魔法少女まどか☆マギカーanother mindー   作:ナハトムジーク

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望まぬ憑依。そして強制逆行。

『さあ、叶えてよ! インキュベーター!』

 

「ま、まどかーーーー!」

 

こんなのってないよ。せっかくほむらがまどかを助けようと頑張ってたのに、まどかが神みたいな存在になっちゃってほむら以外誰もまどかの事を覚えてないなんて……今まで頑張ってきたほむらに鞭打つような願いだよ。

 

「他の子も大概ひどい子だったよなぁ。マミさんは後輩(仮)の前だからって格好つけて自滅。さやかは上条の腕を治して魔法少女になったけど、魔法少女の真実を知ってその上、上条を親友に取られて魔女になって自滅。杏子はさやかを煽りに煽って、その上手のひら返しで魔女になったさやかを助けるためにまどかを連れてさやかと戦って自爆。……みんな中学生らしい行動だし、ほむらの行動も酷かったけど、これはないよなぁ」

 

 

まったく。酷いストーリーだぜ。おのれ、虚淵ィイイ!

 

本当に胸糞悪いストーリーだぜ。もし俺が、ほむらだったら……そもそも、1回目の時間遡行で諦めるね。だってどう考えても無理ゲーだもん。それにいくら友達とはいっても命を懸けて助けるのは無理だわ。

 

「でも良い物語だった。さぁて、そろそろ寝るか」

 

俺は、ベッドに入って目を瞑り、眠りにつく。

 

 

いつの間にか、知らない場所に来ていた。ソファーにガラスで出来た机、そのソファーにはシートベルトのような物がつけられている。そして、俺の座っている場所の向かいには、老人と女の子が座っていた。外を見ると暗いが雲や、金属で出来た羽のような物が見える。どうやらここは飛行機の中のようだ。

 

「ようこそ、我がベルベットルームへ」

 

俺の正面に座って、顔の前で腕を組んでいた老人がそう言ってきた。大きく飛び出た目、人体的にはあり得ない長さの鼻。どこかで見た事があるような気がするが、頭に霧がかかったように思い出せない。

 

「ほう……これはまた、変わった定めをお持ちの方がいらしたようだ……フフ」

 

老人が笑いながら言う。

 

「私の名は、イゴール。……お初にお目にかかります。いや、貴方にとっては初めてであって初めてではない。と言ったところでしょうか。……フフ。ここは夢と現実、精神と物質の狭間にある場所……本来は、何かの形で"契約"を果たされた方のみが訪れる部屋……貴方には、近くそうした未来が待ち受けているのかも知れませんな」

 

契約?何のことだろう?

 

そう思っている間にも話は進む。

 

「では、貴方の未来について、少し覗いてみると致しましょう」

 

そう言って老人は机に手を置いたと思ったらすぐに手をどける。そこには今までなかったはずのカードの束が置かれていた。

 

「"占い"は、信用されますかな?」

 

イゴールが手を振るうとカードが動き、規則正しい場所に6枚並べられた。

 

「常に同じにカードを操っておるはずが、まみえる結果は、そのつど変わる……フフ、まさに人生のようでございますな」

 

イゴールが手首を返す。そうすると、俺の向かって一番右下のカードがめくれる。

 

「ほう……近い未来を示すのは"塔"の正位置。どうやら大きな"災難"を被られるようだ。そして、その先の未来を示しますのは……」

 

イゴールがまた手首を返す。今度は一番左下のカードがめくられる。

 

「"死神"の逆位置。"上昇"そして"始まり"を示すカード……実に興味深い。貴方はこれから向かう地にて災いを被り、何かが"始まる"ようですな。近く、貴方は何らか"契約"を果たされ、再びこちらにおいでになる事でしょう。そして、始まりの次は終わり。また始まります。このループが解かれなければ、貴方の未来は閉ざされてしまうやも知れません。私の役目は、お客人がそうならぬよう、手助けをさせて頂く事でございます」

 

そう言って、イゴールはカードを消す。

 

「おっと、ご紹介が遅れましたな。こちらは、インレット。同じくここの住人でございます」

 

そう言って、隣に座っていた女の子を紹介してきた。女の子はつまらなそうな顔を一転、満面の笑みを作って笑いかけてきた。

 

「初めましてです! インレットです! これからよろしくお願いしますね? お兄ちゃん!」

 

「……ゴホン。……詳しくは追々に致しましょう。ではその時まで、ごきげんよう……」

 

急に眠気のようなものが来て、俺は意識を失った。

 

 

 

変な夢を見たような気がする。

 

「ここは……どこだ?」

 

俺の部屋じゃない。病院みたいだ。白い部屋に、白いベッド。白い羽毛布団。どうして病院にいるんだ?もしかして、寝てる間に心臓麻痺にでもなって病院にでも運ばれたか?

 

「何でだ……あれっ!?」

 

声が……異常に高い。

 

「それだけじゃない! 手も!髪も!身体も! 俺の体じゃない!」

 

手が異常に小さい!髪も長い!身体も細い!? まるで女みたいだ! いや、女の身体になっている!? しかも、相当若いみたいだ!

 

一体何が? あそこにある鏡で姿を確認しないと!

 

「……これは!?」

 

女になっている!? 病院で寝たきりにでもなって身体が痩せ細っていったんじゃないかとでも思っていたんだが、この顔は俺じゃない。別の、それも女の顔だ!

 

「俺は……誰だ!?」

 

そうだ! ここが病室なら、部屋の外に名前が書いてあるはず!

 

俺は、部屋の外に飛び出て部屋の住人の名前を見る。

 

「暁美……ほむら?」

 

そこには魔法少女まどか☆マギカの主人公ともいうべき存在。暁美ほむらと書いてあった。

 

「はっ……はははっ! 夢か! 焦ったー。こんな事、現実にある訳ねぇもんな! ありえるわけねぇ。まどマギのほむらになるなんてありえねぇ。つまりこれは夢! いやー。リアルな夢だぜ!」

 

さて、夢だとわかったのは良いんだけど。目がバッチリ覚めちまってる。いや、夢なのに「目が覚めてる」なんて表現はちょっとばかりおかしいけど、そんなのはどうだっていい。これが夢だって言うんなら、目が覚めるまで楽しむだけだ。

 

俺は一旦、ほむらの病室に戻る。

 

「さて、そう言えば、このほむらは魔法少女なのか? いっちょ変身してみるか!……変身!…………あれ?」

 

変身しない。このほむらは魔法少女じゃないのか? それとも俺が変身できないだけか?……わからん。

 

「つまんねぇな。やーめた。このまま、夢が覚めるまで適当に遊んでるか」

 

何しようかなぁ。あ、そうだ!ほむらちゃんの身体検査でもしようかなぁ~~。げっへっへっ!

 

 

 

 

「つまんね」

 

身体が女だからかまったく興奮しない。ぺったんだし。ケツもでかくないし。

 

「そう言えば、今は何日なんだ?」

 

カレンダーを見てみる。3/16日か。

 

ほむらは1ヶ月をループしているって話だったな。

 

「ということは、ワルプルギスが来るのは4/16日か」

 

新学期始まってすぐか。大変だな。

 

適当にベッドで寝て、さっさと起きるとしよう。

 

 

 

 

次の日

 

 

「うそん」

 

起きた俺はやっぱり病室にいて、暁美ほむらの身体に憑依していた。

 

きちんと寝た感覚がある! 飯を食った時も、満腹感があって、触覚も、嗅覚も、視覚も、味覚も、聴覚もある! おかしい! これは本当に夢なのか!? もしかして、二次創作でよくある憑依!? 嘘だろ!

 

「ど、どうしよう!? いや、この体は確かに暁美ほむらのもの"だった"! でも、今は俺のだ! 俺の体の使い方は俺が決める!」

 

そうだ! 暁美ほむらみたいになってたまるか!

 

俺はこの日、この時をもってまどかを助けない事を誓った。

 

 

 

3/25日

 

今日も見滝原中学は平和で、いつも通りのホームルームをしていた。

 

「今日は皆さんに大事なお話があります!心して聞くように!目玉焼きとは固焼きですか?それとも半熟ですかはい、中沢君!」

 

「え!? え~っと。ど、どっちでも良いんじゃないかと」

 

先生に不意に指名された中沢は驚き戸惑いながらそう返した。

 

「その通り! どっちでもよろしい! たかが卵の焼き加減で女の魅力が決まると思ったら大間違いです! 女子の皆さんは、くれぐれも「半熟じゃなきゃ食べられない」とか抜かす男とは交際しないように! そして男子の皆さんはくれぐれも卵の焼き加減にケチをつける大人にならない事!」

 

どうやらこの先生は色々あった末に、卵の焼き加減にケチをつけられ、それが発端となり彼氏と喧嘩別れしてしまったらしい。

 

「ダメだったかぁ」

 

そんな声が教室から聞こえる。

 

「んんっ! はい。あとそれから今日は皆さんに転校性を紹介します。じゃあ、暁美さ~ん! いらっしゃ~い!」

 

担任の先生に促され、ほむらはは教室に入る。すると、クラスメートがざわつき出す。どうやらこのほむらの容姿を見て浮足立っているらしい。

 

「はーい。それじゃあ、自己紹介、行ってみよう!」

 

「あーっと、暁美ほむらって言います。小さい頃から身体の調子が悪くって良く入院を繰り返してました。趣味は本を読むこと。得意科目は国語と体育。ちょっと変な時期に転校する事になってしまいましたけど皆に速く溶け込めるように頑張ります。でも、出来るだけ声をかけてくれると嬉しいです。……以上です!」

 

パチパチと教室の中から拍手が沸き起こる。ほむらは憑依前の人生も合わせて初めての転校の自己紹介をして緊張で笑顔が引きつっていた。

 

ほむらは緊張からきょろきょろと教室中を見渡していた。そして、その視線はある一点で止まった。

 

(あれが……鹿目まどか!)

 

(な、なんだろう? 暁美さんに睨まれてる?)

 

(そして、あれが美樹さやか!)

 

(ん? 睨まれてる? なんか嫌な感じ)

 

「暁美さんはあそこの席に座ってくださいね?」

 

「はい」

 

ほむらはは歩いてゆっくり席に座った。鹿目まどかと美樹さやかに不信感を与えながら。

 

 

 

休み時間

 

俺は新しいクラスメートに囲まれて質問攻めにあっていた。

 

「暁美さん。前はどこの学校にいたの?」

 

「えっと、ミッション系……キリスト教とかの組織が経営してる学校に通ってたんだ」

 

「暁美さんの髪。すごい綺麗だね! いつも、何を使ってるの?」

 

「普通のシャンプーとリンスだ。強いて言うなら、ドライヤーで乾燥しすぎない程度に乾かしてるだけだな」

 

「なんか暁美さんって男の子みたいなしゃべり方だね」

 

「それは、ちょっと色々あってな。このしゃべり方がしっくりくるからこうしゃべってるんだ。気を悪くしたら悪い」

 

おっと、質問の返事をしている間に結構、時間が経っちまったな。

 

「悪い。保健室に行って薬もらって来るように言われてるんだ。誰か保健室に連れてってくれるか?」

 

「それなら、保健委員は鹿目さんだから、鹿目さんに頼んで。おーい。鹿目さーん!」

 

クラスメートに呼ばれると鹿目まどかがこっちに来る。

 

「悪いな。鹿目さん。俺、保健室に行きたいんだ。連れてってくれるか?」

 

「うん! わかった! ついて来て」

 

そう言って鹿目まどかと俺は教室を出ていく。

 

「ここは美術室。こっちは音楽室ね?」

 

鹿目まどかは教室の説明をしながら俺を保健室まで連れていく。

 

「……ねぇ」

 

渡り廊下を渡った時に鹿目まどかが俺に話しかけてくる。

 

「自己紹介の時、私を見てたよね? 私達ってどこかで会ってる?」

 

そう言ってきた。

 

そう言えば、ちょっと睨んじゃってたな。良いけど。それにしても驚いたな。まどかが自分から話しかけてくるなんて。アニメだと気弱でこんな事する人間には……そう言えばほむらの1巡目の世界はこんな感じだった。……もしかして……

 

「会っちゃいないよ」

 

「そうなんだ」

 

「なあ、あんた「まどかで良いよ」……まどかはもしかして……魔法少女ってやつなのか?」

 

俺がそう聞くとまどかが驚いた表情でこっちを見た。

 

当たりか? それとも、俺が突飛な質問をして驚いているのか? もし後者だったら俺の学校生活は終わるな。失敗だったかもしれん。

 

「暁美さん「ほむらで良い」ほむらちゃんも魔法少女なの!?」

 

声が大きい。誰かに聞かれたらどうする。まぁ、これでまどかが魔法少女なのは確定か。

 

「いいや。俺は違う。生憎、命を危険に晒してまで叶えたい願いなんてなかったんでね」

 

「そうなんだ。でも、やりがいはあるよ?」

 

「それでもだ。命の危機だったら願うかもしれないけどそれ以外じゃな」

 

「そっかぁ。あ! この学校にね? 魔法少女の先輩がいるんだよ!」

 

巴マミの事か。男の時は「あのおっぱいをマミマミしたいお!」とか言ってたんだけど。今はそんな気持ちになるのかな?

 

「へぇ。会ってみたいな。どんな人なんだ?」

 

「あのね?」

 

マミの事を話しながらまどかは保健室に俺を連れていってくれた。

 

 

 

 

3/27日

 

俺はまどかに連れられてマミの家に来ていた。

 

「いらっしゃい。あがってちょうだい?」

 

「「おじゃまします」」

 

マミに促されて入った部屋にはすでに美樹さやかと白い猫のような生物。キュウべぇがいた。

 

「紹介します。この前、私達のクラスに転校してきた暁美ほむらちゃんです」

 

「ほむらです。よろしくお願いします。ほむらって呼んでください」

 

「ご丁寧にありがとう。巴マミよ。マミさんで良いわ」

 

マミに自己紹介される。

 

「同じクラスだから顔は知ってるよね? 美樹さやかちゃん。私の友達だよ」

 

「よろしく美樹さん。ほむらで良いぜ」

 

「……よろしく」

 

さやかが睨みながら俺に挨拶を返してきた。どうやらすでに不信感を与えてしまったようだ。

 

「それでまどか。どっちが魔法少女なんだ?」

 

「マミさんが魔法少女だよ?」

 

「マミさんがか」

 

俺はマミを見る。マミは少し驚きながら俺を見てきた。

 

「あなた……男の子みたいな話かたするのね」

 

「いや、このしゃべり方がしっくりくるんで。つい」

 

どうやら、マミも俺の話かたは不自然に見えるようだ。まぁ、こんな見た目、美少女が男言葉を話してたら驚くか。

 

「面白い子ね。でも、不思議と違和感ないわね。良いと思うわよ」

 

「そうですよね! ほむらちゃんカッコいいって皆言ってるよ」

 

そうなんだ。それは知らなかった。イケメンだからか。イケメンだから何しても許されるってか。くそっ! 何て時代だ!

 

そんな感じで俺達はお茶会をして、時間が経っていった。

 

 

 

 

「それじゃあ、またね?」

 

「はい! また来ます!」

 

夕方、マミの家から出て、皆で家に帰っていく。

 

「ほむらちゃんの家はどこにあるの?」

 

「向こうのほうだ」

 

「じゃあ、もう少し先に行ったらお別れだね」

 

まどかが寂しそうに言ってくる。

 

「女の俺が言うのも変だけど、送っていくよ。これから長い付き合いになるだろうし、魔女の卵が見つかった時のために知っていたほうが良さそうだし」

 

俺がそう言うとまどかが顔をパッと綻ばせて笑う。

 

「そうだね! じゃあ、お願いしようかな?」

 

「……」

 

俺はまどか達と一緒にまどか達の家の方に向かう。

 

「ここが、私の家だよ。それじゃあ、またね? ほむらちゃん」

 

「ああ、また学校でな」

 

まどかを家まで送り届け、別れた。あとはさやかだけなんだけど……

 

「……私は送ってくれなくていいよ」

 

そう言ってさやかが逃げようとするが俺はその腕をつかんで止める。

 

「離して!」

 

「嫌だね!」

 

さやかが暴れる。くそっ! 退院したばっかりの人間にこれはきついぜ。

 

「あんた。やっぱり、こういうのが目的なわけ!?」

 

「はぁ!?」

 

さやかが訳のわからん事を言ってくる。

 

「あんた、怪しすぎるんだよね。男言葉だし。見てくる時、男みたいな視線感じるし、性なんちゃらってやつなんじゃないの?」

 

なるほど、さやかは俺が性同一性障害で精神が男だと思ってるわけか。……恐ろしい勘だ。……ということはさやかの言った「こういうの」ってエロい事とかの話か? 残念な事に今の俺に、女に対する性欲はない。男に対してもだけどな。

 

「お前、漫画の見過ぎなんじゃないか?」

 

「うるさい!」

 

「とにかく聞け。頼む」

 

「うあ"っ!?」

 

さやかの手を捩じって動きを止める。これで印象は正直最悪だろう。

 

「いいか? まどかや、マミには言うなよ?」

 

「あんた! マミさんの事!」

 

「いいから。魔法少女の真実を教えてやる」

 

俺はさやかにソウルジェムが魂を形にした物であり、魔女が魔法少女の成れの果てである事を言った。

 

「そんな事、信じられるわけないでしょ! あたし達を騙してキュウべぇに何の得があるのよ!」

 

「あ~エントロピーが何とか……わり。覚えてねぇわ。ただ、今の事は本当だ。当然だろ? 金貸しがタダで金を貸すか? アニメの魔法少女のパートナーのケロちゃんが願いを叶えてくれたか? 違うだろう?」

 

「うるさい!」

 

そう言って、さやかが俺を振り払う。

 

「面倒だね~。良いよ。やれよ。願いを叶えてゾンビにでも魔女にでもなっちまえ! どうした? 今すぐやればいいだろ!? 上条恭介の手を治してやれよ!」

 

「あんた!どうして恭介のことを!?」

 

「ま、とにかく伝えたからな!」

 

そう言って、俺は走り出し、逃げた。さやかは追ってこなかった。

 

 

そこからの生活は足早に去っていった。

 

もう、まどかとさやかは俺に話しかけて来なくなった。たぶん。さやかがまどかとマミに話してしまったんだろう。バカな奴だ。わざわざ、友人の死亡フラグを自分でおったてるとは。

 

そして、更に数日後の4/1日、さやかがご機嫌で登校してきた。恭介でも治したんだろうな。

 

4/5日、上条恭介が退院してきた。俺も話しかけたりしたがさやかが面白くなさそうだったし、話した後で上条が話しずらそうにしてたから、たぶん、上条に俺と話すなと言ったんだろう。俺も、積極的に話すような事はしなくなった。

 

そして……運命の日である今日。4/16日。見滝原市に突如としてスーパーセルが観測されて、住人は全員、体育館などの建物に避難していた。もちろん、俺も例外なく避難していた。

 

「これで、この物語も終わりか」

 

あいつらがワルプルギスの夜を怒らせなければ俺はこの後も、この世界で生きていける。暁美ほむらとして、新しい人生を歩めるんだ。ただ……

 

「あんなまっすぐで良い子達を見殺しにしたんだよな。俺は」

 

それだけが、少し心残りだ。たぶんすぐ忘れるが。

 

そんな感傷に浸っている俺の所にそいつは来た。

 

白い体毛。猫のような耳から耳毛のような物が長く伸びその途中には黄色い輪っかが浮かんでいて、先端がピンク色だ。この世界の、魔女よりずっと醜悪な存在。間違いなくジョジョ風に言えば「てめぇ自身のためだけに弱者を利用し、踏みつける悪」「何も知らぬ無知なる者を利用する吐き気を催す邪悪」だ。

 

「やあ、暁美ほむら」

 

「キュウべぇ!」

 

「君に聞きたい事があって来たんだ」

 

キュウべぇは俺をそのウサギのように真っ赤で不気味な目で見つめて言ってきた。

 

「悪いが、俺には何も用は無い。うせろ」

 

「随分と嫌われているね。僕達が何かしたかな?」

 

「とぼけるな。ガキどもを騙して宇宙のエネルギーに変えているだろう!」

 

「それは誤解だよ。暁美ほむら。僕達は騙したりなんてしていない。ただ、聞かれなかったから言わなかっただけさ」

 

「相変わらずムカつくやつらだ」

 

「それだよ」

 

キュウべぇは急にそう切り出してきた。

 

「君と僕達は接触したことなんて無かったはずだ。魔法少女もだ。それなのに君は僕達や魔法少女の真実を知っている。教えてくれないかな? 君がどうやってそれらを知ったのかを」

 

「言うわけねぇだろ。それとも何か? 言ったらこの星で魔法少女を作らない事を約束でもしてくれんのか?」

 

「それは無理だよ暁美ほむら。君の言う通り、僕達は宇宙の熱的死を回避するために魔法少女を作っているんだ。君達もあと数世紀後に宇宙に進出して寿命が近い宇宙だったら困るだろう? だから、僕達はそうならないように助けてあげてるんじゃないか」

 

「お前……!」

 

自分のやってる事を全く悪いと思ってねぇ。それどころか良い事をしているとさえ言ってくる。

 

「もういい。てめぇとは何も話さねぇ。お前は悪だ。自分のやってる事を悪とも思っていない真の邪悪だ。俺の前から消え失せろ。このドブネズミ以下のカス野郎が!」

 

「わかったよ。僕も君と話していても何も情報が得られないんじゃあ、ただの時間の無駄だ。僕は君の前からいなくなるよ。ただ……君が僕の前から消える方が早そうだ」

 

「はっ!?」

 

こいつ……何を言ってるんだ!?

 

「見てみなよ。そこに有る物を」

 

そう言って、キュウべぇが俺の近くに置いてあるある物を見る。

 

「これは……何でこれがここに!?」

 

そこには暁美ほむらが持っている盾が置いてあった。

 

「今、それから時間に干渉するエネルギーが観測されている。それは君を覆ってどこかに飛ばそうとしているようだ。驚いたな。君は魔法少女であって魔法少女じゃない。不思議な少女だ。もっと詳しく調べたいけど、これでお別れだね」

 

「う、嘘だ! や、やめ」

 

「さようなら。暁美ほむら」

 

その言葉が聞こえた瞬間。俺は気が付いたら病院のベッドに横たわっていた。そして、日付は3/16日。戻ってきてしまった。そして始まってしまったんだ。この無限に続く地獄が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





初めまして。よろしくお願いします。

この作品を読んでいただいてありがとうございます。

初期の主人公はかなりひどい状況です。魔法少女になれない。身体能力は入院していたので人並み以下。視力も弱く、その上、1ヶ月経つと自動的に戻されてしまう。これはひどい。

この主人公が何とか頑張って皆の心を解いてハッピーエンドを目指します。

主人公を応援してやってください。

それではまた次回もお楽しみに。

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