女神のように美しい灰髪紅眼の制服姿に身を包む少女は少女より一回りも巨大な黒色の仮面を被ったマントの怪人に連れられて、普段休日は外に出ないにも関わらず、休日だというのに外に出ていた。
「も~どうしたのアレクシスー...急に外に行こうなんてさー。最近はあの連中に邪魔されて気分最悪だし、それにここは....遺跡?こんな場所作った覚えないんだけど...」
「急に連れ出してすまないね。実は君に喜んでもらえるかもしれないモノを見つけ出したのでね。これを見て機嫌を治してもらえるかな?」
「....これって..!嘘...でしょ...?だって...これは...フィクションの...いや、こんなのまで作ってたっけ?アタシ....」
アカネと呼ばれた少女が明らかに驚愕の表情を上げるとアレクシスは補足するように目の前の光景に関して説明をする。
「ああ、そうか。そういえば君の世界にもあったんだったね。でもこれは君が産み出したモノではないよ。なぜならここにいる彼女達は封印中にここに漂流しただけの正真正銘の本物だからね?ウルトラマンという作品群は確かに偽物で確かに虚構だ。当然フィクションだとも。だがその中で一つだけノンフィクション、というか実際にある伝説・伝承を元にした作品があるのだよ。その名はティガ。それも劇場版、だったかな?詳しいネタバレはまだ早いと思うからまだ彼女達の素性については伏せるけど,とりあえずこれで納得してくれるかな?」
「....まあこんなの見せられたらねー。嫌でも納得するってゆうか、納得するしかないってゆうか...」
「私からのサプライズ.喜んでくれたかい?」
「....はっきり言って最悪。あんなウルトラマンに媚びてるようなヤツが実際にいるのも気に入らないしそんなのがアタシの居場所を荒らすのも腹立つってカンジ。」
少女は巨人像の存在が気に入らないようで、巨人像に向けて腹をたてる。
「そりゃあ残念。じゃあ始末するかい?」
「別に?.....確かにウルトラマンに媚びてる中途半端は嫌い。だけど、利用すればたくさん怪獣が見れそうだしいいんじゃない?それで?どうすれば動くの?」
「そんな事をしなくともすぐに彼女は目覚めるとも。だから君をここに呼んだんだ。さぁ、始まるよ。」
アレクシスと呼ばれた怪人がそう宣言すると共に少女達の目の前の石像にヒビと紫色の光、いや、闇が走り始める。その様子に少女はまた、機嫌悪く、舌打ちをして見つめていた。そしてその様子にアレクシスもその女の名前を呼びながら高らかに笑う。これから生まれる残虐に胸を踊らせながら、とにかく自分の退屈が異常によって満たされるように。
「さあお目覚めだよ。原初の闇の三巨人の一人!妖麗戦士カルミラが!!」
遺跡に大きな地響きが鳴り響くと共に奇怪な格好をした三つの石像の内一つ。麗しい巨大な女を象った石像がまるでその生命を与えられたようにヒビが割れると共に動き出した。それがこの世界を襲う恐るべき危機の降臨でもあったのだ。
『よくも....よくも...この私を....!?トリガァァァァァァ!!!』
闇の雄叫びが遺跡中に響く。それは酷い怒りと哀しみがこめられた悲痛なモノだった。
夢を見た。いつもどおりの普通の夢。ボクがいつものように学校の花壇でいつものようにルルイエの世話をしている。そんな夢。だが平和な夢は、突然侵食する。目の前にホログラムのような美しい少女の幻影が現れたのだ。
『マナ.....?』
オレがそう問いかけるとどこかで見たことのあるその少女はつぐんでいた口をようやく開く。
『貴方は....光であり..』
瞬間、景色が闇に包まれる。景色が闇に包まれる。世界が闇に包まれる。そして全てを覆った闇の中心に、全てを滅ぼす闇の巨人が現れる。
『なにこれ....?闇の...巨人....!?』
ボクは、闇の巨人が腕を交差させて、放つ闇をただ見ていることしか出来なかった。
「ハァ....!ハァ...!...なんなのさ..今の夢。」
ベッドから飛び起きたらベッドに違和感があることに気づく。ベッドに寝汗がびっしりと染み付いていたのだ。だが今は学校もあるし制服に着替えて洗面台で気分転換の為に顔を洗うと、ふと、いつも見ているはずの自分の顔に違和感を抱く。
(あれ?...ボクってこんな顔だったっけ...?)
だが違和感はすぐに頭を振り払って誤魔化す。さすがに気のせいだろ。自分の髪色はいつもどおりの銀髪だし、きっと気のせいだろう。そうやって誤魔化すと朝ごはんを作っていた母さんから声が掛かる。
「翼ー?何ボーッとしてんの?朝ごはん出来たからさっさと食べちゃいなさい?」
「え?あっ!うん今行くー!」
ともかく、さっき感じた違和感を誤魔化しながら顔を洗って食卓へと移ると、既に母さんは朝ごはんの焼き鮭とご飯と味噌汁といった和風三膳を机に配膳した後だった。
「ほら、今日もルルイエの世話をしに早くから登校するんでしょ?さっさと食べちゃいなさい。」
「いただきます!うん!今日も美味しいよ母さん!」
「それならよかった。ああ、そういえば母さん。今日遺跡調査の仕事が佳境なのよ。だから帰りは遅くなると思うわ。翼?わかってるとは思うけど...」
「『ツツジ台の遺跡には近づかない。』でしょ?耳にタコができるほど聞かされたからわかってるよ。」
「それならよろしい。それじゃあお母さん早速遺跡の方に行くから。翼も早く学校に行くのよ?」
「わかってるってー!...さて!そろそろボクもいきますか。」
夢の事とか自分の顔の事とか色々気になることもあると言えばあるけどまずは学校に行かないと...そう思ってドアを開けた瞬間に、ボクはあり得ない光景を目にする。なんと、街の中心に巨大な怪獣が、まるで幻のように揺らめきながら佇んでいたのだから、そりゃあ驚きを隠せないのも無理はない。
「か...か...かいじゅぅぅぅぅ!!?」
だが周りを見回して見ても怪獣に驚いた様子の人は見当たらない。いったいなんなんだろうか。暑すぎて幻覚でも見えちゃってるのか?だが、今はとりあえず学校へと急がないと。
「そうだ!?ルルイエの様子見に行かないと!」
オレが学校へと急ぐと花壇に咲き続ける一輪の美しい花を見つける。よかった...どうやらルルイエは無事だったみたいだ...突然学校からいなくなったあの人から託されたこの花を綺麗に開かせる約束は、なんとしても果たさなくちゃいけないから...ルルイエに水をあげようとホースを出したボクは偶々朝早く来ていた生徒の姿を目撃する。あれは....アキト?クラスメートでボクの友達の一人の
「アキト?おーい!暁斗!こんな朝早くに登校してくるなんて珍しいね!」
「....ゲッ」
ボクの事を認識した暁斗は明らかに嫌なものを見る目で、こっちを見た。うーん、素直じゃないところがあるのはわかってるけどその反応は傷つくなぁ...ボクは苦笑してると暁斗の方から話しかけてきた。
「...はぁ~..ウザい。知り合いを見つけたら真っ先に飛び付いてくるなんて犬かお前は、そんなんだからワンコなんて呼ばれてマスコット扱いされるんだぞ。」
「相変わらず痛いところ突いてくるなぁ~...それで?レナは一緒じゃないの?」
「今日は用事があったから僕が早く来たけど....それがどうした?」
「いやー...ちょっと気になることがあってさ。」
「気になること...?」
「いや...大したこと無いんだけどさ...マナそっくりの女の人の夢を見てさ。」
オレの話を聞いた晶斗は眉を潜めて表情を険しくする。まあ当然そうなるよなー。ボクだって未だに信じられないもん。
「....はぁ?そんなのただの夢だろ?わざわざマナに聞くことか?...」
「ボクもそう思ったんだけどさ。その夢みてから不思議な事が続いて...」
「は?」
「いや...なんか自分の顔に違和感があるってゆうか...自分のサイズにも違和感があるってゆうか...」
「はぁ....朝から何意味不明な事を言ってるんだよ...お前はボクが初めて会った時からその顔だし、そのサイズに決まっているだろ?もちろん成長によって多少伸びてはいるけどな。」
「あはは....だよねぇ...じゃあ今怪獣が見えたのも気のせいだよね!」
ボクの他愛ない一言を聞いた晶斗の目付きが明らかに鋭いものになった。
「...晶斗?」
「....いや、なんでもない。それより放課後何か予定あるか?」
「...?とくにないけど...」
「それなら...「よっす翼!。...ん?こんな時間から暁斗も一緒とか珍しいな。」...またうるさいのが..!」
晶斗の話を割って入ってきたのはクラスメイトの内海将くんと響裕太くんだ。だが、ボクは裕太くんの様子がいつもとは違うことが目につく。まるで学校でさえも始めてみるかのような。はじめから学校なんて知らなかったかのような反応だった。
「将くん!それに裕太くんも...?...ねぇ裕太くん。なんかいつもと雰囲気違くない?」
「あーっ...実はコイツ記憶喪失っぽくて..」
「記憶喪失!?ソレ大丈夫なの裕太くん!!」
「記憶喪失....日常生活が問題なく送れているということは潜在記憶ではなく健在記憶....それもエピソード記憶を失っているのか?」
「...ねえ将くん...暁斗が何言ってるかわかる?」
「...さあ?俺理系じゃないし...」
「だよね...」
「???」
「ホラ...裕太くん困ってるし...」
「そろそろ止めたほうがよくね?」
「いいだろうね。ほらほら、やめなよ暁斗。裕太くん困ってるよー...」
「質問なら俺が答えるから取りあえず裕太から離れてくんね?」
「...しかたないな。ゴメン、響。僕も興奮しすぎた。」
「いや...別にいいけど...君達は?」
「あれ?まだ言ってなかったっけ?..ゴメンゴメン!ボクは玉城翼、でこっちが..」
ボクは暁斗に目配せをする。
「...真崎暁斗だ。」
「まあ暁斗はこんな感じだけど、ボクたちは元々君の友達だよ。だからこれからもよろしく。」
「...」
ボクが自己紹介をすると裕太くんはどこか不思議そうな顔をしながら、ボクの事を見つめていた。
「...裕太?」
「ゴメン、なんか玉城を見てたら不思議な感じがして、なんか眩しいような、暖かいような、」
「???」
「ああ、こっちこそよろしく、玉城に真崎。」
「ああ!よろしく!」
ボクが裕太くんに差し伸べられた手を掴んで握手すると、なにやら将くんと暁斗がこそこそと話していた。
「なあ内海。玉城も大概だがコイツ大丈夫か?」
「正直わかんねー...てゆうか記憶喪失になる前から翼と一緒に結構な天然コンビって有名だったけどさ。なんか記憶喪失になってからさらに不思議ちゃんになったっつーか。怪獣が見えるとか言ってくるし...」
「...それホントか?」
「ホントホント...それがどーしたんだよ。」
「いや...実は翼のヤツも似たようなことを言っててな。」
「ウソだろ?...あの天然コンビ実はなんか変な電波でも受信しちゃってんじゃねーの?」
「....」
「そこで黙るのやめて貰えません!?」
二人がなんか話してるけどそんな事は気にせずに僕たち二人は晶斗達に声をかける。
「内海と真崎はどうしたの?」
「そんなとこでじっとしてると置いてくよー!」
「...ったく誰のせいだと..」
「この能天気どもめ....!」
なんか二人が頭を抱えてるけど何があったんだろう。僕と裕太くんが不思議に思いながら将くん達と共に歩く。いったい二人して何を話していたんだろう。と僕が考えているうちにボク達は教室へとたどり着く。
教室の戸を開けるとなにやら六花ちゃんがナミコちゃんとはっすちゃんに弄られていた。そして裕太くんが六花ちゃんに礼を言うと弄りはさらにヒートアップする。なぜなんだろう?まあいいや、
「裕太くんの席は一番奥の窓側から二番目、ちなみにボクとアカネちゃんの間ね?」
「アカネちゃん?」
「新条アカネ...学園で一番の人気者らしいよ~?まあ、ボクにとってはただの友達だけどね。」
「....」
「裕太?どうしたんだよ。 」
「え? ああ!なんでもない....」
と、少し雑談していたら急いで廊下を駆ける音とチャイムが聞こえる。こんな時間に遅れてくるなんて、恐らくあの子しかいない。
「...はぁ...はぁ...間に合ったー!!」
「間に合ってない。さっさと席につけー静間。」
「えぇ!?嘘でしょ先生!」
「あはは...相変わらずマナは元気だなー。」
「ねえ、玉城...あの人は?」
「ああ、彼女は静間マナ、ボクと晶斗の幼馴染で世界的に有名な企業グループ、静間財団の会長のご令嬢...なんだけど良い意味でお嬢様らしさが無いって感じかな?」
そしてホームルームと一時限目はほどなく終わり、二時限目は移動教室。ボクは教室からの移動時間にレイナに夢の事を聞いてみることにした。
「え?夢?」
「うん、マナに似た白い髪の女の人が『貴方は光であり、』ってなんか意味深な事を言ってる夢。なんかその夢を見てからなんか色々不思議な事が起きてさ。マナは何か知らないかな?」
「えー?それアタシに聞くぅ?...うーん、そう言われてもとくに思い当たることはないかな...今度お父様にも聞いてみるよ!ホラ、もしかしたらアタシって何か特別な巫女とかの子孫なのかもしれないじゃない?」
さすがにそれは無いと思うけど.....とりあえずマナの言葉に同意しておく、否定すると後でなんか怖そうだし...
「あはは....だったらいいね。....イタタタッ!」
「...なんでそこで苦笑いすんのよ!」
ボクは苦笑すると麗奈に耳を引っ張られる。そんなこんなでじゃれあいながら移動教室を終えて、授業を終える。そして昼休みとなってボクは裕太くん達を誘って昼御飯を食べようとしていた。
「二人とも飯食いに行こうぜー。」
「ボクは別にいいけど裕太くんは?」
「あー...お昼忘れた...。」
「....マジか。」
「じゃあ購買で適当なモノでも奢ってあげるよ。何がいい?」
「いやいいって!玉城に悪いよ!?」
「良いって良いって!丁度ボクも適当にパンでも買ってくつもりだったし.....アレ?」
「...どーした?翼。」
「....ゴメン裕太くん、財布忘れた。」
「....マジか...どうするんだよ...」
呆れる将くんを余所にボクは少し顎に手を当てて考える
「取りあえずボクは暁斗にねだるとして、「なんで僕が出てくる!?絶っっ対に買わないからな!」裕太くんはどうするの?」
「うーん....どうしようかな...」
「じゃあこれあげる。」
隣から聞こえてくる抗議の声を無視してボクは裕太くんに問いかける。だが裕太くんは未だに悩んでいるようだった。だが、そんな裕太くんに救いの手が差し伸べられた。なんと裕太くんの机の上に食堂でも中々手に入らないデラックスサンドが置かれていたのだ。僕たちがデラックスカツサンドの置かれた方向を見ると可憐な銀髪の少女がそこにいた。
「響くん、武士は食わねど高笑い~ってヤツ?」
「えっと...確か新条さんだったよね?」
「そう!新条アカネ。これからよろしくね~、それにしても全部覚えてないなんてまるで記憶喪失ってゆうより転校生みたいだね~。」
「でもホンットに何も覚えてなくて....」
「スペシャルドッグ!余ったからあげる。ホラ?玉城くんの分も。」
「え?いいのかい?アカネちゃん....」
「いいのいいの~ちょっと最近イイコトあってねぇ~...♪」
そういってアカネちゃんが微笑むが、僕にはそのイイコトが何かとんでもない事のような気がして、彼女の笑顔がいつものように心地良いモノには感じられなかった。だがそんな事を思案している間に伸ばしていたアカネちゃんの腕は偶然飛んできたバレーボールによって阻まれる。
「...あー...」
「...響くん大丈夫?」
マナがボクたちを心配して声をかけるけど、僕たちは特に心配はない。落ちたスペシャルドッグはすぐに食べればいいし、三秒ルールってやつだ。そもそもビニール越しだから直接落ちたわけじゃない。
「大丈夫大丈夫!!」
「ならよかったけど...翼は?」
「こっちも大丈夫~!だからさ、マナもトンカワさんもスマイルスマイル!そんな顔じゃ幸せも逃げちゃうよ~」
「ホント相変わらず呆れるくらいお人好しなんだから...!」
「アハハ...仲良いんだね、二人とも。」
「別に?ただ幼馴染だから付き合いが長いだけ。まあ、こいつがこんな感じだからいつか騙されたりしないかアタシも暁斗も気が気じゃないのよ。」
「それはちょっとひどくないかな!?ボクだってすぐ騙されるほどチョロくないよ!」
「この前見ず知らずのお婆ちゃんの入院代だなんて見るからに怪しい電話を真に受けたのはだれだったっけ?」
「その説は、スミマセンデシタ...」
「反省してるならよろしい!明日コーヒー牛乳奢ってね?」
「....善処シマス。」
「ホントに仲いいね..」
そんなやり取りが繰り広げられるなかトンカワさんたちもいつもの調子を取り戻していつものようなやり取りに戻っていた。
「ゴメン!マジでごめん!!」
「「トンカワ外でやれや~《し~》」」
バレーボールを誤って飛ばしてしまったトンカワさんに対して何やってんだとアカネちゃんとアカネちゃんを囲っていた女子達は呆れた顔をする。
「反省します!反省しました!!」
「でも響くんのスペシャルドッグが...」
「大丈夫!全然食べれるから」
「...やっぱり響くんも大概お人好しよね。」
麗奈の言葉にボクと内海くんと暁斗は思わず頷いた。そしてそんなボク達の姿を見たからかアカネちゃんはボク達に向けて微笑んだが、その笑顔が僕にはどうにも張り付けてあるように見えた。
『また怪獣かい?何か嫌なことがあったんだねぇ...どうしても許せないことが...。』
何かを削る音がする、何かを作る音がする。これが学校から帰って来た彼女の唯一の楽しみにして唯一の安らぎ、目の前の電子の悪魔は楽しそうに微笑む。気に入らないなら全て壊してしまえと、ここは君の全てであるからいくらでも直せると、だが、今回からはまた違う。別世界から現れた異邦人もいる。
『ふぅん...まあ、好きにしたらいいじゃないか。アタシも好きにやらせてもらおうかねぇ?』
『カルミラ女史。どこへ行く気だい?あまり好き勝手に動かれては我々としても困るのだよ。』
『安心しなよ。アンタ達と交わした契約はちゃんと守るさ。要するに必要な時には配下を貸せばいいんだろう?だけど、ついに"アイツ"の居場所を突き止めたんだ。これが情熱的にならずにいられるかい?』
『....なるほど!それは素晴らしいとも!彼が目覚めてしまえば私たちの障害となるのは明らかだ。くれぐれも破片も残らないようによろしく頼むよ?』
『....わかっているよ。そんなことアタシが一番承知しているさ。アイツはどんなことをしてもアタシ達の前に立ち塞がる。そういう男だからね。』
異邦人の金色の瞳が微笑むように怪しく、妖艶に光り輝いた。
学校の授業時間は終わり時刻は午後三時、内海くんに放課後一緒に帰らないかと誘われて事前に約束をしていた暁斗に確認を取ったらなんと四人で帰ることになった。どうやら暁斗は裕太くんにも用があったらしく、とりあえず裕太くんとついでに将くんも同行してもいいらしい。とはいっても二人には話していないらしいけれど、
「大変だったな~今日...」
「うん、でも新生さんは優しいね。」
「優しい~?あれは哀れみみたいなもんだろ?」
「そんな線引きしなくても...」
「いやするね!!新生アカネはねぇ!?才色兼備!細胞瞭然の最強女子!!クラス全員に好かれるってゆう奇跡みたいな女だよ!!」
「そんな事言ってほぼ初対面で新生に話しかけられた響が羨ましくて嫉妬してるだけだろ?」
「あー...将くんはずっとアカネちゃんのこと好きだから...」
「そこ二人うるせぇ!!別に俺は新生のこと話しかけヅライダケデスキトカジャナイケド......」
まぁなんかどもってるけどそれだけアカネちゃんの事が好きって事なのかな?そんな呑気な事を考えて微笑んでいると将くんから気になる単語が飛んできた。
「それより!おれもグリッドマンってヤツ見たいんだけど!!」
「グリッドマン?」
「.....」
「あぁ、翼達は朝一緒じゃなかったから知らないか。なんか宝多の家のパソコンでグリッドマンとかいうヒーローみたいなヤツを見たらしいんだよ。」
「え!?なにそれちょっと見てみたい!....でも暁斗の用事が..」
「別に僕はいいぞ...単に家に寄って欲しかっただけだからな。」
「...?まあとにかく、というわけで僕たちも一緒に行っていいかな?」
「えっと.....」
どうやら響くんはグリッドマンとやらがいる場所がわからないらしい。だけどそこでタイミングよく宝多さんが坂を降りてきた。
「も~正面から入ってこないでよ?お客さんだと思うでしょ?」
「いやぁ...そのぉ...お客様がね...」
「またお邪魔します。」
「お邪魔しまーす。」
僕と裕太くんは店主さんに軽く挨拶を交わして将くんと暁斗は軽く会釈してさっさグリッドマンの入っているパソコンを探す。二人とも捜索に入るのが早いなぁ...
「あぁ、昨日の、どう?まだ記憶喪失?」
「あぁ....でも大丈夫です!」
「ああそう、ところでそっちのは翼くん?百合ちゃんの息子さんの。おっきくなったわねぇ....こりゃあアタシもオバチャンになるわ。まだ若いけどね!」
「オバさんお母さんの知り合いなんですか!?」
「大学で友達だったのよぉ。専攻してたのが同じ学科でね?でも覚えてないかー..でも前会った時は翼くんも小さかったし仕方ないか...まぁいいや。六花ー!お店お願い!外回り行ってくるから。」
「えぇー?まぁいっか。誰も来ないし。」
「ちょっと!?」
「聞こえてたぁ?」
「アンタの夕飯、冷奴オンリーね?」
そんな親子のやり取りにボクたち二人は思わず微笑ましくなる。
「仲いいんだね、六花んちは。」
「そう?別に普通だとおもうけど....」
そんなやり取りの中、グリッドマンを探していた将くんと暁斗から声がかかる。
「一応電磁波数なども調べてみたがとくに変わった様子はないか...。」
「裕太ー?どれがグリッドマン?」
「そこのパソコン。」
裕太くんが指差した先には明らかに他のジャンクよりも大きいパソコンがそこにはあった。
「はぇー昔のパソコンってこんなでかいの。」
「ジャンクにしても少しでかいから結構高価なんじゃないか?」
「別に?四万円くらいだけど。」
「四万か.....意外と安いんだな。」
突然画面に映像が映りこむ。機械のような青い体に鋭い金色の瞳、まるで昔に見たウルトラヒーローのような見た目をしているけど、それよりも機械的な姿をした戦士がやたらいい声でこちらに話しかけてきた。
『私はハイパーエージェント...グリッ「それは、昨日聞いたっす。」
裕太くんの声に阻まれたが確かに画面の中の彼は自分をグリッドマンと名乗った。どうやら彼がグリッドマンで間違いないらしい。
「ねぇ、裕太くん。この人?がグリッドマンでいいんだよね。」
「うん、そのはずなんだけど...」
『裕太、急いでくれ!この世界に危機が迫っている!』
「危機って何?」
「ってゆうか君は何者?グリッドマンっていうのは聞いたけどハイパーエージェントってなんなんだよ。」
ボクたちがグリッドマンに話しかけていると将くん達が怪訝な顔で話しかけてきた。
「....二人とも誰と話してんの?」
「誰って...グリッドマンだけど。」
「え?内海にも見えないの?」
「見えない。」
「じゃあ暁斗は?」
「見えるワケないだろ?バカか。」
「「そっかぁ....」」
「...なにそれ!?だから何が!」
「もうちょっとわかりやすく話してよ!!」
そりゃあそんな反応もするだろう。何せ闇の巨人とか危機っといっているだけでグリッドマンの説明がとにかくわかりづらいのだ。その陰で将くんと暁斗に宝多さんが何やら話していたけど知らない。
「...ヤバくね?」
「...ヤバイな。」
「...病院もう一回連れてったほうがいいかな?今度は玉城くんも一緒に。」
「その方がいいだろ...」
『危機はすぐそこに迫っている!』
グリッドマンの声が反芻する。まるでこれから現れる災いを察知しているように、ボクたち以外誰もいないジャンク屋に高らかに声が響いてくる。だが僕たちはまだ知らないだろう....これからこの世界を賭けた強大な戦いに巻き込まれることになるなんて。