渦動破壊者 〜アーマードジム〜【とりあえず完】   作:PureFighter00

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 実際には美談ばかりでは無い事も知ってますが、ほらコレ物語だから(苦笑) こんなんじゃねーやい!って「経験者」はお口をチャックやで。


仲間は見捨てない

「3班規定タイム未達。腕立て20!」

「「ぅーす!」」

 不服そうなシバを横目に同室のメンバーがマシンの様に罰の腕立てを素早く開始する。誰の口からも恨み言は出て来ない。それどころか彼らは口々に「シバのおかげでまた上腕二頭筋が育った!」「タイム更新しちゃった☆」と喜びの声を上げていた。まぁ、シバの為に特別選抜した連中であり、「給金貰って体鍛えられるなんてサイコーや!」のあたおかチームなのだから仕方ない。

 しかし、それがキツくない訳ではない。各員の上着は汗に濡れて変色しており、筋肉は耐えかねてプルプルと震えている(隊員達は助教を含めてそれを「筋肉が喜んでいる」と言うのだが)

 

 最初は「お客さん」扱いだった。所謂ブラック企業が何故か自衛隊の体験入学を使う様になって随分経つ。だが、初日の夕食時にささやかな歓迎会が開かれると、隊員は彼の不遇を理解した。

「4月24日! 駅前コンビニにて!」

「……ちっ……遅えな。ファミチキ2つ!」

「申し訳ございません、在庫が……」

「萎えたわ。もういらねー! 売りもんぐらい仕込んどけよ!(ビシィッ!)」

「「「はっはっは!」」」

 声音までシバに似せた彼の寸劇の仕上がりは中々だった。たった1人、シバだけは青ざめていく。その寸劇の内容は先になればなる程シバの記憶に合致して行き、自分が2週間前から何者かに監視され続けていた事を示していた。普段の彼の尊大な物言いも、エロサイト巡回先や女性の好みも……凡ゆる部分が調べ上げられていた。

「過去2回の選挙において、投票実績無し!」

「年金払込は猶予中!」

「5日前に高校の同級生の、ちょっと気になる女の子からビッ○コインのマルチに勧誘された話!」

 何か相違点はありましたでしょうか、ではない。自分の記憶以上に正確な記録なのだろう。リク君との対戦も、有志連合との戦いの記録も、全て記録されていた。そして彼が見た「自分の日々の生活」は滑稽極まるものだった。情けなさ過ぎて涙が溢れそうになる。

「と、この様な経緯で彼は我々の仲間になった。可愛らしい所もあるが、これで我々は彼の身内になった訳だ。根性は些か1時方向に曲がっているが、信念を持ち目標貫徹を目指すその姿勢を我々は高く評価するものである。

 彼は我々の兄弟になるであろう。

 挫けず我々と共に戦う男になるであろう。

 皆も彼を鍛えてやって欲しい」

「「「押忍!」」」

 

 自衛隊は、誰も見捨てない。

 志あらば必ずや仲間を仲間に足る精鋭に育てる。勘違いヤンキーだろうが、戦車や戦闘機に憧れただけの軍オタだろうが、必ずや兵士にさせる……無論途中で志が折れて除隊する者もいる。しかし一度でも同じ理想を抱き、共に歩んだ仲間を見捨て蔑んだりはしない(結果として見捨てなさ過ぎて「壊れてしまう」事例がない訳でもない)

 同室の仲間は優しかった。不甲斐ないシバの体力をバカにもしない。いや寧ろ「連れて来られた」彼に同情的ですらある。モヤシなのだから仕方ない。むしろモヤシなのに負けん気だけでこのメニューについて来るのは素晴らしい……密かに彼の苦闘は同期隊員の心を打った。ヤルじゃねぇか、と。

 シバの口調は変わらなかったが、敬礼は励行する様になっていた。素人で体力もなく、根性の曲がったシバではあるが、曲がったなりにぶっとく頑丈な根性であった。隊員の真っ直ぐな尊敬が少しずつ、僅かずつ彼の心を真っ直ぐにして行く……相変わらず走るのは遅く、持久力は無い。懸垂も4〜5回で動かなくなり、夜はすぐに泥の様に眠る。

 

「まぁまぁ、こんなもんだろう」

「意外に馴染みましたなぁ。柵外の見回り増やしたんですが」

「気概だけは立派よ。ただ向かう方向性が悪かった」

「渦さん、座学はどうですか?」

「こっちが教えられてるとこもある。やはり管理者アクセス権取って、そこから解析したらしい」

「どーやって抜いたんです?」

「偶然というか、何というか……故障を自分で治そうとGPDのメンテハッチ開けたらIDとPassが記載されたメモあったんだと」

 リテラシー、だろうか(虚無)

 実際サーバーマシンとかでもIDやPassをご丁寧にテプラで貼ってる事業所は実在する。凡ゆる防備も運用の手抜きで大惨事。笑い事ではない。

 

 ログ消しやコントロール関係の操作から見て、シバが何らかの特権を掴んでいる事は渦さんにも解った。実際渦さんもガンプラバトルシステムで使用していたコマンドが使えると理解した後、実際メンテナンスIDで各種操作を試している。GMがBan出来ないとか、会話ログの削除などもこれによるものだ。ただ、IDをどこから取ったかだけは謎だった。

 更に彼は渦さんも知らないGPDおよびGBN専用の領域を知っていた。シバにはランダムなアドレスだが、渦さんには心当たりのある……0xAE13。

 アナハイム・エレクトロニクスの開発13局。

 

 物語の中で、それはネオファリアと呼ばれていた。




 皆もIDやPassの管理はしっかりやろうね!
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