お腹が空いたのでお金を稼ぎたいです。剣術極めた死神の無自覚ライフ 作:狂骨
__お腹が空いた…何か食べたい…どうすればこんな地獄から解放されるのだろうか__
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尸魂界。それは命を落とした者が死神と会う事で導かれる死の世界。死んだ親族と再会する者もいれば、再会せずに新たなる生活を築く者もいる。
この世界の住人は現世の人と等しく、交じれば子供を設ける事ができるのだ。この世界で生まれた子は現世の事を知らずに育っていく。
そんな現世と相違ない場所を流魂街という。そしてその流魂街の中心には尸魂界の均衡や平穏を保つ為に立ち上げられた組織『護廷十三隊』の本部が置かれている『瀞霊廷』なる場所があった。
遥か昔。尸魂界の平和を守る為に現総隊長『山本 元柳斎 重國』によって組織されたその部隊は隊ごとに『隊長』と『副隊長』によって統制されている。
そんな隊をまとめる隊長一人一人が個性的であり、得体の知れない者ばかりであった。
中でも個性的かつ不気味な隊と記され、希望者も少ないとされる『十二番隊』ここには個性的な隊長だけでなく___
______とんでもない1人の隊員がいた。
◇◇◇◇◇◇
「ふむ…こんな感じか」
目の前のフラスコに溜まった液体を震わせながら、変化の様子を観察している1人の男。彼の名は『涅マユリ』顔面を白と黒に分けた特殊なメイクで彩り、変化を観察した際に見せた歯は黄金色に輝いていた。
「いいネ。順調だ」
そんな時だった。
「局長〜。言われた器具と薬品持ってきましたよ〜」
後ろから何やら巨大な容器と薬品が入った瓶のぶつかり合う音と共に1人の黒い道着を纏った少年が現れた。
その少年は現世で言えばまだ12か13程の背丈に加えて落ち着きのある目。そして髪を肩まで伸ばしてそれをまとめ上げてポニーテールにしており、一見すれば少女に見えてしまう風貌であった。更に腰には黒い柄の日本刀があり艶のある装飾が光によって輝いていた。
「ご苦労。そこに置いておいてくれたまエ」
その少年の声を聞いたマユリは顔も向けずに実験器具を見つめたまま、置く場所を指で示した。
「…ん?局長。今度は何の薬ですか?」
「んん?見て分からないかね?これは回復薬だよ。驚異的な治癒効果があり、傷口程度なら1日で塞がる」
「成る程。赤血球と白血球と血小板を強制的に傷口に集中させるのですね」
「その通り。前は体力と霊力を大量に消費する副作用があったけども今回のは回復力を落とさない上に体力だけで済む改良版だ。まぁその分疲れてしまうがネ」
そう言いマユリはフラスコを試験管を立て掛ける容器へと差し込むと、少年に指を向けた。
「そうだ。今日は久しぶりに君に休暇を与えよウ。ここ一月ばかりロクに寝ていない様だからネ」
「あ、ありがとうございます。一眠りしたらまた来ますので」
「いや来なくていいから」
その指令に少年は頭を下げると部屋から出ていった。
◇◇◇◇◇◇
「ふんふんふ〜ん♪」
部屋を出た少年は鼻歌を歌いながら回廊を歩いていた。
「今日のご飯は〜何にしようかな〜♪」
この少年にとって食事とは最大の至福である。彼が満面の笑みを浮かべる時は大体が食事。若しくは……
「あ、副長。お疲れ様です」
「はい」
特定の人との対話の時である。回廊を歩いていた時に出会ったのは丈の短い装束を身に纏い髪を後ろで三つ編みにした女性。彼女はただの死神ではない。涅マユリが長年の研究から生み出した人造死神である。
名前は『涅ネム』彼のDNAを元に作られている… 簡単に言えば彼女はマユリの娘なので食事の嗜好が似ているのが特徴的だ。それ以外はただの寡黙な少女である。
「んん…?」
するとその女性を見た少年は額に眉を寄せると女性の髪の毛を見つめた。
「どうしました?」
「髪が崩れてますよ。私が直してあげます」
「いえお構いなく…それよりも私はマユリ様のところへ…あ…」
言い返すよりも早く。その少年に肩を掴まれた女性は即座に回廊に腰を下ろされてしまう。
そしてその少年は慣れた手つきで三つ編みを解くと再び縫い直し先端部分を肩へと掛けた。
「できました。どうぞご確認を」
「ど…どうも」
髪型を整えられたネムは目の前に差し出された鏡に映る自身を見た。先程とは異なった髪型をしている自身の顔を見たネムは少しばかり頬を紅潮させる。
「…ありがとうございます」
「いえいえ。では私は局長から休暇を頂いたので少し休ませていただきます。一眠りしたらまた来ますので」
「それは休暇ではなく休憩…あ…」
ネムが訂正するよりも早く少年は横を通り過ぎて行った。彼はなんとこの1ヶ月間なんの休息もとっていないのだ。休む時といえば数時間程度の睡眠ただそれだけである。
「昼寝するのもいいし…何をしよう…」
回廊を再び歩き出した少年は頭の中で今後の事を考える。
それ程の生活をしておきながら彼はなぜ、こうも明朗快活なのだろうか。それは誰も知らない。
そんな不思議な彼がなぜ、死神となったのか。それは特定の人のみぞ知る。
そんな時だった。
その少年を影が覆う。見れば上空から巨大な岩石が降ってきていた。その岩石は直径は数メートルはあり一直線に少年へと向かってきていた。
「…」
その岩を見据えた少年は刀の柄に手を掛けると岩が向かってくるほんの数秒だけ握りしめた。そして時間が経つと少年は岩が迫ってきているにも関わらず刀から手を離す。
その岩は勢いを止める事なく迫ってきていた。
そして その岩が少年へと降ろうとした瞬間___
____粉微塵に散った。
辺りには破片が散らばり少年には砕けた際にできた埃しか付着していない。
すると
「おい!大丈夫か!?」
遠くから少年と同じ黒い道着を着用した数人の男性と女性が走ってきた。それに対して少年はニッコリと笑みを浮かべた。
「えぇ。大丈夫ですよ。それよりも何があったのですか?」
「じ…実は更木隊長が大岩を使って修行してその際に気分が昂ったのか投げてしまったんだ…」
「へぇ…更木隊長が」
その言葉を聞いた少年は驚きながらもハァとため息をつく。
「…迷惑ったらありゃしない」
そう吐き捨てた少年は男性達の間を通り過ぎて行った。その少年の後ろ姿を見た男性達は床に散らばっている小石を見た。
「…ん?これって…」
「あの大岩が粉々に…!?」
そこに散らばっていた大岩の破片と粉を見た一同は驚きながら再び少年の姿を見た。
「まさかあんな小さな奴が…」
「い…いや…それはありえないだろ…多分、更木隊長が雑に扱った所為で脆くなって地面に落ちた瞬間に砕けたんだよ…」
その少年はただ欠伸をする。
「ん〜…あ、今日スーパーの特売日だった」
園原 千弘
身長 145
見た目: ちるらん新選組鎮魂歌の沖田総司
日番谷よりもやや年上(本人談)。流魂街の更木出身。
類稀な特異体質であり空腹以外では疲れなどを一切感じる事がなく、それを利用して学院に入学する前の間に己の身体能力と剣術を極限まで磨き上げた。
その結果 瞬の間に数千を超える斬撃を放つ程の技術と筋力。そして光以上の速度で移動する身体能力を手に入れた。
だが、それと引き換えに下の毛を失ってしまった。
とにかく金を稼ぎ美味しいものを沢山食べたい事と、観察が好きな為に任務と研究が兼任できる12番隊へと所属している。
因みにケチであり食事の際は質よりも量を優先。かつ注文の際もメモ帳を忘れない。スーパーの特売日の際は気迫が違う。
後々追加予定。
他人の呼び方がヤチルに次いで独特である。
例
涅マユリ→局長 腐れ局長
ネム→ネムさん ネム副長
朽木ルキア→ルキさん 朽木の妹さん
井上 織姫→井さん 織さん
黒崎一護→ 黒一さん 黒さん
松本 乱菊→お松さん 乱さん
日番谷 冬獅郎→獅郎さん 日番谷さん
雛森 桃→お雛さん 桃さん
山本 元柳斎 重國→総隊長 山本御大将