ff13-絶望を反転させるために-   作:日常自販機

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お待たせしました


母は強し

「さて…行きますか」

 

覚悟は決まった。セラに手助けすべく、あの遺跡に乗り込む。そのためには抉じ開けるための爆薬、それに類するもの。愛用の長刀。そして水と食料。

思いつく限りではこんなもんだろ。んで、今俺の家にあの二人が寝ているから書き置きでもして離れればいいか。

最後に、身体を弄って忘れ物がないか確かめる。するとポケットに違和感があった。

 

「そういや、ミサンガ渡しそびれたな」

 

ライトニングの為のミサンガがポケットに入ったままだった。…どうすっかこれ。

 

「……行く最中にポストに入れとくか」

「それはちょっとどうかと思うな〜」

「っ!?母さん!?」

「ちょっと…!静かに…!」

 

人差し指を口元にあて「静かに!」と告げた。ホープが起きてこないことがわかり、その仕草を解いた。

 

「…ふう。全くどうしたのよ?こんな夜更けに」

「…あーいや…その…なんだ?人助け?」

「ふーん?嘘はついてないようね」

「…因みに何故?」

「母の勘」

「………」

 

グウの音も出なかった。

 

「全く…せめてバースデーカードぐらい着けなさいって。そうでもしなきゃかわいそうでしょ?」

「あいつが…かわいそう?」

 

落ち込んでいるライトニングの姿を想像してみるが…全く想像つかない。セラならわかるが。

 

「もう…女心がわかんないのね。そこはお父さん似なのかしら」

「えー…変なところ似ちまったのか。わかった…何かしら同封するよ」

 

とは言っても、そんな洒落た便箋は無いため白紙に書くしか無いんだがな。

適当に祝の言葉に何か一言付け添えてっと、あとは悪巫山戯で…完了。

そうだ。ついでに聞きたいことがある。

 

「あのさ…母さん」

「なに?」

「もしだぞ?もし俺がルシ…下界のルシになったらどう思う?」

「…それって貴方の今後に関わる話?」

「…そんなところ」

「んー…突然言われると悩むし、考えたことも無いんだけど…」

 

母さんは軽く悩んだ後、「そうね」と言葉を続けた。

 

「『頑張れ』って思うわ」

「…それだけ?」

「それだけね。思いついたのは。あとは『シガイになんかなるんじゃないわよ!』ぐらいよ。せめて孫は見せてもらわないと。おばあちゃんって呼ばれたいもの」

 

その願望に思わず苦笑してしまう

 

「それはホープに言えよ。アイツのほうがモテてたろ」

「どうかしら。あの子は年上からの受けは良かったわよ?逆に貴方は同年代から年下に掛けて評判良かったわ」

「それはどこ情報?」

「母親ネットワーク」

「世間話ね」

 

本当によく言ったものだ。ていうか何処に目があるのかわからないし、いつ話のネタにされるかわかったもんじゃないな。

 

「んじゃそろそろ行くよ」

「あら?もう行くの?」

「まあ明日でも良いんだけど、今日の方が動きやすそうだからな」

「そっか。それじゃあ『頑張って』」

「ああ『頑張る』…すまん助言を1つ。確か明日花火大会あったろ?」

「ええ。願いを叶える花火よね?」

「それ見ないで大人しく家に帰ったほうが良いかも知んない」

「それは…下界絡み?」

「ああ。まあ今すぐ起きるとは保証は無いし、杞憂かもしんない。用心だけはしといてくれよ」

「ええ。わかったわ。此方は任せて」

「…大丈夫か?」

 

やはり心配はする。唯一無二の母なのだから。このまま遺跡に行かないで、一緒に行動していたほうがいいのではないかと思ってしまうぐらいに。しかし母は決まってこう言う。

 

「もちろん。『母は強し』よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

遺跡付近

 

「〜〜〜!!!??」

「はーい、ちょっとお静かに」

 

眼の前の監視兵のマスクから曇った声が漏れ出す。夜更けということもあり、少し集中力を欠いている兵士が少しばかり居た。その兵士達を狙い、背後から首元にナイフを突き刺し始末する。

 

「遺跡までは…ざっと20と機甲兵が5位か」

 

遠目でも明かりが残っているのがわかる。兵士はともかく機械は破壊すると目立ってしまう。そうなると増援が来てしまい時間が掛かる。

 

「一か八かやってみますか」

 

眼の前の兵士から無線機と個人情報の乗ったカードを取り出し、鼻を摘み声色を少し変える。

 

『此方!っっごほ!がはっ!ファルコ3!敵襲!っっ!敵は森から侵入!正体は…っふめ゛い!至急応援を!っぅ゛』

『おい!どうした!ファルコ3!?』

 

応答が入った瞬間無線を切る。この兵士以外にも始末した者はそれなりにいるため、遺跡前の兵士が動いてくれると良いんだが…

 

「っとキタキタ」

 

賭けに勝ったようで、隠れていた所を横切るように件の兵士達が動いてくれた。しかし機甲兵はそのままだ。

 

「んー微妙」

 

だが、10人ほどいなくなった為動きやすくなったのは事実。

 

「それじゃあ『頑張ります』か!」

 

「っ!!敵襲!敵ぐわっ!?」

「はーい。ちょっと黙って!」

 

一番近くにいた兵士に叫ばれはしたが瞬時に長刀を逆手に持ち、投げつけ頭を貫く。そして第二第三と兵士が続くが、長刀を引き抜き胴体を斬り裂いていく。

 

「これで3!っうお!?」

 

足元に銃弾が着弾し火花が散り、直ぐ様横に飛び遮蔽物の後ろに隠れる。俺が隠れたところが、判ったのかその遮蔽物に大量の銃弾が叩き込まれる。

 

「どうすっかな…」

 

斬り裂いた兵士達から使えるものを物色する。そこには手榴弾が計3つ、銃が2丁、マガジンが4つ出てきた。

 

「…よし」

 

手榴弾のピンを外し、背を向けたままの体勢で出来る限り強く相手に投げつける。

 

『っ!?手榴弾!!』

『よけろっ!!』

 

その言葉を聞いた瞬間、残り2つの手榴弾を投げつける。

 

「っっ……そこっ!」

 

宙に浮いている内に手榴弾に弾を打ち込む。それにより手榴弾が破裂し宙で爆発が起こる。

近場に機甲兵もあったからか一層爆発がデカくなった。

しかし、あくまで巻き込めたのは兵士数人に機甲兵2機だけだった。

後続に居た兵士と機甲兵が前線に上がってくる。

長期戦になると誘い出したお客さんが戻ってくる可能性がデカくなるため素早く眼前の敵を屠らなければならない。

 

「…あーめんどくさっ!」

 

左手の銃を乱射し、右手で物干し竿を肩に担ぎながら距離を詰める。途中弾が無くなった為相手に投げつけ怯ませる。その隙に機甲兵に真下から斬り上げ半分にする。

左側に展開していた機甲兵から銃弾が放たれるが一泊遅い。半分にした後、その勢いで中央から斬りつけ上下に分断する。

 

「残り1機と5人…かな?!っ!」

 

 

『撃てっ!撃てっ!』

『相手はたった一人だ!』

『これ以上やらせるな!』

『応援はすぐに来る!持ちこたえろ!』

 

「どけや!ごらぁ!」

 

自分に当たるであろう銃弾を長刀で弾き返して突き進む。この時、取り回しが酷く何発か身体に掠る。

 

『っ!?近寄らせるな!撃ち続けろ!』

「遅い!」

 

地面を力強く踏み抜き相手の頭上に躍り出る。兵士の一人を左肩から右脇腹に掛け斬り裂く。

そこから返す刀で2人目を再起不能に。

3人目から距離があった為、物干し竿を横に回転させながら投げつける。範囲内の3人はこれで終わり。

 

「これで!ラスト!」

 

最後の機甲兵は突き刺さっていた長刀を回収し十字に斬り裂く。

 

最後の奴、俺を見失ったのか全く動かなかったな。

 

「さっさと行きますか!」

 

遺跡に向かって走り出す。後方からエライサイレンの音が聞こえるが気にしない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そういやポーション買うの忘れてた

 

 

 




機甲兵って言えば皆伝わるかな
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