渦動破壊者 〜アーマードジム〜【とりあえず完】   作:PureFighter00

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シバ君に届く言葉となるか。


陸さんの組織論

 自衛隊の訓練は大変厳しいので、病んだり疲れたりした隊員は面談を受ける事がある。1週間も経たずシバはこれを受ける羽目になるのだが、そのきっかけは意外なものであった……

「え? 山上さん……除隊?」

「合わなかった様だな。君には無いが普通は自衛隊にも職業選択の自由はある」

 いや、シバにもあるぞ(形式上は) ただ届出や退職願が前線に孤立した兵隊の様にあっさり狩られてしまうだけだ。既に政治マターになってしまった彼には自由というものは余りない。

 

「俺なんかよりデカくて脚も速いし……」

「いや、そんな卑下するこたーない。全く鍛えて無かっただけあり、シバも結構いい線行ってる。ちゃんと戦える様にしてやっから心配すんな」

「適正ってもんがあるだろ! 俺なんかより山上さんはずっと……なんでなんだよ!」

「適正なんてもん、俺は余り気にした事は無いんだが」

 珍しく陸さんがリアルモードだ。椅子を回して午後のグラウンドを眺める。

「軍事組織だからな。そりゃあ死なない方がいいが、戦えばやはり人は死ぬ。鍛え上げたイケメン国防男子も流石にスーパーマンじゃない。補充で入ってくる連中はいつも半数はモヤシだ。軍隊ってのはそんなモヤシじゃ戦えねぇ!って言ってられんのよ。アメさんが自衛隊に「エリート部隊作ってもしゃーねーぞ」って忠告して来るのはそこだ」

 ブラインドの隙間から見えるランニングの姿。先頭とケツの間の間伸びが「兵士の質のバラツキ」である。全員が全力尽くして同じスピードで走れるのがベストだが、リアルは大戦略の様には行かない。

「我々はあの門を潜った奴を使いこなす訓練をする。だらしねェだ弱卒だなんてのは些細な話だ。隊を後にする奴も追わない。可能な限り対処はするが、畏れ多くも憲法に職業選択の自由がある限り無茶は出来ない。昔はぶっ飛ばして言う事聞かせたらしいがな。志あるもので戦う。それがどんな奴であれ、望んで命をかけて来る奴と共に戦う……」

 陸さんが割と厳しい目でシバを睨む。滅多にする事ではないが、陸さんの殺気は本当に怖い。ヤクザの脅しは「下手すりゃ死ぬよ」だが、陸さんの視線は「確実に殺す」だ。そこには行為に対する恐れが無い。この世界の中で兵隊という生き物は唯一「人を殺すことを業務とした」仕事。日常的に良く見る事ができる殺し屋だ。国家が持ち得る最大の暴力装置。

「お前、GBNに攻撃仕掛けたろ? ありゃなんでなんだ?」

「……GPD捨ててGBNに逃げた様に見えたんだよ」

「逃げる女を追い回すのと同じだ。なんで新しいGPDの仲間を増やそうとしなかったんだ?」

「過疎化が歯止め効かなかったからな……」

「俺思うんだけどさ、GBN無くなっても人がGPD選ばなくなった理由が無くならなきゃ、結局GPDに人戻んなくねぇか?」

「……浅慮だったと思ってる」

「お前にいい知らせをやろう。今渦さんが政府や財界巻き込んでGPDの普及やろうとしてる。お前が好きそうな方向じゃ無いが……」

「! 何するんだ?」

「GPDを工業製品の細密加工に転用する。ガンプラでガンプラ壊せるなら、ガンプラで色々加工も出来るだろうって筋だ」

「そんな簡単に出来るわきゃねぇだろ!」

「だから、トレーニングが必要だな。GPDの」

「!!!」

「よぉ、GPDに自信ニキ。どうやってGPDでの操作習熟したらいい? それを邪魔しに来るハッカー……渦さんの見立てでは敵性国家からのサイバーテロが必ずあるそうだ……どうやって潰す?」

「ぁ……ぁ……」

「もう一回羽ばたくチャンスは作った。俺たちは俺たちで勝手にGPD使って純白メルセデスやマンション買うが、その波使ってもう一回ぐらいはGPD試せるんじゃないか?」

「まさか……それで……」

「ウチには対サイバーテロ部隊がある。望むならそこへはお前をフリーパスで送り込める様にしてある。お前の世界をお前が守るんだ。やりたくねェか?」

「やらせてくれ! いや、やらせてください!」

「お前さぁ、そーゆー時は直立して敬礼するもんだぞ(苦笑)」

「今度は間違いません! 志願します!」

 再チャレンジ可能な社会、サイコーですな。




 隊員として守るべきものを可視化し、永続化の為には常に新兵教育して行かなければならない……

「日に1000人死ぬのなら、日に1500の産屋を建てよう」
 実際古事記にも書いてある。これが日本に古来から伝わる繁栄の策だ。

 シバは変わるだろうか。
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