そう言うと、夕立はちょっと驚いたような顔をして、
それから、微笑んだ。
「うーんとね、あえて言葉にするのは、ちょっと難しいっぽい」
夕立は、一言づつを探しながらっていう様に、言葉を紡いだ。
「えっとね、特別で、大切で、幸せになって欲しくって、一緒に居たくって、、、って、一個一個挙げていったらきりがないっぽい」
困ったような、幸せなような言い方だ。
「でもね、人のことが好きなのに、愛してるとか、大好きとか、色んな言い方はあるけど、どれも私の気持ちにあってるようで、でもちょっと違うような気もして。結局、イマイチ
『結構調べたのに』って、夕立はちょっとおどけて見せた。
「だから夕立は、普段からてーとくさんに、『好き』っていう気持ちをできるだけ形にして伝えようとしてるっぽい、、って、これはちょっと余計だったかしら」
夕立は、そこまで言って、ちょっと上品に笑った。
「でも、色々調べて、結局は言葉にできなくても、夕立の中の、てーとくさんへの気持ちは、なんていうか、それでどうにか変わるようなものじゃなかったっぽい。だから、それが私の『好き』ってことだって、今は思うっぽい」
夕立は、そうやって言葉を括った。
そうして、
「ところで、敷波ちゃんは、そっちの司令官さんが好きっぽい?」
優しさ半分面白さ半分っていう目で、わたしの方に訊いてきた。
まあ、わたしから言い出したことだし、訊かれるとは思ってたんだけどさ。
「えっとね、その、わたしはさ、『司令官のことが大切』っていう言葉が、物凄いしっくり来たんだ。でも、恋っていうのも愛っていうのも、何だか、あんまりピンと来なくって」
結局、そこまでで止まっちゃってる。
「私も、自分の気持ちは、まだ上手く言葉にはできないっぽい。今も、夕立なりに探してるところよ。でも、夕立は、あの人と一緒になる前に、あの人と一緒に居いって、あの人の側に居ることを、誰にも譲りたくないって思ったっぽい。だから夕立ってば、結構頑張ったっぽい」
『もちろん、今でもその気持ちに変わりはないわ』
夕立はそう言った。
「だから敷波ちゃんも、自分が思う通りに行動すれば良いっぽい」
なんていうか、
「そんなものなのかな」
わたしがそう言うと、夕立は、『大丈夫』『間違いない』って位の様子で、
「きっと、そういうものっぽい!」
って返してきた。
「今の自分のことなんて、後になんなきゃ分かんないっぽい、だから今は、側に居たい時には、側に居させてって、話したいたら話をしようって、司令官さんに言ってみちゃえば良いっぽい!!そうしてる内にきっと、在りたい姿くらいは見えてくるっぽい!!」
もしかしたら、そういうのも
「でもさ、それって、司令官は迷惑だったりしないかな?」
わたしだけが、やりたいようにやっちゃって。
「敷波ちゃんはきっと、それでも司令官さんのことは大切にしちゃうっぽい」
夕立は自信満々にそう言い切った。
『なんで?』
って、思わないことはない。
でも、夕立がそう言うなら、
何だかそんなような気もして、
結局わたしは、
「、、、そう?」
って、聞き返すだけだった。
「そうっぽい!!」
そうして、何だかそれがおかしくなって、
二人して笑った。
、、、
「じゃ、またね」
「またねっぽーい!!」
「色々と大変だろうが、頑張ってな」
「色々終わったら、今度は飲もうぜ」
あのあと、わたし達は、色々と雑談をして過ごした。その日の翌日(要は今日なんだけど)の午前中に公の会議の場で、公式の案件の具体的な話を詰めた後、一緒にうちの鎮守府のみんなに会って回ったりして、今しがた、夕方になってから、夕立ちゃんと、夕立ちゃんの司令官を港で見送った。
「司令官、昨日は楽しめた?」
「うん、鷹司さんは、僕がお酒を飲めないのが残念だったらしいけど」
「わたしも、結構話し込んじゃって、いや、寝たのはそんなに遅かった訳じゃないんだけど」
まあ、別れた時間が早かったしね。
「ところで、あのさぁ、司令官さぁ、ちょっと言いたいことあるんだけど」
「うん?」
まあ、そんな大したことじゃないけど、
「今日さ、夜執務室で、久しぶりに、二人で映画でも見ない?今から交代で寝といてさ」
ちょっと、そんな提案をしてみる。
「別に良いけど、どうして?」
それは、まあ、
「ちょっと、そういう気分になっただけ」
この後の日常パートは、ちょっと特別なのを一話完結で3つ出したいと思います。