魔法少女まどか☆マギカーanother mindー   作:ナハトムジーク

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円環の理、絶望への一歩

「…………」

 

最初のループから3ヶ月が過ぎた。月日が経っていないのに3ヶ月って言うのはおかしい気もするが、とにかくあれから3回のループを繰り返した。今は5回目のループだ。

 

「くそっ!」

 

俺は前回のループの最後の光景を思い出していた。

 

まどかはやはり転校前に魔法少女になっていて、さやかはどんなに言っても契約をしてしまう。諦めてワルプルギスの夜が来た日に体育館にいた。その時、いつも通りにほむらの盾が現れた。それだけなら良かった。それに付随してほむらのかなり穢れてしまっているソウルジェムが現れたんだ。

 

俺は本体もグリーフシードも無い状態で何度も時間遡行が出来る訳が無い。放って置けばこのループも終わるだろう。そう思っていた。だが、ソウルジェムが現れてしまってそれも無理だと分かってしまった。

 

ソウルジェムが穢れきったら、俺が魔女になるのか、それともソウルジェムから魔女が現れるのか。どっちにしろ俺が死ぬ事は確実だろう。

 

つまり。俺はこれからほむらのソウルジェムのためにグリーフシードも集めなければいけなくなってしまった。しかも、これによって、まどかを確実に助けないといけなくなってしまった。

 

なんてこった。これじゃあ、ほむらにまどかを救うって言う契約を無理やり結ばされちまったようなものだ。キュウベぇより性質が悪いぜ。

 

「さて、グリーフシードを集めるために魔法少女にならなくっちゃな。おい、キュウベぇ。いるか?」

 

俺はキュウベぇに呼びかけてみる。しかし帰ってくるのは病室の静寂のみ。どうやら、いくらキュウベぇでも聞こえている範囲にいなければ来れないらしい。

 

「仕方ない。まどかたちを通じて契約するしかないか。もうどうせ契約しているようなものだし。多重契約でも構わないだろ」

 

そして月日は過ぎていく。

 

 

 

3/30日

 

「見つけた。魔女の卵だ」

 

病院の前で俺は魔女の卵を見つけた。いつも病院の前を張っていたかいがあったぜ。ご丁寧にさやかが魔女の卵の前にいる。

 

「美樹さん? そんな所でどうかしたの?」

 

え? 俺の口調がおかしいって? しょうがないだろ。普通に過ごしててもさやかに不信感を与えるって分かったんだよ。マジ、うぜぇ。

 

「ほむら!? ダメ! こっちに来ないで!」

 

「え? っ! え!? 何!?」

 

さやかが俺を止めるのも遅く、俺とさやか、そしてその場にいたキュウベぇが魔女の結界に飲み込まれる。

 

辺りが毒々しい色合いの空間に変わる。所々に的みたいな目をした丸い使い魔がトコトコと歩いている。そして目の前には鉄格子が掛かった扉があって、その上には手術中の文字盤が爛々と輝いている。

 

「怖いかい? さやか」

 

「そりゃ当然でしょ」

 

「願い事さえ決めてくれれば今この場で君を魔法少女にしてあげることも出来るんだけど……」

 

「美樹さん。……ここは? それに魔法少女って」

 

俺は知らない振りをしてさやかに聞く。

 

「ここは魔女の結界の中。魔女はこうやって結界の中に人を取り込んで襲うんだって。それで魔法少女はそれを倒す正義のヒーローなのだ!」

 

「じゃあ、美樹さんがその魔法少女?」

 

「ううん。あたしはただの一般人。今から来る先輩とまどかをを待って、魔女を倒すためにここに残ってたの」

 

さやかは首を横に振るって答える。

 

「そうなんだ。じゃあ、そこの持っている猫みたいなのは?」

 

「こいつはキュウベぇ。魔法少女のパートナーってやつだよ。こいつに願いを叶えて貰って魔法少女にして貰うんだ」

 

「そうなんだ。ねぇ、契約してくれる?」

 

「ほむら!?」

 

「今すぐ叶えたい願いなんて無いけど、命の危機だから仕方ないわ」

 

さやかが驚いて声を上げるが俺はそう言ってキュウベぇに向き直る。

 

「それじゃあ、叶えて「残念だけど、君とは契約できないよ」え?」

 

どういうことだ?

 

「なぜ魔法少女の素養が無い君に僕の姿が見えているのかは知らないけど、素養が無ければ願いは叶えられないよ」

 

「まさか……」

 

ほむらのせいか! あいつはもうすでに契約している。だから、二重契約になってしまう。……それに俺は精神は少女じゃない。男だ。キュウベぇの欲しい精神じゃないだろう。

 

「くそっ!」

 

「ほ、ほむら?」

 

さやかが俺を見て驚いている。確かにこいつの前でこんな言葉を吐いたことは無い。驚くのも無理は無いだろう。

 

「さやか! 良い!? 絶対こいつと契約しないで!」

 

「え、ど、どうしたの? 急に」

 

「良いから……はっ!」

 

鉄格子の扉の手術中の文字が光を失う。それと同時にざわざわと何かが近づいてくるような音が聞こえる。

 

「まずい! 今の声で魔女が目覚める!」

 

「ほむら! あんたが訳の分からないこと言うから!」

 

「気をつけて! 出てくるよ!」

 

キュウベぇがそう言うと遠くにあったお菓子の袋のような物から魔女が飛び出してくる。可愛らしい容姿だがあれはマミを殺した魔女だ。油断なんて許されない。

 

「キィー!」

 

「キキィー!」

 

使い魔たちがざわめきだした。俺たちに向かって一斉に飛び掛ってくる。

 

「くそっ! これまでか?……ぐぁ!?」

 

そう諦めた時、急に頭に痛みが走る。

 

『我は汝……汝は我……』

 

声が聞こえる。どこかで聞いたような声だ。いや違う。知っている。いつも聞いていた声だ。そしてこの台詞も聞いたことがある。これは!

 

「え? どうしたの?」

 

気がつけば使い魔達が俺達を遠巻きに見ている。そして、俺の目の前に光るカードがどこからとも無く降りてきた。

 

「な、なに?」

 

「これは一体……」

 

さやかもキュウベぇも驚いている。

 

知っている。俺はこれを知っている!

 

『汝……己が双眸を見開きて……今こそ……発せよ!』

 

そうだ。この力の名前は!

 

「ペ……ル……ソ……ナ!」

 

俺はカードを手を振るい砕く。

 

俺の周りが光り輝き一体の像が現れる。

 

白い手足に、金色の歯車、そして装甲とドレスが一体化したような鎧。白い仮面をつけ束ねた黒髪をなびかせたそいつの名は!

 

「やれ! ヘルメス!」

 

――シングルショット!

 

ヘルメスが手を翳すとそこから、銃弾が飛び出て使い魔を貫く。その使い魔は吹き飛び他の使い魔を巻き込みながら消滅する。

 

「はあああああ!」

 

ヘルメスが腕を振るうたびに使い魔が消滅していく。そして、その場には俺らと魔女だけが残った。

 

「吹き飛びなさい!」

 

――アギ!

 

ヘルメスの仮面の目が輝きを放つ。瞬間、魔女が爆炎に包まれる。だが、脱皮のように可愛らしい外見の口から蛇のように新の姿が出てくる。

 

「まだまだ!」

 

――シングルショット!

 

シングルショットが魔女に当たるがまた、脱皮した。しかも傷が癒えているようだ。なるほど、これはマミには厳しいって訳か。

 

「なら、最大火力で一気に消滅させる! いっけぇえええええ!」

 

――アギラオ!

 

瞬間、音が消えた。爆発によって耳が少しイカれたみたいだ。超火力で焼かれ、魔女は消滅したようだ。グリーフシードが落ちてくる。

 

「……はぁっ……はぁっ!」

 

これが……ペルソナの戦いか。疲労が一気に蓄積してきやがった。何とかして俺はグリーフシードを拾う。

 

「ほむら……」

 

「暁美ほむら……君は一体……」

 

「ごめんさやか……疲れちゃった。少し、眠る……よ」

 

「ほむら!?」

 

さやかの声を聞きながら俺は意識を失った。

 

 

 

 

またしても俺はベルベットルームの中にいた。

 

「ようこそ、我がベルベットルームへ」

 

「見てましたですよお兄ちゃん! すごいペルソナでした!」

 

「……」

 

イゴールがインレットを睨み付ける。

 

「はぅ! ごめんなさいです!」

 

「……ごほん。これをお持ちなさい」

 

イゴールが言うと宙から突然鍵が降って、テーブルの上に置かれる。

 

「これは[契約者の鍵]です! 今日からお兄ちゃんはここのお客様です! お兄ちゃんのペルソナ能力はワイルドって言って……え~っと何でしたっけ?」

 

そう言って、インレットはイゴールに聞く。どうやら、インレットは案内人としては半人前のようだ。イゴールが咎める様にインレットを睨むがすぐにこちらを向く。

 

「ワイルドは他の者とは異なる特別な能力。貴方も知っておられるように他者との関わりによって無限の可能性を呼び覚ますものでございます。……貴方に覚醒したワイルドの力は何処へ向かう事になるのか。ご一緒に旅をして参りましょう……フフ」

 

 

 

「ん……ここは」

 

「あら? 起きたみたいね」

 

目を覚ますとマミの顔が映った。周りを見てみると、どうやらマミの部屋みたいだ。

 

「あ! ほむら! 起きたんだ!」

 

「心配したんだよ?」

 

「ここはどこなの?」

 

まず俺はこの場所を聞く。

 

「ここはマミさんの部屋だよ。あんた、あの後、倒れちゃったからここに運んだんだ」

 

「そう。ありがとう。助けてくれて」

 

「良いの良いの! むしろ私が助けられたんだから」

 

さやかが愛想良く言う。

 

「それで、聞かせて貰えるかしら? 暁美さん? 魔法少女じゃないあなたがどうやって魔女を倒したの?」

 

「確か、ペルソナって言ってたよね?」

 

「ええっと……」

 

言うべきか、言わざるべきか。キュウベぇもいるし……まぁ良いか!

 

「良いわ。ペルソナの事を話すわ。ペルソナのルール! 1つ、ペルソナは一人につき一体! 1つ、ペルソナを見る事が出来るのはペルソナ使いだけ! 1つ、ペルソナに触ることが出来るのはペルソナだけ! 1つ、ペルソナは本体の意思によって「おい! それはスタンド使いの話でしょ!」ばれた?」

 

俺がスタンドのルールを話すとさやかに突っ込まれた。

 

「暁美さん。正直に話してくれる?」

 

「はい。ペルソナはスタンドと似てます。ペルソナ使いは一人につき一体、例外はありますがペルソナを持てます。本体の意思によって動いて、ペルソナが傷つけば本体も傷つきます。心の成長によって成長します。そして、神話の悪魔や天使、神の名前と姿、それに付随した能力を使えます。そして、これが一番スタンドと違うところですが、特定の条件じゃないと発動が出来ません。魔女の結界のようなそんな場所じゃないと仕えないんです」

 

「なるほどね。じゃあ、今のあなたは」

 

「無力な一般市民です。魔女の結界の中に行けばペルソナの力で身体能力も上がるんですが……」

 

「そのペルソナを使うにはにはグリーフシードが必要なの?」

 

「いいえ。ペルソナはあくまで心の力。体力と精神力が続く限り使い続けられます。」

 

「そうなの……」

 

そう言ってマミは少し考え込む。

 

「それじゃあ、グリーフシードを渡して貰える? それはそのままにしておくと、また魔女が生まれてしまうの」

 

「その魔女が新しく生まれる期間って半月持ちませんか?」

 

「え? ううん。その位なら持つわ」

 

マミは俺の言葉に驚いた。

 

「なら、これは私が持ってます。使いたいことがあるので」

 

「何に使うの?」

 

まどかが聞いてくる。

 

「ちょっとこれを必要としてる知り合いがいるのでその子に使うわ」

 

「そう。それじゃあ。もらう訳にはいかないわね。良いわ。あなたが苦労して手に入れたグリーフシードだものね。あなたが持っていって」

 

「そのつもりです」

 

その後、皆と色々話して家に帰っていった。

 

――鹿目まどかとの間にほのかな絆の芽生えを感じる……暁美ほむらは”星”のアルカナを手に入れた!

 

――美樹さやかとの間にほのかな絆の芽生えを感じる……暁美ほむらは”戦車”のアルカナを手に入れた!

 

――巴マミとの間にほのかな絆の芽生えを感じる……暁美ほむらは”女教皇”のアルカナを手に入れた!

 

 

 

 

 

家に帰っている途中、俺はまたそいつに出会った。

 

「やあ、暁美ほむら」

 

「……キュウベぇ」

 

俺は思わず睨みつける。

 

「どうしてそうやって睨むんだい? 君とはそんなに話もしてないはずだけど」

 

「気にするな。てめぇには関係ない」

 

「それが君の本来の話し方か」

 

キュウベぇが近寄ってくる。

 

「君には聞きたい事があるんだ。どうやって、その力を手に入れたんだい? 魔法少女になれない君が」

 

「知るか。俺だってこの力は今日初めて手に入れている事を知ったんだ」

 

「そうかい。なら、わかったなら教えてくれないかな? 僕にとってもその力は興味深いものだからね」

 

そう言ってキュウベぇは去っていく。

 

「ふん。屑が」

 

今日の事でもうわかった。俺はすでに逃れられない運命の中にいる。この力を使ってまどかを助けろって事だろ? 良いよ分かった。お前の願い。俺が引き受けた。約束だ。

 

――暁美ほむらとの間にほのかな絆の芽生えを感じる……暁美ほむらは”塔”のアルカナを手に入れた!

 

 

 




こんにちは! 読んでいただいてありがとうございます。

今回はこんな感じです。

主人公がようやくペルソナ能力を手に入れました。一応愚者のアルカナです。主人公にこの世界の知り合いはいないのでこのアルカナです。

次回もよろしくお願いします。






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