渦動破壊者 〜アーマードジム〜【とりあえず完】   作:PureFighter00

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 広大なる宇宙……余りに広くて地球以外にも多数の生命がダンスしてはいるのだが、余りに広くて出会うことは稀。全世界規模で見てもそれは極めて稀である。
 


開発主任Xの決断

【惑星エルドラ上空、静止衛星内】

「地球人は宇宙を過小評価しているね」

 最近はVRゴーグルかける度にエルドラに呼び出されている気がする。正直仕事にならない。

 エルドリアンの主張では、生命を電磁データ化する事で、極めて光速に近い速度まで加速できるという。この身体で宇宙を渡り、着いた所で新しい刺激に満ちた生活を送るのだと。

 彼らは無限に近い生を獲得した。途方もない時間の果てに生命の秘密を極めた彼らは寿命や病死を克服したのだ。無限の命は科学技術を天に届くほどの塔として積み上げ、実際軌道エレベーターなどを作り上げてしまっている。そして彼らは思いもかけず生を失った。死なない人類が生殖すると漏れなく人口増加により惑星が生命を養い切れなくなるのだ。ここまでの展開は1stガンダムと同じである。彼らは新天地を宇宙に求めた。更に人類としての繁栄が……忌避される様になっていった。代わり映えのない毎日、代わり映えのない人々。怠惰と飽き、そして絶望。決してその様に仕向けたわけではないが、エルドラは段々とディストピアの様相を呈してきた。

「で、各人新しい世界でやり直そう、と」

「宇宙は広いからね、いつまでも真っ直ぐ進めば必ずどこかで生命には出会う」

「私の作る新しい世界にも移殖したいと」

「無限に有るとは言え、君たちの星は近い。何人かは君の世界に到達するだろう」

「本当に数人で済むのか?」

「星間航行を望むのは100人に満たない」

「残りは?」

「色々だよ。多元宇宙を目指すものや、既にテラフォーミング済みの開拓惑星に生身を作って移住するもの、残り違う形の生命としてやりなおしたいもの……纏まらないものだ」

「100人中の数%か。そりゃいいが電磁データだろ? 太陽風とか様々な電磁波でフラグメンテーション(断片化)や混信したりしねーの? 例えばさ……」

 

【数年の後、GBN内】

 危惧通り断片化して混信したそれらは、昨夜のGMバリの何気ない言葉で懊悩していた。

 融合体を形成していた「彼ら」は融合体の総意により己の断片を用いて光の翼を形成した。しかし、統合体を形成する要素、自意識の根幹になっている「外の仲間」がそれぞれ「本来の場所」に帰った後、僅かな寂しさが「彼女」を襲った。彼らは寄り添いながらも個を形成している。「私」は如何だろう? 長い旅路の果てに混信して互いの欠損を補完し合って出来たキメラの私。デフラグして生まれた私は誰でもあって誰でもない。個にして全、全にして個。

 

「大丈夫! まっかせて! 燃える使命に寄り添う無限宇宙のアツい灯台! おいで、ここにおいで! 来ないなら捕まえに行くよ!」

 

 思えばあれは拉致監禁ではなかったか。何か強力な……何だろう、押しの強いエルドリウム鏡砂? 誘われる様に一点を目指した私たちは、計画にはない混信を発生させてしまう。溶け合う自我、しかしエルドラの民はディストピアめいた生活の中で似たような人生を送ってきたものばかり。反発は起きなかった。互いに保管しあってもチェックデジットやハッシュに差が出ない。

「サラ」は己を再認識しつつある。このGBN内には無理矢理連れて来られた私の一部が散らばっているに違いない……彼女はそれを探し求めた。他のメンバーも同様にして失われた自分のデータを探し始める。確かにそれは有ることもあるのだが、灯台さんはかなりガバい性格をしている様で、撮り損ねた物がかなりある。元々彼女の力は強固な意思力で発動するものだから、意識が弱いと欠損が生まれる。そこを「努力・友情・勝利」の方程式で埋めようというのが土台無理なのだ。故に彼女には常ならば論理性を担保する相棒が要る。

 エルドリアンはそんな熱血気質の超自然の力を知らなかった。悲劇はこうして始まるのだ。

 

【エルドア上空 静止衛星内】

「宇宙は広いんだろ、何が有るか分からんて。こんな状況も想定されるだろ?」

「有るかもしれないが、可能性は僅かだろうね。その様な超越者が我々を見つけていたならば、こんな事にはならなかっただろう……」

 寂しげに母星を見つめるエルドリアン。

 そう、その通りだ。その確率は僅かな物だ。しかし遺伝確率250億分の1という可能性から死なない兵士が生まれるなど、生命は不可思議に満ちている。既に遠い昔に生殖という概念を捨ててしまったが故に、彼らはその事を忘れた。

 確かにその様な超越者が彼らを見つける事は何兆分の1だろう。しかし彼女の背景には異能生命体よりは発生確率が高く、運命を捻じ曲げるという観点では彼らに比肩し得る「主人公体質」の少年がいた。

 

 最初にエルドラから旅立ったその娘は、トーストを加えた女子中学生の様に開発中のGBNサーバー内、紀伊がテスト用に構築したAE 13th格納庫に眠る、この世界に存在しない筈のデザインの中に詰め込まれた「データ化されたアリアン」とぶつかってしまったのだ。

 アリアンはまっすぐな瞳で、根拠に乏しいアツいハートで虚空を睨んだ。「誰一人取り残さない!」




ガバっと行ってしまったのがね、どーもね。
こうして1キャラ分で80倍近いデータを持つエルダイバーが暴食を始めた訳ですなぁ。
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