負け犬は光のヒーローをあがめる   作:ソウブ

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10 立つのよたかし

 

 

 

 幼馴染(わた)が俺のそばにいなくなってから、三年の月日が経った。

 あれ以来、自分は主人公ではないと思い知らされた俺は、何もせず日々をただ浪費している。

 どうせ何をしたところで、俺に達成できることなど一つもありはしない。

 腐っていく時間を長く過ごした結果、自然と口調は荒々しくなり、口の悪いだけの何もしないクズ男の出来上がりだ。

 

 そんなある日、俺はまた非日常に巻き込まれることになる。

 異能を保有する者同士の、願いを賭けた殺し合い。よくあるバトルロイヤルだ。それが始まり、俺も強制的に選出された。

 

 でも俺は戦うつもりはない。頑張る気力などないから。もうこのまま死んでもいいと、本気で考えていた。

 自暴自棄に、なっていたんだ。

 

 

「死ね」

 毒手が迫る。グロテスクな蜘蛛の姿をした怪人が今まさに俺を殺そうとしている。この男も化け物なんかじゃなく、願いを叶える為にバトルロイヤルに参加した人間だ。俺に会うなりこの姿に変身して、蜘蛛の糸で拘束してきた。

 このままこの人の願いの為の犠牲になってやってもいいかなんて、俺は死の直前になっても思っている。

 死ぬのは怖いが、それよりもなにかをする気力の方がなかった。

 

「バカっっ!!」

 

 蜘蛛糸が斬り払われ、俺は誰かに抱えられていた。助けられたのか。

 

「なに命捨てようとしてんのよ!」

 

 翻るは、スカイブルーのツーサイドアップ。

 見るからに高価そうなドレスを纏った美少女に、俺は助けられたのだ。

 

 

 美麗な剣技で蜘蛛怪人を退けたスカイブルーの少女、リリュース・ローグインパネスは、以来俺を庇護するようになる。いや、俺が気に入らないから、つきまとったんだ。

 

(たかし)、戦いなさい」

「いやだ。帰れよ」

 鍵を掛けた自室の外から、リリュースがずっと煩く声をかけてくる。

「引きこもってないで出てきなさい! 敵はこんなところに隠れてようと見つけ出して殺しにくるわよ、こんなふうに!」

 刃が走る音の後、ドアがバラバラに吹っ飛んだ。

「ぎゃー!? 壊すなよ!」

 

「あなただって、異能者でしょう? それも、異能者の中でもいっちばん強力な属性司者(ファクターズ)! 選ばれた存在なのよ! 頑張れば強くなれるの!」

「そんなわけないだろ。負け犬は負け犬のままだ」

「うるさい! そんなことないわ! あなたはできる男よ!」

「できないやつはできないんだよ!」

「日本男児のド根性見せなさい!」

「根性なんかで解決できたらッ、こんなんになってねえんだよ!」

 

「ばかばかばかばか!」

「黙れバカ女!」

「ん~~~~っ!」

 無理矢理引き摺られながら立ち上がらせられる。リリュースの能力は身体能力強化、俺より力が強いんだ。

「やめろやめろやめろ何もしたくないんだ!」

「アタシだって、先天性の能力はただの身体能力強化だけしかなかった。でも剣技を頑張って、努力して強くなったのよ」

「自分が頑張れたからって人も頑張れると思うな。そんなのは人に苦しさを押しつけていい理由にはならない」

「あなたは一人じゃないって言いたいだけよ。辛いのはあなただけじゃないなんて責めたい訳じゃないの」

「どうしてそんなに、俺に構うんだ……」

「あなたは今立ち上がらないと死んでしまうから、放っておけないのよ。弟たちを思い出すから」

 リリュースの寂しげな表情からは、過去に何かがあったことを察せられた。

「一人じゃないから、立ち上がりましょう」

「お節介すぎなんだよ……」

「あなたみたいな泣き虫、強い男に変えてやらないと気が済まないわ」

 

 ……ったく。

 もう、諦めよう。

 リリュースがうるさいから、抵抗することを、諦めよう。

 どっちにしろ、力じゃ勝てないしな。

 俺は引き摺られるまま、リリュースへ身を任せた。

 

 

 真徳町にある小さな山の森の中に連れて来られると、リリュースは銀剣をドレスのスカートの中から抜き放つ。

 

「さあ、いくわよ」

「行くってどこ――うおお!?」

 リリュースが突然斬りかかって来やがった!

 咄嗟に大きく後ろに跳んで避けたが、一歩間違えば斬り殺されていた。

 

「なにすんだよ!」

「修行よ。実戦形式が一番早いでしょ」

「脳筋め!」

 そう言ってる内にも何度も斬りかかってくるから、避けるしかない。

 

「こんな古典的な修行、流行(はや)んねーんだよ……」

「うだうだ言わない!」

 

 しばらく避けたり、剣を凍らせて軌道を変えたりして凌いでいると、リリュースがポツリと零した。

  

「孝、属性司者のくせに出力弱いわね……」

「仕方ないだろ。俺は弱いんだ。悪い意味での例外(イレギュラー)、なんだよ。思い知ったかこの野郎。だからもう放っておいてくれ」

 

 俺は他の属性司者に比べて出力が極端に弱い。段階的に言えば、大体四、五段ぐらい低い。

 

「なに、知らないの? 属性司者は出力を上げられるのよ。いや、上げられるタイプの人がいる、が正しかったかしら」

「そうなのか!?」

「孝がどうかは知らないけどね」

「俺はどうせ、上げられないタイプのやつだよ」

 もし出力を上げられるのなら、わたを護るときに発揮してくれても良かったはずだ。けれどどれだけ力を出そうとしても、なにも変わらなかった。

「試してみなさい。やってみなくちゃわからないでしょ」

「わかったよ……」

 

 そばに立っていた大木へ手を(かざ)し、凍らせる。十メートル以上ある大木一本が、瞬時に丸々凍った。これでも普通の異能力者よりは強いはずなんだ。

 

「もっと力入れて!」

「どうやってだ」

「いつもどうやって凍らせてるの? それをもっと限界超えて強く放出する感じよ、きっと」

「きっとて、いい加減だな」

「アタシ属性司者じゃないし。異能力者同士の裏情報で知っただけだから当たり前よ」

 

 裏情報とか、関わるとろくでもないことになりそうな話は聞きたくないから、とにかく出力を上げることに集中した。

 凍らせる時の感覚、その延長線上での限界突破を意識する。

 

「いっ――」

 

 突如、内臓や脳、神経に直接焼いた鉄を擦り付けられたかのような激痛というのも生易しいなにかに襲われる。

 なんて考える間も無く俺は絶叫しながらのたうち回っていた。

 

「――――――――ッッッッ」

 

「孝!? どうしたのよ!?」

 

 ぷつん、と。意識が途切れた。

 

 

 

 意識が浮上する。

 

「あ、起きた?」

「いったい、なにが……」

「あなた、いきなり気を失ったのよ。出力上げるのってそんなにやばかったの?」

「あれが、出力を上げる感覚? 誰かの攻撃じゃなく?」

「状況からしてそうでしょ。敵の気配は一切ないわ。で、やばかったの?」

「やばいなんてもんじゃない」

 死んだ。と思った。むしろなんで死んでないんだ。

 もう、出力を上げるなんて考えたくもない。

 

「やっぱり、無理なんだよ」

 

 出力を上げられるのなら、わたを護りたいと力を願った時に発揮してくれても良かったんじゃないか。なんてさっきまで思っていた俺は馬鹿だ。こんなの使えるわけがない。無理に使おうとすれば脳が焼き切れる。あの時目覚めなかったのも当然だ。今より体ができていない時期に出力を上げられてしまったら、俺は自滅して死んでいただろう。

 

「でも、出力上げられるようにならないと、これから勝っていけないわよ」

「勝たなくていいんだ。俺はもう、負け犬以外にはなれない」

「情けない! 情けなすぎて涙が出てくるわ!!」

 リリュースは本当に涙を流していた。

「なんでお前が泣いてるんだよ。泣きたいのはこっちだ」

「孝は拗ねて諦めてるだけでしょ!」

「なんだとこの野郎!!」

 我慢できなくて掴みかかってやった。二人でごろごろ転がりながら髪を引っ張り頬を抓り、殴り合う。

「図星だから怒ったんでしょ!」

「黙れ」

「それとアタシは野郎じゃなくて女の子!」

「知るか!」

 

「ぜぇ……ぜぇ……」

「はぁ……はぁ……」

 お互い息も絶え絶えに疲れるまで取っ組み合って、今はもうただ寝っ転がることしかできない。 なにやってんだろう、俺……。

 

「孝、本当にこのままでいいの? アタシは嫌よ。あなたがこのまま死んでいくなんて」

「会ったばかりの他人のくせに、俺なんかに必死になって馬鹿みたいだ」

 激情家すぎる。暑苦しい。

「一人の弱い子供を見捨てることを賢いっていうなら、アタシは喜んで馬鹿でいるわ」

「子ども扱いか。見た目からしてそう歳は変わらんだろ」

「あなたなんて子供よ子供。震えて引きこもってる子供」

「かーちゃん……」

「誰がかーちゃんか! アタシはまだピッチピチの高校生よ」

「中学生だと思ってた」

「アタシがチビだって言いたいの? まだ殴られ足りないらしいわね中坊」

 俺は今中学生。リリュースは高校生。年の近い姉ぐらいの、年齢差。

 こんなに強いねーちゃんが最初からいたら、わたを護ってくれたのかな。

 ……いや、どうせスイムには誰も勝てない。

 

「これだけは言いたくなかったけれど、言うわ。このままじゃ孝は立ち上がらないと思うから」

「なんだよ。身構えさせるなよ」

 

「孝がちゃんと戦わないと、あなたを護ってアタシが死ぬわ。多分ね。足手纏いを抱えたまま勝ち抜けるほど異能者同士の殺し合いは甘くないから」

 

「酷い脅迫だ……」

 

 本当に、酷い。

 

 けれど現状を正しく理解させられた。俺が頑張らなければ、リリュースの命にまで危険が及ぶ。

 

 もうある程度仲良くなってしまった女の子が、また(・・)死んでしまうんだ。

 

 すぐに自分で気づいていなければなかった結論。俺は自分のことばかりで、人のことを慮ることができていなかった。

 だから、俺が、リリュースに今の酷い言葉を口にさせてしまったんだ。

 

「そんなこと言われたら、頑張る以外に、なにも選べないじゃないか」

「孝は、優しい男だからね」

「違う。もう過去の痛みを繰り返したくないから、俺が辛い思いをしたくないからだ」

 わたを失った時のような苦しみなんて、もう耐えられない。あの地獄を回避できるなら、なんだってする。

 

 結局、俺がまた戦う(こうなる)ことは最初から決まっていたんだ。リリュースと出会って、彼女の庇護対象にされてしまった時点で。

 

 

 それから俺は、頑張った。

 情熱の女リリュース・ローグインパネスに叱咤されながら、無心で苦痛への忌避を諦めた。

 

「出力を上げたら気絶するなら、何度でも試して慣らしていけばいいじゃない。骨は折れる度に強くなるのよ」

 スパルタが過ぎたけれど、文句は呑み込んだ。

「最後に使いこなせば、勝ちよ」

 

 何度も気絶を繰り返し、少しずつ、激痛の中意識を保てるようになっていく。

 

「なんだ、頑張れるじゃない。偉いわよ孝」

「うるさい脅迫されたからだちくしょう」

 

 

 でも、これだけじゃスイム(あいつ)並みの相手には勝てないだろう。

 

 純粋な出力だけではない。技量が足りなかったのも、スイムに敵わなかった理由として大きい。

 あの時の俺は、ちっぽけな力を正面から振りかざすことしか知らなかった。やれることは、あればあるだけいいのだ。

 

 スイムの強みは、遠距離からの逃れられない圧倒的な暴力だ。遠距離から水を大量に発生させ操る属性神は、もたもたしていたらすぐに水の中へ囚われ、詰む。

 だが極論で言えば、スイムが能力を発揮するよりも速く近づいて、攻撃を当てさえすれば勝てるはずなんだ。

 

 俺は高速移動する必要がある。奴が狙いをつける間も無く肉薄するために。

 氷の属性神を使っての、高速移動。それなら氷の上を滑るのが一番いいだろう。

 たとえまた水中に囚われても、上げられるようになった出力と合わせて、周囲の水を氷で押し退けトンネルのように道をコーティングしつつなら、移動は可能なはずだ。

 

 俺は昔の特撮の如く、心身を削る修行をした。

 リリュースに叱咤され、サポートされながら。さながら彼女は、おやっさんだな。

 おやっさんなんて呼んだら、また殴られそうだけど。

 

 

 そうして会得したのが、『氷結滑走(アイススラスター)』だった。

 

 

 まあ。

 全部、無駄だったんだけどな。

 

 

 想定が甘かったんだ。圧倒的な能力を前に努力なんて砕け散った。

 全ては無駄。隔絶した才覚と力の前では、凡人の努力など喰い潰される。

 化け物には敵わない。

 スイム・スーには敵わない。

 光のヒーローでなければ。

 

 俺はリリュースと出会い、一度光を信じて、砕かれた。

 そうして今、修司は土屋に地球の中心まで埋められ、帰ってこない。

 また、俺は信じた光を奪われるのだろうか。

 いや、修司は死んでいない。ヒーローは一度負けたって最後には絶対に勝つんだ。

 

 今はちょっと、なんか手間取ってるだけで。

 修司だって、人間だからな。

 

 

 

 

「ねえ」

「修司は生きてる。修司は生きてる。修司は生きてる。修司は生きてる」

「ねえってば」

「修司は生きてる修司は生きてる修司は生きてる修司は生きてる修司は生きてる修司は生きてる修司は生きてる修司は生きてる修司は生きてる修司は生きてる修司は生きてる」

 

「――ねえ、高山くん!」

 

「あ……?」

 

 真ん前に、夢中の顔があった。

 

「なんだよ」

「なんだよじゃないよ! ずっとぶつぶつぶつぶつなんか言ってて、暗いよ」

「暗くない、修司は生きてるからな」

「ならもっと元気に信じなよ!」

「……ああ、まあ、うん、わかってる、そうなんだよ、そうなんだけどな」

「動揺しすぎ! 本当は信じてないんでしょ!」

「うるせえ信じてるわ! 白米が美味いことくらい信じてるわ!」

「私麺類派!」

「黙れ!」

「黙らない!」

「ああもうなんなんだよお前は!」

 ぽよん。

 近くで鬱陶しいことを叫びまくる夢中を腕で払ったら、手がクソデカい胸に当たってしまった。

 

「……えっち」

「う、うるせえ」

 なんで頬染めて上目遣いなんて、乙女みたいな反応してんだよ。小指使い物にならなくされた時は全く動揺してなかったくせに。

 お前そういうキャラじゃないだろ。異常者のくせに、なんだよ……。

 

「そもそもお前が死んじゃったねなんて言うから……」

「言われたぐらいで揺らいじゃうほうが悪い!」

「正論なんか言うなよ。苦しいだろ」

天谷(あまがや)くんは生きてるよ」

「だからお前が死んだって言ったんだろ」

「意見が変わったんだよ」

「手のひら返しが熱すぎる」

「高山くんが元気になるなら、意見ぐらい変えるよ」

「ならお前が異能バトル(この戦い)から離れてくれれば俺は元気になるよ」

「それだけは譲れないよ。ごめんね」

「狂人め」

「高山くんもでしょ」

 

「そもそも俺は揺らいでないし、修司は生きてるって最初から信じてる」

「どの口が言ってるの」

 今日の聖戦には、なんやかんや帰ってきてるはずだ。

 

 

 公園のベンチに、見覚えのある白髪(しろかみ)が目に写った。

「ぐす……しゅうじくん……」

「お姫様?」

「あ、聖戦の中心になってる羨ましい子!」

「それ本人の前で絶対言うなよ」

 

「ヘイカノジョ! 一緒に遊ばな~い?」

 止める間もなく、アホが絡みに行っていた。

「ごめんなさい。今はそんな気分じゃないの……」

「遊んでる内に元気になれば、涙も吹き飛ぶよ!」

「やめろ夢中。困ってるだろ」

「たかしくん……?」

 お姫様は、涙を流していた。それはそうだろう。修司が死んでしまったなどと思っているのだろうから。けれど修司は生きている。

 

「しゅうじくん、もう帰ってこないかも……」

「いいや帰ってくる。あの修司だぞ。君を置いてどこかへ行ったままなんてありえない」

「でも、儀式が完成しそうで……しゅうじくんが死なないと、そうはならないはずだから……わたしだって、もうすぐ――」

「そんなもの関係ない。あらゆる事情を蹴散らして戻ってくるのが、修司みたいな男だろ」

「この人こんなこと言ってるけど、さっきまですごく動揺してたんだよ。笑っちゃうよね。一緒に笑おう。あはははっ」

「黙れ! ……川さんはどうした? 川さんもお姫様みたいになってるのか?」

「あおいちゃんは、「しゅうちゃんは生きてる」って信じ切ってて。わたしも、信じたいけど…………」

 お姫様は混乱しているのか、俺が聖戦について何も知らないと思ってるはずなのに事情を零している。

 川さんもお姫様と同じくショックを受けていたように見えたけれど、すぐに持ち直したんだな。彼女は幼馴染だから、一番修司を信じているんだ。恐らく、俺よりも。

 

「なら信じよう。俺は信じてる。ルーお姫様も信じるんだ」

「信じなさい信じなさい信じなさ~い」

「何度も言わないで、頭がおかしくなりそう……」

「おい夢中」

「たかしくんもだよぉ……」

 

「でも、修司は絶対に帰ってくるし、本当に大丈夫なんだって」

 修司は、本物の光のヒーローなんだから。

 お姫様は俯いてしまう。

「うぅ……」

 でも、お姫様の反応が一番正常なのもわかっている。大切な人が死んだと思ったら悲しいし苦しい、死んでないかもしれないと思っても、心配するし悩む。当たり前だ。

 あまり元気になることを強要するのも、よくないのかもしれない。 

 

「どうしようか、夢中。俺はお姫様に元気になってもらいたい。だけど方法がわからないんだ。強制するのも逆効果っぽいし」

「それ本人の前で言う? ついに頭のおかしさが限界突破しちゃった?」

「もう一本の小指も壊死させてやろうか」

「できるの? 高山くんに? ぷぷぷぷっ」

 壊死した小指をこれでもかと俺の目の前に突きつけて煽り倒してくる。

「こいつ……」

 俺は苦々しい顔をすることしかできない。夢中はニヤニヤとなんか楽しそうだ。むかつく。

「人が元気になるには、やっぱり楽しく遊ぶしかないんだよ。遊ぼう! だるまさんが転んだしよう!」

「お前なぁ、ガキじゃねえんだから」

 

「ふふっ……変な人たち……」

 お姫様が、なぜか笑っていた。

 

「ほらね」

「なにがほらねなんだ」

「私が高山くんをおもちゃにすることで笑ってくれたんだよ」

「最悪じゃねえか」

 

「違うよ……」

 お姫様は微笑んで、顔を上げた。

「二人が優しいから、嬉しくなったんだよ」

 

「……そうか」

「高山くんなに照れてんの」

「うるせえ」

 

「わたしも、あと少し、しゅうじくんを待ってみるね」

 

 

 その後俺とお姫様は、夢中にだるまさんが転んだなどのガキめいた遊びへ強制的につき合わされて、日が暮れるまで遊んだ。小指を出されたら、断れないからな。

 

 

 


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