お腹が空いたのでお金を稼ぎたいです。剣術極めた死神の無自覚ライフ   作:狂骨

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恐ろしき術そして最強よ さらば

 

突如として現れた白銀の巨城『銀架城』それを取り囲む建物。見慣れない景色の中で護廷十三隊の隊士達は滅却師達と壮絶な戦いを繰り広げていた。

 

すると 

彼らの前に数人の同じ死覇装を身に包んだ護廷隊が現れた。それは数年以上も前に戦死してしまった彼らにとって同僚に当たる隊士達である。彼らを目にした護廷隊を目にした隊士は目を大きく開きながら驚いた。

 

「よぉ!お前ら久しぶりじゃねぇかぁ!!!」

 

「え…!?お……お前…死んだんじゃ…!!!」

 

「生き返ったんだよ!あ!後ろのお前も見ないうちに結構老けたなぁ!」

 

「当たり前だろ…そりゃ…でも…何でお前…どうやって…!?」

 

突如として現れた旧友に隊士達は戸惑いを隠さず、持ち上げていた刀を下げてしまう。すると 蘇った隊士は急に俯き出した。

 

「…お…おい!?どうした!?」

 

「なぁ…親友のお前に…一つだけ頼みがあるんだ…」

 

「お…おぅ…なんだ!?」

 

その瞬間 俯いていた隊士達はゆっくりと刀を振り翳した。その目には大粒の涙を浮かべていた。

 

「俺達を……殺してくれ…ッ!」

 

「え…?」

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「誰かぁ!俺を止めてくれぇ!!!もう嫌だぁ!!!!」

 

「うわぁぁぁぁ!!!俺に近寄るなぁぁ!!!」

 

各地から聞こえる悲鳴、それはもはや聞いているだけで心が傷んでしまう程のものであった。

 

「こ…これは一体…!!」

 

 

「何なんだろうね……見知った顔がちらほらと……まさか敵さん…死んだ隊士を甦らせる術でも身につけてたって訳かい…?」

 

隊士達が涙を流しながら味方の隊士達を襲う恐ろしい光景を見つめていた京楽と七緒は目の前の現実を受け入れきれず瞳を震わせていた。

 

 

すると 

 

「その通りです」

 

二人の背後の暗闇から一人の滅却師が姿を現す。その姿を見た京楽は感じ取れた霊圧からその滅却師の強さを感じ取り表情を曇らせた。

 

「これはこれは…随分な色男が出てきたものだねぇ」

 

「……星十字騎士団最高位[グランドマスター]ユーグラム・ハッシュヴァルト」

 

現れたのはユーハバッハの右腕的存在である『ユーグラム・ハッシュヴァルト』であった。

 

「ご丁寧にどうも。護廷十三隊八番隊隊長『京楽秋水』だ。さてと…取り敢えず尋ねたいんだけども、これは一体何だい?幾ら何でも滅却師の技とは思えないけど…」

 

京楽が恐る恐る尋ねるとハッシュヴァルトは答えた。

 

「『穢土転生』死者を蘇らせ使役する術です」

 

「え…?」

 

ハッシュヴァルトの口から出された見た事も聞いた事もない術の名前に七緒は目を震わせた。

 

「死者を蘇らせて使役するなんて…そんな術……聞いた事が…!!!」

 

「ない筈でしょう。この術は貴方方死神の鬼道でも我々の術でもない。現世の漫画という書物に現れる禁術です。本来ならば『チャクラ』なる身体エネルギーと甦らせる人物の最低限のDNAそして生身の人間が必要となりますが陛下は力を応用し対象のDNAを必要とせず、そちらの総隊長殿の卍解により発生した傀儡を媒体に完成させたのです。今の彼らは陛下の兵士…陛下のご意志に従い進軍し続けるでしょう」

 

「そんな…!!」

 

ハッシュヴァルトの説明に七緒が絶句する中、京楽は冷静なまま目を細くさせる。

 

「これはこれは…デタラメな上に随分と陰気なことをしてくれるねぇ…僕だったら耐えられないなぁ〜…山爺もブチギレるだろうねぇ。自分が作った技をこんな風に使われちゃってさ……」

 

 

「お気持ちお察します。ですがご安心を。そちらの総隊長殿も…自責の念に苦しむ前に……

 

 

 

 

…………陛下に滅されるでしょうから」

 

 

 

その時であった。

 

外から見える一番隊隊舎が“あった”場所が巨大な爆発音と共に爆炎を巻き上げた。

 

「…!!!」

 

それを見た京楽は元柳斎の霊圧が徐々に減少している事に気づく。

 

「山爺…!」

 

ーーーーーーーーー

 

そしてその同時刻。同じく景色が消えた技術開発局だった場所にも既に滅却師の姿があった。

 

 

「お前…一体どこから…!!」

 

「どこから?おいおい技術開発局って賢いのは名前だけか?」

 

星十字騎士団【TheDeathdealing】『アスキン・ナックルヴァール』

 

「俺は元々ここにいたんだぜ?」

 

その時であった。

 

「その通りダ。前回の襲撃から君らが影を応用しているという所まで推測できていた。だから私の研究室には影が一才できない様に予め細工しておいたのだヨ。全く……瀞霊廷にその景色を上書きするなど非常識極まりない」

 

 

すると 何もない空間に一筋の切れ目が出来上がるとドアの如く両側に開き出し周囲を照らし出した。

 

「だが、非常識な事はァ嫌いじゃないネ」

 

「な…!?た…隊長…!?」

 

「千弘ちゃんに副隊長も…その格好は…!?」

 

そこには眩い光を発するコートに全身を包んだマユリと同じく胸元を開けた光り輝くコートに帽子を被ったネム、そして恐竜の着ぐるみに身を包んだ千弘が立っていた。それを見た阿近やニコは唖然としてしまう。

 

その一方で、現れたマユリはアスキンへと金色の歯を剥き出しにしながら笑みを浮かべた。

 

「さて、“賢いのは名前だけ”かどうか確かめて帰ってもらおうじゃないカ!」

 

「……」

 

すると しばらく見つめたアスキンは両手を上げる。

 

「ん〜……やめだ!アンタは時間がかかりそうだ。それに陛下が警戒してる坊ちゃんもいるし尚更部が悪い。退散させてもらうぜ」

 

「ほぅ?これは驚いた。他の馬鹿共と同じく向かってくると思っていたヨ」

 

「俺は見た目に反して結構冷静なんだぜ?分析こそ勝利の欠片ってな。そんじゃ」

 

そう言いアスキンは歩き出すと、コチラに振り向き警戒しているのか千弘へ目を向けた。

 

「追ってこないのかい?特にそこの坊ちゃん。アンタなら俺をアッサリと捕まえられるだろうに」

 

「はい?」

アスキンに目を向けられた千弘は不服そうに睨みつける。

 

「勝手に過大評価はやめてください。それに…局員の皆さんがいるここで戦えば被害を被る可能性があります。なので追いませんよ」

 

「ヒュ〜…ソイツは助かるぜ」

 

「ただ……」

 

「ただ?」

 

不意に着ぐるみを脱いでいた千弘の言葉にアスキンは首を傾げながら復唱しながら尋ねる。

 

 

 

 

その瞬間

 

 

「…!?」

 

彼の余裕を崩す程の超高密度の霊圧が周囲を覆い尽くした。その震源地である千弘は顔を俯かせながらゆっくりと顔をあげ、鷹の様に鋭くなった瞳を向けると刀へと手を掛けた。

 

「ここにいる人達に手を出そうものなら……今すぐその首掻っ切ります…よ?」

 

「…!」

 

その殺気と霊圧を至近距離で感じ取ったアスキンは先程までの余裕の表情が完全に崩れ去り、直感した。“コイツはやばい” “自身の能力など全く意味を成さない”と。冷や汗を流しながら大慌てで両手を振り回した。

 

「お…おぅ…!!分かった分かった!」

 

それからアスキンは冷や汗を流しながら暗闇の中へと消えていった。

 

 

 

「さてと…我々も動くとしようか。敵の妙な術も気になるからネ」

 

アスキンが去るとマユリは現在の状況に眉を顰め顎に手を当てて少し考えると、千弘へと目を向けた。

 

「千弘、お前はこの状況の元凶を探ってこい。恐らく頭目であるユーハバッハが怪しいだろう」

 

「了解です!あの髭のおっさんですね!」

 

マユリから指示を受けた千弘は技術開発局から出ると、ユーハバッハのいる場所へと駆け出していった。

 

 

ーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーー

 

外へと駆け出した千弘は殺伐とした光景が広がる戦場のど真ん中を突っ切っていった。

だが、千弘の霊圧を感じた事によって周囲から次々と滅却師達が姿を現してくる。

 

 

「園原千弘ぉおお!!今度こそ我が正義の一撃のも…ブルァァァァ!?」

 

星十字騎士団【英雄(The Super Star)】『マスク・ド・マスキュリン』

 

「邪魔です」

 

 

「あれれ〜?まさか君の方から出てきてくれるなんて〜あ、僕に攻撃する事はオススメしないよ〜。なにせ僕の血を浴びたらゾン……ギャフン!?」

 

星十字騎士団【the Zombie】『ジゼル・ジュエル』

 

「はいはい分かりました」

 

 

「テメェが園原千弘かぁ!!あたしの雷で……ガハァ!?」

 

星十字騎士団【雷霆(The Thunderbolt)】『キャンディス・キャットニップ』

 

「そういうのは発電所でお願いします」

 

 

「テメェはオレがくっ……辛ぁぁぁ!!!!!!!」

 

星十字騎士団【食いしんぼう(THE GLUTTON)】『リルトット・ランパード』

 

「天然物の直下ろし最高級わさび上げますからあっち行っててください」

 

 

次々と鉢合わせした星十字騎士団の滅却師達を千弘はまるで流れ作業の如く全て一撃の拳の元に下していた。千弘によって殴り飛ばされた滅却師達は腹を押さえながらその場に蹲ってしまい、千弘の通った後には大量の滅却師達が倒れる光景が広がっていた。

 

そんな光景を目にする事なく千弘は走り続けていき、今度は穢土転生によって蘇った隊士達と相対するも、縛道による這縄で迫り来る隊士達を全員縛り上げていった。

 

 

 

そんな中であった。

 

「これは……御大将の霊圧が…!!!」

 

感じ取っていたユーハバッハの霊圧と同時に弱々しく減っていく元柳斎の霊圧も感じ取れた。それを感じ取った千弘は目の色を変えると加速させる。

 

「な…!?君は…がハァ!?」

 

星十字騎士団 【鋼鉄(The Iron)】『蒼都』

 

「バーナーふぃ……ぐぼへぇ!?」

 

星十字騎士団【灼熱(The Heat)】『バズビー』

 

 

 

「退いてください!!」

 

加速した千弘はもはや音速さえも超えていき、道中に日番谷達と交戦していた星十字騎士団である蒼都、バズビー、をまるで障害物の如く周囲へと投げ飛ばしていった。

 

「すいません獅郎くん!お松副隊長!前、失礼します!!」

 

「お…おぅ…」

 

そして 一番隊隊舎だった場所。即ちユーハバッハと元柳斎の霊圧を感じる箇所まで来た千弘は目の前の空いている箇所へと向けて飛び立った。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ…!!!」

 

元一番隊隊舎だった場所。そこは無数の柱が立ち並ぶ宮殿のような景色へと変わっており、その場にいた元柳斎は荒い息を吐いていた。

 

全身は傷がいくつもつけられ出血により自慢の髭も赤く染まり、身体を包む死覇装も破れていた。更に驚く事に左腕が肩の付け根から切り取られており、まさに満身創痍の状態へと陥っていた。だが、それでも元柳斎は倒れる事なく刀を杖代わりにして立っていた。

 

「儂の卍解をこんなくだらん事に使いおって…悪知恵も働くようじゃのぅ…」

 

「有効活用と言って欲しいものだな」

 

元柳斎が睨みつける目の前には彼自身の卍解である残火の太刀を解放したユーハバッハが立っており、彼の足元には元柳斎の切り取られた左腕が転がっていた。

 

「さぁどうする?山本重國。身体はボロボロ、左腕も失い頼りとなる雀部も不在。卍解さえもできない貴様は次の一撃で死ぬぞ?運良く生き延びたとしても己の卍解によって次々と殺されていく仲間を見続ける事になるだろう」

 

「ほざけ…ッ!!!!」

 

ユーハバッハの言葉に元柳斎は激昂すると、そのまま流刃若炎の始解を発動させた。

 

「ほぅ…この状況でもなお足掻くか…」

いくら追い詰められようとも最後の最後まで足掻き続ける。ゾンビさえも凌駕するしぶとさにユーハバッハは笑みを浮かべると燃え盛る刀剣を構えた。

 

「ならば望み通り…一撃で葬ってくれよう…!!!!」

 

 

 

 

 

その時であった。

 

 

「ザ〜ウ〜ル〜ス〜……」

 

 

 

「…ん?」

 

 

その瞬間

 

 

「ローリングキィィィィィィィィィィィック!!!!!!!!!」

 

「ガハァァッ!?」

 

 

目の前の景色から一筋の光と共に螺旋状に空気を突き抜けながら流星の如きスピードで何かが飛来しユーハバッハへと激突した。それによってユーハバッハは数日前以上もの呻き声を発しながら後ろの壁へと凄まじい破壊音と共に吹き飛ばされていった。

 

突然飛来してきた謎の人物を、砂煙の中、見た元柳斎は驚きの目を向けた。

 

 

「間に合いましたね御大将…!!!」

 

 

砂煙が晴れ、そこに立っていたのはなんと千弘であった。現れた千弘は元柳斎の身体に出来上がった傷や切り取られた腕を見て驚きの声を上げた。

 

 

「……ん!?なんて酷い傷…重傷じゃないですか!?すぐに運びますからジッとし……

 

 

千弘が元柳斎を運ぼうと手を出した時、彼はその手を振り払い、斬り飛ばされた腕の付け根へと流刃若炎を近づけると溢れ出る傷口を焼き無理やり止血した。だが、止血をしたとしても吹き飛ばされたユーハバッハの元へと向かう足取りは既にフラフラであった。

 

 

「ちょ…!!何やってるんですか!?止血もしてないですし!それ以上動いたら出血多量で死んでしまいますよ!?」

 

「………奴は…儂が始末せねばならぬのじゃ…千年前…儂が奴を始末せなんだ為に…多くの隊士が死んだ。じゃから儂が…命に変えても彼奴を討ち取らねばならんのじゃ…ッ!!!!」

 

 

そう言い元柳斎は己の責任を果たすべく一歩一歩とユーハバッハの元へと歩いて行った。

 

 

その瞬間

 

「総隊長の………」

 

 

「……へ?」

 

 

「バカぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 

 

「グボヘェァァァァ!?」

 

千弘の叫び声と共に元柳斎の頬へ向けて平手打ちが炸裂し、そのままユーハバッハの元へと吹き飛ばした。

 

「おのれ……ちひ…ブフゥ!?」

 

それによって立ちあがろうとしたユーハバッハの顔面へと元柳斎の石頭が炸裂し巻き添えを喰らいそのまま一緒に再び奥へと吹き飛ばされていった。

 

 

「いいですか!たとえ責任だとしても貴方がここで死んだら誰が護廷隊をまとめるのですか!?我々にとって貴方は希望なのですよ!?」

 

そう言い千弘は瓦礫から胸ぐらを掴み上げ持ち上げると何度も何度もビンタを放つ。

 

 

____パァンパァンパァンパァン

 

「目を覚ましてください!!貴方は我々をまとめる総隊長です!!決して敵を撃つためだけに命を落とす鉄砲玉ではありません!ねぇ!?聞いてるんですか!?聞いてるんですか!?ね…………

 

 

その瞬間 ビンタを放つ千弘の手が止まった。

 

「あ……まずい……」

よく見ると千弘が胸ぐらを掴み上げビンタを放っていた人物は元柳斎ではなく、彼の石頭によって同じく吹き飛ばされたユーハバッハであった。

 

その両頬はまるで漆によって被れた時以上なまでに腫れ上がっており、白目を剥いていた。それを見た千弘は流石にまずいと思ったのか、手を離し、近くで白目を剥きながら倒れていた元柳斎を担ぐと合掌しお辞儀をした。

 

 

「……すいません…間違えました…」

 

 

「それだけで済むと思ったかぁぁぁ!!!!!!!!」

 

 

千弘の謝罪の言葉にユーハバッハは激昂の雄叫びをあげながら目を覚まし、千弘へ向けて超巨大な霊子の弓矢を形成する。

 

 

「大聖弓(ザンクト・ボーゲン)ッ!!!!」

 

「危な!?」

 

 

放たれた霊子の弓矢は超至近距離で千弘へ向けて放たれたが、千弘はそれをアッサリと見切っているかの様に脚を振り上げ上空へと蹴り飛ばした。

 

「いやぁ…危ない危ない…」

 

「く…(やはり半端な技では届きもせんか…まさか真っ先に私の元へと来ようとは…運が良いのか悪いのか…)」

 

自身の技が全く効かない事にユーハバッハは歯を噛み締める。

 

 

 

だが、その直後。それは笑みへと変わった。

 

 

「いや、運が良いと言えるな…!!」

 

その言葉と共にユーハバッハは周囲の霊子を再び両腕へと収縮させていった。その霊子が溜め込まれていくたびにユーハバッハの両腕が青く発光していき周囲を照らし始める。

 

 

「わぁ!?な…何だこれっ!?」

 

ユーハバッハの両腕が地面に打ち付けられると千弘を取り囲むかの様に円形状の切れ目が走ると共にサークルを形成しその中心が血の様な澱んだ色へと変化していった。

 

 

「さぁ千弘…受け取ってくれ…地獄への片道切符を…ッ!!!!!」

 

 

その瞬間___

 

 

 

_____澱んだ色へと変化したそのサークルからは数十本の手が生え千弘の身体へと纏わりつき始めた。

 

 

______【地獄門】開門

 

 

 

「な!?」

 

まるで池の中から現れたかの様な手は千弘の身体へと纏わりつくと、彼を引き摺り込むかの様に引っ張り始める。それによって千弘の身体は輝いた床へと沈んでいった

 

 

「何なんですかこれ!?」

 

「地獄への入り口だ」

 

 

千弘が慌てる中、立ち上がったユーハバッハは不気味な笑みを浮かべながら答えた。

 

 

「私は空間も自由に行き来できるのでな。現世や虚圏、果ては地獄にも移動ができる。まぁ地獄は私にとっては毒ゆえに行く事はないがな。いや…死神とてそれは同じか。お前達にとっても地獄の瘴気は毒となろう」

 

「ちょ!?ちょっと待って!!外の我々の仲間を操ってる術についてまだ何も聞き出せていないのに!?」

 

「穢土転生の術か?確かに解術する方法はある。だが貴様にとって簡単すぎる故に話す訳にはいかんな」

 

「くぅ…」

 

ユーハバッハの言葉に千弘は歯を噛み締める。だが、そんなことをしている合間にも身体はみるみる沈んでいき、下半身は既に見えなくなっていた。

 

 

その時であった。

 

 

「総隊長殿!!ご無事ですか!?」

 

背後から副隊長である雀部が姿を現した。

 

現れた彼は目の前で千弘と彼に担がれている元柳斎が下へと引き摺り込まれていく現状を見て驚きの声を上げる。

 

「雀部副隊長!!!」

 

「うぉ!?」

 

そんな中、千弘は咄嗟に彼の名前を叫ぶとすぐさま担いでいた元柳斎を投げ渡した。

 

 

「早く御大将を連れて逃げてください!!!私なら大丈夫です!早く!!!」

 

「君は…………いや…分かった…!」

 

元柳斎を受け取った雀部は即座に千弘も助ける為に駆け寄ろうとしたが彼の言葉とその後ろにて立っていたユーハバッハを見て歯を噛み締めるとその場から飛び降りた。

 

 

雀部が立ち去るとユーハバッハはそれを追うべく駆け出そうとした。

 

 

「ふん。逃すとおも……」

 

「旅は道連れ世は情けッ!!!!」

 

「ぐはぁ!?」

 

だが、それを既に胸元あたりまで沈んでいた千弘が脚を掴む事によって止めた。それによってユーハバッハはその場に転倒し顔面を床へと叩きつけてしまう。

 

「貴様ぁ…!!!」

 

「ハッハー!御大将の首は取らせま……」

 

ユーハバッハが千弘の元へと振り返り睨みつけた時には既に千弘の口元が沈んでおり、言葉すら発せなくなっていた。

 

 

「ほぅ……?今のが最後の言葉の様だな」

 

 

それを見たユーハバッハは笑みを浮かべると立ち上がり、千弘が沈んでいく光景を見下ろす。

 

「…ふん。いくら貴様でもその拘束は解けぬか」

 

その光景にユーハバッハはようやく優位に立てたと思ったのか、沈んでいく千弘の頭を踏みつけた。

 

「ー!!!ー!!!ー!!!!」

 

「悪いな。何を言っているのかさっぱり分からん。そしてこの先、お前の行方を知るものは私以外誰一人としておらんだろう」

 

ブーツの下から睨みつける千弘にユーハバッハは笑みを浮かべながら沈んでいく千弘へと最後の言葉を送った。

 

 

「さらばだ園原千弘。生きたまま地獄を彷徨うがいい」

 

 

 

そしてその数秒後_____

 

 

 

_______千弘は完全に地獄の門へと引き摺り込まれていった。

 

 

 

尸魂界から千弘の霊圧は消失したのだった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

尸魂界とは別の世界。空が夕焼け色に染まっているものの、それ以外は何もない不思議な場所にて瓦礫の上に一人の影が座っていた。

 

 

「この霊圧は……」

 

その影は何かを感じ取ると上空を見上げながら不気味な笑みを浮かべた。

 

「ち・ひ・ろ・くん…!」

 

 

 




陛下が地獄の門を開けるのか…まぁ、私は開けると思います。
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