渦動破壊者 〜アーマードジム〜【とりあえず完】 作:PureFighter00
【フォースネスト ネオファリア格納庫】
「さぁ、仕込みに入るぞ」
「え? 今から? ドンパチ始まってますがな!」
Voltex Blaster首脳陣は格納庫の片隅に置かれたコタツを囲みながら、妙に出来の良い温州みかん食べつつ実況を見ていた。
「そっちは終わりさ。ダイバーの大多数はブレイクデカール嫌うという意志が示されたら、マスダイバーは如実に減る。ニホンジン、少数派になるのキライね!」
「根絶出来ますかねぇ?」
「どの道根絶は無理よ。対策が後手後手に回ってるとこから見て開発力は圧倒的に彼方が上。かなり少人数の精鋭で開発してんだろうなぁ……」
「GBN開発って何人ぐらいいるんだろ?」
「プログラム規模的に100人ぐらいかな。大部分データ作成や調整屋でコア弄ってるのは10名ちょいかと。少なくともワシが噛んでたゲームだとそんぐらい。後はネットワークエンジニアがそれなりに居るんじゃない?」
「渦さんどんなゲーム関わってたんです?」
「大体GPDみたいな感じ。ウチではフルダイブシステムまだ無理なのと、その代わり多人数アクセス可能なプログラムになってた」
「ウチでは……って、フルダイブ自体はそんなに難しく無いでしょ」
「こっちの世界には無いんだよ」
「どっちよ?(苦笑)」
「話とくよ。ワシはM79星雲から来たジムトラマンなんじゃ」
「ベータカプセルを出せ(棒)」
「異世界はガチ。パラレルワールドっぽい所から直接端末無しにアクセスしてる」
「いや、そんな……いや? あれ? そうだとしたら……」
「空さん探ってたろ、ワシのリアル」
「ログアウトした時間に回線接続切れたアカウント総当たりとかしたんですけどねぇ。該当する人物は居ませんでした」
「ワシのリアルでは江古田で電気工事屋やってんだけど、こちらのネットではワシが作ったホームページがヒットしない。Google マップでストリートビュー見ても建物すらない。秋葉原の工作室の店長が別人で、ガンプラ世界大会のメンツも違う。いやぁびっくりびっくり。総理大臣とか同じなのに!」
「俄には信じられんなぁ……」
「こんな証明してみよう。まず持ち物からこれを外して置きます」
「なんですか、これ?」
「ワシの世界のゲームのコアブロック。どうもコレが怪しい。で、その辺のガラクタ渡してくれ」
「スパナー、ボルトー、ドライバー」
「みかんの皮、みかん、台拭きー」
…………
「これで理論上ワシのインベントリ満載でもう持てないよね?」
「ほいっ!」
渦さんは海さんが投げたボールを取ろうとするが、ゲーム処理の問題で握れない。
「ちげぇねぇっスな」
「ところがコレは……持ててしまう!」
渦さんは先に置いたコアブロックを拾い上げる。
「持ってみ。そして持ち物確認してみ?」
「インベントリ残数変わらん……バグってる……」
「どうもコレが悪さしてるっぽい。アリスタって名前なんだが、これウチの方でもブラックボックスでなぁ……」
「よく分からないんですが、渦さんログアウトはしてますよねぇ? 自分の世界には帰れるんですか?」
「普通に戻ってるし、仕事片付いたらGBNに戻ってる。今食ってるミカンもウチのリアルから持ち込んだ」
「なーんか白筋リアルだなーと思ったら……」
「ほい、ウチの方の新聞」
「ガンプラコンテストの結果発表が一面に掲載?!」
「イオリ……レイジ……知らない子ですねぇ……」
「まぁ、偽造しようと思えば何でもできるが、手間がかかり過ぎる冗談だろ? なろうの主人公みたいな話なんだが、困った事に実際問題出来てるんだよ」
「神様とか女神居ました?」
「残念ながら居なかった。スキルガチャとかチートもない。まぁ、異世界転移能力がチートっちゃチートか」
「こっちのリアルには転移できないんですか?」
「何度か試したが、なんか上手くいかん。感覚的には執着が高まらないと帰れないっぽいんだよな。帰れたのも「あ、明日メンテの予定入ってた! ヤベェ!」で帰れたし」
「GPベースとか持ち帰れました?」
「電脳空間の物は何故かリアルに持ち出せない模様。リアルから電脳へは飛ばせるみたい」
戦闘のドカンバキューンが遠くに聞こえる。そんな物とは別次元のファースト?コンタクト。その秘密がゲーム世界のコタツの上で、ミカン食いながらとは恐れ入った。
「で、話戻しますが……仕込みとは?」
「最終的には異世界同士で技術交流したい。こっちにもそっちで役立つ技術あるし、そっちのGBN周りのテクノロジーはかなりインパクトある。そしてこれらは「両方の日本国」でどえらい効果生むぞ。国益レベル狙える」
「具体的には?」
「チーターが気になるんだよ。これでもゲーム運営側の一員だからそれは許し難い。この執着でそちらのリアルに行けないかなと」
「……どうします? 空さん」
「……幕僚が信じるかな……」
「本社(市ヶ谷自衛隊本部。つまり防衛省のこと)務めかよ……スゲェな」
「第一師団が文句垂れおったゾ」
「海外赴任でボロ儲けした癖に」
「げっ」
「自衛隊隊員ダイバー全員監視してっからな。仕事でやってんだよ俺ら」
「やっぱなー。獣人アバターなんてあざと過ぎると思ったんだ」
「正直こっちこそ渦さん凄腕のスパイじゃないかと疑ってましたよ。更にややこしい話で頭抱えてますが」
続く