の事覚えてる?ヒ・カ・ル・くん♪」
「あ、あんた!?」
⋯そもそもこうなったのは数時間前に遡る⋯
旅館へたどり着いた俺たちは看板娘2人に出迎えられる。
「いらっしゃいませっぽーい!!」
「いらっしゃいませ⋯あ、タクマさん。あの時以来で⋯」
「こんにちは。カドマツさんから話は聞いてる?」
「うん。こっちだよ」
そして俺たちは看板娘の一人、アサヅユ・シグレに案内されるまま、部屋に案内される。
「この子、知り合い?」
「彼女はアサヅユ・シグレ。昔の縁でね、友人の妹の友人なんだけど、結構会う機会があったんだよ」
「ふーん⋯もう一人の子は?」
「もう一人は確かアサヅユ・ユウダチ。あちらとはあんまり面識がなくて恐らく今日が初対面。シグレちゃんから話は聞いてたが⋯想像以上に元気だったな⋯」
「タクマさんとご対面できるって、今日はいつも以上に元気なんだよ」
「⋯ということらしい」
「随分と好かれてるみたいだねー⋯」
「何だい?嫉妬か?」
「そういうんじゃない!」
「仲良いんだね。あ、ここだよ」
談笑しながら進んでいくうちに、ひとつの部屋へとたどり着いた、のだが⋯
「⋯なんか⋯でかくないか⋯?」
「そりゃそうだよ。タクマさんが貰ったの特別な招待券だったから」
「うっそーん⋯」
「まぁ、それだけあの人に気に入られたってことじゃないの?」
「⋯なのかなぁ⋯」
「ふふっ、それじゃあごゆっくり」
「ありがとう。君も頑張りなよ」
「うん。じゃあ私、行くね」
そう言うとシグレちゃんはそそくさと持ち場へ戻っていった。
⋯ちょっとミサが不満そうに俺を見てきたのは気になったけど⋯とりあえず中へ入ることにした。
「遅かったなお前ら。どこで道草食ってたんだ?」
中ではカドマツさんが待っててくれてた。
「いや、普通に道に迷ってただけです」
実際久しぶりすぎて少し道に迷ってた。
「全く、キミが手を引っ張ったくせに数十分したら『ここどこだっけ?』って言うんだから⋯」
「うぅ⋯すんません⋯」
「まぁ、もうすぐ飯が来るらしい。それ食べたら一風呂行くといい」
「わかりました。色々すみません⋯」
「いいんだよ。おふたりさんも満足できたようで良かったよ」
「わたしすっごく楽しかったよ!」
「俺も久々にこの街に来れて楽しかったです」
「そいつぁ良かったな。お、そろそろだな」
「皆様、夕飯をお持ち致しました」
ちょうどカドマツさんが時計に目をやった時に、入口から女将さんことシラナさんが料理を運んできてくれた。まぁ、どれもかなりお高めの料理だったのだが⋯さすがは気にいられただけはある⋯
「皆様は特別な招待券をお持ちでしたので、プレミアムコースでの提供となります。それではごゆっくりお楽しみくださいませ」
そして出されたものはお互いであろう海老だの蟹だの⋯俺そんなに気に入られてたのか⋯?
「⋯なぁ、これ配膳間違いとかじゃないよな⋯?」
「わ、わかんないっす⋯と、とにかく聞いてみないと⋯」
「わぁ〜!いっただきまーす!」ヒョイパク
「「いや食うのはえーよ!?!?」」
さすがにふたりして突っ込んだ。だって普通これほどのもの出されたらびっくりするだろ!?
「ご安心ください。配膳料理に間違いはございません。じっくりとご堪能くださいませ」
そう言い残すとシラナさんはこの部屋を後にする。
「⋯マジすか⋯」
「⋯まぁ、そういうことなら堪能するか」
「そっすね」
ということで晩飯をめいっぱい堪能することにした。海老が超美味かった⋯あんな食感であのデカさ食った事ねぇぞ⋯
晩飯を食べ終わりゆったりしていると、お風呂の準備ができたのでお入りくださいとのお知らせが。
「お前ら先入ってこい。俺はもう少しやる事やってから行くから」
「じゃあお先に失礼します」
「いってきまーす!」
そして俺たちは風呂に入ることになる。風呂場で身体を洗っていると足音が聞こえた。
(そっか。俺たち以外にも客はいるんだっけ⋯)
まあ特に気にすることでもないので、さっさと身体を洗い終えて湯船に浸かる。
「ふぅ⋯ちょうどいい温度だな⋯」
何気に結構久々な気がする。外で入浴するのは。すると湯けむりの中から声が聞こえる。もちろん俺に向けて。
「あらぁ?そこに誰かいるの?」
「えっ」
聞こえた瞬間血の気がサーっと引いた。なぜならこの声に聞き覚えがものすごくあったからだ⋯
「やっぱりヒカル君じゃな〜い♪私の事覚えてる?ヒ・カ・ル・くん♪」
「あ、あんた!?」
声の主は⋯前の日本選手権の準決勝の相手⋯カマイ・リョウタ⋯よりによって面倒なやつと同タイミングの宿泊とは⋯
で、今に至るのだが⋯
「あんた⋯よく俺だって1発でわかったな⋯」
「うふふ♪1度刃を交えた相手の顔や雰囲気とかは覚えてるの。すぐにわかったわ♪」
「そ、そっすか⋯ところであんたは何故ここに?」
「仕事終わりの休息よ。そう言うあなたの方は?」
「ま、まぁ仲間と休息に⋯」
「あら!レイカちゃんやレイトくんもいるのかしら!?」
「あの⋯その事なんですけど⋯」
俺は少し躊躇いつつ、これまでのことを話す。
「⋯そして、今こうやってここにいるんです」
「そう⋯あの子のこと⋯残念ね⋯でも、あなたが責任を感じることは無いんじゃない?」
「いや、あいつの変化に気づけなかった俺に責任があると思うんです⋯」
「⋯なら、あんまりこうしろとは言わないわ。でもあなたのその選択、きっと後悔することになるかもしれないわよ?それでもいいの?」
「わかってます。でも⋯1度進んだ道、もう後戻りはできないから⋯ごめん、先に上がる」
「えぇ、また会いましょう(⋯大人ぶってはいるけど、やっぱり歳相応の子供ね⋯これはいずれ彼にきついお灸を据えられそうね⋯)」
そして俺は風呂場を出ることにした。入れ替わりでカドマツさんと脱衣所ですれ違ったが⋯あの人余計なこと言わないよな⋯?
色々想定外なこともあったが就寝時間になった。しかし俺はまだ寝れずに、旅館の中庭の方に出てきていた。
「⋯こうやって夜風に当たるのも、いいものだな⋯」
みんなそれぞれ乗り越えて前に進み始めてる。それなのに⋯
「⋯俺って⋯何してるんだろうな⋯」
そんなことボヤいていると、背後からガサッと草をかき分ける音が聞こえた。
「⋯ん?誰だ?」
「あっ⋯タクマさん、居たんだね」
目をやるとそこにはシグレちゃんがいた。
「あなたもここで夜風に当たってるの?」
「まぁ、そんなとこ。⋯ん?「も」?君もここで?」
「うん。1人で悩んだりする時に、よくここに来るんだ」
「なんだ?イチカちゃんに彼氏でもできたか?」
「そ、そんなんじゃないよ!もう⋯」
「まぁ、こんなくだらないこと言ってるが⋯俺も割と悩んでるのさ⋯」
「いつみんなに正体打ち明けようとか?」
「そうそういつかはね⋯って、え?」
「え?違うの?」
「うんまぁ違うけど⋯いやそうじゃなくて、俺が誰なのかわかってるのか?」
「知ってるよ。ちょっと前に失踪したタカミヤ・ヒカルさんでしょ?」
「嘘だろ⋯まさか君にもバレてたとは⋯あ、まだ言ってないよね?特にレイカに」
「まだ言ってないよ。必死に隠しがってたみたいだし、言わないでおこうかなって」
「その方が助かるよ⋯まぁ、悩みってこれじゃないんだけどね⋯」
「そっか⋯ねぇ、明日ヒカルさんは帰っちゃうけど⋯もし今度会えたらガンプラバトルしようよ」
「ガンプラバトル?良いけどなんでだ?」
「ワンちゃんが言ってたんだ。「迷った時はガンプラバトルしよう!自分の好きなこととか想いとかまっすぐ伝えられるから!」って」
「あはは、彼女らしいや。でもその通りかもしれないね」
「だよね。ワンちゃんのそういうとこ、好きなんだ」
「そっか。わかった、今度本気でぶつかりあおう。手加減はなしだぞ?」
「もちろん。私も本気でやるよ」
俺たち2人は笑いながら約束を交わす。だがこの時、後にトラウマになるレベルの凄惨な事件が起こるなんて、思いもしなかった。
「ロボ太プラモ作りも上手いんだねぇ⋯ほんとロボにしとくのは惜しいよ」
「ちょっといいか?」
「へぇ⋯こんなステージあったのか⋯」
次回 ガンダムビルドブレイカーズ : オルタナティブsideL
「目覚めしSDの力」
⋯なんか最近カドマツさんの作業がやたら長いような⋯?