魔法少女まどか☆マギカーanother mindー   作:ナハトムジーク

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亜麻色の髪の乙女。陰に身を任せた少女

3/29日

 

「何を聞いてるの?」

 

恭介の病室であたしは恭介に聞く。窓から夕陽が差し込んで、部屋の中を赤く照らす。

 

「亜麻色の髪の乙女」

 

「ああ! ドビュッシー? 素敵な曲だよね?」

 

「……」

 

あたしの言葉に恭介の返事がない。

 

あ、あれ? 間違ったかな? ううん。間違ってない。じゃあ、滑った?

 

「あ、あたしってほら、こんなだからさ。クラシックなんて聞く柄じゃないだろって、皆が思うみたいでさ。たまに曲名とか言い当てたら凄い驚かれるんだよね! 意外すぎて尊敬されたりしてさ」

 

あたしはまた話しかける。でも恭介から返事がない。何かあったのかな?

 

「恭介が教えてくれたから。でなきゃあたし、こういう音楽ちゃんと聞こうと思う機会なんてたぶん一生無かっただろうし」

 

「さやかはさ……」

 

そこで恭介があたしに話しかけてくれた。

 

「なぁに?」

 

「さやかは……僕を虐めているのかい?」

 

え? 何を……言ってるの?

 

恭介がイヤホンを耳から外す。

 

「何で今でもまだ、僕に音楽なんて聞かせるんだ。嫌がらせのつもりなのか」

 

「だって恭介、音楽好きだから……」

 

「もう聞きたくなんかないんだよ! 自分で弾けもしない曲ただ聞いてるだけなんて……僕は……僕は! くっぅ!」

 

恭介がいきなり左手をCDプレイヤーに叩きつけた! 真っ白な布団に恭介の真っ赤な血が飛び散る。

 

恭介の手が!ダメ!

 

あたしはすぐに恭介をの腕を押さえつけて、恭介がこれ以上自分を傷つけないようにする。

 

「動かないんだ……もう……痛みさえ感じない……っ! こんな手なんて!」

 

「大丈夫だよ! 」

 

あたしは反射的にそう言っていた。

 

「きっと、何とかなるよ! 諦めなければきっと、いつか……」

 

「諦めろって言われたのさ……」

 

え? 恭介、いま何て……

 

「もう演奏は諦めろってさ。先生から直々に言われたよ。今の医学じゃ無理だって……僕の手はもう二度と動かない。奇跡か……魔法でもない限り、治らない!」

 

恭介……よし!

 

「あるよ!」

 

「え?」

 

恭介があたしの言葉に驚く。

 

「奇跡も、魔法も、あるんだよ!」

 

あたしは前にある窓を見る。そこにはキュウべぇが座ってこっちを見ていた。

 

「……じゃあ、恭介。また明日、来るからね」

 

「あ……うん」

 

あたしは驚いている恭介をよそに病室から出ていく。

 

病室を出て、屋上へ上がっていく階段の途中にその子はいた。

 

「酷い人ね。あなたにあんなこと言うなんて」

 

「ほむら……」

 

暁美ほむら。この前転校してきたあたしのクラスメート。この前はあたしの事をペルソナって言うスタンドみたいな能力で助けてくれた。なんか……不思議な子。

 

「まぁ、しょうがないのかも知れないわね。あの子にとって幼馴染よりも大切な左腕が動かなくなってしまったんだから」

 

「何が言いたいの」

 

あたしがほむらに聞くとほむらは真剣な表情であたしを見てきた。その時感じた威圧感みたいなのであたしは階段を一歩降りてしまう。

 

「はっきりと言うわ。今、キュウベェと契約するのは止めなさい。あなたが不幸になるだけよ」

 

「どういうことなのさ」

 

ほむらの威圧感に負けないよう、あたしもほむらを睨みながら話す。

 

「簡単に言うと、あなたは自分の願いを理解できていない。上条恭介を助けたいのか。それとも助けた恩人になりたいのか。それを、あなたは理解できていない」

 

「っ!」

 

あたしは驚いた。その言葉はこの前、マミさんに言われた言葉とそっくりだったからだ。魔法少女になれないほむらが魔法少女であるマミさんと同じ言葉を。

 

「あたしは……助けたいだけだよ。恭介を」

 

あたしは願いを口にした。

 

「なら、なおさら願いを叶えるのは止めておきなさい」

 

でも、ほむらにそれを否定された。

 

「何でよ!」

 

「落ち着いて。人生は長いわ。私達は今を見て生活をしている。上条恭介も今はヴァイオリンしか見えていない。でも、時が経てば傷は薄れていくわ。あなたが上条恭介を助けたいだけなら傍にいて支えてあげなさい。それが、あなた達にとって最善のはずよ」

 

「ダメ! そんな悠長な事してられない! あんたは見てなかっただろうけど恭介、自分で自分の手を傷つけたんだよ? もし……もし、恭介が自殺なんかしちゃったらあたし……」

 

「それなら上条恭介の親に頼んで監視の目を付けて貰いなさい。あの子、良いとこのお坊ちゃんなんでしょ?」

 

ほむらがそんな事を言う。

 

「あんた、無責任すぎだよ! あたしはあんたと違って人任せにしたくない!」

 

「……じゃあ、上条恭介を助けた恩人になりたいの? まぁ、明らかにヴァイオリンバ……一筋のあの子が手を取り戻しちゃったらいくら恩人でも心を奪えるとは思えないけど?」

 

あたしの言葉に少しイラついたのかほむらの眉間に少ししわが寄った。

 

「別に恩人になりたいわけじゃないって言ってるでしょ!」

 

何なのこの子。良い奴だと思ったらねちねちねちねち。うるさいな。

 

「恩人になりたいんだったら今度、告白していらっしゃい。自分のまさしく一生に一度の願い事を使うだけの感情をあの子に向けてるんでしょう?」

 

そんな事ない。あたしと恭介はただの幼馴染。そうだよ。幼馴染を助けたいのは当然の事だもん!

 

「だから、違うって「ぐずぐずしていると他の人に取られちゃうわよ?」えっ?」

 

「あの子、見てくれもいいし、少なくともあなたの前以外じゃ温厚な人物らしいし、更に天才ヴァイオリニストなんでしょう? 手を治して元に戻ったら、色んな子から狙われるわよ?」

 

「……」

 

「だから早く告白して献身的に接した後、願いを叶えるの。そうすればあなたはたちまち奇跡の子。上条恭介から感謝されること間違いなしよ」

 

「それって……恭介を騙すって事だよね」

 

あたしの質問をほむらは少し間をおいてから答える。

 

「……騙すっていうのは人聞きが悪いわね。それにあなたが本当に治すのだから騙すって言うのはちょっと違「止めて!」……」

 

「さっきから聞いてればあんたは恭介を騙せって言ってるようにしか聞こえないんだよ! 確かに恭介は大切な幼馴染だけどそんなんじゃないってさっきから言ってるでしょ!?」

 

「さ、さやか、落ち着いて……」

 

あたしの剣幕に驚いたのかほむらが慌てる。

 

「さやかって何!? あたしはあんたに名前で呼んでいいって言った!?」

 

「それは言ってないけど……」

 

今度はほむらが一歩下がる番だ。

 

「じゃあ、止めて! 馴れ馴れしいの! 一回あたしを助けたからってそういう関係になったつもりだった!?」

 

「え?」

 

ほむらが驚きと恐怖の入り混じった顔を見せる。

 

止めたほうが良いよ。

 

あたしの中の友達思いな部分が言ってくる。

 

さっきから人の心の中にズケズケと入って来るなんてマナーがなってないよ。そんなやつ、あたしは友達になんかなりたくないね。

 

あたしの中の黒い部分が言ってくる。

 

「あんたなんか……」

 

あたしは……

 

「あんたなんかぁ!」

 

その黒い部分に心を委ねた。

 

「友達でも何でもないんだから!」

 

「あっ」

 

あたしはほむらの横をすり抜け避ける。ほむらは追ってはこない。階段を上る時、視界の端でほむらが手で顔を覆いながら座り込む姿が見えた。

 

あたし……何やってんだろ。命の恩人に……友達に……

 

それでもあたしの足は止まらずに屋上までの道を駆けていった。

 

 

 

 

 

Break!

 

暁美ほむらは"戦車"のアルカナを失った。

 

 




こんにちは!今回はさやか視点です。

出来るだけさやかの目線に立って書こうとしてみたんですがどうでしょうか。

いや~。さやかの目線に合わせるとどうも黒い感情が沸々と……いかんいかん。シャドウが現れてしまう。

こんな感じで次回もよろしくお願いします!

次回はほむら視点で物語が進んでいきます。

それではまた次回。バイバイ

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