渦動破壊者 〜アーマードジム〜【とりあえず完】   作:PureFighter00

25 / 56
ガンプラ壊れる壊れない程度で戦いがリアルだ何だと自衛官の前で言ってしまうとは(頭を抱える)


就職おめでとう!

【特に場所は秘する空軍基地】

 リアルな戦いの地平へようこそツアー1日目。空さんはフライトスーツに身を包み、爽やかな笑顔でシバを迎えていた。

「かっこいいねぇ! リアルじゃ無いから嫌だとか戦士の鑑だね! そらぁリアルな戦いに憧れるよなぁ! 男の子だもんなぁ! ……はいお前ら勇敢な若者に敬礼!(ビシィっ!)

 では、戦士様にこれ以上ないリアルを体験して頂こうっ!」

 シバは夢だと思っていた。どう見ても尋常では無く殺気に満ちた特殊部隊に連行されたかと思ったら、突然F-15に乗れと言われた。嫌だと拒否すると「対Gスーツ無しとはブレイブ極まりないな。はぃお前ら敬礼!(ビシィっ!)」とやられる訳である。これは「なら死ぬだけだな」に等しい。

 夢だ。悪い夢だ。確かに彼は「リアル論争」を仕掛けてGPDこそ至高と謳い上げた。しかしGPDではプラモが壊れるだけで肉体には何の影響もない。彼らに言わせれば「その程度」であった。GPDには失神するようなGも、落ちれば即ち死という危険はない。極めて安全な娯楽であった。

 

 筆者も可能な限り空さんが飛ばす複座型F-15内のシバの様子を描写したかったが、ハーメルン運営に無駄な文字列扱いされそうなので、断念した。大体気を失っているか、目の前真っ赤か脳内ごと真っ暗か、悍しい遠い異星の醜悪な生物が囁く冒涜的な人間の言葉に音写出来ぬ音の様な物を喉から出し、たまに固形物や液体が迸りそうになるだけだった。諸君は内臓を掴まれグルングルン体内で振り回された経験をお持ちだろうか? 大体シバが感じた苦痛はこのような物である。それを想像して3を掛けると近似値になる。

 

 1時間の後、両脇を支えられてF-15から担ぎ出されたシバは人間の形をした水袋の様なものだった。これ程「もうダメだ」というのが誰の目にも判るというのは珍しい。某戦車の殺人ブレーキや某狂ってる団の15mダイブ、某艦の大砲をギリギリ死なない程度の距離で発射しようという陸さん海さんの意見を抑えて「地獄に堕ちるような体験して昇天出来るぞ」と分捕った甲斐があったというもの。

 

 医務室に運ばれてビタミン剤の点滴を打ち、時折苦しげに呻いたかと思うとアーっ!なんて叫ぶシバの枕元で渦さんが囁く「俺が本当の戦いを……」ギャー!「GBNなんて……」ギニャー!

「遊ばんで下さい」

 海さんが書類を抱えてやってきた。お役所仕事は書類仕事。何をするにも書類書類。既にこっそり閣議決定された今回の処遇でも、適正処理の為に各種の書類が要る。万が一野党にバレると国会が空転して朝のワイドショーが賑やかになるので保険は必要だ。

「起きろ。夢の中にも安息は無いぞ」

 頭に乗せられた氷嚢を鼻と口を覆う様に配置すると、シバは悪夢から悪夢の様な現実に引き戻された。

「色々聞きたいことはあるが、先ずはサインをして貰おう」

 それでもボンヤリと書面の内容を確認するシバは立派である。内容も分からない書類にサインしてはいけない(戒め)そして……内容を確認しつつもシバは朦朧とした意識の中で、その異様さを理解する事が出来なかった。家族構成や緊急連絡先、住所本籍バイト先まで何故か記入欄が埋まっていた。所持免許や自分も暗記してない免許ナンバーまで記されている。海さんの後ろでシバがサインしている姿を携帯で録画する制服姿の水兵は直立不動だ。

 ノロノロと3〜4枚サインする毎に、書類がチェックされて運ばれて行く。そこに颯爽と胸を張り型に嵌めたのかと思わせる敬礼をして陸さんがまた書類を持ってきた。

「外泊証明書他書類一式、お持ちしました!」

 追加された書類を気怠げに確認せずサインするシバ。水兵は少しだけ緊張した。彼はエリア88を読んでいたからである。シバはGPDバカだしプログラムの勉強に集中していてそんな漫画を読むことは無かった。古典の履修は偶に大変重要だってわかんだね。

 

 外泊証明書一枚で人生台無しにした男がいた。そして今、創作ではなくリアルで人生の方向性を自ら知らずに決めてしまった青年が産まれた。外泊証明書と言われて差し出されたのは、入隊申請と実際に入隊後に他の基地に寝泊まりする為の外泊証明書だった。あと予備自衛官申し込みも翌年の日付でプリントされている。

 空さんも駆けつけて書類を水兵に持たせた後、渦さん、陸海空さんの4名は起立して居住まいを正す。

「シバ・ツカサ君! ご就職おめでとうございます!」

「おめでとう!」

「おめでとう!」

「これからは仲間だな! 鍛えようぜ!」

「リアルな世界にようこそ!」

「集合!」

 号令一発、廊下に重低音が響くと屈強な男たちが整列する。

「シバ・ツカサ万歳!」

「「「万歳! 万歳! 万歳!」」」

 

 シバ・ツカサは圧倒されつつも何か現実離れした光景に魂を抜かれていた。なんなんだろう。俺はどうしちまったんだろう?

 

 勤労・納税は国民の義務だってはっきりわかんだね。




 シバ特定後大急ぎで身柄確認しましたが、公安がマークしてた人物の内の1人だったので「全部割れてました」 思想信条や中学の卒業文集、初恋の相手から習い事までバッチリだぜ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。