渦動破壊者 〜アーマードジム〜【とりあえず完】   作:PureFighter00

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やりすぎ渦さん


査問

「……何度目ですかねぇ、渦さん。今日は何で呼び出されたか解ります?」

「私の様な善良な一プレイヤーが何故呼ばれるんですかねぇ?(素)」

「システムに過負荷掛けるのやめてくださいよ!」

「ワシャーちゃんと負荷計算してブルー2機出せって指示したさ。そこで桃ちゃんをグリーンに乗せて出させるとは思わなかったさ。事故事故。ワシ無罪」

「確かに通信記録じゃそうだけど……」

「随分前に意見具申したでしょ。フィルタリングしないとケスラーシンドロームでシステム落ちますよって」

「まだパッチ完成してないの! マスダイバー対策が忙しくって……」

「ウチも協力してるのになぁ」

 フォース「Voltex Blaster」がマスダイバー狩りをしているのは本当である。実力的には中級に甘んじているこのフォースがマスダイバー狩りではかなり突出している。何故か?

「機体性能強化しかせんからなー。アプローチがそれしかないなら対策も楽よなー」

 鳥の人は頭を抱える。マスダイバー機体に真っ向正面から戦って勝てるプレイヤーや機体は確かにいる……確かに存在するが、絶対数は少ない。その優位性がマスダイバーの跋扈を許している。だからまぁ、割と低級のダイバーを駆使して作戦勝ちしてるこのフォースの実態を広報したらマスダイバーの増殖は防げそうだが……

「ゲームバランス壊しちゃうのよ……」

 直前の対マスダイバー戦で、同サーバー同接中の12フォース80名近くのダイバーから苦情が来た。サーバーに過負荷を掛けてマスダイバーを無力化する渦さん作戦はサーバーハードウェアに多大な負荷をも与えている。ぶっちゃけ他の参加者のゲームを破壊するのだ。サーバーリソースの推移表はメモリ・CPUの使用率を「彼らだけで」90%以上消費して通信帯域の95%を占有していた(渦さんの予測では桃ちゃんがトリガーハッピーしなければ5割程度で済み、少々ラグが出る程度で済んだ筈だ)

(正にオーバーロード、過負荷様ね……)

 こうなるとGMすら介入できない。介入するだけのリソースが無い。コマンドラインで介入できる様な凄腕がいたら良かったが、そんなホワイトハッカーはAT&Tやペンタゴンに軒並み攫われている。そんなの大量にいたらマスダイバーに悩まされる事は無いし。

 だからと言って渦さんを止める方法は無い。彼は何も利用規約に抵触していないし、やっている事も自警団的なマスダイバー排除で、しかも撃破率は高く、スキルの低いダイバーの活用までしてくれている。非難するべきポイントが無いのだ! マスダイバーは取り締まれるが、Voltex Blasterは取り締まれない……彼らの戦術を公にするのはリスクが高過ぎる。

 

 渦さんは高く脚を組んで優雅にお茶を飲んでいる。叱りたくても叱れない。分かっちゃいるけど何も言わない訳には行かない。彼も鳥の人の苦悩は理解していた。

 究極的には誰にも迷惑掛けずにマスダイバー倒してって話になるが、そんな上位ランカーじみた真似が今のウチに出来るわけもなく、むしろウチの方が狩りの成果を挙げているのはこの間うっかり鳥さんが漏らしていた。渦さんはこの手の誘導尋問が上手いのだ。陸海空の古参連中は痛いほど知っている。

(ありがとう、これからもヨロ! でえーのにな)

 正直な話、フォースメンバーに「チートなんかしてもロクな事ねーぞー」という事を知らしめる教育目的で始めた事だ。チートかましてもやり方次第でカモにしかならんって認識が出来たら後は放置でも良かった。下手に正義感暴走させて学級委員みたいになられても困る。それは本来開発や運営の仕事だし。なんでウチらがやらないかんのか。

 寧ろこれからは上位フォースの「普通に強い」に触れて、真面目な搦手無しの強さを求めて欲しい。ウチビルダー気質強くなりすぎだ!

 

 

 同時刻。Voltex Blaster フォースネスト「ネオファリア」内MSハンガー。

「空さん、空さん。私のフルアーマー何で装甲イマイチなんかな?」

「デブリぐらいじゃフルアーマー結構耐えるんだけど、磨きが足りないんじゃ無い? 桃ちゃん機体の全面磨いてる?」

「そんな変わるの? 寧ろプラ薄くなってヤバない?」

 

【挿絵表示】

 

「ヒケ消しして全身ミネシマ油目で当たると、GBNシステムは機体基本装甲性能100%扱いしてくれて、1200番相当……ファインサーフェイサー上手く吹いたぐらいでワンランク装甲性能上がる。基本ウチのフルアーマーはここまで磨く。前面アーマーだけでも磨いた方がえーで」

「あんな感じにすると?」

 

【挿絵表示】

 

「……それはやめとけー。渦さんが3ヶ月掛けて磨いたってさ。4000番まで磨いてクリアコートして更にコンパウンド行ったらしいけど、GBNスキャナー的には2000番からの丁寧なクリアコートぐらいまでしか表面データ判別出来ないんだって。珍しく渦さんorzしてた。2ランクアップだって」

「そんなに磨いてもそんな程度かー。やめとくー」

「2000まで磨いてクリアコートとかは、アーマードジム受領する頃にはやらされっから今から練習した方がいいぞ。デカール貼ったらニッコニコしながら「段差消そ?」って迫って来るぞ、渦さん」

「まじで?」

「GBNでは段差も144倍。さぁ1μmオーダー(0.0001mm)のツヤテカボディを目指そう!って言われんだわ」

 

 隊員のビルダー気質が強いのは、誰のせいなんですかねぇ?




 磨き魔だった渦さんは、仕上がりの違う複数モデルをスキャンして「どのぐらい加工したら、どの程度の性能になるか」調べ上げてます。フォースの機体性能を調整して、作り込みによる性能差を排除する為です。
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