お久しぶりです
短くても更新どうにかしていきます
外はもう夕焼け、真っ赤な太陽があと少しで海面に着くであろう時間帯。
俺とセラは砂浜に二人きりで居た。
「…本当に話せるのか?」
「…うん。大事なことだし。」
「…はぁ…わかった。」
一緒に寝たことでセラは精神に少しゆとりを持てたようで、これからのことの第一歩として彼氏のスノウ君に別れを告げてくるとの事だ。
「スノウ君はまあ…良いとして、問題はお姉ちゃんの方だよな…どうするよ?」
「…どうしよっか、でも大丈夫でしょ。」
「その心は?」
「義兄ちゃんがいるから。」
「…期待に応えられるよう頑張らせていただきます。」
「うん!頑張ってもらいます!それじゃあちょっと行ってくるね。」
その時のセラは少し不安そうな表情を見せながらも気丈に振る舞っている…ちょっと見てて辛いかなって感じだった。
「さて…と。……この後どうしよ。」
セラはスノウ君に別れを告げるため何処かに行ったと思う。あの顔はライトニングが覚悟を決めたときにそっくりだったからだ。
「いや…それよりも家族にどう言ったものか。」
親父は兎も角、母さんとホープは此処ボーダムに滞在しているだろう。会おうと思えば会えるんだが…な。
「問題はセラの夢のことなんだよな…。」
セラ曰く、今まで見たことない場所に横たわっていて、其処にライトニング、スノウ君に、俺、その他複数名がその場にいたという。
ファルシってのはルシの刻印を着ける際、使命を夢として見せるという。それが基本的には曖昧すぎて使命を果たせずにシガイになってしまう…というのがオチだ。
これは下界でもコクーンでも変わりはない。
「…行ってみるか?ファルシの中。」
ぶっちゃけ、此処でじっとするよりファルシの中であれやこれややった方が幾らか手っ取り早い。だがリスクもある。
それは俺がルシになるっていう二次災害が懸念される。
「まてまて…流石にそれはアホすぎだろ。」
身近にルシになった奴がいるんだ。俺までルシになってどうするよ。だが…少し疑問がある。
「下界とコクーンは対立関係と言って良いほど組み合わせは悪い。そしたらセラの夢に辻褄が合わない。なぜ俺達を一緒に合わせる必要があるんだ。」
何だったけか。コクーンを滅ぼすヤバイやつ、そんな伝承がどっかにあった筈なんだが…
腕を組みその伝承を頭から引っ張り出そうとしてると、ポンポンと肩を叩く感触が伝わる。
「なんっ。」
「イタズラ成功!」
「母さん子供じゃないんだからさ…」
肩を叩かれた方向に顔を向けると頬に人差し指が刺さった。そこには本当に二児の母なのかと疑問に思うぐらい若々しい母さんと、それを呆れて見る弟がいた。
「…なにしてんのよ。てか何して此処にいるのさ。」
「あら~ちょっとなに?その反応母さん寂しいな~。」
「うん。ホープ詳しく。」
「買い物帰りに偶々見つけたから。」
「おけ把握。」
「本当は近寄る気は無かったんだけど、母さん聞かないからさ」とやれやれと言わんばかりに、まるで親子逆転してる位の落ち着きっぷり。まあ、この若干の乙女具合が実家の近所の評判みたいなんだけど。
「んー?それでお兄ちゃんは何をそんなに悩んでいたのかな?それにこの服に着いてる髪の毛、もしかしてさっきまで女の子といたの~?」
「……居たけどそんなんじゃないからね。」
「もう!照れなくて良いのに!何々?此方で女の子引っ掻けたの!?もしかして軍に美人さんでもいたのー!?もう!紹介してよ!どんな人!?どんな人なのさ!?」
「だぁー!もうめんどくせえ!スイッチ入りやがった!」
「こうなった母さん止まらないからね。大人しく全部吐いた方がいいよ。」
そう。我が家の母は「学生か!?」と言わんばかりに恋バナが三度の飯より好きなのだ。
まあこれが初めてって訳じゃないから良いんだけどさ。
「さあ行くわよ!ほら!荷物もって!」
「行くってどこにさ。」
「何言ってるのよ。あなたの部屋よ。」
「何で!?」
「どうせ貴方の事なんだから部屋汚いんでしょ!この際だから片付けるから!ほら!早く!」
「…ったく。」
「ほら。これもって。」
「あいよ。ってちょっと待て。」
「なにさ?」
「ホープなんで手ぶらなんだよ。てか何で全部おれ持ち?」
「何かおかしい?」
「…わかった。後で覚えとけよ。」
目線の先に「急いで!」と急かす母さんとホープ。その後ろを俺は「へいへい」と言いながら二人分の荷物を抱えてついていく。
その三人の足元には夕日に照らされた長い影が映し出されていた。
「あ…そうだホープ。お前なら知ってるか?」
「何さ?」
「ほれ。伝承かなんかでコクーン滅ぼすとか言われてる。あれって何だっけ。」
「…兄さん。流石にそれは覚えておこうよ。」
「うっせ。で?なんだっけか。」
「ほらそれはあれだよ。」
「『ラグナロク』だよ。」