お腹が空いたのでお金を稼ぎたいです。剣術極めた死神の無自覚ライフ   作:狂骨

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覚醒藍染 でもおしまい

 

新たなる存在へと覚醒した藍染。千弘が背中から降りると彼はゆっくりと立ち上がった。

 

 

【藍染 惣右介 頭頂部 100%】

 

その姿は正にこの世の者とは思えぬ物であった。全身からは一介の死神では感じられない程まで透き通った霊気が輝きながら溢れ出ており、辺りを照らしていた。

 

そんな中、藍染の鋭い目が一瞬だけ千弘の背後に立っていたクールホーン達へと向けられる。

 

その瞬間 クールホーン以外の皆の全身が震え始めた。それは破面の中でも上位の実力者であるハリベルも例外ではない。

 

「な…何だこれ…霊圧感じられねぇのに…身体が…」

 

マリ・ローズが疑問の声を上げながら震える中、ハリベルは額から冷や汗を流し始める。

 

「まさか…眼力だけで私達を威圧したと…いうのか…!?」

 

ハリベルの予想は的中していた。

覚醒した藍染の力は全身体能力が限界以上に強化されており、強化された部位のうち、眼の眼力は睨みつけるだけで隊長格を圧倒する破面さえも威圧してしまう程まで進化していた。

その一方で、アパッチやハリベルがその姿を見て身体を振るわさている中、目の前に立っていたクールホーンは頷きながらその姿を観察する。

 

「えぇ。アンタの言う通りよ。今の藍染からは霊気はちょっとしか感じられないわ。その霊気は凄く透明。まるで0.1ミリ以上の細さで切られた布のよう。少しでもあの子に近づいたって感じかしら」

 

◇◇◇◇◇◇

 

対峙する二人は互いに見つめ合う。二人の間の空気はそのあまりにもの巨大かつ精細な霊気の影響を受けて歪み始めていた。そんな中、藍染は口を開く。

 

「君に問おう…この世界についてどう思う…?」

 

「はい?」

 

藍染の声は元の人間の声とは異なり、洞窟の中で静かに響くような物へと変わっていた。だが、そんな声を不思議に思わず、藍染の質問に対して千弘は首を傾げる。すると彼は続けた。

 

「霊王が統治し支配するこの世の現状について問うているのだ」

 

「霊王…ですか。う〜ん…」

 

それについて千弘は少しばかり考え込む。この世は霊王によって統治されており現在も彼がこの世を支えている。だが、千弘にとってそんな事などどうでも良かった。彼にとって今の現状など日常に等しいのだ。

 

故に千弘は答えた。

 

「別に何とも」

 

「…ほぅ、何故だい?」

 

千弘の答えを聞いた藍染は再び問いかける。

 

「私はまだ若造故にこの世のシステムについては理解できておりません。仮に出来ていようと、そのシステムが続いているお陰で今の日常が続いているのならば気にもしません。私はただ隊士として働き、局長や皆さん、そしてネムさんと楽しい日常を過ごせるのならばそれでいいです」

 

そう答える千弘の瞳はいつもと違い鋭く真っ直ぐであった。その視線を向けられ答えを聞いた藍染は表情を歪めた。

 

「つまり、君は今の現状に満足している…と言う事か…」

 

「えぇ。とりあえずアンタの計画なんて知ったこっちゃありませんし協力する気もありません」

 

「成る程…それが君の答えか……残念だよ。」

 

 

ピキッ_

 

千弘の答えを聞いた藍染は失望に満ちた瞳を閉じると即座に限界まで開眼する。その瞳は青く輝き眼球はドス黒い血の色に染まっていた。

 

 

 

 

「ならばこの場で散るがいい…!!!」

 

 

その言葉と同時に藍染の姿は一瞬にして千弘に迫り彼をその場から虚夜宮の外へと吹き飛ばした。

 

そして 藍染も後を追うようにその場から千弘目掛けて飛び立った。

 

夜に包まれる虚圏の空を空気を突き抜けていきながら吹き飛ぶ千弘に藍染は追いつくと両手の拳を握り締め、その全身に向けて乱舞を放った。

 

「ウオォオオオオオオ!!!!」

 

響き渡る咆哮と共に放たれた乱舞は次々と鈍い音を鳴り響かせながら千弘の身体へと打ち込まれていき、彼の身体を歪めていった。次々と乱舞を放つ藍染はこれまで見た事が無いほどまで顔を歪めながら叫び出した。

 

「仮に君が成長してから私と出会っていれば…私の考えが分かっていた筈だろう…ッ!」

 

その言葉と共に拳を打ち付ける速度と藍染の全身から放たれる霊気の激しさが増していく。

 

「いいか!君のような世界の理に従うは敗者の考えだ!!勝者とは常に世界がどう在るべきか語らなければならない!」

 

そう言い終えた藍染は一瞬にして千弘の目の前に現れると右拳を握り締め、千弘の腹に向けて放った。

 

 

「ゼィヤァァァアアアアア!!!!!」

 

 

雄叫びと共に放たれたその拳は蒼いオーラを纏いながら千弘の鳩尾目掛けてゆっくりと打ち込まれていき、その身体をその場から下へ一気に突き落とした。

 

すると 千弘が地面へと叩きつけられた瞬間 その地点が蒼い爆炎を巻き上げ巨大な火柱を天に向けて上げながら大爆発を起こした。

 

だが、それでも千弘の霊圧は消える事はない。藍染は想定済みであったのか、その場から煙が舞う爆心地へと急降下する。すると予想通り千弘はボロボロの死覇装以外は無傷で装束の埃を払いながら立ち上がっていた。

 

「だが…あの涅マユリが作り出した感情のない人形の小娘と戯れている所為で君は今ある日常に入れ浸り…その勝者としての資格を見失った…!!本当に残念だ…それ程の力を持っておきながら古い世界の理に何の観点も見出せず縛り付けられる様になってしまったのだからなッ!!!!」

 

 

続け様に叫ぶと藍染は斬魄刀を出現させ立ち上がった千弘に向けて一閃するかの様に振り回した。

 

 

その瞬間

 

 

 

千弘の周囲の空間に青い亀裂が走ると共に粉々に砕け散っていった。

 

 

「お?」

 

それを見た千弘は咄嗟に飛び上がる。すると、千弘の周囲の空間は千弘の立っていた空間を飲み込むかの様に歪み粘土の如く形を変えながら元の景色へと戻っていった。明らかに虚圏から現世などへ移動する際の物とは違っていた。

 

「驚いたか!?私の力は既に空間さえも斬り捨て亜空間を生み出してしまう程にまで進化しているのだッ!!」

 

「はぁ。成る程。それよりも貴方…ネムさんを___」

 

「その反応…やはり君にはこの程度では無意味なようだ…ならば…!!!」

 

千弘の言葉を最後まで聞く事なく遮った藍染は目を大きく開かせるとその場から飛び退き天に腕を掲げると人差し指を向けた。

 

 

「我が全身全霊を持ってして鬼道で葬ってやろうッ!!!」

 

 

 

 

その瞬間

 

藍染と千弘の立つ場所だけでなく虚圏全体が地鳴りと共に激しく揺れ始めた。

 

元から隊長格の中でも突出して高く、崩玉によってそれが更に数千倍にまで高められた藍染の霊圧が遂に世界にさえも影響を及ぼす程にまで膨れ上がっていたのだ。

 

そして 藍染は詠唱を始める。

 

 

『滲み出す混濁の紋章、不遜なる狂気の器、湧き上がり・否定し・痺れ・瞬き・眠りを妨げる

爬行(はこう)する鉄の王女 絶えず自壊する泥の人形 

結合せよ 反発せよ 地に満ち己の無力を知れ ___。』

 

一つ一つの詠唱が辺りへと透き通りながら鳴り響くと共に千弘の身体が黒い霊子に包み込まれていき、包み込んだその霊子は黒く巨大な立方体へと変わった。その大きさは並の鬼道とは比べ物にならない程であり縦も横も長さも数千メートルを超えていた。

 

 

「ヌン…ッ!!!」

そんな中、藍染は更に全身に力を込め、腕を握り締める。すると千弘を包み込んだ立方体が一瞬にして数十m3にまで縮小した。

極限なまでに圧縮されたその黒棺は本来ならば数千m3も要する膨大な重力の奔流をも強制的に圧縮させる。その威力は、本来の___

 

 

 

 

 

 

______数千倍である。

 

 

 

並の死神__否、隊長格の猛者でもコンマ数秒程度で塵と化すであろう。

 

 

「全てを超越し進化した私の完全詠唱の鬼道だ…!!極限なまでに圧縮された次元の奔流に飲まれ塵になるがいい…ッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、藍染は知りもしなかった。ネムを2度も馬鹿にした事で千弘の逆鱗に触れてしまった事を__。

 

 

「『破道の九十』【黒ひ___ぶべらぁ!?」

 

 

「うっさいわ話聞けやボケェッ!!!!!!」

 

藍染の言葉が言い終わる前に限界まで圧縮された黒棺が一瞬にして消し飛ばされ中から飛び出した千弘が藍染の頬へ向けてドロップキックを放ったのだ。

 

ドロップキックによって突き出された脚は藍染の頬へと深く突き刺さっていくとその端正な顔をゆっくりと歪めていく。

 

そして

そのまま千弘は藍染の身体を蹴り飛ばした。それによって藍染の身体は回転しながら一直線に虚夜宮に向かって吹き飛んでいった。

 

 

ーーーーーーー

ーーーーー

ーーー

 

「はぁ…はぁ…はぁ…!!」

 

虚夜宮の中でも天に向けて聳える塔に位置する場所。その内部にある無数の柱の立つ場所にて二人の男が対峙していた。

一人は黒崎一護、そしてもう一人はウルキオラ。互いに斬魄刀をぶつけ合い何度も力を衝突させていた。

 

 

「もう終わりなのか?」

 

「まだだ…!!」

 

 

その時であった。

 

 

近くの壁が巨大な破壊音を鳴り響かせながら爆発し、何かが飛び込んできた。

 

 

「な…なんだ!?」

 

一護が突然の破壊音に驚く中、飛び込んできた物を見た瞬間、固まってしまった。

 

「こ…コイツは…!!」

 

そこに倒れていたのは、以前ルキアを手に掛けようとした男 藍染であった。

 

すると もう一つの影が降りてくる。

 

「な…!お…お前は…!」

 

「ん?」

その影を見た瞬間 一護は更に驚いた。降りてきたのはなんと以前に自身とグリムジョーの闘いの際に乱入してきた千弘だったのだ。

 

その一方で、一護を見つけた千弘は軽く手を振る。

 

「貴方は何時ぞやの旅禍の人じゃないですか。どうも。ま、それは別として」

 

一護へと軽く会釈した千弘は藍染へと目を向けた。千弘の殴打を2回連続でその身に受けた藍染は力が抜けたかのようにその場に倒れている。

 

 

だが、その命や意識はまだ途絶える事は無かった。

 

「う…うぅ…!!」

 

崩玉の効果なのか、はたまた藍染の果てしなき執念なのか、その身をゆっくりと起き上がらせ再び大地へと立ちあがる。

 

「まだ…だ…!!」

 

そう言い息を吐きながら立ち上がった藍染は再び千弘を睨みつける。その底なしの執念は流石と言っても良いだろう。

 

だが、

 

「私はま___ぐへぇ!?」

 

「藍染様…!?」

 

「うるせぇええ!!このクソメガネがぁ!!!」

立ち上がったその瞬間 目の前に一瞬で現れた千弘のビンタによって付近にある建物へと吹き飛ばされてしまった。

 

藍染を吹き飛ばした千弘はそのままゆっくりと歩いていく。

 

「貴様が園原ちひ____ぐッ!?」

 

「すいません退いてください」

 

道中にて藍染へと近づていく千弘を阻止すべくウルキオラが剣を振りかざすが、千弘が鞘を振り回した事でその場から藍染と同じく付近の建物へと叩きつけられてしまった。

 

 

ウルキオラを羽虫の如くあしらった千弘はそのまま倒れ臥す藍染へと近づくと腰を下ろすと首元を掴み上げた。

 

 

そして

 

パァン!!!

 

 

再びその頬へとビンタを放った。

 

「こんのクソメガネがぁ!!!!さっきからネムさんの事を悉く馬鹿にしやがって!ネムさんと関わった所為で勝者としての考えを見失った!?ハァ!?貴方の勝手な自論でウチの局長よりも大切な副長を侮辱するのはやめてくれませんかね!?それに貴方にネムさんの何が分かるんですか!?あの人は何度も私を助けてくれた!局長の顔に落書きした時や局長のコーヒーに下剤を仕込んだ時の反省文の際も隊士としての仕事の時もです!」

 

次々と吐き出されていく言葉と共にビンタの勢いは増していき、次々と藍染の端正な顔が腫れていく。

その光景を一護や吹き飛ばされたウルキオラは唖然とした顔で見つめていた。

 

 

そんな中、千弘はビンタの手を止めた。

 

「ぐふぅ…何故…攻撃を止める…?」

 

数百回の往復ビンタを受け顔を腫れ上がらせた藍染は鋭い瞳を千弘へと向ける。それに対して千弘は先程まで鋭くなっていた瞳を元の形へと変え表情を穏やかにさせた。

 

「ネムさんを馬鹿にしたのは許せません…ですが、そんな事は後でします。それよりも……」

 

そう言い千弘は藍染へと手を差し伸べた。

 

「藍染隊長…戻りましょうよ護廷隊へ」

 

「な__!!」

 




オリ設定

覚醒藍染

崩玉の力で更に覚醒し限界突破した形態。姿は顔はそのままで衣装が化け物になった時のモノ。
千弘に勝ちたいという執念を崩玉がキャッチした事で斬られた瞬間から即再生する程の再生能力と空間を歪め切り裂いたり一振りで数十もの斬撃を放つ程の剣術を手に入れた。
更に鬼道の能力も桁違いに上昇しており完全詠唱で原作での威力の数千倍の鬼道を放つ事ができる様になった(無詠唱でも原作の完全詠唱時の数十倍の威力を放つ事が可能)

だが、その力を持ってしても千弘には敵わなず黒棺も片腕で掻き消された上にブチギレた彼のドロップキック一発で吹き飛ばされた。

因みに藍染の乱舞をなぜ受け止めなかったのかというと千弘が藍染の言葉を噛み砕いていて意味を読み取っていたからである。
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