お腹が空いたのでお金を稼ぎたいです。剣術極めた死神の無自覚ライフ   作:狂骨

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暴走した主人公 モノクロバージョンです。


次元の違い

 

 

数分前。全隊長と副隊長は千弘の事を熟知しているマユリと通信を行っていた。

 

『さて、諸君らに先に言っておこう。暴走した千弘はこのまま時灘を消すまで追い続けるだろう。それによって霊圧も激しさを増していき、やがては尸魂界に崩壊を招く程の規模になる。そうなれば魂魄のバランス関係なく終わりダ』

 

「「「「…!!!」」」」

 

通信越しのマユリの説明を耳にした全ての隊長達は額から汗を流し始め、何名かの副隊長は顔面を蒼白させた。

 

「何とかならないのか…!?」

 

『勿論 何とかなる』

 

日番谷の言葉にマユリは頷く。

 

『ネムが奴の前に出て説得すれば万事解決だが、今の奴にそんな理性などなイ。隙を作るために現在、技術開発局の手の空いている局員総動員で対千弘用の鎮静剤を製作中ダ。だからそれまで持ち堪えてくれたまエ』

 

「お…おい!霊王宮で使ったお前の卍解じゃダメなのか!?」

 

『バカかネ?』

 

日番谷の言葉にマユリはやれやれと呆れながら首を横に振る。

 

『あんなもの使えば瀞霊廷など粉々に吹き飛んでしまうヨ。まぁ、それでも良いのなら___』

 

「よし、じゃあ僕らで千弘くんを抑えようか」

 

マユリの言葉を遮る様に京楽が入った事で皆は頷き、作戦が決行される事となったのであった。

 

ーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーーー

ーー 

 

「…」

 

日番谷だけでなく、周囲に現れた他の隊長や副隊長達も、目の前の黒い霊圧を放つ千弘を見つめていた。

 

「何だこの霊圧……何も感じ取れねぇ…」

 

そんな中、彼を目の前で見つめていた日番谷は、いつもとは全く別人と化している千弘の姿と全身から溢れ出ているにも関わらず全く感じ取れない異質な霊圧に額から冷や汗を流していた。

 

それは白哉自身も同じであり、一見冷静に見えるものの、眉間に皺を寄せながら千弘を最大限に警戒していた。

 

「もはや一般の隊士ならば近づく事も叶わぬだろう…だからこそ我々が止めねばならん」

 

「確かにな…」

白哉に頷いた日番谷は刀を握りしめた。

 

 

___卍解【大紅蓮氷輪丸】

 

その言葉と共に日番谷の手足が氷の竜のような手足へと変わると背中からは氷の翼が形成された。

 

そして、卍解した日番谷は刀を構えて千弘目掛けて飛び立つと、斬魄刀を天へと掲げる。

 

 

『千年氷牢』

 

 

その瞬間

 

千弘の周囲の空気が白い靄に包まれると同時に一瞬にして8本もの巨大な氷の柱が取り囲むように形成され、それらが一斉に中心へと進むと、押し潰すかのように千弘を飲み込んだ。

 

日番谷の目が白哉へと向けられる。

 

「行けるか?」

 

「無論だ」

 

白哉は頷くと自身の刀を握りしめた。

 

 

___『卍解』【千本桜景義】

 

 

その言葉と共に白哉の手から落とされた刀が地面へと吸い込まれるようにして消えると彼を中心に無数の刀が現れると同時にその刀の全ての刀身が桜の花弁へと変わって行った。

 

これが朽木家当主、現六番隊隊長である白哉の卍解である。無数にヒラヒラと舞う桜の花弁はとても美しいものであるが、その花弁一枚一枚が鋭く鋭利な刃であり、白哉の意思によって操作されているのだ。

 

周囲へと桜花弁が舞い散る中、卍解を発動した白哉は千弘に手を向ける。

 

「ゆけ」

 

______吭景・千本桜景厳

 

白哉の言葉と共に舞い散る花弁は暴流の如く千弘に向けて放たれ、全身を桜の渦へと飲み込んでいった。

 

 

氷の牢獄に加えてその隙間から流れ込む幾千もの刃の雨。日番谷の卍解と白哉の卍解が発動し、千弘を拘束するとそれを待っていたかのように周囲の卍解を持たない副隊長である乱菊、雛森、大前田、弓親は次々と鬼道の詠唱を始める。

 

「ごめんね…チーちゃん!!」

 

「少し痛いけど我慢すんのよ!!」

 

雛森は二つの鬼道を融合させた同時詠唱を行い、乱菊、大前田、弓親は詠唱破棄による鬼道を次々と放って行った。

 

 

日番谷の千年氷牢によって作られた牢獄そしてその隙間から襲いかかる白哉の千本桜、そして更に追い討ちを掛ける鬼道の雨。

 

それらは次々と千弘を焼き尽くさんがために中心へと向かって行った。

 

 

 

 

 

そして その攻撃が始まってからおよそ5分が経過すると、日番谷は手を上げる。

 

「全員…一旦止めろ」

 

 

日番谷の合図に周囲の皆は攻撃の手を止めた。目の前には多くのこうげきによってボロボロとなった氷の柱。先程まで集中砲火されていた場所は氷が砕けた事によって生じた白い煙に包まれていた。

 

 

「隊長…!!やったんですか…?」

 

「……」

 

松本の言葉に日番谷は疑う事なく、聳える巨大な氷の柱を睨みつけながら見つめると首を横に振る。

 

「いや…奴がこの程度で足止めできるとは思えねぇ…だが、涅の言葉が本当なら…今の奴には少しはダメージが……」

 

日番谷は首を振りながらも先程の攻撃の雨を見てから少なからず僅かな希望を抱いた。

 

 

 

 

その時であった。

 

 

 

 

「成る程…貴方達も私の邪魔をするのですか…」

 

 

「「「ッ…!!!」」」

 

氷の中からこの世のものとは思えない程の低い声が聞こえ、その声を耳にした全員は即座に警戒体制を強める。

 

 

すると、千弘を飲み込んだ氷の柱から巨大な黒い霊圧の竜巻が発生し、内部から氷の牢獄を粉々に粉砕した。

 

「もう出て来やがったか…!!」

それを見た日番谷は即座に周囲で鬼道を展開していた副隊長達へと叫んだ。

 

「今だ!!!」

 

日番谷の叫びに鬼道に秀でている吉良、雛森、七緒達は頷き、同時に詠唱を始めた。

 

 

___縛道の七十三『倒山晶』

 

 

すると、千弘を周囲に黄色の結界が貼られ、やがて千弘を包む様に四面体の形へと変形すると閉じ込めた。  

 

この鬼道は主に相手の拘束を行う際に扱われる上に番台が高位な為、とても扱い方が難しいが、鬼道の技術が抜きん出ている3人が同時に行った事でその強度は本来の何倍にも引き上げられていた。

 

 

「普段よりも強固な倒山晶…これで少しは…」

 

千弘が結界へと閉じ込められた事で霊圧の嵐も一旦収まり、七緒は安堵の息をつく。

 

 

 

だが、内部にいた千弘は止まるどころか、鞘から刀を引き抜いていた。

 

それを見た七緒はすぐさま全員に向けて叫ぶ。

 

 

「攻撃が来ます!!!皆さん離れて!!!」

 

 

その直後

 

 

_____“乱れ打ち”百連月牙天衝

 

 

結界内に立っていた千弘の周囲から無数の黒い斬撃が放たれた。

 

「これは…一護の!?」

 

「全員離れろ!!」

 

それを見た松本の驚きの声と同時に日番谷が全員に向けて叫び、その場にいた全員は結界から離れた。

 

すると、内部から亀裂が走ると同時に一瞬にしてガラスの様に砕け散り、結界が破壊された。

 

それによって破片が飛び散り、破片が雨のように降り注ぐ中、千弘がゆっくりと歩いて出てきた。

 

 

【月牙天衝】それは尸魂界において英雄と記されている死神代行『黒崎一護』が編み出した己の霊圧を削り斬撃として飛ばす業である。

 

その業を何度も何度も行動を共にし、間近で見ていた夜一は驚きを隠さなかった。

 

「あれは……一護の…いや…込められた霊圧の量も斬撃の数も桁違いじゃ…しかもあれ程の刃を放ったというのに…未だ霊圧が衰えるのが感じ取れぬ…!!!」

 

その表情は今まで余裕を見繕うために浮かべていた笑みが一切なく、ただ純粋な『驚愕』と『恐れ』が現れていた。

 

 

その一方で、結界から千弘が脱出した事によって再び周囲には濃密な霊圧の嵐が吹き荒れ始め、周囲の隊長達はさらに警戒を強める。

 

「隊長…!!ここからは…」

 

「あぁ…予定通り…俺や朽木達で直接攻撃に移る…平子の始解がまだ解けてねぇのが不幸中の幸いだったな」

 

松本の言葉に頷きながら日番谷はまだ平子の感覚を狂わせる始解が発動中であった事に安堵しながら刀を構えた。

 

 

その時であった。

 

 

「…」

 

結界を破壊した千弘の目が日番谷達の包囲網から離れた場所へと向けられる。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇

 

千弘が拘束されてから抜け出すその僅かな時間の中、始解によって感覚を狂わせていた平子は逆撫の効力が続くギリギリの範囲まで離れていた。

 

「ッ…逆撫は上下左右が無くなりゃ意味がない…嫌な弱点に気づかれてしもうたわ」

 

そう言い平子は落胆する。平子の始解は惑わすには丁度良いが、一つ弱点が存在し、上下左右全ての方向に攻撃が放たれた場合は反対にしょうがないために軌道を逸らすことが出来なくなってしまうのだ。

 

先程の千弘の斬撃は正しくその周囲一帯へと攻撃する技であり、見事に逆撫の穴を突かれてしまったというわけである。

 

 

「だ…大丈夫ですよ!今のちーちゃんの感覚はまだ操れるんですから、私達で抑え込めますよ!」

 

「確かにそうであって欲しいんやが…いや、今はそんな事考えとる場合やないな」

 

雛森の言葉に平子は少しばかり苦悩しながらも立ち上がり、千弘へと目を向けた。

 

「こっからが踏ん張り所やな…気ぃ引き締めるで…」

 

「はい!」

 

平子の言葉に雛森も頷き、次の作戦へと移るべく足を踏み出そうとした。

 

 

 

 

 

その時であった。

 

 

 

 

_____一瞬にして千弘の姿が目の前へと現れた。

 

 

「な…!!」

 

突如として自身の前に現れた千弘に平子は驚き、即座に斬魄刀の能力で彼の感覚を狂わせようとしたが、既に遅い。

 

「がはぁ…!!」

 

平子が千弘の感覚を操作するよりも早く、千弘の拳が平子の腹部へと深く突き刺さり、彼の身体をくの字へと曲げた。

 

「隊長!!」

 

雛森の叫ぶ声が響く中、千弘の拳によって平子の身体はゆっくりとその場に崩れ落ちた。

 

「ぐ…!!」

 

平子が倒されたことによって雛森は即座に始解した斬魄刀『飛梅』を引き抜き千弘に目掛けて振り下ろした。

 

「やぁあああああ!!!!!」

 

「…」

 

雛森の怒りの一撃が千弘へと放たれるが、それが彼に見舞われる事はなく、一瞬にして千弘の拳が彼女の腹へと放たれた。

 

「がぁ……」

 

そして 平子と同じく拳を打ち込まれた雛森も刀を手放しゆっくりとその場に倒れたのであった。

 

雛森並びに平子の気絶。それによって平子の始解の効力が切れ千弘の狂わされていた感覚が元へと戻ってしまった。

 

 

 

ーーーーーーーー

 

「…ッ!!!」

 

頼みの綱であった平子が一瞬にして倒されたことで白哉達の表情からは完全に余裕が消え去った。

 

「総員警戒を強めよ!!!平子が倒された!!」

 

白哉のその叫び声に周辺にいた隊長や副隊長達も平子の脱落を察したのか、すぐさま卍解・始解をそれぞれ行う。

 

 

そんな中、平子が倒された事によって彼と現世で共に暮らしていた六車と鳳橋は眉間に皺を寄せながら駆け出した。

 

「テメェ…よくも…!!」

 

「お仕置きが必要なようだね…!!」

 

向かっていく中、六車は千弘に向けて斬魄刀を向けた。

 

 

卍解__【鐵拳断風】

 

すると、六車の持つ斬魄刀が変化し、両腕を丸ごと包み込むガントレットへと変化した。

 

「いくぞ…!!」

 

卍解を発動させた六車は千弘へ向けて次々と拳を打ち出していく。六車の卍解【鐵拳断風】は殴りつけた相手に対して時間差で衝撃が送り込まれる超攻撃型の卍解なのだ。

 

その攻撃の威力は凄まじく、星十字騎士団のパワータイプでありながらもガードも強力なマスキュリンを下すほどである。

 

 

だが、

 

「ふん」

 

目の前に立っていた千弘は動く事なく鼻で笑い捨てながら向かってくる拳を次々と片手で捌いていった。

 

「何!?全部受け止めてやがる…!?」

 

「邪魔をするなと言ってるでしょ」

 

全て塞がれた事で六車の表情が曇る一方で、最後に放たれた一撃を捌いた千弘は六車を睨みつけると、

 

「ふん!」

 

「がぁ…!!!」

 

掴んだ拳を引き寄せ、一瞬にして六車の懐へと入り込み、両手で胴体を掴むと腹に向けて膝を叩き込んだ。

 

 

その場に鈍い音が響くと共に六車の身体は一瞬だけ硬直すると、すぐに力が抜けたかのようにその場に崩れ落ちていった。

 

「拳西まで……がはぁ!?」

 

そして千弘の姿が今度は近くに立っていた鳳橋の前へと現れると、彼の腹へと拳を打ち込み、彼の身体を地面へと崩れ落とした。

 

 

平子の始解が解かれてより数秒。二人の隊長が戦闘不能となってしまったのであった。

 

 

もはや彼の進行はたとえ二人で掛かっても止められない。

 

「…もはや単独行動も連携も言っていられぬ……私も出よう」

 

遂に白哉自身も痺れを切らし千弘の元へと瞬歩で移動していった。

 

 

そして、それを見送る日番谷の背後にある氷の華も全て散っていったのであった。

 

「俺も…そろそろだな」

そして日番谷も白哉へと続くように飛び出した。

 

ーーーーーーー

ーーーー

 

 

 

「ぶっつぶ__がばあ!?」

 

「雀ば__が…ッ!!」

 

始解しようとした大前田の大柄な身体が、そして始解し、千弘へと攻撃を当てようとした砕蜂の小柄な身体が千弘のボディブローによって大地へと崩れる。

 

「破道の__…!?」

 

「そ…そんな…」

鬼道を唱えようとした松本、七緒も同じく、千弘のボディブローによってその場に倒れた。

 

それだけではない。

 

新たに護廷隊へと復帰した元破面の軍勢『矢桐丸 リサ』は刀の鞘で腹を、七番隊隊長となった『射場鉄左衛門』は膝で腹を殴りつけられた事でその場に倒れていき、背後から侘助で10回ほど斬りつけた吉良も重量を物ともしない千弘の拳によって大地へと倒れてしまった。

 

それによって

 

周囲には多くの隊長、副隊長達が倒れている光景が広がっていた。

 

「一瞬にしてこれほどとはな…」

 

その光景に眉間に皺を寄せた白哉は目の前の自身を鋭い目で見つめる千弘へと目を向けた。

 

「園原千弘…兄には黒崎一護と同じく恩がある。故に……ここで止めさせてもらうぞ…!!」

 

その言葉と共に白哉の身体が一瞬にして千弘の目の前に現れると、彼に向けて刀を振るう。

 

「…」

 

それに対して千弘は手に持っていた鞘で受け止めた。

 

すぐさま白哉は離れると、自身の周辺に集めた千本桜を彼に向けて放った。

 

だが、

 

「邪魔だ」

 

刀を振るうと同時に周囲に衝撃波が発生し、桜の花びらをまとめて吹き飛ばした。それによって桜によって遮られていた視界が戻り周囲の景色が露わとなる。

 

「まだだ」

 

千本桜を振り払われようとも白哉は退くことは無かった。周囲に舞う桜の花びらのうち、人部分を自身の刀の鞘へと収束させて、一本の刀身へと変化させると、それに連携させる様に周囲に舞う花弁を収束させていき、一本一本を刀へと変化させた。

 

 

__【殲景・千本桜景厳】

 

千本桜景義の御技の一つであり、数千番の桜が無数の刀へと変形し対象を囲い込む圧倒的な手数を得る技である。

 

 

そして千弘を包囲した数千本もの刀は一斉に_____

 

 

 

 

_____千弘へと襲いかかって行った。

 

 

【奥義・一咬千刃花】

 

「兄はこの程度では死なぬだろうが…重傷は免れないだろう。だが、許せ。兄を止めるためにはこうするしかなかったのだ」

 

 

そう告げた白哉は千弘へと哀れな目を向ける。周囲に浮かぶ剣が中心へと向かう速度は軽く音速を超え、霊王宮での治療により、その速度は更に高まっている。それはユーハバッハの親衛隊であるジェラルド・ヴァルキリーでさえも反応できない程だ。

 

その数千本の刀がインターバルを付ける事なく一斉に千弘へと向かっていく。

 

 

 

 

 

 

 

その時であった。

 

「邪魔だと言っているのが聞こえねぇのか…?」

 

千弘の握り締める刀の鞘から黒いオーラが溢れ出し、千弘はゆっくりと鞘から刀を引き抜いた。

 

 

____全方位___千連斬り

 

 

 

その瞬間 千弘へと一斉に向かって行った刀全てが千弘へと到達する前に全て掻き消された。

 

「な…」

 

白哉が驚く一方で、千弘は一瞬にして白哉の懐へと移動する。

 

「どけ…ッ!!!」

 

その言葉と同時にその場に鈍い音が響き渡った。

 

 

見れば千弘の拳が他の皆と同じ様に白哉の懐へと突き刺さっており彼の身体を大きく曲げていた。

 

「やは…り…私で…は…力不足…か…」

 

もはや彼には刀を握る力さえも残っていない。たった1発の攻撃によって全体力を削がれた白哉は千弘を止めることも攻撃を当てることも出来なかったことを悔いながらゆっくりと意識を手放しその場に倒れたのであった。

 

「ふん…」

 

そして 白哉を撃破した千弘は背後から振り下ろされて来ていた日番谷の斬魄刀の刀身を己の刀身で受け止めた。

 

「…気づいてやがったか…まぁそうだろうな」

背後からの一撃を受け止められた日番谷はすぐさま距離を取ると、すぐさま高台へと飛び上がる。

 

 

見れば、彼の姿が十年程成長した好青年のように変わっており、服装も所々が破けていた。

 

「お前には見せていなかったな。大紅蓮氷輪丸を発動した時に氷の紋章があらわれ…それが時間経過とともに崩れていき、全て崩れ去ると俺の卍解は完成するんだ」

 

そう言い日番谷はコチラを睨む千弘に対して軽く説明をすると、少しばかり歩く。

 

その歩数はおよそ4歩。たった数秒歩く時間だ。

 

 

だが、その時間が経過しただけで_____

 

 

 

 

 

 

__________千弘ごと周囲の景色が全て凍りついた。

 

辺り一面が氷の広がる美しき世界。そんな景色の中で高台から飛び降りた日番谷は凍りついた千弘の元へと歩み寄っていく。

 

「【四界氷結】四歩を踏み締めた内にあらゆる物質を氷結する技だ。雛森や朽木達を巻き込む恐れがあるから敢えて使わなかったがな」

 

そう言い日番谷は凍りつき、一歩も動かぬ千弘の目を見る。

 

「だがお前のことだ。この程度じゃ死なねぇだろうし、少しは冷えて冷静になるはずだ。どんな理由でキレたか知らねぇが、これ以上、力任せに暴れるんじゃねぇぞ」

 

それだけ言い残すと日番谷は別の場所で待機している元柳斎達へ連絡を入れようと、伝令神機を取り出した。

 

 

すると

 

「日番谷…!!」

 

「朽木…?」

近くで倒れていた白哉が途切れ途切れの声を上げた。その声を耳にした日番谷はすぐさま駆け寄る。

 

「どうした?」

 

事情を尋ねると白哉はすぐさま声を上げる。

 

「まだだ…まだ終わっておらぬ…!!奴はまだ…意識があるぞ…!!」

 

「なに…!?」

 

 

 

 

その瞬間

 

 

「ゔぁあああああああああああああ!!!!!!!!!!」

 

 

「「!?」」

 

背後から地の底から響く恐ろしい叫び声が響いた。その声に驚いた二人が振り返ると、氷のオブジェとなった千弘が氷を破壊すると同時に、全身から更にドス黒い霊圧を放出していたのだ。

氷から出て来た千弘は日番谷達を睨むと、血のように赤い両目を向けた。

 

 

 

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「私の邪魔をするなと言っているだろがぁああああ!!!!」

 

「く…!!」

 

咄嗟に日番谷は再び四解氷結を発動させた。

 

だが、発動させた氷は千弘の霊圧に触れると粉々に消し飛んでいった。

 

「霊圧で無効化しやがった…!?クソ!!」

 

氷輪丸の氷雪が効かないと認識した日番谷は眉間に皺を寄せながら剣術で対応するべく彼に接近すると刀を振り下ろした。

 

対してその振り下ろしを千弘は難なく防ぐが、日番谷は決して引くことは無かった。

 

「はぁあ…!!!」

 

呼吸を整えながら何度も何度も千弘へと剣を振るう。だが、その全てを千弘は一歩も動くことなく受け止めて行った。

 

「ぐぅ!?」

 

何度刀を払おうとも、それが彼の身に届くことはない。振るっていく内に、日番谷自身も卍解の影響もあってか疲労が溜まり始めていた。

 

「はぁ…はぁ…」

 

遂に日番谷の口からは白い息が漏れ始める。

 

 

疲労による過呼吸。日番谷の全身には氷が纏わりついているために呼吸の色が濃く表され空気へと消えていく。それによって完全に_____

 

 

______千弘に敗北してしまった。

 

 

「消えろッ!!!」

 

 

 

その瞬間

 

 

日番谷の頬へと千弘の拳が打ち込まれ、彼の頬を歪ませると同時にその身体は付近の建物を次々と倒壊させながら吹き飛ばされていった。

 

 

 

日番谷を吹き飛ばした千弘は時灘の霊圧が感じられる方向へと目を向けると、その赤い目を細め叫ぶ。

 

「逃さねぇぞ…逃さねぇぞぉおおおおおお!!!時灘ぁあああああ!!!!!!!」

 

 

その叫び声は天地に響き渡るとともに、尸魂界全域を揺らし始めるのであった。

 

 

 

そんな中であった。

 

「やはりお主らだけでは無理であったか」

 

突然の声とともに曇天が晴れ、晴天となった。それと同時に周囲に倒れていた隊長、副隊長達の姿も消え、代わりに卯ノ花、更木、雀部、など姿を見せなかった隊長、副隊長達が姿を現した。

 

 

それだけではない。

 

見れば千弘の進む先には元柳斎の姿もあり、立ち塞がる彼は千弘に向けて刀を向ける。

 

「ここから先へは行かせぬぞ…千弘」

 

 

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