戦姫絶唱シンフォギア 悪意と過ち   作:NTK

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どうも、お久しぶりです。
引越しや転職などで都合がつかず、こんなに遅くなりましたが、今後とも宜しくお願いします。




カノジョはガングニールの復讐者

時は理央が仲間を集い戦力を整えているところまで遡る。

 

それまでは彼が目をつけた者にコンタクトを取っていたのだが、この時はアズが独断である男を引き入れてきた。その男こそ、風鳥宗人であった。

 

「アズ、そいつは?」

 

「彼はマヤに続く新たなアーク様です。その辺彷徨いてたら見つけまして、中々に悪意を持っていたので連れてきちゃいました♪」

 

「…ちょっと来い」

 

悪びれもなく話すアズに理央は彼女に対する不快感を露わにし、部屋の外に彼女を連れ出した。目的がほぼ同じ同胞を集わせている都合上、こうも予定外の分子を勝手に連れてこられてはのちの計画に狂いが生じる可能性がある。故に理央はアズにその辺りを伝え、余計な真似をしないよう強く言い聞かせていた。

 

「お前としても、世界は違えど人類滅亡は悲願なのだろう?ならば計画前に余計な人材を独断で連れてくるな」

 

「…はーい。それで?彼はどうします?」

 

「アークの力を宿した以上、下手に仲間入りを拒否したら逆上して変身し、暴れる可能性がある。そうなればS.O.N.Gに察知されこちらの計画はご破産になる。引き入れるしかあるまい」

 

そう言い理央は部屋に戻り、宗人にこちらの仲間に入れる旨を告げ、その動機を聞き出したのだが、あまり賛同できるものではないのが理央の考えであった。

アズの調査によれば、死んだ宗人の友人については中国及びパキスタン政府が当時の二課に対する交渉もとい脅迫材料として敢えて死者が出たことを二課に伏せていたが、のちにS.O.N.Gという別の組織となってしまった故に使えなくなったという成り立ちがあり、後ろ暗いものこそあるがそれはS.O.N.Gの責任ではなく、遺族にも相応の補償は与えられていた。

またK2の破壊に関してはやり過ぎとは感じているが、他に手立てがあったかと言われれば微妙なラインである上、仮に人員のみ救出して墜落させたとしてもその衝撃で雪崩が起きる可能性は十二分にあり、そうなればどちらにせよその友人は亡くなるのではというのがある。

 

さらに言えば、宗人自身話を聞くに彼は異常なまでに自然に執着しており、『環境保護を実行する前に環境を壊す人の数そのものを減らす必要がある』というくらい、過激な思想を持っていたのであった。曰く、幾ら資源を節約しても人の数が多ければ相対的に消費資源は増加するうえ、植林してもそれが育つまでに何人も人が増え、植えた樹木の数より多くの樹木資源を消費するため、ならばいっそ人を大幅に減らすことで資源消費を減らしてしまえばいい。その方が動植物の為になるとの事であった。ちなみに、亡くなった友人も似たり寄ったりの思想だったらしい。

 

(友人の死よりK2破壊に重点を置いてるあたり異常な逆恨み、としか言いようが無いな…積荷を諦めきれなかった装者らに全く非がないとは言い難いが、墜落までの余地がない中で全て救う方法を考える方が難しいし、仮に積荷を捨てたとしても噂を聞いた錬金術師が火事場泥棒する可能性も捨てきれない。それに…)

 

理央が最も懸念してるのは宗人の考えは極端に言えば『自然のためなら幾ら人が死のうが構わない』と言ったものであり、それは風鳴訃堂の考えに非常に酷似していることであった。

 

当然イカロスの太陽には訃堂の企みの犠牲者遺族もいるため、不用意な発言で不和を生み出しかねないものであり、厄介な人物を引き込んでしまったなとアズを内心恨めしく思っていた。

 

「…お前の動機はわかった。だがこちらの傘下に入る以上、幾つかの条件に従ってもらう。ひとつは俺の指示無しに勝手な行動を取らない事。そして、お前のその考えは安易に口にするな。こちらにはお前と似て非なる考えの奴に家族を殺された者もいる。お前とて、下手に喋って寝首を掻かれたくはないだろう?」

 

「なるほど、確かにそうですね。こちらも奴らに天罰を下すまでやられたくはないですし」

 

「わかっていると思うがもし裏切りや余計な真似をしたら…」

 

「わかってますよ。では、その時までよろしくお願いします」

 

宗人が退出したのを確認すると理央は深いため息をついた。

彼は確かに爆弾であり、下手すれば彼の暴走で組織が瓦解する可能性もある。こればかりは彼と相対する響らに同情を禁じ得なかった。だが結局のところ、彼を引き込んだのは彼のどうしようもない人間性がある意味必要であったことにある。

 

確かに、自分らがこのような目に遭っている原因はあちら側にある。しかしそれを理由に虐殺や世界を混乱させる騒動を行おうとする自分らに正義はないと理央は自覚していた。

 

しかしこのままでは作戦決行の過程で米国の蛮行を公表する関係で、市民が自分達を過度に支持し、彼らこそ正義と持て囃される可能性がある。だがそれは理央の望むものではない。

ゆえに、宗人のようにこじつけに近い因縁を持つ者を起用することで、自らを悪と世間に印象付けようとしていたのであった。

 

(俺たちがやるのは復讐(リベンジ)であって正義の報復(アベンジ)ではない。そういう意味では奴はこちらに相応しくないが、あぁいう輩がいるとなれば俺たちを正義だと勘違いする者は減るだろう。いざとなれば奴は切り捨てるかこちらで粛正するとしよう)

 

理央は軽く息を吐くと、亡くなった恋人との在りし日の記憶を思い出していた。

 

(彼女の学校の学祭で出会ったのが始まりだったな……アレさえなければ、今頃は…‼︎彼女の母校も奴らの騒動で失われ、他の思い出の場所も…。もう彼女との思い出となる物は殆どない……俺がやる事を知ったら、あいつは止めるし失望するだろうな。だが、これはお(・)前(・)の(・)為(・)じ(・)ゃ(・)な(・)い(・)。俺らのような人間を出しといて何もしてくれなかった世界への報復だ。だから、俺が死んでも同じところには行けないし、行くつもりもない。すまんな……

 

 

 

未来(ミライ))

 

日向(ひゅうが)未来。それが、彼の最も大切だった恋人の名であった。

 


現在

 

宗人の言葉に初めこそ動揺していた響とクリスであったが、彼の主張を聞いているうちにその動揺も消えかけていた。周りを見ても、レイダー達は彼に対して冷めた態度を取ってるように感じていた。

彼女らは知らないが、ここにいるレイダーは宗人と考えを同じくする者ではなく、寧ろ彼の監視役として理央が派遣した者であった。

 

無論、人を巻き込んでしまったのは認めるし罪悪感もあるが、それ以上に彼の話す超自然保護的な考えについていけず、さらには理央の悲劇を本人から伝えられてることもあり、それに比べれば彼の恨みは『浅い』ものであった。

 

「…確かに、アンタの友人を死なせた事はすまないと思ってる。けどな、だからといってアンタのやる事を見逃すわけにもいかねぇ。だからアタシはアンタを全力で倒す!」

 

「そうか…まぁお前はかつて自分の行いで沢山の人を死なせたんだ、一人二人増えてもどうって事ないか」

 

「ッ‼︎クリスちゃんが言ってるのは、そう言う事じゃない!」

 

「ハイハイ、身内にゲロ甘な事で。せめて自然の一部となって多少役に立ってくれ。ま、人の血は塩分が濃すぎて塩害にしかならないがな」

 

あまりにも挑発的な態度に響とクリスはそれまでの迷いは完全に無くなり、彼を止める事を決意する一方で、亡は宗人の存在に疑問を抱いていた。

 

(妙ですね…彼はこれまでのイカロスの太陽のメンバーとは明らかに異なる…。何故理央はこのような人物を仲間に?いや、仲間にせざるを得ない理由があったとみていいでしょう。考えられるとすれば、アズの独断行動でしょうね…)

 

そんな事を考えている間に、宗人はドライバーを装着した。

 

ファナティックドライバー‼︎

 

左腕を掲げ、右手に持ったプラグライズキーを展開させると、どこからかシマウマのような模様のついた馬のホログラムが駆け回り、彼の近くに佇むと同時に彼はプログライズキーを装填した。

 

「変…身」

 

プログライズ‼︎アーク…

Destroy, the world that neglects nature for the sake of humans

FANATIC the KAMEN RIDER

I cull stupid humans for nature's sake

 

変身したその姿は黄色い複眼に黄緑のボディ、黒のアーマーをし、蹄のようなブーツが特徴的なライダー【仮面ライダーファナティック】であった。

 

戦闘態勢に入る三人だが、ファナティックが体勢を低くした途端、彼の姿は見えなくなったと思った瞬間、クリスの背後に現れ、彼女の背を蹴り飛ばした。

 

「クリスちゃん⁉︎」

 

「ガッ…⁉︎(この威力…ギアを纏ってなかったら、背骨ごとへし折れてたかもしれねぇ…!)」

 

「なるほど…あなたのアークの力は瞬間移動、もしくは超高速移動ですか」

 

「お前らに答えるつもりはない。さぁ来いよ、お前たちが壊したものの報いを与えてやる」

 


 

「ハァッ‼︎」

 

「くっ!」

 

(こいつ…今までのゼロワンの能力を反映したような力を…‼︎)

 

マヤの変身するリヴァンの猛攻に滅らは苦戦していた。リヴァンの能力は電撃、火炎、水流、氷結などこれまでゼロワンが使用した形態や各プラグライズキーの能力を素の状態で使用していたのであった。それに加えてF.I.S時代での訓練経験による体術もあるため、記憶の転送による搦手を得意とするフィリストに比べて高い性能を持っていた。

 

「何故貴女たちはアイツらを憎まない⁉︎私たちを親から引き離し、戦闘訓練を強制し、人体実験を繰り返してきた外道たちを、何故赦せる⁉︎」

 

「…ッそれでも、マムは私たちに愛情を持ってくれたし、それに…世界を救ってくれた!それを憎むなんて…」

 

「誘拐犯が愛情?巫山戯るなッ‼︎世界を救った?アレは奴らの仲間であるウェルの暴走を仲間内で止めただけのこと、いわば自作自演も同然だ!私は、あんな狂気を生み出したF.I.Sを絶対に赦さない…!」

 

「狂気…⁉︎」

 

憎悪を激らせるマヤに切歌がそう言うと、彼女はあぁそうだ!と息巻いていた。

 

「両親や祖父母、兄弟姉妹が、居なくなった家族を探し、愛情を注いでやれなかったと後悔する一方でその消えた家族がッ‼︎自らを誘拐した者たちに愛情を向けている…これを狂気と言わずして、何というのかッ⁉︎」

 

その迫力に、切歌らだけでなく、滅や雷も戦慄していた。アークの力にて悪意が増しているとはいえ、ここまでの憎悪を露わにする彼女と、その彼女をここまで歪ませたF.I.Sという組織、さらにはこの世界で起きた出来事に滅らは理解してしまった。

 

(なるほど…アークはこの世界に来るべくして来てしまったというわけか…)

 

「だからこそ、貴女たちのデータからシンフォギア…いいえ、聖遺物のゼツメライズキーを作り、その力で地(・)獄(・)を(・)生(・)み(・)出(・)し(・)、この狂気を終わらせる…そう理央さんは言っていた!私はその手伝いをするまでよ!」

 

「地獄を…?地獄、ヘル…‼︎まさか、お前たちの最終目的は…⁉︎」

 

「ヘルライズプログライズキーを作ることか⁉︎」

 

ヘルライズプログライズキー、かつて滅らがいた世界で起こったシンクネットの事件にて作成された、世界を滅ぼす力を持ったそのプログライズキーを、彼らはこの世界で復活させようとしていたのであった。

神をも討ち倒し、世界を何度も救ってきたその力ならば、逆に世界を滅ぼす事もできる。そう考えた彼らは自らの復讐を遂げると同時に、装者たちからデータを回収しようとしていたのであった。

 

「故に私は是が非でも貴女たちのデータを回収する‼︎そのためならこの命、惜しくはない…‼︎」

 

そう言いリヴァンは腰のホルダーからある物を取り出した。

取り出したそれは、『ガングニールゼツメライズキー』であった。

 

ガングニール

 

オーソライズ‼︎

 

瞬間、彼女の周りに禍々しい鎧が浮遊し、辺りを飛び交っていき、リヴァンは躊躇わずキーを入れ替えた。

 

プログライズ‼︎

ガングニール…‼︎

A Balwisyall nescell gungnir tron

 

ゼツメライズキー特有の濁った音声と共に姿を変えたそれは、響のガングニールを黒く刺々しくさせたような風貌と、マリアのそれと酷似したマント、そして奏のアームドギアを禍々しくしたような槍はスロットが設けられてるところを見るに、サウザンドジャッカーが変貌したものと見てとれた。

 

ゼツメライズキーとハイブリッドライズしたその姿は、『仮面ライダーリヴァン・ガングニールフォーム』であった。

 

だかしかし、もともと人体に悪影響のあるアークの力に加えて、ゼツメライズキー、それもシンフォギアという安全装置を無視した聖遺物そのものの力を使用しているため、使用者の寿命を大幅に削り取る代物であるが、その代償に見合うだけの力を与えると共に、それを意に介さないくらいの復讐心が彼女にはあった。

 

時を同じくして、宗人の変身するファナティックもイチイバルゼツメライズキーを用いてハイブリッドライズし、赤黒い鎧を纏い、ライフルやガトリング砲、ミサイルポットを備えつけた姿である『仮面ライダーファナティック・イチイバルフォーム』へと姿を変えていた。

 

彼女たちは、自らが使役していた聖遺物の力がその身に降りかかるのをこのあと実感するのであった。

 


 

一方、翼たちはというとアズの変身するアークゼロワンと対峙していたが、その際に他のメンバーからの報告を聞き、ある疑問を感じていた。

 

(立花や暁らの元には別の構成員のライダー、そして私たちの前にはその力を与えた張本人…ならば、首(・)魁(・)の(・)一(・)色(・)は(・)ど(・)こ(・)に(・)い(・)る(・)…?)

 


 

別の地点にいる理央は作(・)戦(・)通(・)り(・)装者たちがバラけたことを知り、ほくそ笑んでいた。

 

「滅亡迅雷の話を聞き、我々の脅威をなまじ知っているため、バラけた敵に対して全戦力を投入せざるを得ないのは仕方がない事だ。下手に本部に戦力を残した結果、装者らが倒れ、守るべき市民の被害が増えるのは防ぎたいからな…全員、これより作戦の第二段階、『リディアンの制圧』と『S.O.N.G本部の強襲』を行う‼︎目標は三つ、『小日向未来の確保』、『LINKERの奪取』、そして『エルフナインの抹殺』だ‼︎各員、行動開始‼︎」




要約すると宗人はアズが独断で連れてきた存在であり、イレギュラーです。そのため理央も扱いには困っていると言った感じです。

仮面ライダーファナティック: 宗人の変身するアークライダーで、ライダモデルはシマウマと馬の交雑種のゼブロイドです。このゼブロイド、『人間が使役するために生まれた動物』何ですが、それを『人間嫌い』の彼が使うという皮肉です。能力は単純に高速移動と瞬間移動ですが、それ故に厄介といったところです。
変身音声は『人の為に自然を蔑ろにする世界を滅ぼせ』『オレがファナティックで仮面ライダー』『俺は自然のために愚かな人類を間引きする』といった感じです

そして彼らの変身するライダーにはハイブリッドライズ機能があり、聖遺物のゼツメライズキーを使えますが、上記のように凄まじいデメリットがありますが、それに見合った力と、それを意に介さない覚悟が彼らにはあります。

理央による分断作戦が始まり、強襲される二つの地点、それらがどうなるのかは次回以降に。
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