戦姫絶唱シンフォギア 悪意と過ち   作:NTK

6 / 8
リアルの都合で遅れました。

ちなみに、フィリストのスペックはこんな感じですね。
身長: 197.0cm
体重: 100.1kg
パンチ力: 57.7t
キック力: 108.1t
ジャンプ力: 91.0m(一飛び)
走力: 3.5秒(100m)


揺れ動くセカイ

イカロスの太陽の一斉蜂起から一日が明け、どのニュース番組でも彼らのことで持ちきりであった。全国で起きたこのテロにより死者は四万人近くになり、負傷者を含めれば十数万人にもなる大惨事を各番組のキャスターは述べていたが、彼らの主な行動理由である『かつて彼らが受けた迫害行為への報復』に関しては揃って言葉を濁してる様子が伺えた。

 

当然といえば当然だろう。当時のメディアはこぞって彼ら生存者を人殺しであると報じており、迫害を煽り立てるようなことをしていたのであったのだから。実際、先日の決起では生存者を無責任に非難していたコメンテーターや評論家、生存者を非難するような特集を組んだディレクターなどが何名か殺害されており、今放送をしているメンバーでかつて非難していた者は明日は我が身がと気が気でない様子であった。結局、どの番組も当たり障りのない事を話し早期解決を望むといったことを言って話を終えていたが、それで民衆が納得する筈が無かった。

 

たちまちSNS上で番組や出演メンバーに対する非難で大炎上し、

 

『どの口が言う』『お前の無責任な非難でとばっちりを受けているんだぞ』『彼らに詫びなきゃ終わらないだろ』『何故自分が悪いと言えない』『自分の不始末は自分でつけろ』

 

といった意見が多く上がっていた。こういった事態は新聞や週刊誌といった情報誌関連のところでも起きたばかりか、中には脅迫めいたことを告げる者まで現れ始めていた。そしてその怒りの矛先は、当時の迫害者にまで及んでいた。

過去の迫害を自慢げにアップしてた者もいたため、そこから特定され元迫害者らは彼らに巻き込まれた者たちから誹謗中傷を受ける羽目となっていた。

 

その様子を拠点内のタブレットで確認していた理央は深いため息をついていた。

 

「…愚かだな。確かにこれは迫害者どもの自業自得ではある。自分らがした事が返ってきてるわけだからな。だが、彼らを叩いている連中は()()()()()()()()()()()()()()()()()と気付かずにいるとは…きっかけを作った我々が言えた事ではないがな」

 

《理央さん、まだ二度目の決起はなさらないので?》

 

「もう少し待て。追って連絡する。…装者らよ、この様子を見てどんな思いを抱く?自分らの不始末で不幸になった者を見ても、機密故に自分らのせいだと言えずにいるこの状況で…」

 


 

イカロスの太陽らかいつまたテロ活動を行うかわからない以上、S.O.N.G本部で待機させるよりは各自それぞれの居場所で待機させた方が対処が早くなるといったことで、情勢的に芸能活動が不可能となった翼とマリアを除いた装者は本部をあとにした。滅亡迅雷の彼らはというと、事情が事情のため協力者として本部内で待機しつつ、イカロスの太陽の拠点の捜索を藤尭らと共に行っていたのであった。

 

「それで…政府は何と?」

 

「速やかな鎮圧と事態の収束を、それと多数の死者がでた以上、彼らの殺害も許可するとの事だ…。国外に被害が出てない以上国連からは通達は来ていないが、米国が秘密裏にこちらに彼らの鎮圧と引き渡しを依頼して来たそうだ」

 

その報告を聞き、大人たちは複雑な顔を浮かべていた。

既に海外にもこの事は伝わっており、理央の犯行声明の中にあった『全てを知っている』という点から米国が接触してきたと察していた。

 

かつて米国はフィーネと結託しF.I.Sを設立し、世界中からフィーネの血を引く子供らを拉致し、手駒にすべく様々な実験や教育を行っており、それらの過程でセレナを含めた死人が出てしまっている。当然それらは許されざる行為であり、それらの悪事の情報をイカロスの太陽が握っているとなれば米国としては穏やかではない事態である。故に彼らにその事を世界に暴露されるまえにこちらに先ほどの依頼をしてきたのだろう。

 

身勝手な事だとは感じているものの、誰もがその事を口にはしていないのは、自分らも人の事を言えぬ立場であると自覚しているからであった。

理央らライブ生存者へのフォロー不足による迫害行為の対応不足、マリアたちの処罰に対する被害者感情の考慮不足、ノーブルレッドらのライブ襲撃の際の警備の甘さ等、行動次第では未然に被害を防げた、或いは軽減できたものが多く、真実を知った彼らが決起するのも無理はない事であり、広い意味では今回の事態の解決は世間に対してマッチポンプを行なっているも同然ではと彼らは考えていた。

 

何より司令である弦十郎が気にしているのは、かつて装者たちの為にとやってきた事が巡り巡って彼女らを苦しめることになっているという事実であった。

 

(彼らを止めなければ多くの命が奪われる…。事情が事情だけに交渉による和解はほぼ不可能。しかし戦えば戦うほど彼らの怨みを受ける装者らの精神的負荷が重くなる。だが代わりに滅亡迅雷の彼らだけを戦わせるわけには…)

 

自分たち大人の事情で、これまで以上の負担を装者らに請け負わせてしまうことの罪悪感に、弦十郎は拳を固く握りしめていた。

 


 

イカロスの太陽のテロ活動の影響で、リディアンを含めた全ての学校は再開時期不明の臨時休校、安全のため寮内の生徒は原則外出は禁止という事となり、響と未来は寮の部屋にて待機していた。

まず響が取った行動は家族の安否であった。最悪の場合、家族が彼らの仲間になっていないかの確認もあるが、それに加えて彼らが父親である洸のことを知っているのならば『生存者である家族を見捨てた男』として彼が粛清されている可能性もあるため気が気でなかったが、家族は全員無事であり、彼らの仲間にはなっていなかったと知り、響は安堵したがその際に興味深い情報を得たのであった。

 

半年ほど前に、【あなたやあなたの家族を襲った生存者狩りの真実が知りたければ、○日の正午に○○に】といった旨の手紙が置いてあったと言うのだ。また、近隣の人から不審な人物が近くを彷徨いていたとのことから、その時から構成員が直接接触を図ろうとしたが、留守だったため手紙を置いた可能性があった。

幸い、詐欺か怪しい宗教勧誘かと思い無視し、その後何の音沙汰もなかったが、その事を本部に伝えると、恐らく下手に仲間入りを強要したり口封じを行うと足が付く可能性があったため勧誘に乗らないものは放置していたのではとの見解だった。手紙の文面が不自然なのも、万が一警察に相談されても怪しい団体の勧誘ではと思わせるための策略との見方である。

 

ただ、それとは別に家族の元に何処から今の連絡先を見つけたかは不明だが、洸の勤めていた会社の者や、母親の知り合いから彼らに許しを乞うような連絡が相次いでいるとのことであった。

しかし、イカロスの太陽と洸らは無関係であり、許したところでイカロスの太陽らが粛清をやめる補償がないため、どうしようもない状態であるとのことであった。

 

《響…本当に父さんのこと、恨んでないかい?》

 

「…もう大丈夫だよ。でも、どうして急に?」

 

《昨日な、父さん彼らの暴動の現場にいて…そこで見たんだ。声からして響と同じくらいの子が、父親らしき人を殺してるのを…。その子、こう言ってたんだ…『私たちを見捨てた報いだ』って…》

 

「…っ」

 

《それを聞いてね、父さんも下手すればこうなってたんだなって思ってさ…今更だけど、随分ひどい事をしたと思ってる。騒動が落ち着いたら、ちゃんと響や母さん達にも謝ろうと思う。本当、今まですまなかった…!》

 

父親の謝罪を聞き、色々と込み上げてくるものがあったが、響はとりあえず気をつけるように伝えて電話を切り上げた。

実を言えば、響の元にも中学時代の同級生らから未来を通して何件か許しを乞う連絡が来ていたのだが、そのどれもが心からの謝罪というよりは、保身のために謝っているといった下心を感じ取れており、響の心に陰を落としていったのであった。

 

-こんな事が起きなければ、このまま謝りもせず過ごす気だったのか-

 

「…うっ⁉︎」

 

そんな黒い感情が一瞬現れ、気分を悪くした響がトイレに駆け込む様子を見た未来は何か彼女に出来ることはないか考えるも、今回は何もしない方が彼女のためになる事を理解していた。

 

イカロスの太陽については未来も情報を共有されており、それを聞いた未来も何故自分も情報を共有されたかが理解できた。かつて彼女はウェル博士の口車に乗り、ほぼ洗脳状態とはいえ神獣鏡のシンフォギアを纏い響らと交戦しその結果フロンティアを起動させてしまい、その対処に当たった米国艦隊がウェルの手により壊滅してしまった。またそのあとでもシェム・ハの依代となってしまい、世界を滅ぼす一歩手前の状況になったこともある。

 

イカロスの太陽の構成員にそれらの被害者の関係者がいるとなれば未来が狙われるのもあり得なくはない話であり、洗脳または憑依されていたといった事情は彼らにとっては、はいそうですかで片付けられる問題ではないと考えられよう。

 

そういった状況下で、もし未来が響たちの力になろうと前線で戦おうものなら彼らに狙われるのは明白であり、人間どころかノイズとの戦闘経験も浅い彼女が対処するには厳しいものである。最悪の場合、自分が倒れるどころか自分を守ろうとして響を含めた誰かが犠牲になるという本末転倒な事態になりかねない。

 

だからこそ、戦闘面では何もせず、響に寄り添う事が彼女のためになるというわけであった。実際、今の状況の通り響は精神的に不安定であり、そんな中で自分が共に戦うとなれば余計に心配させてしまうのは想像に難くなかった。

 

トイレから戻ってきた響は若干やつれており、いつもの明るい雰囲気は鳴りを潜めていた。

 

「響…大丈夫?」

 

「大丈夫、じゃないかな…」

 

珍しく弱音を吐く響に未来は驚くも、そのまま響は彼女の隣に座り込み話を続けた。

 

「私ね…あの人たちの言う事、わかっちゃうのが辛いの…。私も、同じ目に遭ってきたし、何でこんな目に遭うだろうって思ったこともあるから。理央さんは長年の友達にも酷いことをされたって言うし、私だって、未来にまであんな事されたら理央さんたちみたいになってたと思う…」

 

「響…」

 

「ねぇ未来。私、間違ってたのかな…?翼さんや師匠に恨み言をぶつけて生存者たちの事を何とかして貰えれば良かったのかな?そうすれば沢山の人が傷付かなくて済んだの…?」

 

この事態は自分のせいではと思い詰める響に未来はどう声をかけて良いかわからなかった。かつて彼女に伝えた自分のように救えた人がいるというのは無理だろう。そもそも理央らは『救えなかった人たち』なのだから。

 

そんな状況を打ち破るように、本部から緊急連絡が入ってきた。

イカロスの太陽らが、F.I.Sを初めとした米国の不祥事を全世界にリークしたのであった。

 


 

初めはデマかと思われたそれらは、政府関係者の直筆サインの付いた書類等や表向き行方不明になっており、実際はF.I.Sに拉致された子供たちのリストが公開されると真実味を帯びていき、世界中は米国に対する非難や義憤で溢れかえっていった。半日としない内に米国国内でも市民による暴動が各地で発生し、さらにはそれらを鎮圧しようとした部隊の中にイカロスの太陽の構成員が紛れており、レイダーと化した彼らの攻撃と暴動により米国は混乱の最中にあった。

彼らは【情報】という幾千の反応兵器よりも恐ろしい武器を早々に使用したことにS.O.N.Gの面々は畏怖していたのであった。

 

「これで、米国はこちらに独断で介入することは不可能になったうえ、仮にこちらの計画が潰えてもこの問題は残るしそれによる経済的ダメージも計り知れないだろうな」

 

米国にいる部下たちの報告を聞き、理央は薄い笑みを浮かべていた。この行動は米国の独断介入というイレギュラーを潰すと同時に、自分らが敗北しても米国政府が罪から逃げられないようにする為でもあった。

 

「そろそろこちらも動き出すか。君たちにも出てもらうよ、存分に怨みをぶつけるといい」

 

そう話す理央の視線の先には、『変化したゼロワンドライバー』を装着した男女が佇んでいた。




ちょいちょい感想でコレ暴露されたらヤバくねってありましたけど、彼らには隠す理由がないので暴露しちゃいましたよ。米国ザマァ

響に関しては流石にいつものように言ってる事全然わかりません!なんて言えるわけないですからね。言ったらブチギレ不可避ですし。

…ちなみに『しない』や本編と無関係なギャグNG集的なものも考えてはいたり。
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