魔法少女まどか☆マギカーanother mindー   作:ナハトムジーク

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強き少女。さあ、叶えてよ、インキュベーター!

「さやかちゃんのためなら…いいよ。私、魔法少女に…」

 

「ふん!」

 

まどかが馬鹿な内容で契約しようとしていたので俺はキュウベぇを蹴り飛ばして阻止する。

 

「きゅぷ!」

 

キュウベぇが悲鳴を上げながら吹き飛ぶ。

 

「わっ!? ひ…ひどいよ、何も蹴らなくても」

 

「なんで……なんであなたは。どうして自分を大切にしないの!?」

 

まどかが俺を非難するがそれを無視してまどかに詰め寄る。

 

「役に立つとか立たないとか、自分を粗末にして……あなたが居なくなって悲しむ人が居るって、なんでそれに気がつかないのよ! ……あなたの両親は……あなたを守ろうとした人はどうなるの!?」

 

「ど、どういうこと? ほむらちゃん……私のことをなんでそんなに……」

 

「……」

 

まどかが俺の言葉に困惑するがそれを答えるわけには行かない。

 

「ご、ごめん。ほむらちゃん。私、さやかちゃんを探さないと……」

 

「……ええ、いってらっしゃい」

 

残念だがここでまどかを説得するのは無理だ。あきらめてまどかを送り出す。

 

「無駄な事だって知ってるくせに。懲りないんだなあ、君も」

 

キュウベぇが俺のそばに歩いてくる。

 

「チッ! 蹴りの威力が足らなかったか」

 

「いいや、君の蹴った個体はもう処理してきたよ。代わりはいくらでもあるけど、無意味に潰されるのは困るんだよね? 勿体ないじゃないか。それにしても、まどかの事をよく知っているみたいだね。まるで昔からの知り合いみたいじゃないか」

 

「そりゃあな。何度もこの時間を繰り返してきたんだ。当然だ」

 

キュウベぇにはもう言っても良いだろう。

 

「君は……」

 

「そう。俺は時間遡行を繰り返してまどかを救おうとしている。だから、お前の事もよく知っている。インキュベーター」

 

「だからこんなにしつこく僕の邪魔をするわけだ。そうまでして、鹿目まどかの運命を変えたいのかい?」

 

「さあな。……さて、憂さ晴らしに。ここで死ねよ」

 

「きゅぶ!?」

 

俺はまたキュウベぇを蹴り飛ばし、この場を去った。

 

 

 

ピンポーン

 

アパートのインターフォンが鳴る。誰か来たようだ。玄関に行って鍵を開ける。

 

「入っていいかな?」

 

そこにはまどかが立っていた。雨も降っているのに傘も差さずに来たのだろう。ずぶ濡れだった。

 

「うん」

 

俺はすぐに家の中にまどかを入れた。

 

「これが…『ワルプルギスの夜』?杏子ちゃんが言ってた。一人で倒せないほど強い魔女をやっつけるために、ほむらちゃんと二人で戦うんだって。ずっとここで準備してたのね」

 

俺の普通のアパートの部屋にはワルプルギスの夜の写真や攻撃されたときの瞬間の写真。配下の使い魔達の写真。ワルプルギスの名前の元となった祭りの事が張ってあった。

 

「街中が危ないの?」

 

まどかが聞いてくる。

 

「うん。他の魔女と違ってこいつは結界を張らない。その上、普通の人には見えないから台風や竜巻みたいな天変地異として扱われる」

 

「なら、絶対にやっつけなきゃダメだよね」

 

ダメか。この期に及んでまだ、まどかは契約しようとしている。

 

「杏子ちゃんも、死んじゃって…戦える魔法少女は、もうほむらちゃんだけしか残ってない。だったら「やめろ!」……!」

 

俺はまどかを睨みつけて言う。

 

「杏子には無理でも私になら一人で倒せる。ただ手札が増えるから杏子を仲間にしていただけ」

 

俺の言っている事はある意味、あっている。ペルソナはそのコミュニティを形成していた数だけ増える。ワイルドとしての能力だ。

 

「ホントに? 何でだろ、私、ほむらちゃんのこと信じたいのに、嘘つきだなんて思いたくないのに、全然大丈夫だって気持ちになれない。ほむらちゃんの言ってることが本当だって思えない」

 

「あなたに私の事なんか分かるはずないわ! だって私とあなたは違う時間を生きてるんだもの!」

 

俺はまどかを抱きしめる。

 

「え?」

 

俺の言葉と行動にまどかが驚く。

 

「私は未来から来たの。ワルプルギスの夜を倒してあなたを救うために。あなたを魔法少女の過酷な運命から救うために。何度も何度も同じ時間を繰り返してきた! 」

 

「それって…え?」

 

「ごめんね? わけが分からないわよね? まどかにとっての私はこの前転校して来た転校生だもの。でも私にとってあなたは大切な人。命をかけても守るべき人なの。でも、繰り返すほどあなたとの心の距離は離れていく。たぶん、私はもう心の迷路に迷ってしまったんだと思う」

 

俺の目から涙が溢れてくる。

 

「ほむら…ちゃん…」

 

「あなたを救う。それが私に残された最後の道。心の迷宮を脱出するための唯一の鍵。分からなくてもいい。無視してもいい。それでも、私のために、あなたを……守らせて」

 

 

 

風が吹いてきた。雲がとんでもない速度で移動している。雷もなってくる。やつが来る前兆だ。

 

「来た!」

 

まるでサーカスのような使い魔たちがあふれ出てくる。

 

「ウフフフフフ……キャハハハハハハハ!」

 

ワルプルギスの笑い声が聞こえてくる。あいも変わらず胸糞の悪い声だ。

 

「行くぞ! ペルソナ!」

 

ーーアギラオ!

 

俺のヘルメスから爆炎が迸りワルプルギスを焼く。

 

前から知っていたが、この竜巻の制空権が全て奴の結界のようなものだ。俺のペルソナもこの空間だけは自由に扱える。

 

「ダメージはあるみたいだがが全く効いてないな」

 

「キャハハハハハハハ!」

 

ワルプルギスはまだ健在だ。だが、ブロックはされていない。次々に魔法をぶつけて弱点をつけば……フルボッコに出来る!

 

「ペルソナ! ピクシー!」

 

ーージオ!

 

ペルソナを変え違う魔法で攻撃する。

 

「アハハハハハハハハハッ!」

 

これも弱点じゃないか。

 

「ダメか……まずっ! ヘルメス! がふっ!」

 

防御力の高いペルソナに変え、奴の使い魔の攻撃を受ける。ダメージが……大きい。

 

「ペルソナ!」

 

――マハラギ!

 

ヘルメスから火炎が迸り使い魔を一掃する。

 

「まだまだぁ!」

 

戦いは続く。

 

 

「くそっ!」

 

何度も攻撃を続けるが奴はまったく堪えない。やっぱり火力不足か! せめてもっと強いペルソナを使えてダイン系やメギド系で攻撃できたら……

 

「ダメか! 何度やってもあいつに勝てない! 繰り返せばそれだけまどかの因果の量が増えてしまう。私のやってきたことは結局……」

 

まどかも来ない。この時間軸もやっぱりダメだったか。そう思い、諦めかけたとき……

 

「もういい。もういいんだよ、ほむらちゃん」

 

そう、声をかけられた。俺のそばにはいつの間にかまどかが立っていた。まどかの傍にはキュウベぇが立っていた。

 

「まどか…まさか…!?」

 

「ほむらちゃん、ごめんね。私、魔法少女になる」

 

まどかは俺を見てそう宣言した。

 

「まどか…そんな…」

 

「私、やっとわかったの。叶えたい願いごと見つけたの。だからそのために、この命を使うね」

 

「やめて! それじゃあ、私はいったい何のために繰り返してきたの」

 

俺は何とか涙を流しながら辛そうに言う。

 

「ごめん。ホントにごめん。これまでずっと、ずっとずっと、ほむらちゃんに守られて、望まれてきたから、今の私があるんだと思う。ホントにごめん。そんな私が、やっと見つけ出した答えなの。信じて。絶対に、今日までのほむらちゃんを無駄にしたりしないから」

 

「まどか」

 

まどかが抱きしめてくる。

 

「数多の世界の運命を束ね、因果の特異点となった君なら、どんな途方もない望みだろうと、叶えられるだろう」

 

「本当だね?」

 

俺から離れ、立ち上がってキュウベぇに聞く。

 

「さあ、鹿目まどか――その魂を代価にして、君は何を願う?」

 

「私……」

 

まどかは深呼吸する。覚悟するかのように。

 

「全ての魔女を、生まれる前に消し去りたい。全ての宇宙、過去と未来の全ての魔女を、この手で」

 

ふ……ふふふ……ふは……ふはははははは……アハハハハハハハハハハハハハハハハッハハハハハハハハッハハッハハハハッ!

 

やった! やったぞ! ついに……ついに見えたぞ! エンディングが! この時を……この時を待っていた!

 

まどかがこの願いを叶える時を! まどかがその存在を使ってその願いを叶えるのを! 俺の……俺のために! これでまどかはこの地球、宇宙、平行世界のどこにも居なくなった! これでほむらはまどかを救えない! もう過去に戻ることはない! 意味がない! だって……まどかが居ないんだからさああああああああ!

 

さあ、叶えろ。

 

「さあ!叶えてよ」

 

鹿目まどかぁ!

 

「インキュベーター!」

 

「アハハハハハハハハハハハハッ! ……あっ……」

 

しまった。まどかに集中しすぎた。ワルプルギスが落としてきたビルが俺に迫ってくる。仕方ないか。だってまどかをこんなに利用したんだから。ま、これで終わりか。魔法少女まどか☆マギカ~完~。ってところか。

 

『我は……』

 

「うぐっ!?」

 

頭が痛い……脳みそがシェイクされたみたいにグルグル回っている。

 

「あぐっ……おぇ……」

 

胃袋がひっくり返る。胃液が吐き出されたいと暴れまわっているみたいだ。

 

「っ……っはぁっ!はぁっ!」

 

吐き気がおさまった。頭痛もない。俺の体に変わった所はない。どうして急に? それに頭痛がする前に何かが聞こえたような。

 

俺はふと周りを見てみる。そこには……

 

「こ、これはっ!」

 

まどかがキュウベぇが、見滝原市が、いや、世界が鼓動をとめている。動いていた絵に灰色のスプレーを吹きかけたように世界が色を失い、時が止まっている。

 

「こ、こんなことが出来るのは……ほ、ほむら?」

 

俺はほむらの体を見てみる。すると俺はいつの間にか魔法少女の服を着ていた。爛々とソウルジェムが光り輝いている。

 

「こ、こんな事は今まで一度も……うくっ……体が……動かない!」

 

『我は……』

 

「この声……ほむら!」

 

俺の体が、いや、ほむらの体が勝手に動く。ほむらの意思によって、体が動き歩き出す。

 

「お、おい。どこに向かう気だ。そっちにはキュウベぇと、まどかしか居ないぞ」

 

俺の言葉に反応せず。体は淡々とまどか達に向かっていく。右腕が勝手に動き、盾の中に入り何かを探し、取り出した。

 

「拳銃……お、おい、まさか……」

 

腕が動き自然な動作で弾薬が装填され、安全装置をはずし、撃鉄が起こされる。

 

「や、止めろ! 暁美ほむら! 止めるんだ! 良いのか!? この機会を逃したら次はいつこの結末になるか……」

 

その銃を”まどか”に向ける。

 

『我は陰。真なる我』

 

「や、止めろおおおおおおっ!」

 

空気の破裂する音が耳に届いた。

 

 




お久しぶりです。作者です。

ようやくこの話を投稿する事が出来ました。

それにしてもまどか酷いですよね。「絶対に、今日までのほむらちゃんを無駄にしたりしないから」って言ってたじゃないですか! これまでのほむら全否定だよ! 10話で前のループのさやかが言った言葉よりほむらを否定してるよ!

さて、今回のテーマは「夢も希望も無いんだよ」ですね!

がんばれ主人公。諦めなければきっとループを超えられるさ。きっと。

それではまた次回。さよなら!
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