司令官が連れていってくれたのは、島の真中の山の小道を15分位行った所だった。
執務室には、居場所と、書類は置いておいてくれればいいという旨の紙を残してきたから大丈夫だろう。
無線も一応持ってきたし。
そこにあったのは、
山の斜面を均したところにある、なんてことはない和風の建物、
だったんだけど、
「司令官、これなんの建物?」
どうみてもただの一軒家だ、、、
明らかに、鎮守府の施設ではない、と思う。
いや、わかんないけど。
「えっと、、、一応、僕の家になるのかな」
、、、家だった。
「なんか特別な仕掛けがあったりはしないの?」
「、、、しないね」
ほんとにただの一軒家だったよ。
思わず司令官を見つめちゃった。
そうしたら、
司令官はどうにも気まずそうに、
「とりあえず、中に入らない?話すのはそれからにして」
って言った。
うん。
まあ、訊きたいことはいっぱいあるけど、
「そうしよっか」
暑いしね。
そんなわけで、
とりあえずその話は涼しくなった後で、ってことにして、
司令官と一緒にその一軒家にあるものを色々集めた結果、
「「あー、涼しいー」」
今、わたしと司令官は縁側で、
旅館にあるような座椅子に座って、
足を水バケツに突っ込んで、
扇風機に吹かれてる。
ああ、涼しい。
、、、
さて、
随分と気が抜けてしまったけど、
話しを戻そう。
「で、司令官。この家って一体何なの?」
今更どうでもいい気もするけど、、、
「うーん、どこから話そうか」
そういうと、
司令官はちょっと笑いながら話し始めた。
「えっと、この話し自体長門さんから聞いた話しなんだけど、、、
この鎮守府が完成して、いよいよ僕と敷波とが着任する。っていう少し前に、
ちょっとした、何にもない暇な期間があったんだって。
それで、作っている途中は誰も気づかなかったみたいなんだけど、
いつのまにかこんな立派な家ができてたらしいんだ。
まあ、そんなことをできるのは、
お察しの通り妖精さんだけなんだけど。
当時そこにいた人たちの中で、たまたま散歩の途中に通りかかったらしい長門さんが完成したそれを見つけたんだって。
当然、地図にも予定にはない建物だったから、
家の近くにいた妖精さんに、どういうわけか聞いてみたらしいんだけど、
そうしたら、その妖精さん曰く、
『どこに行っても洋風のおっきな建物しか作らせてくれないからみんなでむしゃくしゃしてやった』
そうで
『材料やらは自前』
らしく
『作って満足したから好きに使っていい』
上に
『整備は勝手にやっておくから残しておいてくれ』
って言われたんだって。
そうは言っても処理には困るから、
とりあえずここの司令官用の家ってことにしたみたい」
そんなことが、、、
「そんなに前からあったんだ。全く気づかなかった」
着任してからかれこれ3年になる。
割とショックだ。
「まあでも執務室の隣に自室があったし、
あんまり自分で使う気になれなかったから、
普段は二階を物置にして、鍵だけ開けといて、
一階は誰でも好きに好きに使えるようにしてる」
なるほど。
そういうことだったんだ。
「じゃあみんなここのことは知ってたの?」
でも、そうだとしたらかなりショックだ。
「ん〜と、いや、そうでもないよ。
知ってるのは1、2、3、4、、、7人か8人だと思う」
よかった。
いや、よくはないか。
まあでも、
この建物の事情もわかったことだし、
「それで、何しよっか?」
そろそろ、退屈さの方の対策をしよう。
「ていうか、ここってなんか暇つぶしになるようなものあるの?」
できればこの状態からあまり動きたくないんだけど。
「えーっと、、、二階の段ボールに本が入ってたと思う。
あと、ここによく来てる人たちが色々とボードゲームやらを居間に置いていってるらしい」
ここまで以てくるのがめんどくさいから、
二階の段ボールはそのまま置いとくとにしても、
2人しかいないとは言っても、遊ぶものががそこそこあるなら晩ご飯の時間くらいまでなら退屈しなさそうだ。
「じゃあ、何からしよっか」
まあまず、見つけないとだけど。
ボードゲームなんかは、居間にまとめて置いてあって、案外すぐ見つかった。
囲碁や将棋、オセロみたいなのから、見たことがないものまで結構あった。
その中で、ルールを知っているものだとか、説明書のついてあるものを、2人して片っ端からやっていった。
そうやって、楽しい時間が過ぎていった。
まだ続きます。
囲碁とか将棋とかの話も書きたいな〜、と思っています。