お腹が空いたのでお金を稼ぎたいです。剣術極めた死神の無自覚ライフ 作:狂骨
星十字騎士団。それは滅却師の始祖であるユーハバッハが組織した精鋭部隊の名称である。ユーハバッハは生まれ持った『魂を分け与える能力』を応用し騎士団それぞれに世の理さえも破壊してしまう程の能力をアルファベット順になる様に授けている。
能力は個人差かつ能力差も存在し、威力の高いパワータイプのものもあれば技術が必要で扱いにくいテクニカルタイプ、なども存在する。
その中でもバンビエッタ・バスターバインの持つ能力は最も派手かつ高威力のものであり、その名も『The Explosion』__。文字通り爆発を操る能力である。この能力の内容は武器として扱う霊子を爆弾として使用すると捉えられがちだが、実際は違う。攻撃として扱う霊子を打ち込まれた相手が“爆弾”となり彼女の意思でいつでも爆発できるという防御無視かつ特攻を兼ね備えた超攻撃型の能力なのである。
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そんな超攻撃型の能力を授かった彼女は頭にたんこぶが出来上がった状態で正座をさせられていた。
「あの…ごめんなさい…畑メチャクチャにしてごめんなさい…」
正座をしながらバンビエッタは頭を下げる。彼女の目の前には頬を膨らませながら涙を流す千弘の姿があった。
「泣いてどうにかなるのですか!?泣きたいのは此方なんですよ!ネムさん!残ってる花はありますか!?」
「何一つ見当たりません」
「うわぁぁぁ!!!!」
千弘が後ろで畑を見渡しているネムへと尋ねると首を横に振り、それを聞いた千弘は滝の様に涙を流しながらバンビエッタの肩を掴み揺らし始めた。
「いくら注ぎ込んだと思ってるんですか!?数百万!数百万環ですよ!今まで血の滲む様な努力で手に入れたものがぜ〜んぶパーになったんですよ!その中には実験費だってありましたし!あぁぁぁぁ!!!おんぎゃぁぁあ!!!!しばらく食事抜きだこれぇえええええ!!!!!!ようやく安定した収入が得られそうだったのに〜!!!」
「ちょ!?揺らさないで!!分かった!分かったからぁぁ!!!(うぅ〜…何なのよこいつ…!?私の爆撃は効かないし霊子兵装の攻撃も全部弾き飛ばされるし…!爆風も斬ってくるし完聖体になってもゲンコツで強制的に解除してくるし…最終的にはなんか子供みたいに泣きじゃくるし…!もう完全に別の意味でバケモノじゃないの…!?)」
揺さぶられる中、バンビエッタは困惑しながら目の前でワンワンと子供の様に泣きじゃくる千弘に恐怖を感じていた。
自身らはようやく彼を心の底から舐めていた事を自覚したのだ。
すると
「千弘さん…安心してください」
後ろで待機していた女性死神であるネムが泣きじゃくる千弘に歩み寄るとその身体を胸に抱き締めた。
「私が付いています。それにまだ僅かですが土壌も残っているので、やり直せますよ」
「うぅ…ネムさぁん…」
抱き締められた千弘も甘えるかの様に彼女の背中に手を回し身を寄せた。
「よしよし…大丈夫ですよ」
そんな千弘を抱き締めたネムはそう囁きながら頭を撫でていき、その様子はバンビエッタの警戒心を更に掻き立てていった。
「(というか何なのよこの女も…!さっきからずっと達観してたけど特記戦力筆頭のコイツとまるで対等の様に接してるし………いや待てよ…まさかこの女が一番ヤバいとか!?)」
そんな中であった。
「(…あれ?よくよく考えてみればこれってもしかして…)」
その光景を見ていたバンビエッタの心の中にある一つの希望を見出した。
それは逃亡である。
「(_____チャンス!!!)」
厄介な奴は目の前の死神に気を取られている。ならばその隙に少しでも遠くへと逃げて影の空間へと入ってしまえばいい。いくら彼であろうとも影の空間を潜り抜けて追ってくる事など不可能だろう。
「(いくらアイツでも飛廉脚さえ使っちゃえばこっちのものよ…!!)」
そしてバンビエッタは隙を見計らいその場から滅却師特有の能力である飛廉脚を使うべく立ち上がった。
ガシッ
「あの…何逃げようとしてるんですか…?」
「え…」
だがそれも全て千弘には筒抜けであった。動こうとしたバンビエッタの肩に手を置く形でその動きを静止させた。いや、筒抜けでなかったとしても使った瞬間に追いついていただろう。
もはや完全に希望が潰えたバンビエッタはブリキの人形の様にガタガタと震えながら振り向いた。
そこには“何帰ろうとしてんだよ”的な表情を浮かべる千弘の姿があった。
「…」
試しにバンビエッタは指先から霊子を生み出し千弘に向けて放ってみる。だが、その霊子は握り潰され爆破する事なく無となった。
「え…えっとその…帰らせていただくことは…」
「できる訳ないでしょう」
「ですよね…」
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それから数秒後、バンビエッタは千弘の縛道によってぐるぐる巻きにされた。
「取り敢えず、畑が元に戻るまでこちらで私達と共に働いてもらいます」
「うぅ…」
手をパンパンと払う千弘の裏ではバンビエッタは悔し涙を流していた。
その時であった。
「見つけたぜ。特記戦力筆頭…!!!」
「はい…?」
近くの瓦礫の山から猛々しい声と共に此方に向けて指を構えたモヒカンヘアーの滅却師が現れた。初めて見るその顔に千弘は名前を尋ねた。
「誰ですか?貴方は」
「『バズビー』だ。いやぁそれにしてもまさか虚圏にいるはずのお前がここにいるとは予想外だなぁ。霊圧感じた時は本当に驚いちまったよ」
千弘に尋ねられ、バズビーと名乗った男は千弘へ向けて片手を向けた。この男も滅却師の精鋭集団『星十字騎士団』の一人である。
「まぁ取り敢えず…ちょいとここで死んでもらうぜ…!!!」
「え?いやいきなりなんですか?」
バズビーは千弘の声に耳を傾ける事なく腕を向けた。するとバズビーの腕が輝き出し炎を纏っていく。
バンビエッタと同様に彼もユーハバッハから力を分け与えられていたのだ。その能力の名は『The Heat』その名の通り熱…否、炎を操るというバンビエッタと同様に超攻撃型の恐ろしき能力なのだ。
「初めから全開で行かせてもらうぜ?悪く思うなよ!」
「ち!?ちょっとアンタ!そこから打ったら私も巻き添えになるじゃない!?」
「知るかよ。テメェが負けたのが悪いんだろうが」
男が構える姿を見たバンビエッタは驚きながら叫ぶも男は構うことなくで姿勢を固める。
その時だった。バズビーの背後から一人、そして後方からもう二人の合計3人の滅却師達が現れた。
現れた四人の滅却師達はローブをたなびかせながら降り立つと不気味な笑みを浮かべながら千弘を見据えた。
「見ツケタ。特記戦力筆頭」
一人は目が虚な長髪の男。まるで人である事すらも疑わしくなってしまう程の不気味な風貌であった。
名は『エス・ノト』授かった能力は恐怖を司る『The Fear』
「ハァーハッハッハ!抜け駆けは行かんぞ!」
もう一人は肩に小人のような男『ジェイムズ』を乗せたプロレスマスクを被り軍服がはち切れそうな程の筋骨隆々な肉体を持つ男『マスク・ド・マスキュリン』
授かった能力は『The Super Star』
「な!?テメェら邪魔すんなよ!?」
「邪魔?違ウ」
その3人を目にしたバズビーは眉間に皺を寄せめくじらを立てるがエス・ノトはそれを否定し懐から針とメダリオンを取り出した。
「マダ君ノ獲物ニナッタ訳ジャナイヨ。タダノ奪イ合イ。名誉ハ僕ガ独リ占メニスル」
「ハッハッハッその通り。食事に手を出す前と同じ事。そして今から手柄はワガハイ達が頂く…!!!」
「ッ…」
エス・ノトの言葉に同調するかのようにマスキュリンも拳を鳴らしながら千弘へと目を向けた。それに対してバズビーも言い返す事ができないのか舌打ちをすると再び指を向けた。
「いいぜ…なら…!3人の内、誰がアイツに最後の一撃を浴びせるかだ…ッ!!」
その言葉と同時にバズビーの両腕から炎が舞い上がり向けられた腕を中心に渦を形成すると千弘目掛けて放った。
『バーニング・フル・フィンガーズ』__!!!
『千本桜景厳』__ッ!!!
バズビーに続く様にエス・ノトは懐からメダリオンを取り出し、なんと白哉の卍解である千本桜景由に酷似した桜色の刃を形成させると同じく桜の渦巻きを発生させ、更にマスキュリンは両手を額に当てると金色の光線を生成し千弘達目掛けて放った。
3人の高威力の同時攻撃が轟音と暴風を巻き起こし地面を抉らせながら千弘に目掛けて向かっていく。その威力は正に一撃必殺に等しく死神の中でも群を抜く力を持つ隊長格のものであっても掠りでもすれば致命傷は避けられないだろう。
だが、3人はバンビエッタと同じく侮っていた。
_____園原千弘という男の力を。
「はぁ…」
3人の攻撃が迫る中 千弘は溜息をつくと細めた目を向けた。
「あの…倒れてる人達助けないといけないので邪魔するのやめてもらっていいですか?」
その一言と共に千弘の手が刀へと置かれた。
【連続普通斬り】
その直後 千弘の周辺の空気が歪み、放たれた炎と千本桜と光線がその空間へと触れると掻き消されるようにして空気へと消えていった。
そして千弘の目が唖然としている3人に向けられると、一瞬にして3人の背後を取った。
「取り敢えず静かにしててください」
「「「グボァハァ…!?」」」
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その後 一瞬にして3人は距離を詰められ千弘から腹パンをお見舞いされた。それによって3人の顔はハチに刺されたかの様に腫れあがると共に腹を押さえながら気絶してしまった。
「うぅ…」
その光景を見ていたバンビエッタはある程度は予想していたものの、やはり驚きを隠す事ができないのか、震えながら涙を流していた。
そして自身の目の前では先程の攻撃を掻き消した千弘が死覇装についた埃を払いながら溜息をついていた。
「全く…『見えざる帝国』という危ない連中が攻めてくるかもしれないというのに…貴方方の様な賊軍に付き合ってる暇なんてないんですよ…」
「………は!?」
そんな中 バンビエッタは千弘がふと溢した一言に涙を引っ込めると共に思わず驚きの声を溢してしまった。
「え…ち…ちょっと待って…アンタ…アタシ達のこと…何だと思ってたの…!?」
「え?」
千弘の言葉が全く信じられなかったバンビエッタは瞳を震わせながら彼へと尋ねた。それに対して千弘は“何を言っているのだ?”的な表情を浮かべながら答えた。
「いや、貴方達って普通に護廷隊に不満がある賊軍の方達ですよね?」
「…」
その一言を耳にした途端、もう何も言えなかった。この男は『見えざる帝国』の滅却師である事でさえ認識していなかったのだ。
「は…ハハ…マジでなんなの…それ…」
「はい?まぁいいです。取り敢えずそこ動かないでくださいよ。後で作業場まで連れて行きますから」
それだけ言い残しバンビエッタから目を逸らした千弘は周辺で倒れている隊士達へと目を向けた。
「………さて、ネムさん。ここからは一気に皆さんを助けますよ」
「はい」
その瞬間 千弘とネムの姿がその場から消えた。それと同時に周辺で倒れていた隊士達の姿も次々と消えていく。
「…は!?何が起こってんのよこれ!?」
その現象にバンビエッタは何が何なのか理解が出来ず混乱していた。
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その後、千弘とネムの奮闘によって次々と倒れていた隊士達が診療所へと担ぎ込まれていった。病室に限界があると思われていたが何と千弘達が運ぶ際に打ち込んでいた薬がマユリの開発した霊圧を消費する代わりに致命傷さえも一瞬にして治してしまう『改良型回復薬』である為に隊士達は次々と回復しており、傷が癒えた死神達が医療のサポートや仲間の回収へと回り見事な治療サークルを形成していたのだ。
更に千弘が隊士達を運ぶ最中に攻撃してきた滅却師達を次々と撃破している為に診療所は被害を被るどころか傷ひとつついていなかった。
その知らせは当然 侵攻してきた滅却師達にも、元柳斎と対峙しているユーハバッハにも届いていた。
「…!!この霊圧は…」
不在かと思われていた千弘の出現に加え次々と命を吹き返す死神達。その知らせをハッシュ・ヴァルトから耳にしたユーハバッハはこれまでに無い程まで動揺していた。
「随分と驚いとるようじゃのぅ?まさか主ら…千弘の不在をついたのか?残念。奴は元からここにおる。1000年前よりも感知能力が随分と衰えたようじゃのぅ」
「…」
元柳斎の言葉にユーハバッハは冷や汗を流しながら歯を噛み締める。
そんな中 元柳斎はある事について疑問に思ったのか首を傾げた。
「…ん?(此奴らの様子から千弘の不在をついて攻めてきた…つまりこことは違う場所に千弘の霊圧を感知しその隙をついた……じゃが千弘は元々ここにおる…なら___
_______奴らが千弘と認識していた奴は一体何者じゃ…?)」
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虚圏。その地は既に見えざる帝国に占拠されており数多くの破面達が殺されると共に仲間へと強制的に加えられていった。破面達は抵抗するも圧倒的な力の前に叶わず、藍染に変わり統治していた『ハリベル』そして十刃元1位である『スターク』、第0十刃へとなれる『ヤミー』は抵抗するも捕らえられてしまった。
ユーハバッハ達が瀞霊廷へ攻め入ったと同時刻の虚圏にて。星十字騎士団の一員であり狩猟部隊の総括を務め黒崎一護を異空間へと幽閉したキルゲ・オピーは全身の所々がボロボロの状態で足元をふらつかせていた。
「ハァ…ハァ…ハァ…!!」
欠けたサングラスの下から見えるその目はまるで目の前の物へ恐怖心を抱き恐れているかの様に激しく震えていた。
「何なのですか貴方は…!?普通の霊子兵装どころか完聖体による私の霊子兵装も効かないとは…幾ら何でも可笑しい!!馬鹿げている!!!」
キルゲはそう言いながら叫ぶ。彼の目の前には虚圏の砂煙が待っており、その砂煙の中に腰に手を当てる男のシルエットがあった。
「答えなさい!!貴方は一体何者なのですか!?」
その瞬間。目の前を舞っていた砂煙が晴れたいきキルゲが恐れている男の正体が露わとなった。
「…フッ。何者か?見ての通りよ」
その男は笑みを浮かべる。
「私は悪っしき魂を浄化すべく地獄の底からやってきた___
_____地獄ホロウ教師『クールベー』__!!!!」
「はぁ!?」
キルゲが仰天する中、男の正体である『クールホーン』はクルクルと回るとお仕置きポーズを決める。
「さぁ滅却師の坊や。私の大事な生徒達をいたぶった罪を償いハリベルちゃんとスタークちゃんとヤミちゃんを返してもらうわよ…!!!」
千弘に続く二人目のイレギュラーであるクールホーンの進撃が始まるのだった。
クールホーン先生の各生徒達の呼び方
千弘→千弘ちゃん
ネム→ネムちゃん、千弘のお嫁さん
ハリベル→ハリベルちゃん
スターク→スタークちゃん
リリネット→リリちゃん
グリムジョー→グリムジョーちゃん
ウルキオラ→ウルキオラちゃん
ヤミー→ヤミちゃん
ノイトラ→ノイトラちゃん
ネリエル→ネルちゃん