お腹が空いたのでお金を稼ぎたいです。剣術極めた死神の無自覚ライフ   作:狂骨

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今回はワンダーワイスは出撃しないようにしました。山爺を倒すためだけに作られたと考えるなら千弘に先に倒される可能性があるので本番まで待機させておく形にします。


お仕置きよ

 

虚圏にて。玉座へと腰を掛け知らせを待っていた藍染の元へ一人の伝達兵士である虚が駆けつけた。

 

「藍染様…ご報告いたします…。現世に向かった十刃が『園原千弘』と接触した模様…」

 

「…ほぅ」

 

その知らせを聞いた藍染はまるで予知していたかのように取り乱す事なく頷くと即座に指示を出す。

 

「案外来るのが早いものだね。速やかに彼らを回収したまえ」

 

「御意…」

それに頷いた伝令兵は即座にその場を後にする。すると、背後の影から市丸が姿を現した。

 

「ほんまに彼は厄介やなぁ。現れた途端すぐ作戦中断にせなあかんくなる」

 

「フッ。だからこそ彼と戦う可能性がある場合は最善の準備が必要なのさ」

 

「でもこないな事態が続くんなら計画も止まるんやない?少しでもあの子をどうにかせんと…」

 

「ギン。それについては問題ない」

 

藍染は首を傾げる市丸に軽く答えると頭の帽子を被り直しながら目を鋭くさせる。

 

「彼を倒す策が無い訳ではない。今がその時では無いだけだ」

 

そして藍染は帽子の隙間から手を入れると刈られた後頭部へと手を伸ばした。

 

「いずれこの“借り”は必ず返すつもりだよ…!!」

 

「それ借りというより刈___「それ以上は言わないでくれギン」

 

◇◇◇◇◇◇

 

一方で現世にて。

突如として煙の中から現れた千弘は動揺する日番谷達に目を向けず、ただ立ち尽くす破面達を睨みつけていた。

 

「そこの人達。誰が私に爆弾を投げたのですか?別に痛くは無かったのでそれについては怒っていません。問題なのは……これですよ!!」

 

千弘が破面達へ向けてパカっと手に持っていた箱を開き中を見せた。中には黒焦げとなり灰と化している食べ物が積まれており、千弘が触れると形を維持していた物体は即座に粉々に砕け散っていった。

 

「よくも食べ物を粗末にしてくれましたね!?これは今から会いに行く浦原さんへのお土産なんですよ!!どうしてくれるんですか!?誰ですか私に爆弾を投げたのは!!」

 

 

千弘は怒りに燃えるかのように背後から炎を湧き上がらせながら佇む破面達を睨んでいた。

 

その様子を見ていた日番谷達は千弘が現れた事で破面達へと向かおうとしたその足を止めて様子を伺っていた。その中で隊長でも副隊長でもない席官の弓親と一角は千弘が現れた際に感じ取れた霊圧に疑問を抱いていた。

 

「アイツ…確か十ニ番隊の雑用係だったよな…」

 

「あ…あぁ…。それにさっき…あの子からとんでもない霊圧を感じたような…」

 

一瞬ながら感じられたのは自身らの所属する隊を率いる最強の男『更木 剣八』さえも子供に見えてしまう程の強大かつ全く質の違う霊圧。それが一瞬すぎるあまり彼のものなのか別の何かなのかさっぱりであった。

 

そんな中、松本は何かを閃いたのか千弘へと声を掛けた。

 

「園原〜!」

 

「…ん?はい。何ですか?お松副隊長」

 

千弘が此方へと顔を向けると松本はニヤニヤと嫌らしい笑みを浮かべながらヤミーへと指を向けた。

 

「アンタを攻撃したのはあのデカい方よ〜!」

 

「ほぅ?」

 

松本の声を耳にした千弘の目がゆっくりとヤミーへと向けられた。

 

「貴方ですか」

 

ヤミーへと目を向けた千弘はポキポキと腕の骨を鳴らし始めた。そしてその目を向けられたヤミーは顔から冷や汗を流し始める。

 

「あららヤミー大丈夫?ターゲットにされてるよ〜?」

 

「元はと言えばテメェがやれって指示したんだろうが…!!」

 

その一方で横に立っていたルピは千弘のターゲット外であるのか、余裕の笑みを浮かべながらヤミーに目を向けた。するとそれを見ていた松本は更に千弘に付け足した。

 

「因みに隣の奴はデカい方に攻撃しろって指示してたわよ〜!」

「なら首謀者は貴方ですか」

 

ルピ「なぁぁぁ!!!このクソアマぁぁぁ!!!」

ヤミー「はいザマァ〜(笑)」

 

ルピは松本に怒鳴り散らすも時すでに遅し。ルピも千弘のターゲットとされてしまった。

 

「さてと…とりあえずあなた方二人にはしっかりと償ってもらいますよ。取り敢えず材料費と人件費込みの3人前の弁当。併せて5000円を謝罪と共に払ってください」

 

「持ってるかンなもん!!」

 

ヤミーが千弘の要求を声を荒げながら拒否をしたその時だった。

 

 

「くびれ、蔦嬢____!!!!!」

 

 

「!?」

 

ルピが解号を唱えると共に全身が光出した。それと同時に先程とは全く規模は小さいものの巨大な霊圧が辺りを包み込んだ。

 

 

その発せられた巨大な霊圧に一角や弓親は冷や汗を流し始める。だが、その一方で日番谷と松本は全く意に介している様子は無かった。まるで“慣れている”かのように。

 

「霊圧は…アイツに比べれば大した事ねぇ…だが…」

 

「はい…アイツの実力は前に戦った奴とは比べ物にならない…」

 

だが、霊圧は慣れているものの感じられる闘気には何も言えなかった。恐らく本来の実力を解放したとしても苦戦を強いられるだろう。

 

 

 

 

すると

光が収束しゆっくりと中心に収縮していく。光が収縮して完全無くなると、そこには先程とは雰囲気が一変したルピの姿があった。

 

「ふん」

装束の様な衣服は変わらないが、上半身に肋骨の様な形状の白い骨格が巻きつく様に形成され、その発端となる背中からは巨大な8つの触手が生えていた。

 

「もういいや。取り敢えず救出が来るまで試してみようよヤミー!アイツがどれほど強いのか…!!」

 

「…まぁそうだな。どうせ救援が来りゃ奴も手は出せねぇ。最強の力がどんなものかみてみ____

 

 

その時だった。 目の前が影に覆われると共に両手にペットボトルを構えた千弘が姿を現した。

 

 

「金ないなら謝罪ぐらいしなさいやぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

「「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!?」」」

 

その一言と共にヤミーとパワーアップしたルピの身体が千弘の水平蹴りによって吹き飛ばされた。

 

「て…テメェ…!!!」

吹き飛ばされた二人は全身に襲いくる痛みに耐えながら即座に体制を立て直す。そんな中、蹴り飛ばされた事でヤミーは相手が藍染の恐れている強者であるにも関わらず睨みつけ敵対心を露わにし額に筋を沸き立たせるとその場から姿を消し一瞬にして千弘の背後へと現れる。

 

「よくもやりやがったなぁ…!!!」

そして背後から移動したヤミーは両手を重ね合わせると振り上げ巨大な鈍器のように千弘の後頭部目掛けて振り下ろした。

 

「死ねごらぁぁ!!!!」

 

「ふん…!」

 

だが、その振り下ろしもすぐに見切られる。咄嗟に千弘の身体が背後へと振り返ると脚を振り上げ振り下ろされたヤミーの両腕を蹴り飛ばした。

 

「ぐぅ!?」

 

「何ですか背後からいきなり」

 

「クソがぁ!!」

骨の髄まで響き渡り伝わってくる衝撃に歯を食い縛る中、ヤミーは千弘に向けて口を開けた。すると、先程と同じく口内に赤色の光が収縮し始めて行く。

 

「喰らえや!!!“虚閃”!!!!」

 

その一言と共に溜め込まれた光が大きく発光すると千弘に向けて放たれた。

 

「あぶな」

 

「はぇ!?」

 

その瞬間 ヤミーは今まで出した事が無い程の力の抜けた声を発すると共に口をガーンと開け驚いた。

なんと千弘が放たれた虚閃を脚を振り上げる形で上空へと蹴り飛ばしたのだ。上空へと蹴り飛ばされた虚閃は空高く飛び上がるとそのまま花火の如く大爆発し空気へと溶けて消えていった。

 

「うそ…だろ…!?」

 

すると虚閃を蹴り飛ばした千弘の姿が一瞬にして消えた。

 

「な…!?どこ行きやが___「迷惑者撃退パァァァンチ!!!」がはぁ!!!」

 

その直後に背後から衝撃が伝わると共にヤミーの身体が「く」の字に曲がりながら地面へ向けて吹き飛ばされていった。ヤミーの身体はそのまま地面へ大音量の破壊音と共に叩きつけられた。

 

 

「ヤミー…何やってんだか___て…うわぁ!?」

 

 

意識が沈み形成された巨大なクレーターの中心で気絶しているヤミーの様子を観察していたルピが呆れていると、ヤミーを下へと叩き落とした千弘が一瞬にしてルピの目の前に現れる。

 

「く…!チビが!」

 

驚いたルピは咄嗟に帰刃し生み出した8本の触手を唸らせ千弘へと向かわせるがその触手全てが千弘に近づいた途端に一瞬にしてミリ単位まで粉々に刻まれた。

 

「え…う_____ぐぼぇ!?」

 

「誰がチビですか!」

 

驚く暇さえもなかった。唖然としていたルピの頬へ千弘のビンタが放たれ彼の頭を仰け反らせた。

 

すると 千弘の手がルピの衣服の首元を掴み上げる。

 

「ごめんなさい…は?」

 

「がぁ…(何なんだよコイツ!?藍染様…から…聞いてたけど…ここまでなんて…!!)」

 

すると 更に次の痛みが同じく頬へと伝わってきた。

 

「ぐへぇ!」

 

「いいですか!?実行した人もそうですが指示した人も同罪なんですよ!!ほらさっさと謝罪しなさい!!!」

 

ベシベシベシベシベシベシベシベシ__!!

 

「ぶべらぁぁぁぁ!!!!」

 

千尋は次々とルピの頬を叩いていく。辺りには次々と頬を叩く音とルピの絶叫する声が重なり合いながら響き渡っていく。

 

 

 

 

 

その時だった。

 

 

「…ん?」

 

千弘は空中から何かを感じたりその場から飛び退いた。すると、空から光が差し込みルピをスポットライトで照らすかのように包み込んだ。背後を見ると地面へと叩きつけられたヤミーも同じくその光に包まれている。それを見た千弘はデジャブを感じ藍染が去った日を思い出す。

 

「これって…確かあのバカ藍染の時と同じ奴…」

 

「ひひ…その通りだよ…」

すると 頬がパンパンに腫れまくったルピが笑い始めた。

 

「いくらお前でもこの反膜には手も足も出ないだろう!これで終わったと思うなよ!次会ったら十刃全員で惨ったらしく殺してやるからなバーカバーカ!!」

 

「…」

 

ルピの言葉が最後まで続いたその直後であった。

 

 

 

 

___パリン

 

 

 

 

辺りにガラスの一部分が割れる音が響く。

 

「何だ?この音…」

 

「何かが割れるような…」

 

一角や弓親。そして日番谷達もその音を不思議に思いながらも即座に気を持ち直し反膜に包まれる2体へと目を向けた。

 

 

一方で、先程のその音はルピの方から聞こえていた。見ればルピは先程とは一変し目の前を見つめながら全身を震え上がらせていた。

 

「〜!!!」

目元からは涙が少し垂れ、下半身を見れば衣服の股関節辺りに黒いシミが出来ていた。日番谷達が危険を感じる程の戦闘能力を持つ彼がなぜここまで震えているのか。

 

それは簡単だが、全くもって信じられない事実であった。

 

 

なんと千弘の拳が反膜へと___

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

________ヒビを入れていたのだ。

 

 

外と中との空間を完全に隔絶するその破壊不可能な壁にヒビを入れていたのだ。見れば割れた箇所からは煙が上がりすぐにそのヒビはゆっくりと修復されていく。

 

「ひ…ひいぃ!!!」

そしてルピの目の前には今までに無い程まで目を鋭くさせている千弘の姿があった。

 

「すみませんが…安全な場所からゴチャゴチャ言うの…やめてもらっていいですか…?凄く腹が立つので…」

 

「___!!!」

 

反膜越しであるにも関わらず伝わってくる殺気と死神とは思えない程の鋭い目線にルピはその場で腰を抜かしながら必死に頷いた。

 

 

それからルピは恐怖に支配されながらヤミー共々虚圏へと吸い込まれていった。千弘の拳が反膜を破壊しかけていた事はルピ以外誰も知る事は無かったという。

 

 

「はぁ…それよりもどうしよう…浦原さんへのお土産…まぁ取り敢えず会うだけ会おう」

 

それから千弘はお土産を無くしながらも浦原と合流して無事に書類を届ける事で任務を終えた。だが、その直後に前回の旅禍の一人でありながらも乱戦の後に隊士達を次々と回復させた恩人である『井上 織姫』が破面の一人と共に姿を消してしまった事が知らされた。

 

 

 

 

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