お腹が空いたのでお金を稼ぎたいです。剣術極めた死神の無自覚ライフ 作:狂骨
数日後。千弘は農場から出て零番隊の住まう霊王宮への行き方を尋ねるべく元柳斎の元を尋ねた。
「御大将。少しお時間よろしいですか?」
「うむ…要件は分かっておる」
「いや、まだ何も言ってないんですけど…あ〜それより現世で黒一さんが初代死神代行の一行とぶつかったって聞いたんですけど、彼は大丈夫なのでしょうか?」
「うむ。一悶着あったようじゃが、無事と聞いておる。それよりも話を戻すが、ここへ来た理由は…遂に隊長になる決心が___
「いい加減にしてください。頭磨いて街灯にしますよ」
それから千弘は自身の商売での注文があった零番隊の隊舎までの行き方を尋ねた。それを聞いた元柳斎は千弘の緊張感のなさに怒り眉間に皺を寄せようとしたが、ふと何かを考えすぐに落ち着かせると息を吐く。
「はぁ…この非常時に…まぁお主なら立ち入る資格など余裕にあるじゃろう。霊王宮への行き方は零番隊がここへくる際に乗ってくる天柱輦に共に搭乗する、または零番隊の許可を得た上で花火師の大砲で打ち上げてもらう…しかないな」
「ふむ…なるほど」
元柳斎から行き方を教えてもらった千弘はそのまま隊舎を出ていった。
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瀞霊廷のほぼ真上かつ遥か上空へ位置し、幾つもの巨大な円盤が浮かび上がる巨大な宮殿『霊王宮』そのうちの一つにて、ふくよかな体型を持ち、肩にしゃもじを掛けている女性と独特な髪とサングラスを掛けているファンキーな青年、更にリーゼントが特徴の男、着物を着用している女性、更に立派な巨大な髭を持つ初老の男性の計5人が集まっていた。
「ようやく奴に会えるのぅ!この時をどれほど待ったか」
そう言い立派な髭を持つ男『兵主部一兵衛』は千弘の顔が載せられた紙を見る。彼ら全員こそ、護廷十三隊全勢力を凌駕する力を持つ零番隊である。彼らは以前から千弘に目をつけており、今回の商売を聞いて、これを機に彼と邂逅しようと考えていたのだ。
「さてさて、会って早速わしの“黒”が効くかどうか試してみたいものよのぅ」
"まなこ和尚" 兵主部一兵衛
「流石にそれは無理があるんじゃねぇのか?」
"泉湯鬼" 麒麟寺天示郎
「どうだろうねぇ〜?」
"穀王" 曳舟桐生
「ちゃん僕が一番気になってるのは奴の斬魄刀だYOチャン僕の傑作と斬れ味勝負したいNE!」
"刀神" 二枚屋王悦
「一度も始解も卍解もした事がない…か。まぁこれから本人と会うのじゃ。そこで聞けば良い」
"大織守" 修多羅千手丸
以上の5名は千弘のいる瀞霊廷へ向かうべく、天柱輦へと乗り込もうとした。
その時であった。
「よっと」
「「「「「!?」」」」」
目の前が崖となっている場所に一人の少年が巨大な大荷物を抱えながら現れた。その声を耳にした途端、5名全員は冷や汗を流すと共に瞳を震わせながら驚いた。
そこに立っていたのは一人の少年であった。少年の顔を見た和尚は何度も何度も写真と現れた少年を比較する。それは紛れもない本人即ち園原千弘であった。
「お…おんし…どうやって…ここまで…?」
「待たせるといけないと思って飛んできました」
「「「「「はぁぁぁぁぁあああ!?」」」」」
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あれから千弘は零番隊の一人である一兵衛の隊舎へと招かれ、茶を出されていた。
「ズズズ…いやぁすいませんね。お茶まで出していただいて」
「いやいや気にするでない。それにしても驚いたのぅ。まさか生身で瀞霊廷から飛んでくるとは。花火師の大砲か何か使ったのか?」
そう言い和尚は高笑いし茶を口に含みながら尋ねた。それに対して千弘は首を横に振った。
「そんな私ごときの為に!思いっきりジャンプしただけですよ!」
「__!?ブゥぅぅぅぅぅ!!!!!!!」
その言葉を耳にした瞬間 衝撃のあまり和尚は口に含んでいた茶を噴き出してしまった。
「じ……ジャンプした…じゃと!?」
「はい!」
その言葉に和尚だけでなく他の零番隊の全員も固まってしまった。そんな中で一兵衛は千弘を前にして別の事でも冷や汗を流していた。
「(やはりのぅ…此奴…とんでもない霊圧を秘めておる…しかもここの空間の空気にも何事もないかの様に順応しておるな…)」
一兵衛自身は感じ取っていたのだ。千弘の内に潜む強大な力に。内に眠る超高密度の霊圧をその身に感じた途端に、遂には自身が刀で一閃される光景さえも頭に思い浮かび上がって来ていた。
「……」
「およ?どうしたんですか?険しい顔をされて」
「んん…いや。気にせんでくれ。それよりもおんしにちと頼みがあるんじゃが…」
「私にできる事でしたら何なりと!」
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それから30分後、要件を終えた千弘は霊王宮に最初に降り立った場所へと来ていた。
「では、私はこれで」
「う…うむ…いやはやまさか…能力も何もかも通じぬ上に掻き消されるとは思いもよらんかったわい…」
彼を見送るかの様に出てきていた零番隊の全員。だが、その内の一人である一兵衛は傷こそないものの、隊服の所々がボロボロであった。
「本調子では無かったからじゃないですか?能力も使い手の体調に左右されるので風邪や怪我など無ければ私は瞬殺されてたと思いますよ」
そう言い千弘は一兵衛に返すと、零番隊の全員に手を振りながらその場から飛び降り霊王宮を後にしたのであった。
「では失礼します!」
その姿を見送っていた全員の表情はとてつもなく苦いものになっていた。中でも頭目である一兵衛の額からは汗が流れている上に表情が暗くなっていた。因みに一兵衛自身が怪我や体調不良であるというのは本人の勝手な解釈であり一兵衛自身は完体である。
「本調子だったし…ていうか生まれてこの方 一回も体調崩した事ないし……」
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その同時刻。瀞霊廷の一番隊隊舎にて。元柳斎は厳格な表情を浮かべていた。それは各地にて次々と異常な現象が起きているからだ。先日には虚の大量消滅、そして歪む空間。これは全隊員を総動員する程の事態へと進展していた。
「…」
総隊長である元柳斎は杖を持ちながら空を見上げていた。更に浮かぶ太陽が彼を照らし背後に悠々たるシルエットを模した影を作っていく。
因みにこんな非常事態の中、なぜ千弘を向かわせたのか、その理由は簡単だ。元柳斎は零番隊の皆と関わりがある為に彼らの性格をよく知っている。彼らが千弘と出会えば興味を抱き必ず勝負を挑むだろう。そして勝てば彼は今度こそ自身の強さに自覚を持ち隊長への就任を考え始める筈だ。
そんな確証もない浅はかな考えを彼は信じてしまい千弘を行かせてしまったのだ。
「___以上が十一番隊及び九番隊からの報告です」
そんな中で空を見上げていた元柳斎は伝令係による報告を耳にしていた。
その時であった。
「続いては十番た___がはぁ…!」
報告を続けようとした隊士の声が貫かれる音と共に途絶えた。その音を聞いた元柳斎は振り向く。
「お初に御目見する。護廷十三隊総隊長 山元 重國 元柳斎 殿とお見受けいたす…」
そこには白いローブに身を包み顔を黒い仮面で隠していた不気味な男達が立っていた。
だが、気配には気づいていたのか元柳斎は取り乱す事なく鋭い目を向けた。
「…何奴…」
「我々が何者なのか…それは推して知るべし。単刀直入に申し上げると…宣戦布告に参った。これより5日後…尸魂界は我ら『見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)』に殲滅される」
「…」
その男の言葉に元柳斎は一才 驚きもせず、厳格な表情のまま杖を握る。
その時であった。
凄まじい衝撃音と共に何かが窓辺から飛び込み壁へと叩きつけられた。
「…!」
「丁度終わったようだな。ここへ来たのは我々だけではない。侵入した際に勇敢に立ちはだかる者達がいましてね。その者らの相手をもう一部隊に任せていたのですよ」
その言葉と共に砂煙が晴れ飛び込んできた物体の正体が露わとなってくる。それと共にローブの男は飛び込んできた影へと目を向けた。
「讃えるべきであるだろう。我々に臆する事なく挑んだ彼を____は?」
それを見た瞬間 ローブの男は腑抜けた声を漏らす。そこに横たわっていたのは彼らと同じ白いローブを身につける者であったのだ。
すると 倒れていた白いローブの男は震えながら手を動かし今にも消えそうな声をあげて喋り出した。
「お…お伝え…しま…す…我々の部隊は…ぜん…滅…空から現れた謎の…子供に…一瞬で…倒され……」
「な…!?」
最後まで伝える事なくその男はそのまま意識を失ったのだった。それを見た白いローブの男達は動揺すると共に元柳斎は笑みを浮かべた。
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その同時刻。一番隊隊員が集い、先頭に立ちながら部隊を率いていた一番隊副隊長である雀部長次郎は目の前の光景を見ながら唖然としていた。更に彼の後ろでは精鋭中の精鋭とされる隊士達の殆どが同じく唖然としながら腰を抜かし地面に尻餅をついていたのだ。
目の前には__
「此方もいきなり空から合間に割って入って申し訳ないとは思ってますけども、いきなり攻撃してくるとは何事ですか?普通まず互いの言葉を聞くのが常識ですよね?ねぇ聞いてるんですか!?ちょっと!人の話をちゃんと聞きなさいよぉ!!!」
辺りに白いローブに身を包む不気味な集団が全員ボロボロになりながら倒れており、その内のリーダー格らしき男の胸倉を千弘が掴みあげながら往復ビンタする光景が広がっていた。
千弘の脚力
25% 地面から双極の丘の真上まで。
50% 無間から一番隊隊舎まで
75% 地面から霊王宮まで
100% ???