渦動破壊者 〜アーマードジム〜【とりあえず完】 作:PureFighter00
【GBN運営会社 大会議室】
みんな恨みがましい目で見ている。いいねぇ最高だ!
「……やってくれたわね……渦動破壊者……」
「これはちょっとしたサービスだよ。見方を変えてみるといい……諸君が内々に『ある事』を決めたとする。後にその決定が間違いだったと発覚する。責任を負うのは誰かね?」
「責任者が責任負うのは当たり前じゃない!」
「それが間違いだ。責任者は責任を負える範囲で責任取れば良い。自分のクビで済むか済まないかぐらいは考えろ。そして本件はトーリ氏の責任範疇を超えている……転嫁したまえ、プレイヤーという不特定多数の民衆に」
いやぁ、外道プレイは楽しいな☆
「そ……そんな無責任な……」
「……ほぅ、頭の悪い奴がいるな。君も民主主義政体を信奉する良き民主主義者なら覚えておくといい……民主主義の基本は無責任だ。君は自治体選挙や国政選挙で特定候補に投票した責任を問われたことはあるかね?」
「ある訳ないでしょ!」
「そう、民主主義の基本となる普通選挙は投票した個々人に責を問わない。選出した政治家がやらかしても国民個々人が責を問われる事はない。責任がないのだよ、全くな」
ここで全員を見回す。
「個人が負えない責任は、概念上の存在である『国民』という群体に背負わせる。よく出来たシステムだ。誰一人重責に悩むことがない。これをGBNでやれば職員個々人が責を問われる事はない。プレイヤーは自分達で未来を選択したという美酒に酔うだろう。毒人参の杯かもしらんがね!」
とびっきりの悪い顔を皆に差し上げよう。カツラギ君にはひと働きして貰わねばならんからな!
「君らもサラリーマンだ。危険な橋は渡りたくあるまい?」
たった今、リモートでホールディングスから叱られたばかりだ。身に染みているよな?
「ここも上含め大所帯だ。派閥や系列というキャリアプランを考えないと、いつの間にか閑職に回って乙るぞ? 当然諸君もご存知であろうが、GPDサービスはどうだった?」
あの辺かー、あの辺がGPDから島流し組かー。わかりやすくていいなぁ。
「あのぅ……バグ放置してトラブルが起きたら……」
「みずほだな」
周囲が騒つく。そうねそうなるね。
「だが一つ違う点がある。サラちゃん消せば事態は収集するのだろう? 本件はある意味既に解決済みなんだ。ただ、サラちゃんを消すという倫理的部分の処遇で議論があったのだろ?」
会議室の端にあるコンセントから二股プラグを引き抜く。
「聴かせてもらった」
証拠は回収。しまっちゃおうねぇ♪
「人事は尽くした、という姿勢が示せれば格好はつかないか?」くるっとターン。実に芝居染みているが、これは渦さんのプレゼンテーションだ。彼のプランを全員に飲ませる「売り込み」なのである。そして役者たちへのオファーと言える。
簡単に言えば、結論はみんなで出せばよい。そこに至るまで幾つものミッションがあり、無限に結末が用意されたマルチエンディングシナリオだ。筋はその場にいる役者のアドリブに任せて監督は結末だけコントロールする。
「言ってしまえば結論は2つ、サラちゃんを消すか消さないか。この2つに繋がるように即興劇を仕立ててプレイヤーを役者にしようって話だ。昔はネトゲでもこういうのはあったんだがねぇ……やってみないか? 誰も責任取らんで済むぞ」
渦さんは明かさないが、既にこの会議室の出来事が即興劇の一幕なのだ。提案という体裁は取っているが、結論はコントロールされている。
「一つだけ聞いて良いだろうか」
「もちろんだとも!」私の台本の中で、君は割と重要な役者だからな!
「GMも、このシナリオに役者として絡んで良いか?」
「公務員にだって投票権はあるさ、カツラギさんにももちろん清い一票をお願いするとも!」
役者は揃った。楽しい俄狂言の始まりだ。
次回、ネット軍師が動く!