お腹が空いたのでお金を稼ぎたいです。剣術極めた死神の無自覚ライフ   作:狂骨

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今回は結構…長いです。山じいが両腕ともに健在なのでユーハバッハとの戦闘シーンを書きました。


千年前の戦い

 

 

「はぁ…はぁ…くそ…!!!」

 

辺りが光る霊子によって構成される空間の中、キルゲの能力によって青い霊子の籠に閉じ込められた一護は必死に斬魄刀を振り回しその霊子の籠を破壊しようとしていた。

 

だが、いくら振り回してもその籠が壊れる気配は無かった。なぜ一護は焦っているのか__?

 

それは 現在、瀞霊廷にて起きた戦乱の悲鳴が聞こえているからだ。

 

 

___うわぁぁあ!!!

 

__やめろ…やめろぉおお!!!

 

___何をしてる!?逃げるな!俺たちは護廷た……がはぁ!

 

「……!!!」

次々と聞こえてくる傷付けられる悲鳴や息耐える声。それがまるで耳のそばで囁かれているかの様に側で聞こえてきていた。その生々しい悲鳴を聞いた一護はついに限界が来てしまった。

 

「うぉおおおおお!!!!!!!!」

 

眉間に皺を寄せ必死に刀を振り回す。だが、金属音だけがその場に鳴り響くだけで何も変わらなかった。

 

「くそ…!!くそ!!くそぉおおお!!!!」

 

急いでいかなければならない。皆が傷付き戦っているというのに自身はここへ立ち往生など絶対に嫌だ。守らなければならない。

 

 

何度も何度も心に訴えかけながら一護は刀を振り翳した。

 

 

 

______その時であった。

 

 

パリィン……

 

「…え!?」

 

目の前の空間に亀裂が走り、それと同時に巨大な霊圧を感じた。その霊圧は一護は感じた事があったのか、即座に周囲を見回した。

 

「この…この霊圧は…“千弘”!?」

 

感じたのは自身が知る中で最も奇怪な死神『園原千弘』の霊圧であった。

 

 

「何処だ!?千弘!いるのか!?」

 

一護が見回した時であった。

 

 

____『黒一さ〜ん!!』

 

 

「!?」

 

何処からともなくトンネルに響く様なエコーが掛かったかかのような千弘の声が聞こえてきた。

 

___『取り敢えず聞こえてる程で話します!怪我人は私達が何とかしますのでそこから出て賊の相手をお願いします!』

 

「なんだこの余裕のある声!?まぁでもありがとよ…!お陰で少し落ち着け……て………

 

 

パリィィィィィィィィィィィィィ

 

 

「え…?」

 

その瞬間 目の前の空間がバラバラに砕け散り青い空が広がり始めた。

それと同時に自身を拘束していた霊子の籠も砕け散り一護の身体はそのままその場から落下し始める。

 

「うぇええええええ!?」

 

ーーーーーーーーーーー

 

場所は変わり瀞霊廷一番隊隊舎にて__。

 

「…」

 

元柳斎は目の前で倒れ臥す大男を見下ろしていた。

 

「随分と脆いのぅ…卍解を見せる事なく終わるとは」

 

目の前には大の字になりながら倒れるユーハバッハの姿があり、その目はどこまでも続く青い空を見上げていた。先程、背後からユーハバッハへと刀を突き刺した元柳斎はそのまま刀を引き抜き一撃で仕留めるべく始解をすると薙ぎ払い、その身を真っ二つに引き裂いたのだ。

 

それによって上半身と下半身が泣き別れとなってしまったユーハバッハは立つ事もできないまま横たわっていた。

横たわるその姿を見ていた元柳斎は自身から少し離れた場所にて倒れている更木へと目を向ける。

 

「あ奴と戦った際の傷が深かったのが仇となったな…」

 

そんな中。倒れ臥したユーハバッハの口がゆっくりと動き出し今にも消えてしまいそうな声をあげる。

 

「やはり…私…では力……及ばず……か…“申し訳ありません”」

 

「!?」

 

その言葉を耳にした元柳斎は驚愕しながら振り返る。

 

「(まて…頭領が誰に謝る…!?お主が自らの手で引き起こした戦争に…お主が敗けて誰に謝る…!!)」

 

その言葉の意味が理解できず困惑してしまう。だが、その合間にもユーハバッハは言葉を続ける。

 

「申し付けを果たせませんでした………ユーハバッハ様…!」

 

 

 

 

その時であった。

 

背後に聳える一番隊隊舎が突如として噴き出した青い霊子の火柱に包み込まれた。

 

「ぬ…!?」

 

それを見た元柳斎はようやく気付くものの、既に遅かった。驚く元柳斎の横をゆっくりと黒い影が通り過ぎていった。

 

 

「まさか園原千弘がこの場にいようとはな…流石の私も驚いたぞ」

 

 

背後から聞こえた声に元柳斎は振り向く。そこには黒いマントをたなびかせながら地に伏せたユーハバッハと瓜二つの容姿を持つ大男が立っていた。その大男……否、本物の『ユーハバッハ』は自身であったものを見下ろすと指を向けた。

すると、ユーハバッハだった者の身体が歪みスキンヘッドが特徴的な吊り目の青年へと変わった。

 

「だが、私が戻るまでの時間稼ぎを…よくぞ成し遂げたな。星十字騎士団“R”のロイド・ロイド」

 

「名前を呼んでいただけるとは……光栄に…ござ______」

 

その瞬間

 

ユーハバッハの指先から霊子が生み出され、輝くと共にロイドの身体は最後の言葉を言い終えることなく爆発した。

 

ロイドを葬ったユーハバッハは仲間を殺したというのに顔色ひとつ変える事なく元柳斎へと目を向けた。

 

「改めて千年ぶりだな山元重國…」

 

「……貴様…今まで…何処で何をしておった…!?」

 

元柳斎が震えながら尋ねるとユーハバッハは肩についたロイドの血を払いながら答える。

 

「一番隊隊舎の下にある監獄で…藍染惣右介に会ってきてな。特記戦力として我が麾下に入るよう命じたが…まぁ案の定断りおった。良い判断と言える。なにせ…時間は永遠にあるのだからな」

 

そう言いながら血を払い終えたユーハバッハはその鋭い目を元柳斎へと向けた。

 

「さて…では千年前の続きといこうか…山元重國」

 

「…」

その言葉と共にユーハバッハは腰に掛けてある自身の得物を抜いた。それに対して元柳斎も目の色を変えると全身に力を込める。

 

 

「そうじゃのぅ…千弘が露払いしてくれたお陰で…儂も全力を出せそうじゃわい…!!!」

 

 

元柳斎が己の斬魄刀である『流刃若火』を握り締めたその瞬間、尸魂界の水分が少しずつだが、蒸発を始めた。

 

それと同時に元柳斎自身の全身から炎の渦が巻き起こると共に右腕に握られた刀へと集まっていく。その様子を目の前で見ていたハッシュヴァルトは驚きの目を向けた

 

ユーハバッハとハッシュヴァルトの目の前に立っていた元柳斎の手に握られていたのは“漆黒に染まった刀”だった。

 

 

____卍解【残火の太刀】

 

その刀は一護の卍解である天鎖斬月に酷似しているが、一般の刀と異なりなんと、刃が欠け、切先から水蒸気が噴き出ていた。全身から放つ霊圧は千弘にはまだ程遠いものの、隊長である更木をしてさえも可愛く見えてしまう程まで強大なものであった。

 

 

そして全身から放たれる巨大な霊圧は………

 

ーーーーーーー

 

「あ…あれ?何だか急に肌が乾燥してきたような…」

 

「ふふ…珍しく女の子のような事を言いますね。…花瓶の水も少なくなってきているようです」

 

四番隊にて怪我人の治療へと当たっている勇音や卯ノ花、そしてその他の星十字騎士団達と交戦している京楽達といった、

 

瀞霊廷の各地へと影響を及ぼしていった。

 

ーーーーーーーーー

 

「…焼け焦げた…刀身…?」

 

「甘く見るなハッシュヴァルト。【残火の太刀】とは奴の炎を全て刀に込めた卍解…払ったが最後、斬ったもの全てを焼き尽くす劫火の剣だ…」

 

「ほぅ…確かお主には一度、見せておったな…じゃが果たして千年前と同じかどうか…今一度、その身に喰ろうてみよ…!!」

 

千年の時を超えて再び全力を出す事となった元柳斎は炎が揺らめく瞳を向けると刀を両手で掴む。

 

 

 

「____往くぞ…!!」

 

【残火の太刀】“東”旭日刃

 

 

「ヌン…ッ!!!」

 

「!?」

 

刀が振るわれた直後、ユーハバッハは何かを感じ取ったのか、横に避ける形でその大振りから逃れる。

 

「…まさかとは思っていたが…刀の先に炎を収縮させているのか」

 

「その通り…旭日刃は我が炎を刀へと収縮した技であり触れたものを全て燃やす事なく消し去る…」

 

「…ふむ。ならば間合いを詰めればよ……!?」

 

元柳斎の言葉を一瞬にして理解したユーハバッハは元柳斎の間合いへと入り刀剣を振り回そうとするが、突如として自身のマントが焼け焦げ始めた事ですぐさまその場から飛び退いた。

 

「…!?」

 

「阿呆めが。東もあれば“西”もある…!!」

 

 

【残火の太刀】“西”残日獄衣

 

ユーハバッハの目の前に立っていた元柳斎の全身には先程まで消えていた炎が再び燃え上がり衣服を形成するかのように全身を駆け巡りながら包み込んでいた。

 

「儂の霊圧を炎としその身に纏う…その温度は軽く1500万度…。儂に触れるとは即ち太陽に触れるという事じゃ…!!!」

 

 

元柳斎は手を緩めない。刀を握り締めると腰に構える。

 

「仲間をも道具として最も容易く切り捨てられるお主には“南”は必要なかろう……」

 

そして 構えた瞬間 先程の炎全てが再び焼き焦げた太刀へと吸収されていった。

 

元柳斎の全身から発する巨大な霊圧は遂に限界値へと達していたのだ。全身全霊を込めた力を全て刀へと集結させており、それによって周囲を空間ごと軋めていった。

 

「後悔しておるな…?技を繰り出す前に卍解を奪わなかった事を…お主らの卍解を奪う御技は相手が扱う卍解を知り尽くさねばならぬ。じゃが、そんな隙など与えぬ…」

 

その言葉と共に身体へと吸収されていった炎が再び燃え盛り元柳斎の刀を完全に包み込んでいった。

 

「次の一撃で消し去ってくれよぅ…ッ!!!!!」

 

 

 

【残火の太刀】“北”天地灰尽

 

「望み通り今日が決着じゃ…さらばだ…!!ユーハバッハッ!!!!!!」

 

その一言と共に劫火を纏った刀がゆっくりと振り回された。振り回される最中、先程まで動揺していたユーハバッハは静かにその光景を見つめていた。

 

 

「これ程の力…認めよう。やはり貴様は我が特記戦力へと加えておくべきであった………___

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_________千年前に使用していたならばな…!!!」

 

 

 

「…!?」

 

その瞬間 先程まで燃え盛っていた炎が一瞬にして消え去り、全てがユーハバッハの手に持つメダリオンへと吸収された。

 

「知り尽くさねば奪えない…誰が決めた?誰が話した?そんなものなど関係ない。我々が開発したメダリオンは問答無用に奪い去る。それに貴様の卍解は強すぎる故に私以外では御しきれぬ。故にロイド・ロイドには私が来るまで手は出すなと言っておいたが…まぁいい」

 

卍解を奪ったメダリオンを懐へとしまったユーハバッハは不気味な笑みを浮かべる。

 

「面白いものを見せてもらった上に剣を交えた好だ。一撃で葬ってくれよう…!!!」

 

「抜かせ…!!!」

 

ユーハバッハはトドメを刺そうとしていたが、元柳斎とてまだ諦めてなどいなかった。卍解が無理ならば始解を発動させる。

 

「万象一才…灰燼と化せ…流刃若……」

 

 

その瞬間 炎を纏う刀が粉々に砕かれた。目の前には刀剣を振るい腰に納めるユーハバッハの姿があった。

 

「ぬぅ…!?」

 

「その往生際の悪さがお前の敗因だ」

 

見ればユーハバッハの手に握られていたのは焼け焦げた刀剣であった。奪ってすぐに発動させたのだ。ユーハバッハが発動した卍解によって刀を砕かれた元柳斎は手元から武器を失い丸腰となってしまう。

 

それでもまだ元柳斎は諦めたなどいなかった。刀が無ければ、あとは己の拳のみである。

 

だが、それすらもユーハバッハは見切っていた。動こうとしたその瞬間 元柳斎の両腕、両脚が斬り飛ばされた。

 

 

「…!?」

 

四肢の欠損。それによって元柳斎の身体は着地する事すら出来ずその場にゆっくりと倒れた。

 

「無様なものだな…死神の長が蟻の様に地面に這いつくばる様は」

 

地面へと倒れた元柳斎の頭をユーハバッハは踏み付けると鋭い目を向けた。

 

「山元重國…お前は本当に弱くなった。千年前のお前は違った…誰一人とも容赦なく消し去る殺人集団である初代護廷十三隊を率いていたあの時のお前ならば…使える物なら何でも使い…私に勝っていただろう。なぜ、園原千弘に頼らなかった?」

 

「…」

 

「奴をうまく使えば私を討ち取るなど造作もないだろう…なぜ、そうしなかった?」

 

ユーハバッハが尋ねるも元柳斎は答える事は無かった。無反応からユーハバッハは答えを予想したのか口にする。

 

 

「貴様特有の“責任”というやつか?千年前に私を討ち取る事ができなかった自身に責任を感じた故に部外者である園原千弘には任せなかった…といったところか。奴に頼る事もせず黒崎一護をも戦いから遠ざけるために多くのものを背負うとは……何とも緩くなったものだな…つまらぬ」

 

その言葉と共にユーハバッハの焼け焦げたサーベルの切先が向けられる。

 

「まぁいい。千年前の我が宿敵よ。最後は私自らの手で直々に葬ってやる…!」

 

するとユーハバッハの持っていた得物の刃がゆっくりと元の形へと戻っていった。そして元の形へと残った得物を太陽に重ねる様にして振り上げた。

 

 

「さらばだ…山元重國…!!!」

 

 

 

その時であった。

 

 

「全く…日番谷冬獅郎に続いて総隊長まで…なぜそれ程までセッカチなのかネ」

 

「……ん?」

 

付近の崩れた瓦礫の山の上から声が聞こえた。その声を耳にしたユーハバッハが目を向けるとそこには顔を黒く塗り潰し独特のメイクを施したマユリが立っていた。

 

 

「ほぅ…貴様は涅マユリか。浦原喜助に及ばずとも有能な知能を持つ死神が何の様だ?」

 

 

「何のためカ?【実験】のために決まっているじゃないカ。それに……私の前でアイツの名前を口にするんじゃないヨ。瓶詰めにされたいのかネ?」

 

「ふん。やれるものならやってみろ…。園原千弘がいない貴様など私の相手にすらならん」

 

「園原千弘?」

 

ユーハバッハの言葉にマユリはまるでその単語を待っていたかの様に耳を傾ける。

 

 

「そのはらちひろぉ〜?それは…私のどうしようもない“助手”で“今ここに向かってきている”奴のことかナ?」

 

「なに…!?」

 

 

マユリが怪しい笑みを浮かべたその時であった。

 

 

ドドドドドドドドド……

 

 

「…!?」

 

後方から凄まじい土煙を上げながら何かが此方へと向かってきた。けたたましく鳴り響くその音は次々と大きくなっていく。

 

「なんだ?あれは…」

 

此方へと砂煙を巻き上げながら向かってくる物体をユーハバッハは睨んだ。新手の死神か?はたまた刀獣か?

 

すると 何やら呪詛の様なものが聞こえてくる。

 

 

「テクマクマヤコン…テクマクマヤコン…」

 

「ん…?」

 

その瞬間 

 

 

「お星様になぁ〜れッ!!!!!」

 

「!?」

土煙の中から何かが突然 青い軌跡を残しながら突っ込み、ユーハバッハの腹へと巨大な一撃を見舞った。

 

「ゴハァ…!」

 

それによってユーハバッハの身体は“く”の字に曲がりながら、その場から吹き飛ばされていき、瓦礫の海をバウンドしながら飛んでいくと高く盛り上がっていた瓦礫の山へと突っ込んでいった。

 

その一方で、ユーハバッハを吹き飛ばしたその影は空中で回転するとその場に着地し、吹き飛んだユーハバッハへと指を向けた。

 

「貴方ですね!!!この騒ぎの原因は!!これはもうゲンコツだけじゃ済ましませんよ!!名前おしえてください!!ここまでした賠償責任 負ってもらいますからねぇ!!!」

 

そこに立っていたのは__護廷十三隊 12番隊 雑用『園原千弘』であった。

 

「ほぅ…たった一撃で私にここまでダメージを与えるとはな…!!」

瓦礫の山から起き上がったユーハバッハは全身に駆け巡る痛みに笑みを浮かべながら千弘を睨みつける。

 

「待っていたぞ…園原千弘…!!!」

 

「はい…?何言ってるんですか貴方…?はっ倒しますよ?」

 




次回までにワンピースで、ウソップがタバスコ飲んで絶叫した顔を覚えておいてくだされ。
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