渦動破壊者 〜アーマードジム〜【とりあえず完】 作:PureFighter00
「一つ聞こう。元開発主任の荷物とか私物は残ってるか?」
渦さんとしては何としても彼と会って話をしたかった。どう見てもGPDはガンプラバトルシステムに似過ぎている……同郷人にしか見えないのだ。その確証が欲しい。
「オフィス引越しの際に処分しちゃったわ。開発筐体なんかも」
「開発筐体?」
「手製のGPDよ。彼がGBNのデータ取る為に手作りしたの。元々はスケルトン(ガワ無しフレーム状態)だったけど、お披露目の際に普及版と同じ外側付けたの」
「……それって2P側フィールドの端に補修跡あったりしないか……」
「良く知ってるわね? 出力調整してた頃の傷よ」
「……? するっていうと、シバが持ってるのって……?」
「当時の仲間たちとゲーム代稼ぐ為に産廃業者のバイトしてな。ゲーム代どころかゲームそのもの拾ったって寸法さ」
「あれ、GPDサーバーに繋がらない筈よ!」
「設定は残ってたからな。自前で改修した」
「流石ハッカー、大したもんだ」
「お陰でアホほどタダゲーさせて貰ったよ。電気代がエグい事になったけど……」
物事を学ぶ一番の方法は「欲を持つ事」である。楽しさ追求というのもこれに相当する。GPDにハマったシバは相当にGPDを学んだであろう。そうしてウィザード級を凌駕するガンダルフ級のハッカーが生まれたという訳だ。ハードウェア面を紀伊が独力で構築したのも効いている。ガワを付けた後だから本人以外覗かない中の付箋やメモはスルーされたと。
これ自体は然程奇異な話ではない。現実世界でもバーチャファイターの操作に割り込み、特定方向に限るがワンボタンで崩撃雲身双虎掌(アキラスペシャル)を放つボタンを実装した人間は実在する。自由に弄り回せるハードウェアがあり、メンテナンスコードを知っていれば様々な事が出来るのだ。筆者も昔(実は開発元から了解得ていたが)パソコンのオリジナルBIOS作って配布していた事がある。
「ちょっと良いですか?」
「何だね海さん?」
「フィールド面の破損って言いますが、あれって簡単に破壊できるんですか?」
「……ちょい技術的な話になるが、ゲーム開始時にプラネッツコーティングなどの効果でバトルフィールドの域内にバリヤじみた力場構築するから、バランス失敗しない限り破損はしない」
「……仮に……仮にですよ? そのバリヤだか力場が形成出来ないとどうなります?」
「事故るね。ガンプラ爆破破壊出来るだけの力場だもの」
「壊れ過ぎない様に調整してた頃に破損しちゃったのよ」
「それ、人死ぬぐらいの破壊力だったりしません?」
「安全対策でフェイルセーフ多重に……いや、そうか。そういう設定で詰めたらイケるか」
「みんながガンプラ馬鹿で本当に良かったな」
「これはGBN移行せざるを得ませんな」
そう、下手すれば2〜3mmに到達するPS樹脂を破壊するだけのエネルギー量は割と高い。溶断にしろ爆破にせよ、それが人体に直接曝露したら「それなりの結果」を出してしまう。だから安全対策は徹底しているが、敢えて徹底しないとどうなるか……
「シバ、出力調整部やコントロールの一部にプロテクトと攻勢防壁組め」
「エグくて良いか?」
「軍事転用できる。つーかテロ屋向きだな。報告は俺が上げておくから改修案をまず作れ」
「アイ・サー!」
「……我が社の機械なんだけど……」
「トーリさん。既に話は御社だけに留まらんのですよ。将来的にはGPDを公教育に組み込むプランもある。もう政治マターで産官学の連動プロジェクトも動き始めてる」
「アメリカは既に協業打診してきてる」
「敵性国家だと下手したら人死ぬよ」
「下手したら……紀伊っての拉致られてないか?」
「えっ?!」
「脅すな、シバ。まだ確証は無いが、多分大丈夫だ」
「何か当てがあるの?」
「ある。だとしたら失踪して見つからないというのも分かる。奴はこの世(ビルドダイバーズ時空)から消えてしまったんだ」
トーリが遂に声をあげて泣き出した。違う、そうじゃない(明らかに説明不足)
「いーけないんだ、いけないんだ。渦さん泣かしたいけないんだ」
「女泣かせ!」
「セーンセーに言ってやろ♪」