お腹が空いたのでお金を稼ぎたいです。剣術極めた死神の無自覚ライフ   作:狂骨

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涅マユリの秘密兵器

 

その後、グリムジョーの頭にゲンコツを見舞った千弘は彼に頼み、再び開けてもらう事となった。

 

 

そして現在は………

 

 

「いやぁすいませんねぇ私までお邪魔させてもらって」

 

「いや…成り行きで入れたけど取り敢えずアンタ誰よ…というかその格好なに!?」

 

一護との知り合いらしき謎の少女『毒ヶ峰 リルカ』と同じく謎の少年『雪緒』によって作られた異空間に保護されていた。一護によると彼女らは少しばかり前に現世にて敵対していた『Xcution』という組織のメンバーで『完現術』という超能力を持つ者達である。即ち千弘達を匿っているこの異空間も彼女らの完現術の力という訳だ。

因みに一護自身も彼らの登場に驚きだったのか、夜一から説明を受けていた。

 

「入れてもらって早速ですが煉獄さん」

 

「リルカよ!!最初に名乗ったでしょ!?」

 

「失礼いたしましたレヴィさん」

 

「だからリ・ル・カッ!!!!!次間違えたら張っ倒すわよ!?」

 

リルカからお叱りを受けた千弘は失敬失敬と頭を下げると続けた。因みにその際に遠くから『うるせぇな』と呟いたグリムジョーに向けて千弘がどこから取り出したのか分からないオタマをぶん投げたのは別の話である。

 

「取り敢えずここから出してもらえますか?」

 

「は?なんでよ」

 

「ユー何とかさんをぶっ飛ばしにいくので。もう【毛根死滅】と【特大下痢】くらいさせないと気が済みません」

 

そう言い千弘が拳を鳴らすと夜一が止める。

 

「まぁ待て園原。お主、さっきの奴の動きを見たじゃろ?」

 

「さっき…?あぁ」

 

夜一に言われた千弘は先程、自身の目の前まで一瞬にして迫ってきたユーハバッハの動きを思い出す。

 

「変な動きでしたね。姿形がブレて空気に消えたかと思ったら突然目の前に歪みながら現れて…びっくりして凝視してしまいましたよ。いやぁ…怖かったぁ…」

 

「そんな正確に見えるお前の動体視力の方が怖いわ」

 

「はぁ…取り敢えず話すぞ…聞け」

 

一護が突っ込むと夜一はため息を吐きながらも説明をした。

 

 

彼女によると自身らのいる空間は既にユーハバッハ達のいる場所へと向かっているらしいのだ。この空間に入る前に彼女はその場所へと特殊な道具を打ち込む形でマーキングを行っていたらしい。

 

即ち外へ出る必要は無いというわけだ。

 

 

すると ちょうど到着したのか、先程まで上昇していた空間の移動がピタリと止まり、ゆっくりと開き始めた。

 

「着いたようじゃ……な…!?」

 

だが、目の前に広がって来たその景色を目にした瞬間 夜一や千弘を除いた皆は驚愕するのであった。

 

そこに広がっていたのは瀞霊廷を覆っていた見えざる帝国と同じ景観であった。

 

「あれ…?先程とは随分と景観が変わった様な…」

 

千弘が首を傾げる中、夜一は衝撃が強すぎた為なのか、冷や汗を流しながらも口にした。

 

「ユーハバッハめ……霊王宮を自分自身のものに作り変えおったか…!!」

 

 

そんな中であった。

 

ピピ…

 

千弘のブレスレットが電子音と共に光だす。

 

「…ん?眠さんから呼び出しだ。すいません、ちょっと失礼します」

 

「…は!?」

 

そう言い千弘はその場から外へと出ると、走り出す。

 

「おい!待てよおい!」

 

一護が呼び止めようとするも、既に千弘の姿は見えなくなっていた。これから決戦であると言うのに千弘という戦力を見失った皆は肩を落とすのであった。

 

ーーーーーーー

 

同時刻。

 

「さて、我々も向かうとするか」

 

千弘達のいる地点から数十キロ以上もの離れた場所にはマユリやネム、鹿取そして更木などおよそ十数名の姿があった。

周囲を見ると彼以外の姿が見えない様であるが、それはマユリの仕業である。

 

本来ならば、しばらく経ってから続くように門を潜ると浦原と口裏を合わせていたが、マユリは本人に断りもなく策を大幅に修正。なんと彼らが通った直後に門の開く場所の座標を変えて乗り込んだのだ。

 

「まさか霊王宮まで落ちるとは…いよいよ零番隊様もウチに文句が言えなくなるネェ〜」

 

「ハッ面白ぇじゃねぇか。それほど斬り甲斐があるってことだろ?なぁ“野晒”」

 

マユリの言葉に続き、不老不死に頭を噛みつかれている更木は闘争心を剥き出しにしながら己の斬魄刀へと問い掛ける。ちなみになぜ、更木に加えて弓親、斑目、そして四番隊の山田花太郎までいるのか?それは簡単だ。四人ともトイレに行っており、来た時には既に皆が門を通った後で途方に暮れているところ、マユリが再び開け、それに着いて行った為である。

  

「へぇ。テメェが八千流の話してた今代の剣八か?後で斬り合ってくれよ」

 

「上等だよ。なんならラスボス前のウォーミングアップってことで、ここでやり合ってもいいんだぜ?」

 

「おいおい仲間はずれたぁ寂しいじゃねぇか。俺も混ぜろや…!」

 

「儂も仲間に入れて欲しいものよのぅ〜」

同行していた初代隊長達も更木自身を相当な実力者であると認識しているのか、不老不死、乃武綱に千日と続き、次々と絡んでいた。それもそうだ。彼本来の実力は初代隊長の一人であり、初代剣八である卯ノ花を凌駕しているのだから。そんな光景を未だに現実として受け入れきれないのか、弓親、斑目、山田は肩を狭くしながら遠目で見つめていた。

 

「バカは放っておいて、おい、ネム」

 

「はい」

 

マユリから指示を受けたネムは背負っていた巨大なカプセルをその場に降ろすとともに機器を取り出した。

 

「おい!そこで言い合いしてるバカのうちの一人!初代十二番隊隊長!持って来たモノを全て並べたまえ!」

 

「ケッ!人使いの荒ぇ野郎だ!」

 

頷いたネムはコンピュータを操作していき、舌打ちをした善正寺も引っ張っていたボックスケースの中から巨大な機器を取り出して展開させていった。

 

 

 

そしてしばらくして___。

 

「起動します」

 

ネムがキーボードを押すと共に並べられた巨大な機器が起動する電子音を鳴らすと共に輝き出した。

 

ーーーーーーーーー

 

皇帝の玉座にて__。そこには以前よりも禍々しい姿に変貌したユーハバッハの姿があった。長く無造作に伸びた黒い髪と一体化するかの様に不気味な模様が顔の上半面を覆い、そこから流れる様にして金色の斑目模様が輝いていた。いや、よく見ればその斑目模様はまるで目玉の様であった。

 

 

時は数刻前に遡る。

千弘達を霊王の御前から追い出した後にユーハバッハは、霊王を完全に吸収して力を我がものとすると霊王宮の所有権を手にした。さらに、瀞霊廷を覆った見えざる帝国の景色を霊王宮へと移動させ、それを更に自分好みの城へと組み直したのだ。彼の望む新たなる世界の礎となる事から、この空間は彼曰く『真世界城』と呼ばれる事となった。

 

そんな真世界城にて、親衛隊へと命令を下したユーハバッハは玉座にてどの様な猛者が初めに来るのか、今か今かと待ち構えていた。

 

 

その時であった。

 

 

「…ん?」

 

何かが此方へと近づいて来た。その気配を感じ取ったユーハバッハは己の聖文字である“全知全能”を発動させ未来を見る。

 

そこに映っていたのは爆破される自身であった。

 

「…くだらぬ」

 

その映像を目にしたユーハバッハは即座に現実へと切り替えると霊子によって己の刀剣を生成する。

 

 

その直後__。

 

 

 

ドガァァァァン…!!!!

 

 

天井が破壊された。周囲に瓦礫が落ちていく中、巻き起こる煙の中から“巨大な霊子の光線”がユーハバッハ目掛けて迫って来ていた。

 

「向こうも中々面白いものを作るな。だが…」

 

そして ユーハバッハは玉座にて居座ったまま 霊子の刀剣を振り回した。

 

それによって向かって来た光線全てが空中で真っ二つに両断されると共にユーハバッハに届く事なくその場で爆発した。

 

 

「この程度で私を葬れると思ってい……んん!?」

 

その直後__ユーハバッハは目を大きく開かせながら驚いた。

 

 

 

見れば先程の光線が雨の如く無数に降り注いできたのだ。

 

「な…何だこれは…!?」

 

その瞬間 その場一体を爆炎に包み込んだ。

 

 

ーーーーーーー

ーーーーー

ーーー

 

「「「……」」」

 

ユーハバッハが叫んでいたその同時刻。その砲撃を打ち込んでいた場所には驚くべき光景が広がっており、斑目、弓親、四番隊である山田花太郎の三人は唖然としていた。

 

目の前には巨大な銃が模された砲台が横一列に等間隔に5台、さらにその隙間から見える様な後ろの位置に5台設置されており、その砲口から次々と光線が放たれ、目の前に聳える巨大な城へと打ち込まれていったのだ。

 

その光線の威力はまさに“規格外”と呼ぶに相応しく、目の前の巨城を次々と破壊していき、火の海へと変えていった。

 

 

「な…何だこリヤァァァァ!!!???」

 

その光景に驚きのあまり斑目が叫ぶとマユリは鼻をほじりながら答えた。

 

「見てわからないのかい?SF映画でよくある“光線銃”だヨ。前に千弘が墜落させた宇宙船の中から見つけてネェ。それを解析し、この様に砲台として発射できる様にしたという訳ダ。動力源は千弘の細胞だから……うん。あと数時間はこのペースでいけるネ」

 

「宇宙船!?光線銃!?いくらなんでも無茶苦茶すぎんでしょ!?というかよく短時間でこんなモン作れましたね!?」

 

「技術開発局を舐めてもらっちゃ困るヨ。…ん?おや、我々の霊圧を感じ取ったのか、早速来た様だネ」

 

 

「「「!?」」」

 

マユリの言葉に全員は臨戦体制へと入る。見ると目の前の街中の奥へと続く街道には小柄な体躯の滅却師が立っていた。

 

その滅却師はユーハバッハが選別した滅却師の中でも精鋭中の精鋭である親衛隊の一人『ペルニダ・パルンガジャス』

 

更にそれだけではない。後からなんと顔面が崩壊し目が垂れ落ちていたり、片腕が損失していたりと悍ましい姿をした滅却師の兵達が続いていた。その数はもはや1000人はくだらない。

 

 

「な…なんて数だ!?」

 

「しかも見る限りゾンビ…あの女男に似た能力だけどアイツも使えるなんてね…」

 

「ひぃぃいいい!!!」

 

見るからに悍ましいゾンビの大群に、十一番隊の中でも実力のある斑目や弓親すら冷や汗を流し、山田に至っては彼らの背後に周り怯えきっていた。

 

 

すると 

 

「ハッ。なにビビってんだ?全員ぶった斬ればいい話じゃねぇか」

 

そんな彼らを鼓舞するかのように猛々しい言葉を言い放ちながら更木が前へと出た。

 

「最高だぜ剣八ィ、ますますオメェが気に入っちまった♪」

 

「八千流はいい後継者を見つけた様じゃのぅ。それじゃあ誰が一番斬れるか競争と行こうか」

 

「ヒッヒッヒ…喉を潰す役目は要らない様だねぇ」

 

「…死体ですからね」

更に剣八に続き不老不死と千日、そして逆骨に王途川と残りの初代隊長達も次々と前へと出た。

 

 

「く……やってやろうじゃねぇか弓親ァ!ここでビビってたんじゃあ更木隊長の顔に泥ぬっちまうぜぇ!!

 

「だね。僕も腐っても十一番隊…ここは美しく暴れてやろうじゃなさいのさ」

 

それを見た斑目と弓親も自身が更木の部下である誇りを無駄にしない為に覚悟を決め大きく息を吸い込むと前へと立った。

 

 

 

その時であった。

 

 

 

 

「全員退きたまえヨ」

 

 

 

『『『あぁ…?』』』

 

 

 

そんな空気を打ち破るかの様にマユリの淡々と言い放つ声が響いた。

それによって更木に加えて初代隊長達の内、数人が刺激され、頭に来たのか巨大な殺気と鋭い目を浮かべながら振り向いた。

 

そんな彼らの殺気をものともせずマユリは斬魄刀を引き抜く。

 

「せっかくこれほどお客人がいるんだ。私の研究発表会に丁度良い」

 

その一言と共にマユリは不気味な笑みを浮かべながら己の解号を唱えた。

 

 

卍解___

 

 

 

______金色足削地蔵

 

 

 

 

 

____________“【無双】千手観音形態”

 

 

その言葉と共に斬魄刀が光出すと変形しマユリ達だけでなく目の前に立ち塞がるゾンビ兵達と謎の滅却師の全員を影で覆った。

 

 

「さてお披露目といこう。研究によって進化した私の新たなる卍解の力を…!」

 

その言葉が言い終えると同時にマユリの背後には____

 

 

 

 

 

 

 

 

________全長100メートルもの超巨大な千手観音像が現れた。

 

「「「「で…でけぇええええええ!!!!!!」」」」

 

それを見た更木や不老不死達は驚きと興奮の声をあげる。

それもそうだ。その大きさは全斬魄刀の中でも最大級である狛村の黒縄天元明王の十倍はあり、更にその背後には胴体の大きさを超す程の千本の腕が生えて更にその大きさを際立てていたのだから。

 

「な…何なんすかこれぇ!?」

 

「【無双】千手観音形態…金色足削地蔵の新形態の一つでネ。真髄である毒を使わないに対して圧倒的な質量と手数によって押し潰すという超攻撃型の姿だヨ」

 

斑目へと説明を終えたマユリはその場から飛び上がると腕、肩、と飛び、最後は金色足削地蔵の頭上へと到達した。

 

「さて、では行こうか」

 

 

____ギュィィイイイイン__。

 

マユリの言葉に反応するかの様に金色足削地蔵の不気味な目が光出すと、動き出しゆっくりとペルニダ達へと顔を向けた。

 

 

「…!!!」

 

それに対してペルニダは己の聖文字を解放した。すると、彼の黒い影の部分から赤く細い糸が出現し、激しい勢いで金色足削地蔵へと迫っていくと胸元へと突き刺さった。

 

 

だが、それだけであとは何も起こる事はなかった。

 

それを見たペルニダは信じられないのか全身が震え始める。ここで彼の能力を説明しておこう。彼の能力は“強制執行(The Compulsory)”己の体内から発生させた神経を相手へと打ち込む事でその者をいのままに操ったり、身体を強制的に捻り殺害する事ができるのだ。神経を表に出す分、弱点を晒しているようなものでもあるが、一度打ち込まれればペルニダの操り人形となるため、厄介な能力に変わりはない。

 

 

そんな恐ろしい力が目の前に聳え立つ金色足削地蔵には一切 効く事はなかった。

 

「ウソ…ウソ…!!我…しゆ…シュリフト…通ジなイ…!?」

 

「おや?もう其方の発表は終わりかい?」

そんな狼狽始める滅却師の様子を嘲笑うかの様に足削地蔵の頭上へと座っていたマユリは笑みを浮かべると人差し指を向けた。

 

 

「ならば今度は此方の番だ。やれ」

 

その一言と共に巨大な影が動き出し、千本の拳の雨がペルニダ達へと降り注いだのであった。

 

 

 





金色足削地蔵 無双千手観音形態

千弘細胞などを取り込ませる事で生み出した究極の形態。毒が使用できない代わりに圧倒的物量差で相手を追い詰めるというシンプルな戦法で戦う。その大きさは全斬魄刀の中で最大。

イメージは柱間の真数千手で顔が足削地蔵。
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