お腹が空いたのでお金を稼ぎたいです。剣術極めた死神の無自覚ライフ 作:狂骨
千弘「局長ぉおおおお!!!!!」
ドガシャァァァァァァンッ!!!
マユリ「ぎゃぁぁぁ!!!」
◇◇◇◇◇◇◇◇
それからマユリの元へと到着した千弘は経緯を説明しながら入手した血液を取り出す。
「藍染隊長の遺体から検出した血液です。解析をお願いします」
「来て早々なんだね…。まぁ奴の逝報は私も今し方知った所だ。いいだろう」
マユリは千弘から血液を受け取ると二人を連れて研究室へと向かった。
◇◇◇◇◇◇
研究所へと到着するとマユリは一つの瓶を取り出した。
「君に問おう。蛇の毒にはいくつ種類があると思うかネ?」
「う〜ん…出血毒と神経毒と筋肉毒の3種類ですかね」
「正解。特に出血毒には血に含まれているタンパク質を分解する成分や血液のプロトロンビンを活性化させてゼリー状に凝固させると共に凝固因子を消費させたり血管系細胞を破壊して出血を止まらなくさせると言う効果もある。この毒がまさにこれだ。大体の生物は量によっては短時間で死に至るだろうネ」
そう言いマユリは千弘から受け取った血を一つのフラスコへと入れ、その中に瓶から取り出した毒を数滴垂らしコルクで蓋をすると軽く振る。
「因みに凝固する作用は血液の中に存在するタンパク質や他の成分の正確な割合で発生する。流石に今の私の技術でも一から血液を作るのは難しいネ」
「…つまり本物の血ならばほぼ血液が固まり偽物ならば微量しか固まらない…という事ですね」
「その通りさ。ネム、地獄蝶の用意ヲ」
「はいマユリ様」
ネムは研究所に置かれている地獄蝶を数匹、手の上に乗せて来る。
そして 遂に実験の結果が出ようとしていた。その様子をマユリを挟みながら千弘、ネムは凝視していた。
「そろそろだネ」
マユリは分厚い紙を敷くとその上に試験管を傾けた。
その結果。
粒程度しか凝固しなかった血液が“液体と共に流れ出てきた”。
流れ出た血液は紙の上に垂れると浸透して赤く染め上げていく。
それを見た3人は確信した。
「これで真相が分かったネ。ネム」
「はい」
ネムは地獄蝶に伝言を込めると飛ばす。
それを見届けたマユリは隊長羽織を着用し斬魄刀を手にする。
「さて。偽物だと分かった事だし我々も動き出そうカ」
「おや?貴方自ら動くとは珍しい」
「当たり前だろう。血が偽物と分かったら犯人は間違いなく私達に目を光らせている。ここに残れば危険が迫る事間違いなしだ」
そう言うとマユリは千弘とネムに目を向けてある事を尋ねた。
「ここへ来る途中…誰かに会った若しくは尾行された事はなかったかネ?」
マユリから尋ねられた二人は自身らがここへ来る途中に東仙と遭遇した事を思い出した。
思い出したネムは東仙が自身らに卍解を使い足止めをしようとした事をマユリに話し始める。
「私達が向かっている中、東仙隊長に会いました。彼を警戒していたと言っており…私達に向けて卍解を」
「ほぅ?」
ネムの発言を聞いたマユリはニヤリと笑みを浮かべる。
「どうやら“黒”が1匹現れたようだネ」
「なら、それについても伝えますか?」
ネムが東仙についても地獄蝶を用いて伝えるかどうかを尋ねるとマユリは首を横に振る。
「今はやめておけ。奴にはお前達を襲ったという事しかない。広めた所で理由などいくらでも正当化できるサ」
「泳がしておく…という感じですかね?」
「そうだネ」
そう言うとマユリは隊長羽織を身に纏う。
「さて行こうカ。まずは藍染の遺体を回収するヨ」
「了解です局長」
マユリに続くかの様に剣を腰に差した千弘とネムは共に出撃した。
その後 数匹の内の1匹が四番隊へと到着し事実を知らされた事によって副隊長である『虎徹 勇音』が捕捉・伝達系の鬼道【天挺空羅】を使い全死神へと伝えた。
『解析結果 藍染 惣右介の遺体は虚偽のモノであると判明』
◇◇◇◇◇◇
藍染の死体が偽物である事が判明した瞬間 四番隊の屋敷にて遺体の側で見守っていた四番隊隊長『卯乃花 烈』は警戒を極めていた。
「た…隊長…」
「落ち着きなさい勇音」
目の前にある遺体が偽物である事を知った途端に震え始めた勇音を卯乃花は落ち着きのある声で宥め落ち着かせる。
「もうすぐ涅隊長達が到着します。それまではこの物体を守らなくてはいけません。だから狼狽えてはいけません。よろしいですね…?」
「は…はい…!!」
それでも不安でしかない。マユリ達へ通信を入れたと言えども、彼らが到着する前にこの遺体を作り出した犯人が現れるのかもしれない。それを考えていた勇音は震えていたのだ。
それから数十秒後に千弘達が到着し、藍染の遺体は無事に回収され研究所にて保管される事となった。
だが、その晩。マユリや研究員達が席を外して僅か数分。回収された藍染の遺体は何者かの手によって奪い取られてしまったのか姿を消してしまっていた。
それと共に本物の藍染も見つかる事がなく、真相は再び闇の中へと消えてしまった。本物の藍染はどこへ行ってしまったのか。そしてあの遺体を作り出したのは一体誰なのか。
謎は謎のままであった。
◇◇◇◇◇◇
瀞霊廷のとある暗い部屋の中。
「よくやってくれたね…『要』」
「…はい…」
「そう落ち込む事はない。相手は卍解も無しに総隊長を倒す程の力の持ち主だ。“一対一”では敵わない。“私”も彼には“力”で勝てるとは思っていないからね…」
そう言い男は東仙を宥めるとその手に抱えられている“藍染の遺体”を受け取り不敵な笑みを浮かべた。