「はっはっは!兄弟盃を交わしたのか!ならお前ら全員俺の弟だなぁ!」
「「何言ってんだ!酌み交わしたのは俺たちだけだ!」」
「そーだそーだ!」
「おいルフィ、お前はどのみち弟に変わりねぇぞ?」
「…あれ?そっか!ならエースもサボも兄ちゃんの弟だな!」
「「言いくるめられんな!ルフィ!」」
「まあいいじゃねぇか!今日から俺のことは兄ちゃんって呼べよ!エース!サボ!」
「「勝手に決めんな!バカ海兵!」」
「はっはっはー!可愛い奴らめ!」
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その日、兄弟盃を交わした3人と若い海兵が1人。
この出来事が、後の世界を大きく変えていく事は、今は誰も知らない物語。
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風が強く吹き荒れる瓦礫の山。
そこに黒いローブを着た男と若い海兵が立っていた。
「…父よ。そいつの事、頼んでもいいか」
「…ああ、そのつもりだ」
「なら安心だ…、任せたぜ」
黒いローブを着た男の腕には、気を失った金髪の少年がいた。
「では私は行く」
その言葉とともに一段と強い風が吹き荒れた。
そして次の瞬間、そこには若い海兵しかいなかった。
「生き延びろ、サボ…。また逢える日まで、エースとルフィの事は任せておけ…」
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ー海軍本部マリンフォードー
「どうしたんじゃ、海なんか眺めて」
「…今日ルフィが出航するらしい」
「そうか…。くそう、ルフィを海兵にする事は叶わなんだか…」
3年前、エースが出航した。
そして今日、ルフィが出航する。
弟2人とも海賊ってのはなんとなくやりづらいが、可愛い弟達の行く道が少しでも楽しい事で溢れていればいいと願わずにはいられない。
「呑もうぜ、爺ちゃん」
「まだ昼間だ、職務はどうするつもりじゃ」
「今日くらいいいじゃねぇか」
「ったく、しかたのないやつじゃ」
その日俺は、弟の船出を祝って、海軍の英雄兼祖父のじいちゃんと昼間っから浴びるように酒を呑んだ。
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新世界のとある海上。
「おい!海軍の船が1隻近づいてくるぞ!」
「なんだあの小ささは!というか1人しか乗ってないぞ!」
海軍の船を見つけたと騒ぐ海賊達。
軍艦ならまだしもいかにも怪しい小舟に海兵が1人。
普通ではなかった。
「よくわからねぇが隊長達に伝えろ!」
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なんだか海賊船が騒がしい。
まあ海兵が近づいているのだし当然か、と思いつつゆっくりと船を進める。
「ちょいと止まりなよい。そこの海兵」
声のする方を見上げると、青い炎の翼を広げた人間が船頭に立っていた。
「なあアンタ、白ひげんとこのだろう。エースってのはいるかい。2番隊隊長だって聞いたんだが」
「だったらどうしたってんだよい」
「そうかそうか!エースいるんだな!ならついでに白ひげにも会いたいんだが!」
「話を聞けよい!どこの誰かもわかんねぇ奴、しかも海兵に会わせるわけがねぇ!」
青い炎の翼を広げた男、白ひげ海賊団1番隊隊長マルコは話の通じない海兵に苛立ちを募らせていた。
「俺の名前はポール!エースに言えばわかる!頼むよ!会わせてくれ!」
「…ポール?」
その時マルコは思い出していた。エースが宴会で酔うといつも話していた世話のかかる弟と、誰よりも強いという兄の事を。
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「弟だけじゃなく兄貴もいるのか?」
「ああ、兄貴も血は繋がってねぇけどな」
「へぇ、どんな兄貴なんだ?」
「とにかく強ぇんだ。それに俺たちをとにかく可愛がってくれてよ。ガキの頃は鬱陶しく感じてたが今となってはありがてぇ。海兵なのに海賊の俺たちをちゃんと弟として見てくれる人だ」
「…そうか、そりゃいい兄貴だ」
「あの人の事だ、いつかオヤジんとこに挨拶にくるなんて事もあるかもしんねぇぜ」
「んな馬鹿な。海兵がそんな事するわけねえよい」
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「お前エースの兄貴か!?」
「おお!そうだ!なんだ、エースから聞いてたのか!なら話が早え!」
「本当に来る奴がいるか!海兵のくせして!」
「大丈夫だ!その辺はなんとかなる!」
エースも大概破天荒ではあるがコイツはそれを大きく上回るヤバい奴だ。
あらかじめエースから話を聞いてしまっていただけに、無碍にするのも後味が悪い。
とりあえずエースを呼ぶしかない、とマルコはため息をついた。
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「兄貴!?まじで来たのかよ!?」
「お〜!久しぶりだな〜エース!またでかくなったじゃねぇか!
さすがに海兵を船の上に乗せるわけにはいかないと考えたマルコは前の近くの小舟で会うように、とエースに伝え今兄弟は兄の船で再会していた。
「お前が赤髪に挨拶しに行ったって聞いてな〜。なら俺も白ひげに挨拶しなぇと、と思ってよ」
「え、オヤジに会いに?気持ちはありがてぇがそりゃできねぇよ」
「?なんでだよ、挨拶くらいいいじゃねぇか」
「いや、兄貴海兵なんだぜ…、会わせられるわけねぇよ…」
「んな堅い事言うなよ〜、とりあえず白ひげに俺が来てること伝えてくれよ!会ってくれるかもしれねぇ!」
「でもなぁ…」
その時、白ひげの船、モビー・ディック号の上からマルコが話しかけてきた。
「おーい!エース!オヤジが呼んでる!」
「オヤジが…?」
「そこの海兵も連れて来いってさ」
「!?」
「お!会ってくれるのか!」
血の気が引くエース。いくら自分の兄であるとはいえ、海兵に対して白ひげが優しく接してくれるわけがない。
もしかしたら殺されるかもしれない、そんなイメージが頭の中を駆け巡った。
なんて事を考えていたら、兄の姿が消えていた。
「いや〜、ほんとでかい船だなあ」
すでに乗船していた。
「何やってんだ馬鹿兄貴!」
「お前も早く来いよー!エース!」
自分の心配もどこ吹く風。いつも通りマイペースな兄に、少し腹が立ったエースであった。
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ーモビー・ディック号船上ー
船の中心で、白い髭を蓄えた巨漢と、若い海兵が相対していた。
「グララララ、お前がエースの兄か」
「ああ、そうだ。いつもエースが世話になってる。ありがとう!」
「グララララ!こいつァ随分と肝が据わってやがる」
「まあ、ガープの孫だしなあ、似てんだろうぜ」
「ほう、ガープの…。それなら納得だァ」
白ひげの威圧にも動じない海兵。これは白ひげ海賊団に大きな衝撃を与えた。
「エース、あいつ何者だよい。オヤジ相手にあそこまで動じない奴なんてほぼいねぇ。それに全く隙がねぇ、さっきとは大違いだ」
「…前も言ったろ、とにかく強ぇんだ。ジジイ、、海軍本部中将ガープとやり合っても負けてるとこを見た事がねぇ」
「あの若さでか…」
「さっき聞いたらもうすでに中将にまでなってるらしい。なにかと規格外な人なんだ」
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「行くのか」
「ああ、挨拶もできたしな」
白ひげと会い、弟のことについて礼を言った海兵は、もう用は済んだとさっさと小船へと戻っていた。
「いい海賊に出逢えたな。これなら安心だぜ」
「ああ、ほんとにいい仲間達さ!」
「おう、じゃあまあ楽しくやれよエース!間違っても捕まるなよ!」
「おう!」
こうして兄による弟の上司への挨拶兼職場見学は終わったのであった。
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まさか最後の会話の後、半年もたたずに公開処刑という形で再会する事になるとは、この時は2人ともつゆとも思っていなかった。
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ー海軍本部マリンフォードー
「ポール!ルフィに会いに行くがお前さんも来るか!」
「マジか!行く行く!アイツの仲間にも会いてえし!」
「ならば行くぞ!」
その日、麦わら海賊団がいるというウォーターセブンへ海軍本部の中将が2人向かう事になった。
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祖父と孫、この関係に周りが驚き、この騒ぎをどうしたらいいかと悩んでいるところに新たに1人現れた。
「おいおい爺ちゃん、壁壊して入るのはよくねぇだろ〜」
「何をやっとった!遅いぞ!」
「美味そうなもんが多くてさ〜」
両手いっぱいに食料を抱えた海兵が壊された壁から入ってきた。
「あ〜!!!兄ちゃん!!!」
「お〜!ルフィ!久しぶりだな〜!元気か!」
「え!兄ちゃん!?あんたエース以外にもお兄ちゃんいたの!?しかも海兵!?」
「おう!いる!しかも海兵!」
大事な事を今まで何も言わなかった、悪気のなさそうな船長に、クルーは全員苦笑するしかなかった。
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空を飛んで逃げていく海賊船。
「はっはっは!いや〜、見事に逃げられたなあ!」
「うむ!なかなかやりおるわい。さすがわしの孫じゃ!」
海軍軍艦の上では中将2人が大声で笑っていた。
「笑い事じゃないでしょ〜、海賊に逃げられてんだから」
「んな事言って、あんたもまんざらでもない顔してるじゃないですか」
「ま、いいもん見させてもらったしね…」
「?まあなんにせよよかったって事でさぁ。兄としては嬉しい限りなんでね!」
世界政府に喧嘩を売るという大事件を起こした海賊麦わらの一味。
この先の航海も彼らが無事に進んでいければと望むものの、しばらく後に麦わらの一味がさらなる大事件を起こす事、またさらなる事件が別で起きている事をこの兄はまだ知らなかったのである。
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ー海軍本部マリンフォードー
その日若い海兵は、祖父であるガープから話があると呼び出されていた。
「休暇?」
「ああ、フーシャ村に帰れ」
「なんだいきなり、どういう風の吹き回しだよ」
海兵に、ひいては中将である自分に休暇など意味がわからない。
「村長から連絡があってな。どうやら最近フーシャ村周りで海賊が騒いどるようなんじゃ」
「…ルフィの影響か?」
「そうじゃろうとみとる。だからワシの代わりに行ってきてくれ。センゴクの許可は取ってある」
あれだけの騒ぎを起こしたわけだからそういうこともあるのだろうか。
いまいち納得はいかないが地元が危険な目に遭っているというのなら帰らないという選択肢はなかった。
「…わかった。なら行ってくる」
「ああ、頼んだ。すまんな、ポール…」
なんとなく含みを持ったような祖父の言葉に違和感を感じつつも出発の準備をしようと自室へと向かった。
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ーフーシャ村ー
「なんだ?海賊船なんてねぇじゃねぇか」
「ポール!どうしたんじゃ!仕事はどうした!」
「はっ?仕事って、だからフーシャ村に来たんだぜ?」
「?何かあるのか?」
話が今ひとつ噛み合わない。少しずつ違和感が大きくなっていく。
「最近海賊船が村周りで騒いでるって…」
「海賊船?あぁ、まあいるにはいるが特段増えてなどおらんぞ?」
まさか。祖父が嘘をついた。そんな馬鹿なと思うがしかし、たしかに話が噛み合わない。でも何故そんな嘘を。
「ポール!ポール!」
「!マキノさん!」
酒屋の店主マキノが新聞を片手にこちらへかけてきた。
今にも泣きそうになりながら。
「おいおい、どうしたんだマキノさん」
「エースが!エースが処刑されるってほんとなの!?」
「…は!?」
理解が追いつかない。今マキノはなんと言ったか。
「だって!これ!」
そう言って手渡された新聞には、たしかに明日行われる火拳のエースの公開処刑について書かれていた。
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騙された。俺をエースの公開処刑から遠ざけるためにわざわざ…。
祖父がが変だったのもこれのせいだったのだろう。
この身は海兵。海賊を救うなどもっての外。
だが、そんな事はどうでもいい。
死なせるわけには行かない。
大事な弟だ、必ず救わねば。
それが兄として俺にできる唯一の事だから。
"剃"
"月歩"
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赤犬がエースを煽り、それに切れたエースが喧嘩を買う。
だが実力に差がある事は明白だった。
また、悪魔の実の能力ですら性能の差があるようだった。
そして赤犬の狙いはルフィへ。
マグマの拳が今にもルフィを殺そうとした時。
ガンッ!!!
マグマの拳を止める黒腕。
「「兄貴!/兄ちゃん!」」
「生きてるな、お前ら。おい赤犬、こっからは俺が相手だぁ」
「貴様…!」
突如として現れた若い海兵が赤犬の攻撃を止め海賊を守った。
こんちにわ、ぱっぱです。
サボ、エース、ルフィに少し歳の離れた兄がいたらいいなあ、助けてくれたらいいなあって思って書きました。
二次創作ですので原作ぶっ壊しで参ります。
不快にしたらすみません。