秘書艦の敷波さんの所の諸々   作:刈谷知立

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入れ忘れてしまった数行と、本文に若干の修正をしました。


同い年の敷波さんと(その十)

そう言うと、夕立はちょっと驚いたような顔をして、

それから、微笑んだ。

「うーんとね、あえて言葉にするのは、ちょっと難しいっぽい」

夕立は、一言づつを探しながらっていう様に、言葉を紡いだ。

「えっとね、特別で、大切で、幸せになって欲しくって、一緒に居たくって、、、って、一個一個挙げていったらきりがないっぽい」

困ったような、幸せなような言い方だ。

「でもね、人のことが好きなのに、愛してるとか、大好きとか、色んな言い方はあるけど、どれも私の気持ちにあってるようで、でもちょっと違うような気もして。結局、イマイチ()()とは来なかったっぽい」

『結構調べたのに』って、夕立はちょっとおどけて見せた。

「だから夕立は、普段からてーとくさんに、『好き』っていう気持ちをできるだけ形にして伝えようとしてるっぽい、、って、これはちょっと余計だったかしら」

夕立は、そこまで言って、ちょっと上品に笑った。

「でも、色々調べて、結局は言葉にできなくても、夕立の中の、てーとくさんへの気持ちは、なんていうか、それでどうにか変わるようなものじゃなかったっぽい。だから、それが私の『好き』ってことだって、今は思うっぽい」

夕立は、そうやって言葉を括った。

そうして、

「ところで、敷波ちゃんは、そっちの司令官さんが好きっぽい?」

優しさ半分面白さ半分っていう目で、わたしの方に訊いてきた。

まあ、わたしから言い出したことだし、訊かれるとは思ってたんだけどさ。

「えっとね、その、わたしはさ、『司令官のことが大切』っていう言葉が、物凄いしっくり来たんだ。でも、恋っていうのも愛っていうのも、何だか、あんまりピンと来なくって」

結局、そこまでで止まっちゃってる。

「私も、自分の気持ちは、まだ上手く言葉にはできないっぽい。今も、夕立なりに探してるところよ。でも、夕立は、あの人と一緒になる前に、あの人と一緒に居いって、あの人の側に居ることを、誰にも譲りたくないって思ったっぽい。だから夕立ってば、結構頑張ったっぽい」

『もちろん、今でもその気持ちに変わりはないわ』

夕立はそう言った。

「だから敷波ちゃんも、自分が思う通りに行動すれば良いっぽい」

なんていうか、

「そんなものなのかな」

わたしがそう言うと、夕立は、『大丈夫』『間違いない』って位の様子で、

「きっと、そういうものっぽい!」

って返してきた。

「今の自分のことなんて、後になんなきゃ分かんないっぽい、だから今は、側に居たい時には、側に居させてって、話したいたら話をしようって、司令官さんに言ってみちゃえば良いっぽい!!そうしてる内にきっと、在りたい姿くらいは見えてくるっぽい!!」

もしかしたら、そういうのも()()かもしれない。

「でもさ、それって、司令官は迷惑だったりしないかな?」

わたしだけが、やりたいようにやっちゃって。

「敷波ちゃんはきっと、それでも司令官さんのことは大切にしちゃうっぽい」

夕立は自信満々にそう言い切った。

『なんで?』

って、思わないことはない。

でも、夕立がそう言うなら、

何だかそんなような気もして、

結局わたしは、

「、、、そう?」

って、聞き返すだけだった。

「そうっぽい!!」

そうして、何だかそれがおかしくなって、

二人して笑った。

 

、、、

 

「じゃ、またね」

「またねっぽーい!!」

「色々と大変だろうが、頑張ってな」

「色々終わったら、今度は飲もうぜ」

あのあと、わたし達は、色々と雑談をして過ごした。その日の翌日(要は今日なんだけど)の午前中に公の会議の場で、公式の案件の具体的な話を詰めた後、一緒にうちの鎮守府のみんなに会って回ったりして、今しがた、夕方になってから、夕立ちゃんと、夕立ちゃんの司令官を港で見送った。

「司令官、昨日は楽しめた?」

「うん、鷹司さんは、僕がお酒を飲めないのが残念だったらしいけど」

「わたしも、結構話し込んじゃって、いや、寝たのはそんなに遅かった訳じゃないんだけど」

まあ、別れた時間が早かったしね。

「ところで、あのさぁ、司令官さぁ、ちょっと言いたいことあるんだけど」

「うん?」

まあ、そんな大したことじゃないけど、

「今日さ、夜執務室で、久しぶりに、二人で映画でも見ない?今から交代で寝といてさ」

ちょっと、そんな提案をしてみる。

「別に良いけど、どうして?」

それは、まあ、

「ちょっと、そういう気分になっただけ」

 




この後の日常パートは、ちょっと特別なのを一話完結で3つ出したいと思います。
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