戦姫絶唱シンフォギア 悪意と過ち   作:NTK

3 / 8
色付きにするのがキツかった…‼︎

決起し始めるイカロスの太陽。彼らと相対した装者たちは、何を思う…?

作品全体のテーマ曲〜エグゼイドより【wish in the dark】〜


ワレラがレイダーで復讐者

装者達とシェム・ハとの戦いから半年以上が経ち、時折発生するパヴァリア残党によるテロ行為以外には大きな戦いもなく、平和な日々が続いていた。

 

ある日、彼女達の元に召集が入り、彼女達は自らが所属する国連直轄超常災害対策機動部タスクフォース、通称『S.O.N.G.』の本部へと足を運んだ。

全員が揃ったことを確認すると司令である風鳴弦十郎が説明を始めた。

 

「全員集まったな。今回君たちを呼んだのは、半月前に世界各地でパヴァリアの残党と思われる者たちが潜んでいた拠点や、彼らに渡されたアルカ・ノイズを所有したテロ組織が何者かに襲撃され、内部にいた錬金術師やテロ組織らの全員が死傷する事件が発生したことが主な理由だ」

 

「錬金術師たちの内部抗争…でしょうか?」

 

翼がそう質問すると、弦十郎はいやと首を振った。

 

「現場には彼らが所有してる銃器とは明らかに違う銃撃の跡や斬撃の跡が残されていた。また、アルカ・ノイズの残骸と思われる赤い塵が発見されたことから、対ノイズ兵装を有した集団が彼らを襲ったと見ていいだろう」

 

さらに緒川が、補足の説明を付け加えた。

 

「また、半年前から日本各地で行方不明者が増えているのですが…彼らについて調べたところ、彼らのほぼ全員が五年前のツヴァイウイングのライブの生存者とその家族、そしてフロンティア事変で家族をノイズによって失われた者たちであると判明しました…」

 

言いづらそうに話す緒川の言葉に、装者たち─特に翼、マリア、調、切歌の四人─は表情を曇らせた。

かつての二課が行ったライブを名目にした完全聖遺物《ネフシュタンの鎧》の起動実験、その時起きた事故により当時の装者の一人であった奏を含めた多数の死人が出たのだが、死者の大半が避難時に将棋倒しになったことによる圧死や避難経路を確保するために観客同士で暴行を行ったことによる死亡者であることが報じられた結果、どんな経緯であれ生存者は全員『他人を文字通り踏み台にして生き延びた人殺し』のレッテルを貼られ、誹謗中傷を受けたり、職を失ったりしていた。

そしてかつてマリアたちがF.I.Sとして響ら当時の装者と敵対してた頃、彼女らの協力者であったウェル博士の暴走によりノイズを操る完全聖遺物《ソロモンの杖》を乱用し、数多の死者を生み出していたのであった。

 

その彼らが行方不明になったことと、先の事件を聞きマリアはある推測を口にした。

 

「つまり…行方不明になった彼らはノイズを憎んでいる。故にどこからか対ノイズ兵装を手にした彼らがノイズを使役する錬金術師たちを襲撃している可能性がある…そういう事でいいかしら?」

 

「あぁ。我々はその可能性があるとみている。生き残った錬金術師から日本にも隠れ家があると聞いてある。君たちはその場所に向かって錬金術師たちの鎮圧を。彼らが現れた場合はその対処を頼む」

 

『了解(デース)‼︎』

 

その後すぐに彼女達は伝えられた場所へと向かっていく。

ノイズを憎む原因は自分たちにあるが、だからといって錬金術師らに対する殺戮を許すわけにはいかない、そんな思いを胸に出動していく彼女達だったが、彼女達は二つの思い違いをしていた。

 

一つ目は錬金術師らへの襲撃はいわゆる予行練習であり本命ではないこと。

そして二つ目は──彼らはノイズ『が』憎いのではない。ノイズ『も』憎いのであるという事であった。

 


 

結論からいえば、制圧にあたり乱入はなく無事に錬金術師らを捕縛することに成功し、輸送中を狙われる可能性を考慮し護送車を二つに分けそれぞれ二手に分かれて同行したが特に襲撃は起きず、彼女達はどこか拍子抜けしていた。

 

「なんか、いつもの任務って感じでしたね」

 

「そういうな立花。元々彼らが来れば応対し、来なければそれはそれで錬金術師らを制圧できる。そういう手筈の任務だ。しかし、何故襲撃が来なかったんだ…?」

 

「単にあの拠点の場所を知らないってわけじゃなさそうだし、狙えない理由があったとかか?」

 

一度シンフォギアを解除し、マリアたちと合流すべく響ら三人は言葉を交わしながら移動していると、突然ビルのモニターや展示されているテレビの画面が一斉に切り替わり、口から上を白い仮面で隠した男が映し出された。

それとタイミングを同じくして、耳に妙な機械を、顔に眼鏡やサングラスを掛けさらにはスロットのようなものがついたベルトを身につけた集団が様々な場所に姿を現した。

彼らからただならぬ雰囲気を感じ取った彼女たちは何事かと身構えると、仮面の男が口を開いた。

 

『…諸君、我々は《イカロスの太陽》。我々の大半は五年前、ツヴァイウイングのライブにて生き延びたにも関わらず、貴様らに人殺しの濡れ衣を着せられ、人生を潰された者たちだ。だが、()()()()()()()()()()()。故に我々は決起する。自らの不始末を見て見ぬふりをして見捨てた者たち、そんな彼らの情報を信じ、我々を人殺しとして勝手な正義感で我々を迫害した者達、引いては愚かな人類全てを抹殺することを宣言する』

 

『歌の鎧を纏う者らよ。ライブの件だけではない、我らの同胞には君らの罪の被害者もいる事を忘れるな。そして我らを人殺しと罵った者たちよ。お前たちがそう言うのならば、我々はお前たちの命を持って、望み通り人殺しとなってやろう…!では同胞たちよ、積年の恨みを晴らすべく……実装せよ‼︎

 

その言葉を皮切りに、先程の集団が懐から生き物が描かれたカラフルなケース状の物を取り出した。

ブロウ‼︎

ウェーブ‼︎

バースト‼︎

ハリケーン‼︎

サーチ‼︎

ハント‼︎

ハード‼︎

 

それらから音声が鳴ると彼らはベルトのスロットに装填、すると金属を叩くような音がベルトから響き渡った。

 

「…実装‼︎」

 

『実装‼︎』

レイドライズ‼︎

 

彼らはベルトにあるスイッチを押す。直後ベルトから金属の管のようなものが彼らの周囲に纏わり付き、すぐにそれらが消えると彼らの姿は変貌し、動物の意匠を模した装甲を身に纏っていた。

クラッシングバッファロー‼︎

スプラッシングホエール‼︎

ダイナマイティングライオン‼︎

ストーミングペンギン‼︎

スカウティングパンダ‼︎

ファイティングジャッカル‼︎

インベイディングホースシュークラブ‼︎

 

彼らはそれぞれ手にした武器を携えると、市民に向けて一斉に攻撃し始めた。

たちまち街中は爆発音や銃声、悲鳴が鳴りわたる地獄絵図と化していき、ある者は殴り殺され、またある者は切り裂かれたり撃ち抜かれたりして命を奪われ、中には彼らが発生させた竜巻や凍気にやられている者もいた。一方で、殺戮を行なっている彼らは無差別に攻撃してるように見えるが、よく見ると一人殺しては辺りを見渡し、場合によってはわざわざ遠くにいる相手に狙いを定めてる様子から標的を選んでいることが見受けられた。

 

「うおぉぉぉ‼︎」

 

「よくも俺らを迫害したなッ‼︎」

 

「お前らが‼︎お前らが迫害を煽り立てる記事を書いたから、私の家族は‼︎」

 

「お前らに追い詰められ、自殺した妹の仇だ‼︎」

 

「あなたが私情で取引を辞めなければ、お母さんはッ‼︎」

 

口々に怨嗟の声を叫びながら攻撃する彼らに響たちは立ちすくむが、すぐに我に返ると彼らを止めるべく、シンフォギアを起動させた。

 

Balwisyall nescell gungnir tron(喪失までのカウントダウン)

Imyuteus amenohabakiri tron(羽撃きは鋭く、風切る如く)

Killter Ichaival tron(銃爪にかけた指で夢をなぞる)

 

三人がシンフォギアを纏い終えるとほぼ同時に本部から連絡が入った。どうやらこの暴動は全国各地で発生しているらしく、マリア達も同様に対処しているとのことであった。

 

《今からどれだけの市民を助けられるかはわからないが、彼らを制圧してこの暴動を止めるんだ‼︎》

 

装者たちの返答を聞いたあと、弦十郎は藤尭に先ほどの放送の発信源を調べるよう指示すると、すでに行なっており発信源は特定しており、東京スカイタワーから放送されているようであった。

すぐさまスカイタワーの近くにいる響らにそれを伝えると、彼は重苦しい表情を浮かべていた。

 

「イカロスの太陽、か…」

 

「神話ではイカロスは太陽に翼のロウを溶かされ墜落してます。つまり、組織名自体が翼さん、引いては我々への敵対宣言とみていいでしょう」

 

「あぁ。だが、それより気になるのは全てを知っているという言葉だ。ライブの件だけでなく装者たち、特にマリア君らの事を知っているとなれば、彼女らに恨みを抱いてる者も彼らの組織に属している可能性が高い。どちらにせよ…戦いづらい相手になるな…」

 

彼らの行動理由が自分らの不始末によるものであると看破した弦十郎は、今回の騒動がこれまで以上に解決が困難である事を悟ったのであった。

 


 

首謀者がいるとされるスカイタワーへ向かいつつ、暴挙を繰り広げる彼らの制圧を行う響らであったが、一つ問題があった。それは『彼らにどこまで加減して攻撃していいかわからない』ことであった。

シンフォギアの持つ力は強大であり、10代後半から20歳前半の彼女らが使用しても戦車を容易に破壊でき、山や月の破片をも吹き飛ばすくらいの代物である。彼女らはかつてフィーネやF.I.S時代のマリアらやサンジェルマンらといった人間とも交戦したが、そのどれもが相手が自分らと同じ異端技術を有しているためほぼ同じ条件下の戦いであった。

 

それに比べ、今回の彼らは異端技術を用いてるかどうかも未だ不明であり、下手をすれば彼らの装甲ごと破壊し、彼らを死なせてしまう恐れがあった。

故に現在は彼らの武器のみを破壊しているものの、徒手空拳で殺傷行為を続行しているため、比較的相手を死なせる可能性の低いアームドギアを持つ響や、装者としての期間が長く、扱い方を心得てる翼が無力化を行い、クリスがスカイタワーに直行していた。

 

とはいえ、元々は一般人、さらには迫害を受けたライブ生存者である彼らに力を振るう事はライブの主催者であり事実を知っている翼や、彼らと同じ境遇にあった響にとってキツいものがあり、その精神的負荷がいつもの調子を欠く原因となっていた。加えて、彼女らに向けて彼らが発する罵詈雑言がさらに調子を崩す要因となっていた。

 

「何故実行者である彼女らを断じなかった、この裏切り者が‼︎」

 

「貴女が自分の境遇を教えてさえいれば、家族の名誉を回復出来たかもしれないのに…!」

 

「僕らは、貴女の歌が楽しみで来たはずなのに…何故自分らのファンを危険に晒す真似をした挙句、僕らが迫害を受けてるのを見捨てた⁉︎」

 

「人類の為なら何千何万の人が死に、人生を狂わされても構わないの⁉︎人類の未来より、あの人と暮らせればそれで良かったのに…!」

 

我々から全てを奪ったお前らが、我々の復讐の邪魔をするな

 

憎悪や憤怒、殺意といった感情をぶつけられ、彼女らは思わず足を止めてしまう。

 

(確かに…あの時は色々大変なことがあったのと、奏さんを亡くした翼さんに言っても、互いの受けた傷は同じだと思って言えなかったけど、あんな目に遭ってきたのは私だけじゃないって考えるべきだった…‼︎あの時に話してれば、この人たちがこんな事をしなかったかもしれないのに…ッ)

 

(私は、自分の未熟さばかりに気を取られ、奏が命懸けで守った者たちが害されてることに目を向けなかった結果、彼らがここまで追い詰められてる事を知ろうともしなかったッ!彼らを巻き込んで起きながら、彼らに救いの手を伸ばさなかった私の不始末がこの惨状を生み出した…!)

 

(あのライブの事件は、フィーネが仕組んだものと聞いている…なら、フィーネと行動を共にしてたアタシも同罪だッ…それに、全てを知ってるならアタシがソロモンの杖を起動させた事も知ってるはず…それで家族を亡くした奴があいつらの仲間にいるのなら、この騒動はアタシのせいでもある…‼︎)

 

「今更後悔しても、もう遅過ぎるぞ?既に我々は決起してしまったのだからな」

 

声のした方角に顔を向けると、先程の放送をした仮面の男がこちらに向かっていた。

 

「…あなたが、首謀者ですか?」

 

「…ッそうだ。俺は一色理央という者だ。…君も我々と同じ立場にいたのだから、我々の気持ちはわかるだろう立花響よ。だから邪魔をしないでくれ。これは君らの罪のツケなのだからな」

 

「で、でも…こんな事をしても、何も…」

 

「なにもならないと?違うな。俺は人類が憎くて堪らない。自分らのしでかした事をひた隠しにし、当事者である我々にも何も言わず謝罪しないばかりか、罪人を事実上無罪にして仲間に加えるお前らや、我々を容易に裏切り、嬉々として迫害を行う彼ら。そして、相互理解を得られないというだけで、ノイズという後世に渡る史上最悪の兵器を生み出したり、聖遺物の魔力に取り憑かれて非道な実験を行う人類に、俺は失望した…だからこそ、俺は自分を含めた人類を滅ぼすことを決めた…‼︎」

 

そういい理央と名乗る男は配下のものとは違ったバックルを装着した。

フィリストドライバー‼︎

理央はケース状の物体を手にするがそれは他とは違い、禍々しいオーラを放っていた。

理央は側面に親指を当て、そのまま首を掻っ切る仕草をしつつ手を伸ばす。直後サムズダウンをしたと同時にケース状の物体を展開する。直後、どこからかライオンにも虎にも見える動物のホログラムらしきものが現れ、彼の周りを駆けていった。そして理央は手にした物をベルトに装填する。

 

「…変身」

 

プログライズ‼︎アーク…

Destroy, the world that is kept false

FILIST the KAMEN RIDER

Right and wrong depends on the convenience of the person

 

姿を現したそれは黄色い複眼をし、暗い水色のボディに暗いオレンジ色の、破壊された二重螺旋のような模様が縦に走っており、胸部に同じ色で横に模様の走った装甲が施されていた。頭部は後ろにたなびくライオンのたてがみのようなデザインをし、両耳辺りから伸びているアンテナ状のパーツは何故か左側のみ欠損していた。両手足は虎柄の装甲があり、先程の物体が収まりそうなスロットが各部に設けられていた。

 

それが、彼の変身する『仮面ライダーフィリスト』の姿であった。

 


 

理央が変身する少し前、四人の男女は今の状況に困惑していた。

 

()()()()()()()()()()()()()()はずなのに、何故レイダーがここに…⁉︎」

 

「わかりません。しかし、私たちが()()()のと関係があるように思えます」

 

「どっちにしても、あの放送と今の様子じゃ、この世界にアークが現れてる可能性は高いよ。どうする……

 

 

 

 

 『滅』?」

 

「決まっている。一度滅びた身といえど、アークの監視と殲滅をしないわけにはいかない。ここが別世界なら尚更だ。奴らを止めるぞ」

 

『《滅亡迅雷.net》の意思のままに…!』




思ったんですけど、響の【彼氏いない歴は年齢と一緒】って、一期の時点では単なるネタでしたけど、彼女の過去が明かされた今だと、とんでもねー自虐ネタなんですよね…


ちなみに、レイダーたちは全て量産されてます。
数としてはバトル>それ以外な感じです。

そして、オリライダーの簡単な解説入ります。

仮面ライダーフィリスト

一色理央が変身するアークライダー。
名前の由来は【生物全般が生殖をやめ絶滅すべき】という考えのエフィリズムから転じたエフィリストより。
ライダモデルは人工的に生み出された動物であるライガー
左耳のアンテナが欠けてるのはペットとかにやる『去勢』の証が元です。
…えぇ、かなりブラックなモデルですよ。

変身時の英語の意訳は
『偽りで保たれている世界を滅ぼせ』
『オレがフィリストで仮面ライダー』
『善悪は所詮人の都合次第』
となります。

特殊能力等の詳細は次回に。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。