お腹が空いたのでお金を稼ぎたいです。剣術極めた死神の無自覚ライフ   作:狂骨

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激怒2回目 

 

その後、リジェを撃破したクールホーンの介入によって戦局は一転。アスキンは浦原達が相手をしている一方で防戦一方となっていたジェラルドと対峙する隊長達にクールホーンが加勢し、優勢となっていった。

 

 

その一方で___。

 

涅別動隊vsユーハバッハにて。

 

真世界城を破壊したマユリは、目の前にて此方を睨みつけるハッシュヴァルトに加えて、瓦礫から顔を出したユーハバッハと対峙していた。

ユーハバッハ自身は先程の卍解がやはり応えていたのか、マユリの斬魄刀を睨み続けていた。

 

「貴様の卍解がこれ程のものとはな…お前のお陰で新たなる世界の礎となる城が台無しだ」

 

「おや?荒んだ君らの心と比べると寧ろ良くなったんじゃないかネ?」

 

「貴様が言えたことか」

 

マユリがユーハバッハへ向けて返すものの、ユーハバッハの言う通り明らかにテメェが言えることかという話である。

 

 

その一方で、変貌したユーハバッハは霊子を収縮させると刀剣を生み出し、その切先を向けた。

 

「さぁ涅マユリ…これ程の事をしてくれたのだ。それ相応の痛みは覚悟してもらわねばな…。あれ程の威力の卍解だ、発動までに時間を要する事など目に見えているぞ」

 

そう言いユーハバッハは切先から発せられる殺気と共に既に見通している足削地蔵の弱点をも口にした。だが、弱点を見破られているにも関わらずマユリの顔からは余裕が消え去る事は無く、それどころか更に笑みを浮かべた。

 

「う〜んまいったネ〜。まさか見透かされているとは」

 

「その反応だとこの状況すらもお見通しの様だな。ならば……コイツは予想できていたか?」

 

マユリに尋ねながらユーハバッハは懐に手を入れると、何かを取り出してマユリ目掛けて投げつけた。

 

「おや?なんだねそれは…ん?」

 

投げつけられたその物体は光り輝いており、マユリは目を離さずにいたが、その物体はマユリではなく、彼を横切ると何と後ろの瓦礫にて鹿取やネムに撫で回されている千弘に向かっていったのだ。

 

「まさか……あれは…!!!」

 

それを見たマユリは一年前の虚圏にて帰還したネムと千弘からの報告を思い出す。

だが、思い出した時にはもう遅かった。

 

 

「千弘さん動かないでください…まだ撫で回したりません…」

 

「私ももう少し!特に下の部分のこ___」

 

「ちょっと二人ともいい加減にしてくだ……え?」

 

 

 

その瞬間 光り輝く物体は更に激しく輝くとその光によって3人を包み込んだ。

 

そして____

 

 

 

______光が収まった時。そこにいた3人の姿は跡形もなく消え去っていた。

 

 

「これは…まさか」

 

「反膜の匪(カハ・ネガシオン)…ハリベルを捕らえた時に没収したものだ。没収して勿論 改良も施してある。一度 拘束されればどんな者でさえも数ヶ月は身動きが取れぬ。まさかこんな時に役に立つとはな…まぁこれで3人ともしばらく異空間の中だ。その間に貴様ら全員を始末し私の悲願を達成させてもらうとしよう」

 

そう言い肩の骨を鳴らし終えたユーハバッハの黒く染まった頭部から再び目の様な斑目模様が流れ始める。

まさに絶体絶命。完全なる希望が絶たれた状況下であった。だが、これ程の状況下であるにも関わらず、まだマユリの顔からは余裕が消える事は無かった。

 

「確かに千弘さえも拘束してしまうとは驚いたヨ。でもねぇ〜虚圏が制圧されたと聞いた時から使ってくるとは思っていたんだ」

 

マユリは全く焦る事もなく、まるでこの状況すらも計算の内であるかの様に笑みを浮かべると、指を鳴らした。

 

 

____パチン。

 

「ここは一つ。君に因縁のある彼らにでも任せようか」

 

 

すると

 

彼の指の音を合図に周囲に鹿取、卯ノ花、元柳斎を除き、千弘に同行してきた初代隊長達が次々と現れた。

 

「久しいのぅユーハバッハ。1000年間会えず寂しかったぞぉ?随分と老けたものじゃのぅ」

 

「千年前の続きといこうじゃねぇかぁ。前みてぇに逃げるんじゃねぇぞぉ!!」

 

現れた隊長達の中でも特に凶暴な千日、齋藤は歯を剥き出しにしながら笑うと刀を取り出しユーハバッハへと向けた。

 

勿論だが、彼らだけではない。

 

「ソイツらだけじゃねぇ。俺もリベンジに来たぜぇ」

 

更木もその中に姿を現す。(因みに斑目と弓親と山田は日番谷達の元に向かわせました)

 

 

 

周囲から次々と現れる護廷隊の最高戦力達。それは今現在、親衛隊達と戦っている部隊全員よりも上だろう。

 

その一方で

 

「逃げる…か。過去の私ならばそうしていただろう」

 

千年ぶりにその顔を見るユーハバッハはその頃の景色を脳内に思い浮かべながら笑みを浮かべる一方で、余裕を崩す事はなかった。

 

周囲に現れた初代隊長達を目にしたユーハバッハは千年前の日と今の自身の目の前に広がる光景を見比べると笑みを浮かべた。

 

「だが今の私にとって…貴様らなど恐るるに足らんッ…!!」

 

 

その言葉と共に彼の身体を蠢く斑目模様が光り出した。

 

 

「全員まとめて相手をしてやろう」

 

 

ーーーーーーー

ーーーーー

ーーー

 

ユーハバッハが投げた反膜の匪。それは特定の相手を別次元へと幽閉する拘束道具だ。それは人数に制限はない。

 

だが、あくまで一人を拘束するために作られているため、本当に無理をして二人が入れる程度だ。それが3人一緒となると、その空間は____

 

 

 

 

________めちゃくちゃ狭い。

 

 

「ここは……」

 

「どうやら別空間に閉じ込められてしまったようですね。空気は大丈夫ですが…二人でこれほどとなると…かなり狭い…」

 

そう言いながら向かい合う姿勢で閉じ込められたネムと鹿取は周囲を見回す。その空間は白い上にまるで掃除用具入れの様に狭く、二人は向かい合った姿勢のまま動く事ができなかった。

 

「…ん?千弘さんのお姿が見えないようですが…」

 

「そういえばさっきまで聞こえていた声が突然と……」

 

そう言い彼女らは先程から姿が見えない上に声も聞こえない千弘を呼びかけ探すも、一向に見つからなかった。

 

そんな彼女らの胸元では。

 

「(むわぁぁあくるしぃィイ!!!潰れる〜!!!たずげでぇぇぇ!)」

 

今にも死にそうな千弘の姿があった。

 

その後は何とか二人に気づいてもらい、柔らかい山脈の間から脱出したはいいものの、未だにこの空間から脱出する目処が立たなかったという。

 

 

ーーーー

ーーーーー

ーーーーーー

ーーーーーーー

 

 

一方で、外では悲惨な光景が広がっていた。

 

「ふん。この程度か?」

 

ユーハバッハの周囲には全身から血を流しながら倒れている齋藤や更木の姿があった。

 

あの後、初代護廷隊に加えて更木達が一斉にユーハバッハへ向かっていくものの悲しくも惨敗してしまった。

我先へと向かっていった不老不死や千日、そして更木達はユーハバッハの能力によって刀が届く前に砕かれると共にその身体を殴り飛ばされ一撃で戦闘不能へ陥ってしまったのだ。

 

更にその場から一瞬にして残りの隊長達の元へと瞬間移動をすると拳一つ打ち込むだけで次々と撃破していった。

歴代最強と謳われた護廷隊をもってしても霊王を吸収したユーハバッハには歯が立たなかったのだ。唯一傷を与え食いついた更木でさえも倒すまでには至らなかった。

 

 

「千年前の威勢はどうした?私を倒すのでは無かったのか?」

ユーハバッハが挑発気味に周囲に倒れている初代隊長達へと呼びかけるものの、ダメージが激しいのか、傷を付けられた皆は起き上がる事ができなかった。

 

 

そんな中であった。齋藤、千日、善正寺が突然と起き上がるとユーハバッハ目掛けて飛び掛かった。

 

「ヒャッハァァ!!!!」

 

「ホワッタァァァァ!!!!」

 

「ウラァァァァァッ!!!」

 

 

「邪魔だ」

 

だが、それも一撃すら与えられる事なく虚しく終わってしまう。

 

吹き飛ばされたにも関わらず獣の様に奇声を発しながら再び飛び出してきた不老不死や千日を吹き飛ばし、善正寺を霊子の刀剣で刺し貫き止めを刺したユーハバッハは再びマユリへと目を向けた。

 

「過去の遺物たる貴様らは後で始末してやろう。その前にまずは貴様だ。涅マユリ」

 

「おやおやおや。更木だけでなく初代隊長達をこうもアッサリと…いやはや霊王を吸収しただけはあるネ」

 

「当然だ。千年前の護廷隊など今の私には羽虫に等しい…今度こそ貴様の息の根を止めてや……ん?」

 

 

 

 

その時であった。

 

 

_____パリィン。

 

近くの空間に亀裂が走り、穴が出来るとその穴の中から、なんと先程閉じ込められたばかりのネムが出てきた。

 

「出られましたよ」

 

「良かった〜!千弘くん大丈夫ですか?お〜い!出れましたよ〜!しっかりしてくださ〜い!」

 

更に彼女に続くように目を回しながらグッタリとしている千弘に続き、彼を抱き抱えながら鹿取が出てきた。

 

「う…うぅ…本当に死ぬかと思いました…」

 

「ごめんね!まさかあんなに狭い空間の中で私達の間に挟まってたなんて気付かなくて…」

 

「もう良いですから下ろしてください…(涙目)」

 

「あ、服が乱れてますよ」

 

千弘が泣きながら鹿取から降りると、ネムは彼の乱れていた服装を新妻の様に正し始めた。

 

 

「…」

その様子を見ていたユーハバッハは、咄嗟に邪魔であろうネム及び鹿取を始末するべく能力を発動しようと試みた。

だが、それは一瞬にして中止となる。それは何故か?二人に向けて能力を発動させようとした瞬間 脳内に命令が下されたのだ。

 

“やめろ。いま手を出せば殺される”__と。

生物としての本能が能力を扱う事を制止したのだ。その本能による抑制には流石のユーハバッハ自身も無視ができないのか、そのまま彼らの出方を待つ事となった。

 

ーーーーーーーーー

 

 

それからしばらくして、死覇装を着直した千弘は仕上げに袴の部分の埃を払うようにパンパンと叩いた。

 

「よぅしと…」

 

「随分と早かったな」

 

「ん?……あぁ!!」

そんな中、千弘は突然と聞こえてきたユーハバッハの声に反応すると、彼の元へ振り返り、あぁ!と指を差した。

 

「貴方!さっき私達にむけて何かポイ捨てしましたね!?と言う事は私達を閉じ込めたのも貴方ですか!?お陰であと少しで死ぬところだったんですよ!?」

 

「気づいていたならば避ければいいものを。それよりもどうやって抜け出してきた?あれは新たなる次元を作り出し拘束するもの…如何なる者であれ、数時間は抜け出す事は叶わぬ筈だ」

 

そう言いユーハバッハは千弘が死にかけた事に興味を持ちながらも脱出について尋ねる。すると彼は閉じ込められていた時の光景を思い出したのか、息苦しくそうにしながらも答えた。

 

「え?いや…そんなこと言われても…殴ったら出れましたよ」

 

「なに…!?」

 

まるでさも普通かのように千弘から放たれた言葉にユーハバッハは一瞬ながら放心してしまう。

だが、千弘の強さを身に染みているからこそ、その言葉の意味をすぐに理解し、平常心を取り戻した。

 

「成る程…次元さえもお前を縛れぬ…ということか。ならば私の能力で正面から迎え撃つしかなさそうだな…」

 

 

「それよりもおじさん。私の畑をメチャクチャにした件なんですが……ん?」

 

そんな時であった。ユーハバッハへと詰め寄ろうとした千弘は後頭部から違和感を覚え、手を回した。見れば自身の長い髪を三つ編みでまとめ上げていたゴムが無くなり、髪が解けていたのだ。

 

「あれ?ゴムが…」

 

「探し物はこれか?」

 

すると、ユーハバッハは何かを摘みながら前に出した。見るとそれは一つのヘアゴムであり、それを見た千弘は何か見覚えがあるのか、凝視し始める。

 

「そ…それは…!」

間違いない。それは最愛の相手であるネムが自身のために編み込んだヘアゴムであったのだ。

 

「あのすいません!拾ってくれたのはありがたいのですが、そのヘアゴム…返してもら____

 

 

その瞬間 

 

ユーハバッハが摘んでいたヘアゴムが彼のオーラに包まれた。

 

 

どこまでも黒く不気味な黒いオーラは炎の様に燃え盛りながらゴムを包み込むと分解していく。それから数秒が経ちユーハバッハの指の先に集まった黒いオーラが消えると……そこにあったヘアゴムは使い物にならない程までボロボロとなっていた。

 

 

そしてユーハバッハはそのヘアゴムの破片を地面へと捨てると右足で踏み潰した。

 

「…あの…そのゴム…眠さんからもらった大事なものなんですが…」

 

「そうか。ならば取られてしまった己の不甲斐なさを恨むしかないな」

 

「……は?」

踏みつけるその脚を見つめながら千弘が静かに言い放つものの、ユーハバッハは謝罪も、申し訳なく思うような言動も、何一つ見せることなく淡々と告げた。

 

 

 

 

その結果_____

 

 

 

 

 

 

「……人の私物だけでなく…宝物まで焼いといて…」

 

 

 

______再び千弘の怒りを呼び起こしてしまった。

 

 

「謝罪の言葉一つなしとはどう言うことですかぁああああああ!!!!!!!」

 

 

その瞬間 その場を激しい霊圧の嵐が襲い真世界城全域を震わせると共に周囲の瓦礫を吹き飛ばしていった。

 

「(さぁ来い千弘…お前の動きは全て視えているぞ…!!!)」

迫り来るその強力な風圧にユーハバッハは余裕を持ち身に受けてはいるものの、側近であるハッシュヴァルトと石田はやはり耐えきれ無かったのか、そのまま離れた場所まで吹き飛ばされていってしまった。

 

 

荒れ狂う霊圧の嵐の中 千弘は目の前に立つユーハバッハへ指を向けた。

 

「いいですよ…そちらがその気でしたら…私も浦原さんから預かった“これ”で貴方をはっ倒します!!」

 

全身から怒りのオーラを放っていた千弘は懐から“光り輝く何か”を取り出すと握り締めて叫んだ。

 

それを見た瞬間 

 

「…ん?」

ユーハバッハの目には“ある空間の景色”が映り込んできた。それは青い空に周囲にはおもちゃのロケットや実験器具。更に足元には“すごろく”で出てくるマス目が広がる何とも異様な光景であった。

 

「なんだ…これは…!?」

 

「お願いします崩玉さぁぁぁん!!私考案の____

 

 

 

 

________面白すごろくワァァァァルドッ!!!!」

 

「な…崩玉だと!?……うぉ!?」

 

その瞬間 周囲の景色が歪み始めると月が照らす真世界城の景色が消えていき、光り輝く青空と足元にはマスが描かれた景色が作られ始めていった。

 

「な…なんだ…これは…!?一体なんなのだこれはぁ!?」

 

先程とは全く違う景色にユーハバッハが動揺していると、崩玉を握り締めていた千弘はユーハバッハへと指を向けた。

 

「ここは私のお願いを聞いた崩玉さんによって作られたフィールド。さぁ〜!!楽しい楽しいすごろくの始まりですよ〜!!!」

 

 

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