お腹が空いたのでお金を稼ぎたいです。剣術極めた死神の無自覚ライフ   作:狂骨

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久しぶりのお仕事日和。そして庭にある花は…

 

瀞霊廷における騒動より数日後。

 

技術開発局は相変わらず研究の毎日であり、化学者が実験室へと篭っていた。その一方で、マユリは書類の整理があった為に隊舎の執務室にて書類の執筆を行っていた。

隊長としての自覚があるのか、こういう作業は真面目に行う様だ。

 

すると

 

「局長〜コーヒーとパンケーキが入りましたよ〜」

 

「!?」

 

聴き慣れた声と共に案の定 アイツが扉を開けながら入ってきた。しかもいつもと格好が違い頭には三角頭巾。そして身体に割烹着という手に持つ物との関連性が凄まじく希薄なものを身につけていた。

 

「……おい。今回は本当に大丈夫なんだろうネ…?仏の顔も三度というが…私の顔には二度はないヨ…?」

 

「ご心配なさらず。ちゃんと習ってきましたよ」

 

「そうか。なら安心ダ」

 

疑いながらもマユリはコーヒーを啜る。

 

それから千弘はそのまま技術開発局にも向かい、副局長や助手の皆にもホットケーキやコーヒーを振る舞った。

 

ーーーーーーー

ーーーーー

ーー

 

千弘の仕事は研究室の書類や容器具の整理だけだはない。その他の雑用全般である。

 

「ホイホイホイホイ〜」

千弘は現在、割烹着と三角頭巾を被りながら十二番隊隊舎の雑巾掛けを行っていた。板の面に添いながら水で濡らした雑巾を掛けていき、更に土足で上がり埃や土が付いた箇所を次々と拭き取っていく。

 

「スイスイスイ〜ササササ…!」

 

雑巾を掛け終わった次は庭の掃除だ。箒を用いて次々と落ち葉などを掃除していく。

 

そんな時だった。

 

「よぅ!!!園原千弘ぉおおおお!!!!」

 

猛々しい雄叫びと共に空中からいつものように更木が舞い降りてくる。それを気づいた千弘は箒を投げ捨てると腰に常備していた刀へと手を掛ける。

 

 

その瞬間

 

「ぐぅ!?」

 

いつものように斬りかかってきた更木が巨大な金属音と共に弾き飛ばされた。

 

 

 

 

だが、今日は違う。

 

「ハッハァァ!!!耐えたぜコラァ!!!」

 

「あら」

気分が最高潮に達した叫びと共に弾き飛ばされた更木は空中で体勢を持ち直すと共に千弘に向けた刀を再び振りかざした。

 

それに対して千弘は予想はしていたのか、驚く素振りを見せながらもその場で直立する。

 

すると 今度は更木の身体ではなく刀を握る腕全体へと衝撃が伝わり更木の肉体を刺激する。

 

「ぐぅ!?」

 

それによって斬魄刀は更木の手から離れると地面へと突き刺さった。斬魄刀が手から離れてしまった更木はそこで動きを止めると舌打ちをしてしまった。

 

「ケッ。今日もダメだったか。防いだのに慢心しちまったぜ」

 

「そうですか?速度、体勢、力。全てにおいて今まで以上だったのですが」

 

「お前に当てられなきゃ意味ねぇんだよっと」

 

そう言い更木は悔しみながらも笑みを浮かべると突き刺さった斬魄刀を抜き肩へ掛ける。

 

「そんじゃあ邪魔したな。偶にはウチの隊舎にも顔出せよ。茶ぐれぇ出すからよ」

 

「えぇ。近いうちにまた〜」

 

手を上げながら去っていく更木に手を振りながら見送った千弘は辺りを見渡した。

 

「…」

 

土埃が付着した縁側。集めた葉っぱが散乱する敷地。それを見た千弘はため息をついた。

 

「またやり直さなきゃ…」

 

それから掃除を終えた千弘は軽く息を吐いた。

 

「ふぅ〜。終わった〜」

 

辺りに散らばっていた落ち葉もビニール袋に纏められ、隊舎に付着した土埃も綺麗に拭き取られ。全ての掃除を終えられた事で十二番隊舎はピカピカとなった。

 

そんな時だった。千弘の背後からネムが姿を現した。

 

「千弘さん。少しよろしいですか?」

 

「あ、ネムさんどうも」

 

ネムの姿を見た千弘は振り返ると笑みを浮かべながら手をあげる。そんな中でネムはある事を切り出した。

 

「今日は“あの花”へ水をあげる日かと」

 

「あ〜!確か今日でしたね!では行きましょうか!」

 

◇◇◇◇◇◇

 

「はぁ…十二番隊への書類を届けるの…ちょっと怖いなぁ…」

 

十二番隊隊舎へと続く道のりを手に書類を抱えながら進む影があった。それは四番隊の副隊長である虎徹勇音である。彼女は十二番隊にあまり良い印象を抱いていないのだ。その理由が殆どマユリの風貌と性格の所為なのだが。

 

その後、マユリへと書類を届けた勇音はカタカタとしながら執務室を出ると回廊を歩いていた。

 

すると 通っていた縁側にある庭から鼻唄が聞こえてきた。

 

「…ん?なんだろ…あ」

 

「ふんふんふ〜ん♪」

そこには可愛らしく鼻唄を口ずさみながら生える植物の根本へとジョーロで水をあげる千弘とその横で同じくジョーロで水をあげているネムの姿があった。

 

千弘とネムの姿を見つけた勇音は先程の緊張が吹っ飛び、高らかに声を上げながら手を振った。

 

「千弘さ〜ん!ネムさ〜ん!」

 

「ん?」

「…?」

勇音の声に気づいた千弘は鼻唄を止め、ネムと共に振り向き勇音を見ると同じく手を振った。

 

「どうも勇音副隊長〜!ご無沙汰してま〜す!」

「こんにちは…」

 

「はわぁぁあ〜!!(姉弟みたいで可愛いな〜!!)」

 

無邪気に手を振る千弘とその横で小さく手をふるネムに勇音は一人の姉弟として見ながら頬を染めると、ゆっくりとネムと千弘と二人の育てていた花へと目を向けた。

 

「どうですか?お茶でも飲んで行きますか?」

 

「はい!そうさせてもら__________いま……す?」

 

そんな中。勇音は言葉をゆっくりと途絶えさせてしまった。

 

ゆっくりと目線を上げて二人の育てていた植物へと目を向けていた。本来ならばアサガオやひまわりといった可愛らしい物を想像していた。

 

だが、その全貌を見た瞬間にそれは一瞬にして消え去ったのだ。

 

 

そこにあったのは_____太い茎の先端に口をパクパクとさせている秋刀魚の身体がついた“謎の物体”であった。

 

 

「な_____なんだこれぇええええええええええええ!!!!!???」

 

 

「ん?あぁ。これは最近、私が品種改良して生み出した“秋刀魚草”です」

 

「さ…ササササ…ささ…秋刀魚草!?」

 

「はい。最初は金魚にしようと思ってたんですが…金魚だと怒られそうな気がしたのでネムさんの大好物な秋刀魚にしました」

「素晴らしいです千弘さん…!」

 

「は…はぁ」

千弘の説明を聞いた勇音は唖然としながら秋刀魚へと目を向ける。その目には光が宿っておらず、何も感情のないように口をパクパクとさせておりとても不気味な物であった。

 

「因みに最大で5メートルにもなるんですよ。これで食費も節約できますし。あ、そうだ。記念に1匹どうですか?」

 

そう言い千弘は植木鉢で育てられている手頃な大きさの秋刀魚草を持ち上げると勇音へと差し出した。

 

「え…いやいやそんな大丈夫ですよ!(食費!?なにそれ!?食べられるのこれ!?)」

 

「因みに良い声で“泣き”ますよ」

 

「泣く!?泣くんですかこれ!?いやいやいいですって本当に!!」

流石に初めて見る得体の知れない物は受け取れないのか、勇音は丁重に断った。それに対して千弘は「そうですか?」と言うと再び植木鉢を置いた。

 

「あ、5メートルに育ったら解体ショーをやるので勇音副隊長もよかったらどうですか?」

 

「え…えぇ!?いやいいですよ別に!千弘さんが育てたんですから千弘さんが食べないと!では!」

 

「あ」

千弘が向き直ってくると勇音は即座に手を振り丁重に断ると即座に十二番隊隊舎を立ち去った。

 

 

その後 得体の知れない物を見た勇音は頭の中に残ったのか十二番隊に対する印象が更に悪くなってしまったらしい。

 

「十二番隊…怖い…」

 

 

 

 




今回の植物の元ネタを知りたい方は金魚草と検索してみてくだされ
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