ガンダムビルドブレイカーズ:オルタナティブsideL 作:ひほーZZ
クロス・ヨウスケにバトルを挑んだタカミヤ・ヒカル。
結果は惨敗に終わった。
クロス・ヨウスケに指摘をくらい、確かにその通りだと納得するヒカル。すると街を出る気かと聞かれ、密かにそのことを考えていたヒカルは驚きを見せるー
「…どうして…わかったんですか…?」
(そんなこと一言も喋ってなかったはず…どうしてわかったんだ…?)
「だが同時に出るべきでないかもと悩んでおる。さしずめ言い出せなかったのだろう?」
(そこまで分かっているのか…!?バトルの時に体に出ていたのか…!?)
俺が不思議に思っていると、クロス・ヨウスケがこう提案する。
「もし出るのであれば、ワシからある所へ紹介するが…貴様はどうする?」
「……俺は…」
正直、かなり迷っていた。強さを求めてここを出るべきか…それともここに残るべきなのか…それにあまり両親は心配させたくなかった。反対されたらどうしようとも考えた。何よりツルギのことが俺にとって1番の心配だった。
様々な考えが交差する中、俺の放った言葉は…
「…1日だけ、待ってて貰えないでしょうか…?」
家で話すために1日待ってもらうという旨の話だった。
「よかろう。ならば明日、再びここに来るが良い!」
「…分かりました。ではまた明日。本日はありがとうございました!」
俺は深くお辞儀をし、デバイスとガンプラを持って道場をあとにした。
時刻は既に17時をまわっており、あたりも少し暗くなってきていた。帰りの道中、俺のことを知ってると言いサインをねだってくる子がいたのだが、今は書けないからと断ってしまった。…書いとけばよかったかな…
「ただいまー」
帰りついた俺は軽く手洗いを済ませてリビングへ向かった。
「おかえりなさい。兄さん」
微笑みながら出迎える妹、ツルギ。
「おかえりなさい。晩御飯出来てるわよ」
支度をしながら笑って出迎える母、キョウコ。
「すぐ食べるから、ヒカルも手伝いなさい」
帰ってきたばかりなのに手伝えという父、アキオ。
「すぐ行くから待っててよ。部屋にガンプラ置いてくるから」
俺はそう言って1度部屋に戻る。ガンプラを置いたあと再びリビングに戻って支度を手伝い、直ぐに晩御飯を食べた。…麻婆豆腐だったのだが…辛すぎて母以外かなり悶えながら食べてた。あの人基準で作ったらダメだな…
風呂をシャワーだけで済ませ、脱衣所から寝間着を着て出てくると、リビングには両親がそれぞれのことをしていた。ツルギはさすがに寝たみたいだ。明日も平日だしな…
リビングのソファーに腰掛けて、両親を呼ぶ。
「…父さん、母さん。話があるんだ。ソファーに来てくれる?」
2人は俺の呼び掛けに応えて、ソファーに来てくれた。
「どうしたの?何か悩み事かしら?」
「どうした?話してみなさい」
俺はありのままの思いを話した。
「…俺、この街を出ようと思う。街を出て色んなところに修行に行きたいんだ」
「何!?」
「なんですって!?」
両親は2人とも驚いている。無理もない。実質家出宣言みたいなものだからだ。
「無理を言ってるのは分かってる。でも俺は…俺は夢を諦めきれないんだ…!」
俺の夢。それは世界に挑むこと。そして頂点に立つことだ。湯ノ森シャイニングゼロの3人で交わした約束、目指した夢。潰えてしまったとしても…諦めてしまうのは絶対に嫌だった。
全てを聞き終えた父が俺の肩に手を置き、微笑みながらこう告げる。
「そうか…お前の気持ちはわかった。それがお前の考えなら、私は止めない。その代わり、やるからには成し遂げてこい!お前の夢を」
「父さん…」
だが心配性の母親は反対した。
「ちょっとお父さん!私は反対です!だって1人でなんて危ないじゃない!!」
「母さん…俺は…!」
認めてもらおうと言葉を発そうとするが、父さんに止められる。
そして父さんが母さんを説得しだしたんだ。
「母さん、行かせてやってくれ。この子は私たちが先輩達に埋もれて成し得なかったことを成そうとしているんだ」
「でも!高校生1人でなんて…」
「大丈夫だ。何せ私たちの息子、ヒカルなのだから。この子を信じよう。な?」
ここまで言われて母も折れてくれた。
「そこまで言うのならば…ヒカル、あなたを信じます。でも困った時は直ぐに連絡するように、わかった?」
「…わかった。ありがとう母さん。それじゃ…俺明日も早いから寝るよ。おやすみ」
俺は母さんに軽く抱きついた後、部屋へ戻って行った。寝るとは言ったものの、俺には最後にやるべきことがあった。
俺はデスクのパソコンを開き、作業を始めながら彼女の名を呼ぶ。
「…マリオン、まだ起きてるか?」
『……ええ…まだ起きてるわ…ヒカル…本当に行っちゃうのね…』
反応してくれた彼女の声は、寂しそうだった。ずっと俺を支えてきた言わばもう1人の俺の家族みたいなものだ。それもそうだろう。
「…あぁ。俺も覚悟を決めたんだ。俺はもっと強くなる。頂点へ立って…あいつに…レイトに誇れるような奴になる。そう決めたんだ」
『そっか……頑張ってね。私も応援するわ』
「ありがとう…そうだ。1つ頼みを聞いてくれないか?」
『頼み…?わたしにできることなら、何でもやる』
「助かる…じゃあちょっとこれを見てくれ」
俺は作業がほぼ終わったパソコンの画面をデバイス越しに見せる。
「これはとある人のデバイスへ君の所有権を譲渡する画面。Enterを押せば実行される。俺の頼みは、その譲渡先の人とAGE-2Breakerと共に歩んで行って欲しい。ただそれだけだ」
『譲渡先って……このデバイスID…まさか…!?』
察してくれたようだ。俺は答え合わせの如く続ける。
「そう。ツルギのデバイスだ。もし彼女がガンプラバトルをして、全力でぶつかりあえるような人と出会えたら、君とBreakerで導いて欲しい」
少しの沈黙の後、マリオンが涙をうかべながら、それでも微笑みながら答える。
『……わかった…それが…あなたの最後の頼みなら…』
「…今日までありがとう、マリオン。彼女との道は、君も成長させてくれるはずさ。…ツルギをよろしく頼む」
俺たちは最後の会話を終え、パソコンのEnterキーを押す。所有権が譲渡され、俺のデバイスからマリオンが姿を消した。
「…あとは…荷造りだけか」
そう言うと俺はちょっと前に買ってもらった少し大きめのキャリーケースに着替え一式を5セット、ニュースなどを見るテレビ代わりのパソコン、そしてガンプラ制作用の道具を纏めた道具箱を詰め込む。思いの外大きかったため余裕で入れることが出来た。
「…お前ともお別れだな…ありがとうな。AGE-2…俺の無茶苦茶にいつも応えてくれて…」
デスクの上に立つAGE-2Breakerにそう言い、俺はベットで眠りについた。
「あ、あなたは…」
「君は…なるほど…そういう事かマスター・アジア…」
「本当にありがとうございました。またいつか、この街で…」
次回 ガンダムビルドブレイカーズ : オルタナティブsideL
『旅立ち』
彼の行く先とはーー