お腹が空いたのでお金を稼ぎたいです。剣術極めた死神の無自覚ライフ 作:狂骨
瀞霊廷に現れた千弘達や藍染を見た一同は更木とやちるを除き、唖然としながら見つめていた。現れた破面の数は6体。その内の4人が女性型でもう二人は男性型であった。中でも男性型二人と女性型一人の霊圧は別格でありその霊圧は元柳斎を除いた隊長を凌駕していたのだ。
その光景を冷や汗を流しながら見つめていた隊長達の内、千弘と仲が良い京楽が恐る恐る尋ねた。
「ね…ねぇ千弘くん…なんで破面なんかを連れてるんだい…!?」
「あ、京楽隊長どうも。送ってもらったんです」
「へぇ!?」
千弘の答えに京楽が驚く中、皆は次々とその場から飛び降りていき廷内へと着地していった。
「じゃあね皆〜またいつでも遊びに来るのよ〜♪ほらさっさとお行きクソ藍染!」
「がはぁ!?」
体格の良いオカマらしき破面がスウェットを着た藍染を蹴り落とすと残りは千弘とネムのみとなった。千弘は振り返り自身らを送ってくれたハリベル達へとお礼を述べた。
「私たちもこれで。色々とありがとうございますハリベルさん、コヨスタさん」
「いや…気にするな。礼を言うのは此方も同じだ。これは借りにしといてくれ」
「ほらほら、御礼はいいから早く行きなさいや。皆待ってるぜ」
「では!」
コヨーテ・スタークから頭をポンポンと叩かれた千弘はその場からネムと共に手を繋ぐと飛び降りて廷内へと着地した。そして振り返ると此方に目を向けるハリベルやスターク、手を振るクールホーンに向けて手を振り返した。
すると彼らもそれに答えながらゆっくりと入口を閉じて虚圏へと帰っていった。
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織姫を救出するどころか藍染らまで連れ戻してきた事に一同は驚きを隠さないでいた。千弘の強さは知っていたものの、まさか幻術を扱う藍染に勝てるとは思ってもいなかったらしいのだ。
帰ってきた事については喜ばしいものの、そんな雰囲気は一瞬にして消え去った。
「さて…お主らを拘束させてもらおうか」
千弘達と共に降り立ったギンや東仙は勿論、藍染も謀反を企てていた罪人の為に即座に何重もの拘束具によって捕らえられた。
「連れて行け」
元柳斎の命令に頷いた砕蜂と彼女らが率いる隠密隊は3人を連行していった。そんな中 元柳斎はすれ違い際に藍染へと目を向ける。
「お主には後でたっぷりと話を聞かせてもらうぞ。一応、その姿についてもな」
そう言い元柳斎は藍染が着用している【鏡花水月】と書かれたスウェットを指差す。すると、藍染は珍しく涙を流しながら頷いた。
「長く……なりますよ」
その涙は何故か悲しみは感じられずとてつもなく無念な思いが込められているようであった。
それだけ言うと彼は再び歩き出した。すると、その際に元柳斎の後ろで控えていた雛森と日番谷の横を通り過ぎる。
「あ…藍染たいち___」
「よせ…雛森…!」
スウェット姿であるにも関わらず声を掛けようとした雛森を日番谷は咄嗟に口元を押さえる形で制止させると、藍染を睨みつけた。それに対して彼は一眼だけ彼らを見ると再び前へ向き直し謝罪の言葉もその他の言葉も何一つ口にせずそのまま歩いて行った。
そして 藍染に続く様に東仙やギンも連行されていく。
「東仙…!」
「東仙隊長…」
彼の事を今も尚 気に掛けていた狛村と修平が声を掛けるが東仙はただ俯いたまま狛村達の声に応えるどころか顔も合わせずそのまま通り過ぎていき、二人はその様子を哀しい瞳で見つめていた。
その一方でギンは乱菊や吉良と再び会えた事が嬉しいのか、いつもの不気味な笑みではなく、ただ満足しているかのように柔らかい笑みを浮かべていた。
「ギン…」
「隊長…」
「…」
その表情を見た乱菊と吉良は彼の今後を心配していたのか声を掛けるが、彼は何も答えずただ笑みを浮かべながら通り過ぎていった。
「狛村隊長…東仙隊長は…」
「…仮に事情があったにせよ…謀反した事実は変わらん。いつか面会に行ってやろう…」
「はい…」
狛村と共に東仙へ面会に行き彼の真意を聞きに行く事を誓い合った修平は頷くと、乱菊や吉良と共に二人を連れ戻してくれた千弘達へと礼を言うべく振り返る。
「園原、本当にありがとな。東仙隊長をつれも____え?」
「では早速、局長の所へ行って収集したデータを見せに行きましょうか」
「はい。千弘さん。これ程のデータがあればマユリ様もお喜びになるかと…」
「そうですね!では皆さんお先に失礼します!」
そこにはネムと共にアッサリとその場を後にする千弘の姿があった。しかも疲れのつの字も見せていない状態であり、その様子を見ていた皆は不思議そうに見つめていた。
「本当に不思議な子ですね…隊長達と闘ったにも関わらず疲れも見せないで、その上に破面も従えて…本当に彼は何者なのでしょうか…」
「分からん…。出生も至って普通、強さも始解、卍解無しの剣術と体術のみ…となるならば、あの子は本当に『神』の寵愛を受けこの世に生まれたのかもな…」
その後ろ姿を見つめていた吉良の言葉に答えながら狛村や他の皆もその姿を見送ったのであった。
彼の強さは一体何なのか。それは誰も知る由もなかった。
因みにその後、カメラの中に入っていた“ある一枚の写真”を見たマユリの絶叫する声が技術開発局に響き渡ったと言う。
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そして その後。藍染達は投獄される事となった。連行された3人の内、東仙とギンは同じ監獄へ。以前マユリが収監された牢へと投獄される事となった。
その一方で主犯格である藍染は瀞霊廷の中で二番目に厳重な檻にて幽閉された。一時的に拘束する場所にしては厳しすぎるかもしれないが、彼の場合は身体の部位一つでも自由にしてしまえば脅威となるために厳重な場所で拘束される事となったのだ。
暗闇の中、両手脚を鎖で繋がれながら椅子に座らせられた藍染はただ黙っていたが、千弘から離れられたのか、謎の安心感を得ている様にウッスラと笑みを浮かべていた。
すると
「いやぁ〜随分と嬉しそうだね〜」
陽気な声と共に女物の着物を羽織ると共に番傘を頭に被る隊長 京楽が現れた。その姿を見た藍染はゆっくりと閉じていた目を開ける。
「何の用だい?」
「様子見さ。山爺なら後で来るよ」
そう言い京楽はまるで遠慮がないかの様にその場に座り込む。
「さて、君の悪巧みについては少しばかり勘づいてたけども…ま〜さか本当になるとはねぇ。まぁ見る限り千弘くんに偉くやられたと見える。笑えるどころか可哀想に見えてくるよ」
そう言い京楽は藍染を憐れみの瞳を向けながら苦笑するそれに対して藍染は俯いた。
「あぁ。彼は本当に強かったよ」
「ちょいと聞かせて欲しいね。君は去り際に崩玉があれば僕らどころか千弘君を超えられると言っていたが、越えられたのかい?」
「…」
その問いに対して藍染は首を振らずとも否定すると共に数時間前まで対峙していた千弘の動きや力などを頭の中へと再び思い浮かべた。映り込んでくるのは完全に覚醒した自身が千弘に傷一つ負わせられず技も全て掻き消され、殴り飛ばされたり蹴り飛ばされたりする光景であった。
「いや、全く手も足も出なかったよ」
そう言い藍染は去り際に崩玉を持っていた右手を見つめた。
「崩玉を手にし、覚醒させたとしても何一つ変わらなかった。願いを募らせ望み通りの究極の力を手に入れても尚、勝負にすらならなかった。彼の太刀筋を見切るどころか刀身さえも見る事が出来なかった上に発言が起因である怒りの拳一つで私は倒されたのだ。超える…いや、それどころか一歩も近づく事すら出来なかったな。あの子の前では崩玉さえもただのガラクタであると痛感したよ」
「そうかい…大体想像はしてたけども、ま〜さか君が予想以上に強くなっても勝てないとはね〜。しかも破面すらも従えちゃうなんて本当に恐ろしくも頼もしい子だよ」
藍染の意見を聞き驚きながらも千弘がいた事に安心しながら京楽は立ち上がる。
「まぁ取り敢えず裁判まで大人しくしときなさいや。それに良かったじゃない。千弘君にもっと早く止められなかったら君、もっと罪が重なってたと思うよ?」
「フン」
京楽の笑い混じりの言葉に鼻を鳴らすと虚空を見つめる。まるでその方向に自身を倒した千弘がいるかのように。
「もう彼を超えられる可能性がある者は誰一人として存在しないだろう。これからもこの先も…」
「それよりも、何でスウェット何か着てるんだい?随分とシンプルなデザインだけど」
「それを聞くのは…野暮だと思うがな…」
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藍染達が捕らえられた事により事態は収束。瀞霊廷にまた平穏な日常が戻ってきた。因みに一護達は闘いの疲れを癒すべく1日は此方にいるらしい。
そして藍染達が捕らえられた日の真夜中の事である。
マユリに虚圏に赴いた際に撮影した研究施設や建物などの写真データが大量に保存されているカメラを渡した千弘はネムと共に休暇を言い渡され夜の瀞霊廷を上機嫌に歩いていた。
「ん〜!!疲れた。写真もいい評価もらえましたし、休暇も貰ったことなので甘味処でもいきますか」
「そうですね。私は小豆ものを要求します」
「良いですよ!お金も沢山入ったのでとことん奢ります!」
そう談笑しながら千弘とネムが歩いていると、突然と目の前に卯ノ花が現れた。
「お疲れ様です。お二人とも」
「あ、卯ノ花隊長。お疲れ様です。これから甘味処へ行くんですが、一緒にどうですか?」
「まぁ…!それは良い案ですね。私も丁度…お茶に合うお菓子が欲しいと思っている所でした__ですが」
千弘の提案に卯ノ花はパァと笑みを浮かべながらもそれを止める。
「その前にまずはあそこへ行きましょうか♪」
「「え?」」
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カポーン__。
「お風呂へ」
「はひぃ!?」
波乱な1日はまだ終わらない。
とりあえず藍染がなぜスウェットを着ているのか知りたい方は銀魂の信々が紫雀と交渉する話をご覧ください。