お腹が空いたのでお金を稼ぎたいです。剣術極めた死神の無自覚ライフ 作:狂骨
封じられし滅却師の王は900年を経て鼓動を取り戻し__
90年を経て理知を取り戻し___
9年を経て力を取り戻し___
9日間を以て世界を取り戻す__。
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宣戦布告を受けてより予告通りの当日。
廷内は正に一触即発の雰囲気となっていた。全死神隊員が廷内に召集され次々と指定された配置へとついていく。
前回の襲撃を参考に精鋭部隊の隊員達はそれぞれ四つの門の周辺にて待機する事となり、それ以外の者は廷内の路地などへと待機する事となった。
そんな中。待機していた隊員の中で比較的まだ幼く新人である死神『行木竜之介』は冷や汗を流しながら割り当てられた防衛場所にて身体を硬らせていた。
「そんなに気を張らなくていいよ。前回 敵が侵入してきた場所は黒龍門。つまり敵は門から侵入してくるという事だ。侵入した際は必ず四つの門の内の一つから連絡がある筈だよ」
「…はい…」
先輩でもある十三番隊第四席『可城丸秀朝』の言葉に竜之介は静かに頷いた。
その時であった。
「___ほぅ。成る程な。理に適っている」
『『『………!!!!』』』
突如としてその場に聞き覚えのない男の声がこだます。その声を耳にした一同は驚きながら声が聞こえた方向である空へと目を向けた。
そこには白い軍服を着用しマントを羽織る大男が浮遊していた。何の前触れもなく現れたその大男に一同は言葉を失いただ見る事しかできなかった。
それと同時に瀞霊廷の至る所から蒼色の霊子の火柱が立ち上がった。
「…!?」
皆が驚愕する中、大男の付近から湧き上がった霊子の柱からもう一人 軍服を纏った青年が姿を表す。
「慄け死神共。これより星十字騎士団が貴様らを粛清する」
その男の一言と共に瀞霊廷の各地から次々と巨大な爆発音が轟き始めた。
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それは本当に一瞬の出来事であった。1時間どころか半分の30分すら経っていない。経っていないにも関わらず護廷十三隊は壊滅に追い込まれた。
突如として現れた滅却師達によって隊員達の霊圧が1000以上も失われており副隊長はおろか、隊長達でさえも完膚なきまでに叩き潰されてしまった上に殆どが切り札である卍解を滅却師のメダリオンによって奪い取られてしまった。
その光景をユーハバッハは笑みを浮かべながらハッシュヴァルトと共に見つめていた。
周囲には戦いの余波によって廃墟と化した景色が広がっており、それと共に彼に挑み敗れた隊士達が遺体となって倒れていた。
「辛いものだな。争いというのは」
その時であった。
「よぅ。テメェが大将か?」
「…ん?」
付近から足音が聞こえ、目を向けるとそこには血だらけの滅却師を3人も担ぐ更木の姿があった。
「な…!星十字騎士団が3人も…!?」
「ほぅ。流石は我が特記戦力の一人。推測通り力は未知数の様だな」
「ハッ。千弘に比べりゃコイツらなんざゴミ当然なんだよ。それは勿論テメェもな」
そう言い担いでいた滅却師の遺体を投げ捨てると更木は構える。その斬魄刀からは始解も卍解もしていないにも関わらず隊長格以上もの霊圧を放っていた。
「俺とやりあおうや…!!」
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その後、辺りの風景は更に激しいものへと成り果てていた。ユーハバッハと更木の戦闘の余波によって周囲の建物は全て吹き飛ばし足元には巨大なクレーターが出来上がっていた。
だが、それでも更木がユーハバッハへと勝利する事は叶わなかった。
「がはぁ…」
ユーハバッハの腕にはボロボロとなり気を失っている更木の姿があった。対してユーハバッハ自身も無事では無かったのか、軍服やマントが所々に破けており傷をつけられた肌が顔を見せていた。
「驚いたぞ…!まさか力を解放した私相手にここまでとはな。これ程の深傷を負わされたのは千年ぶりだ。だが、やはり私を倒すまでには至らなかったようだな」
そう賞賛しながらもユーハバッハは掴み上げた更木の身体を投げ捨てた。
その時であった。
ユーハバッハの身体を刀が貫いた。
「が…」
突如として刀が身体を貫いた事でユーハバッハは口元から血を吐き出す。
「陛下!!ぐっ!?」
咄嗟にハッシュヴァルトは駆け寄ろうとするも突然と発生した衝撃波によって後ろに吹き飛ばされる。
そんな中 身体を貫かれたユーハバッハは瞳を震わせながら背後へと向ける。
「ほぅ…まさか不意打ちとはな…山元重國…!」
そこには全身から炎の如き霊圧を放ちながら刀を持つ元柳斎の姿があった。
「……千年ぶりよのぅ…ユーハバッハ」
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「あ〜あ。本当につまんない。ワンちゃんも弱かったし。早く帰って寝たいな〜」
所変わって瀞霊廷の別の場所にて、軍服を着用した少女が周囲に倒れている死神達を見下ろしながらため息をついていた。
彼女の名は『バンビエッタ・バスターバイン』瀞霊廷へと攻めてきた星十字騎士団の一人である。
バンビエッタの目の前には隊長である狛村が血を流しながら倒れ臥していた。
そんな中 彼女はふと別の方向へと目を向ける。
「…ん?」
目を向けるとそこにはボロボロとなった畑があり幾つもの植物…いや、魚の形をした植物が地面に倒れ伏しながら生き絶えていた。恐らく同じ星十字騎士団の攻撃の巻き添えにでもあったのだろう。だが、単なる巻き添えのみであったのか、幾つかまだ元気に生えている個体があった。
それを見たバンビエッタは見たこともない不気味な植物な為に頬を引き攣らせ不快感を露わにする。
「なにこれ!?気色悪!えい!」
そのまま手から霊子を放つと残っていた植物全てを爆散させていった。爆散された事によって辺りに魚達の肉片が飛び散っていく。
「本当に死神って変なもの作るわね!特にこんな気持ち悪いもの作った奴の顔が見てみたいわ!」
そんな時であった。
「わ〜!!!だだ…大丈夫ですか!?」
近くの破壊された壁から一人の小柄な少年が慌てながら現れた。更にその直後に身長の高い女性も少年の後を追う様に現れ、二人は周囲の倒れている死神達の身体へと手を当て始める。
見てみると現れた二人は死神に見られる『死覇装』を纏っておらず農家が着用する様な長袖長ズボンに加えて首にタオル、頭に麦わら帽子を被っており、とても死神には見えない者であった。
「ここでもたくさん人が倒れてるなんて!早く助けないと!!」
「落ち着いてください。幸いにも診療所のある四番隊隊舎が近いので薬を投与して、後は焦らずに運びましょう」
もう一人の女性らしき人物が少年を落ち着かせると、少年は頷き懐から薬を取り出して次々と周囲の人々へと投与していった。
「(死神…?いや…黒い服を着てないから死人かな…?でも弱っちい霊圧を感じるから死神かな…まぁいいか)」
突然の闖入者にバンビエッタは首を傾げながらも目を鋭くさせながら二人を睨みつけた。
「見る限り医療班みたいだからここで殺しちゃおっと」
そう言いバンビエッタは右腕から青い霊子を生成すると二人の内、少年へと向ける。
「ショタの方は持ち帰って楽しみたかったけど、ごめんね⭐︎」
その言葉と共に霊子が凄まじい速度と共に少年へと向かっていった。
その瞬間
向かっていった霊子が少年が手を横に払うと同時に塵となり空気へと消えていった。
「…あれ?」
その光景を目にしていたバンビエッタは目を点にし、その場に固まってしまった。
その一方で少年はまるで意に介していないのか、此方に振り向く事なく、隊士達へと薬を投与し終えると、不意に畑の方へと目を向けた。
その瞬間
「あああ〜!!!私の…私の畑がぁぁ!!!!」
「……はぁ!?」
その少年は泣き叫び大粒の涙を流しながら畑に駆け寄るとボロボロになった花や魚の破片を手に取った。
「そんなぁ〜!!!全財産を叩いて育ててきたのに!!!それに注文が5件も来てたのにぃ〜!!!」
「え…ちょ…それ育てたのってアンタなの!?」
不気味な植物の栽培主が少年であった事に驚きを隠さずバンビエッタが仰天の声を上げる中、少年は泣く事を止めるとゆっくりと起き上がり振り向いた。
「まさか…貴方がこれをやったのですか…?」
「え…!?」
突如として此方に反応し、首を向けてきた事でバンビエッタは動揺する。
「い…いやいや!確かに残りの植物を爆破したけど全部は____
爆破した事を口にした時であった。
______瀞霊廷を超巨大な霊圧が覆った。
「ひ!?」
その巨大な霊圧を感じ取ったバンビエッタは言葉を詰まらせると冷や汗を流しながら一歩後ずさった。
「ま…待ってよ何なのよこの霊圧…!?な…なんで…アンタがここに…!?」
「どうでもいいです。貴方の口ぶりからすると侵入してきた他の人達も犯人の様ですね…」
口元を震わせながら驚くも少年はそのまま此方に向かって歩いてくる。
「…お金で払うか…身体で払うか…どちらにしますか…?」
「いやぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」