お腹が空いたのでお金を稼ぎたいです。剣術極めた死神の無自覚ライフ   作:狂骨

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今回はあまり戦闘シーンがない…。次回で尸魂編が終わると思います。

因みに誤字があれば教えてください。最近、目が悪くなってきた上に別の文字に変換してしまう時があるので。

あと、この作品のマユリ様はメチャクチャ丸くなってます。


処刑の始まり

 

それから翌日。廷内にある知らせが届いた。

 

それは『朽木ルキア処刑日の短縮』であった。本来ならばあと数日の期日があるにも関わらず1日。即ち明日に決行される事となったのだ。

 

 

その知らせを自身の部屋で茶を飲みながら聞いていた千弘は監視のネムと共に首を傾げていた。

 

「四十六室もおかしな命令を出しますね。処刑すらもおかしな罪なのに短縮だなんて」

 

四十六室とは【中央四十六室】呼ばれ、尸魂界にて護廷十三隊よりも上の立場に立つ者達だ。瀞霊廷の真ん中にある執務室にて罪人の刑や法を決めるという現代で言う内閣と裁判官が合わさった機関である。

だが、日頃から決定に対する意識が固い時もあれば緩い時もあるので隊全体はあまり良い印象を持っていない。

 

「それに…藍染隊長が消えてから突然ですね…」

 

「一体何が起きているのやら」

 

そう言い千弘は不思議に思いながら茶を啜った。

 

それから

その日も千弘は一睡もする事なくネムと共に茶を楽しんだ。

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

そして翌日。

 

朽木ルキアの処刑が執行される時が来た。千弘は緩んでいた隊服の帯紐を締めると刀を腰に掛ける。

 

「行きましょうかネムさん」

 

「はい」

 

それからマユリと共に千弘達は処刑が執行される『双極の丘』へと向かった。

 

◇◇◇◇◇◇

 

そこには既に他の隊長達の姿もあった。本来ならばマユリは性格上、処刑に興味がない為に実験室に籠るつもりであったが、犯人に対してまだ油断ができないと共に研究室を破壊される恐れがあるために仕方なくこの場にいた。

 

そして千弘がなぜいるのか。それは処刑に不備が起きた際の警備だ。総隊長直々に頼まれたらしい。

 

 

処刑場に到着した千弘は巨大な処刑台の前に立つ長い髭を伸ばした初老の男性に向けて頭を下げた。

 

「おはようございます。山本御大将」

 

「うむ…」

 

千弘の挨拶にその男性は暗い声で答える。

 

この男こそ現在の護廷十三隊を束ねる総隊長『山本 元柳斎 重國』である。どんな時にも規律を重んじ人情を持ち込まない性格故に隊士達からは恐れられている。

だが、この日の彼は少し違った。

たとえ死刑囚であろうとも自身が束ねる隊員の処刑である為なのか、総隊長の元柳斎の表情は厳格でありながらも少し暗くなっていた。

 

元柳斎へと頭を下げた千弘は他の隊長達へも頭を下げていく。

 

一番隊副隊長『雀部長次郎』

 

二番隊隊長『砕蜂』

 

二番隊副隊長『大前田希千代』

 

四番隊隊長 『卯乃花 烈』

 

四番隊副隊長『虎徹 勇音』

 

八番隊隊長『京楽春水』

 

八番隊副隊長『伊勢七緒』

 

十三番隊隊長『浮竹十四郎』

 

以上、総隊長とマユリ、ネムを含め11名の隊長格達とNo.3とされる第3席の者達がその場にいた。

 

そしてもう一人。処刑場を見つめる影があった。

 

六番隊隊長『朽木 白哉』

 

死刑囚と同じ姓を持つこの男は朽木の血筋である人間であり、即ち死刑囚はこの朽木家の養子なのだ。

 

義妹の処刑を前にしても姿勢や表情を崩す事なくただ見守っていた。

 

「朽木隊長。おはようございます」

 

「…あぁ」

 

千弘の挨拶に白哉は見向きもせず答えた。

 

 

「何だネこれは。随分と集まりが悪いじゃないカ」

 

「何か用事でもあるのでしょう。少ないですが、我々だけでも見届けましょう」

 

隊長の集まりの悪さにマユリはため息をつき、それを宥めた千弘は処刑台を見上げた。

 

 

それから数人の兵士に連れられながら死刑囚である『朽木ルキア』が連行され、処刑が執行される事となった。

 

◇◇◇◇◇◇

 

「双極を発動せよ」

 

元柳斎の声と共に双極は呼応するかの様に光出す。

 

罪人の処刑。罪人の両腕にキューブの様な物体が浮き上がり、それらは罪人の両腕と同じ高さまで浮き上がると罪人の両腕に枷をつける様にして特殊な透明な膜を作り出す。それによって罪人の両腕は固定され、空中へと浮き上がっていった。

 

すると 処刑台に向けて立つ巨大な槍の柱から巨大な炎が巻き上がり、一匹の巨大な鳥の姿へと変貌する。

 

 

【燬鷇王(きこうおう)】

 

双極の真の姿でありこの鳥が罪人を貫く事で刑が執行される。

 

 

「…」

 

その恐ろしい風貌に辺りの皆は固唾を飲みながら処刑を見守っていた。

 

その一方で、マユリは興味が無さそうな表情を浮かべたまま直立し、ネムと千弘はただ何の感慨も浮かばない顔で見ていた。

 

 

 

 

そしてその炎は巨大な叫び声を上げながら罪人へと嘴を向け、遂に貫こうとその翼を羽ばたかせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時だった。

 

 

 

 

罪人を貫こうとした燬鷇王の炎が突然止まった。

 

 

「「「「!?」」」」

 

突然の現象に皆は目を開き驚く。見れば罪人と燬鷇王の間には一人の男が立っており斬魄刀らしき得物で斬魄刀100万本に達する程の威力のある燬鷇王の嘴を受け止めていたのだ。

 

 

「な…なんだあの男は!?」

 

砕蜂が驚きの声をあげる中、突然 横に立っていた京楽と浮竹が動き出す。それと同時にどこからともなく浮竹の部下2人が現れた。

 

「な…!?二人とも何をする気ですか!?清音も!」

 

勇音の驚く声を意に介す事なく二人は一つの機器を取り出すと、その機器から巨大な糸を燬鷇王へ向けて射出した。それによって再び罪人を男諸共貫こうとする燬鷇王を拘束する。

 

「済まない!発動に手間取った!」

 

「あぁ!!」

 

その拘束によって動きを封じられた燬鷇王。すると、それを見ていた砕蜂は大前田と勇音に叫ぶ様にして伝えた。

 

「止めろ!!奴らは恐らく双極を破壊するつもりだ!!」

 

「「!?」」

 

2人が聞き入れるよりも早く。浮竹と京楽は既に準備を完了していた。すると、燬鷇王に巻きついていた糸に謎のオーラが纏わると、燬鷇王に吸い込まれる様にして消えていった。

 

 

 

「あれま。消えてしまいましたね燬鷇王」

 

その光景を見ていた千弘は思わず呟く。すると隣に立っていたマユリは興味がなさそうに答えていた。

 

「あぁ。まぁ当然だろうネ」

 

京楽と浮竹の用いた道具を見たマユリは相変わらず退屈な表情を浮かべながらハァ…と溜息をつく。

 

「くだらない。早く実験に戻りたいものだヨ。まぁ、誰かが死んでその死体を解剖するのもありだがネ」

 

「そこだけは変わらないですね」

 

その時だった。

 

 

「園原千弘…!!」

 

「…ん?」

 

低くドスの効いた威圧感のある声が聞こえてきた。見るとそこには全身から巨大な霊圧を放つ元柳斎の姿があった。

元柳斎は鋭い目を向けながら口を開く。

 

「絶対に手を出すな。よいな?貴様はそこで2人と共に待機しておれ…!!」

 

「え?あぁはい」

 

元柳斎の言葉に千弘は自身の立場を案じてくれていると思い軽く返す。

 

まぁ、全く違うのだが。

 

その一方で千弘へと指示を出した元柳斎は目の前に立つ2人に目を向ける。それに対して2人は元柳斎から発せられる強大な威圧感と霊圧に冷や汗を流し始めた。

 

「へへ…まさか園原君を封じられちゃうとはね…口裏を合わせておけば良かったよ…」

 

「それは俺も思ったよ…。でも彼はどちらかと言えば中立。それに先生も彼を相手にしたくはないと思うし」

 

「ふん…それだけではないがな…」

京楽のふと溢した言葉に浮竹は答える。それに対して元柳斎はそのつもりなのか頷くと共に他の目的もある事を匂わせるかの様に返した。

 

「さて…覚悟はできておろうな…?春水…十四郎…!!」

 

「「…!!」」

溢れ出るその気迫に気圧されながらも2人は引かなかった。

 

◇◇◇◇◇◇

 

その一方で元柳斎から待機を命じられた千弘は辺りを見回した。

 

どこからともなく突然と現れた六番隊副隊長の『阿散井 恋次』は旅禍から投げられた死刑囚であるルキアを受け取ると逃走し、後に続く様にして清音達が続いていき、後を追いかける様に砕蜂達が走っていた。

 

そして 砕蜂の素早い身のこなしによる蹴りが2人のうち、男性の方を蹴り飛ばすと共に女性である清音の首を掴み地面へと押し倒した。

 

「がはぁ…!」

 

「お前達の行為は十三隊席管として恥ずべき裏切り行為だ。まぁ安心しろ。自責の念に苦しむ前に…殺してやる…!!」

 

その鋭い目に獣の様な殺気が籠ると腕を突き刺すかの様に清音へと向けた。

 

すると 突然 黒い影が現れ、砕蜂を抱き抱えると崖の向こうへと消えていった。

 

「んん?今のは見えたかネ?」

 

「えぇ。何か褐色の肌をした女性がいましたね」

 

「褐色の肌……ネ…」

 

それとは別の方向では阿散井を追いかけていった勇音、大前田、雀部が目の前に降り立った旅禍の男によって気絶させられている光景があった。

 

その様子をマユリ達と共に一望していた千弘は欠伸を垂らす。

 

「騒がしいですね。何とか話し合いができれば良いんですけど」

 

「無理に決まっているだろ。それよりも、不思議で仕方がない」

 

「え?」

 

ふと漏らしたマユリの言葉に千弘は首を傾げる。

 

「本来ならば双極は隊長格の処刑の時のみに用いられる。だが朽木ルキアは隊長でも副隊長でもない。その上罪状は『現世にて無許可による長期滞在』と『死神の力の譲渡』のみ。普通は厳しくても禁固刑の筈だ。それなのに死刑かつ場所が双極。幾ら何でもサービスがすぎると思わないカイ?」

 

「思いますが、珍しいですね。局長が実験以外の事に疑問を抱くなんて」

 

「これだけ例外な点が有れば流石に疑問に思うさ。どうにも今回の処刑は何か“裏”がありそうだヨ。先日に失踪した藍染や東仙の事もあるからネ」

 

「成る程」

 

マユリの考察に頷く千弘。

 

その時だった。

 

「御三方。ちょっとよろしいですか?」

 

ネムでもマユリでもない第三者の声が聞こえた。見れば四番隊隊長である卯乃花の姿があった。

 

「ん?四番隊隊長が何の用かネ?」

 

ーーーーーーーー

ーーーーー

ーー

 

それから三人は卯乃花のエイの様な斬魄刀である肉雫唼に乗りながら双極の丘を後にした。この斬魄刀は生物であり、体内には傷を回復させる効果があるらしい。

その体内には砕蜂によって傷を負わされた清音や旅禍に気絶させられた勇音が入っていた。

 

「まずは彼女らを医療室へ。その後にある場所へ向かいます」

 

「え?どこへ?」

 

背に乗りながら千弘は卯乃花に尋ねる。すると、彼女は答えた。

 

「清浄塔居林です」

 

「ほぅ?」

 

清浄塔居林という単語を聞いたマユリは頷くと卯乃花へと尋ねた。

 

「まさか君も勘づいていたとはネ」

 

「えぇ。少々遅くなりましたが」

 

卯乃花はまるでマユリの真意を知っているかの様に頷く。

 

ーーーーー

ーーー

 

それから勇音を除いた隊士達を医務室へと預け、マユリとネムと千弘を乗せた肉雫唼は再び飛び上がり清浄塔居林へと向かった。

 

「なぜそこへ?それに何で局長達まで付いてくるんですか?珍しい」

 

千弘が尋ねるとマユリはフッフッフと不敵な笑みを浮かべながら答えた。

 

「前に藍染の死体を回収したのを覚えているだろう?」

 

「えぇ」

 

「私はその時に死体…いや、人形に発信機をつけていたのサ。私にしか感じ取れない独自の電波を発する奴をネ。そしてその電波が瀞霊邸でも最も安全な場所である清浄塔居林から感じ取れるのサ」

 

「成る程。つまりその清浄塔居林へ行き真意を確かめるって事ですか?」

 

「その通りだ。帰って実験をしたいとも思っていたが、たまにはこういうのも悪くないと思ってネ。

それに…既に私の論理的な思考能力によって犯人も割れている。犯人の名は__

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

瀞霊廷内でも誰も立ち入ってはならない禁足地『清浄塔居林』その中は巨大な冷気が漂い辺りに巨大な氷が張っていた。

 

「この時期に見る氷も悪くはない」

 

男はそう呟きながら刀についた血を振り払う。男の後ろには身体に氷を纏う少年『日番谷 冬獅郎』が倒れていた。そしてその側にはその光景を達観する青年『市丸ギン』の姿があった。

 

男は辺りの景色を一望すると市丸に呼びかける。

 

「さてそろそろ行くとしよう。“彼”が来る前に」

 

 

 

その時だった。

 

 

「誰が来る前だっテ?」

 

入り口から声が聞こえた。男と市丸はその方向へと目を向ける。そこには十二番隊隊長であるマユリと四番隊隊長である卯乃花。そしてそれぞれの副隊長であるネムと勇音と雑用係である千弘が立っていた。

 

 

「やはり私の推理は正しかったようだ。『死体の人形』がここにあるなら必ず君もここにいると思ったヨ。_______藍染」

 

その男は…否。『藍染 惣右介』は不敵な笑みを浮かべた。

 

「…フッ…よく分かったね…まさかこんなにも早く見つかるとは思っていなかった。一番会いたくもない人物も一緒とは」

 

「え?随分と嫌われてるんですね局長」

 

「私ではなくお前だヨ」

 

 

 

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