イナズマイレブン ノヴァ   作:麻婆麺

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第11話 夏の思い出3

「う、うっぷ…、おえぇぇ…」

 

差し出されたビニール袋に、大和は胃の中身をぶち撒ける。

 

「話には聞いてたが…、ホントに乗り物ダメなんだな、コイツ。」

 

ビニール袋の口を縛りながら、晴翔が呟く。

 

「言わないであげてくださいよ。

よしよし、頑張ったね〜。大和君」

 

背中をさする榛名。

 

「ワタシのウンテン、ダメでしたカ?」

 

クリストフが心配そうに尋ねる。

 

「あ〜。それはないんじゃないか?

こいつがダメなのは船だよ、船。

やたらと揺れたからなぁ、仕方ねえけども。」

 

「そうデスカ?船、乗る前から具合悪そうでしたガ。」

 

榛名の自宅から港まで車で向かい、フェリーに乗った。

フェリーに乗り込む前から、大和の口数が少なかったのをクリストフは見逃していなかったのだ。

 

「(ホントによく見てるなこの人)

気のせいだ。ほら大和、乗れ。おぶっていってやる。」

「なんだかんだっていいお兄ちゃんしてるじゃないですかぁ〜」

 

このこの〜っと肘で晴翔つつく榛名。

メッチャ憎たらしい。

晴翔は榛名の顔を掴み、そのまま持ち上げた。

 

「言うようになったなぁ?ハル?」

「ご…、あっ…」

 

榛名は断末魔のような声を上げ、武蔵は「姉ちゃん虐めるなー」と晴翔の腰のところをポカポカする。

 

その時

 

「うっ…おえぇ…」

 

晴翔の背後から不吉な音がして…

 

「第二波…だと…⁉︎」

 

晴翔は大和の吐瀉物を背中に浴びてしまうのだった…。

 

「…全く、あのガキ…」

 

ぼやきながら、海の家のシャワーを借りて服を洗う晴翔。

長門と大和はクリストフと榛名が見てくれている。

 

「ホント便利だな、あの外国人…」

 

正直、安心して任せられる。

一見、すっとぼけたような雰囲気だが根はしっかりとしている。

上手く子供達を引率してくれてるだろう。

 

(あれ?俺、要らなくね?)

 

今のところ、晴翔はゲロを被っただけだ。

兄貴としての威厳の危機を感じつつ、晴翔は妹と弟のもとへ向かう。

 

すると、長門と大和、榛名が砂浜で座って待っていた。

 

「?なんだ?まだ海に入ってなかったのか、勿体ない。」

「二人がね、「お兄ちゃんが一緒じゃなきゃ嫌だ」って待ってたの。」

「……」

 

少し、驚いた。

 

「愛されてるぅ~」

 

と、榛名が晴翔のほっぺたをぐりぐりする。

メチャクチャ憎たらしい。

再び、晴翔のアイアンクローが炸裂する。

 

「ご…ぉ、…あ…」

 

榛名が断末魔のような声を上げ、「姉ちゃんをイジメんなー!」と武蔵が晴翔に飛び蹴りをくらわす。

なお、晴翔は微動だにしなかった。

 

「Oh、見てくだサイ、ジェラール。

アレが「デジャヴ」デス。」

「止めなくていいのかな?」

「hahahahaha!ダイジョブだと思いマスヨ。

あの子たちには、愛ありマース。」

「?」

 

 

 

 

 

 

~夕刻~

 

「お、おぇぇぇえええ~」

 

帰りのフェリーで、再度酔う大和

 

「…お前そんなんでよく「海に行きたい」って思えるな…」

 

大和の口元でビニール袋を広げながら、晴翔が呟く

 

「いいじゃないですか!好きな物は好きなんです!」

 

大和の背中をさすりながら榛名が口を尖らせる。

 

「hahaha!次はヨイドメを用意しましょうネ!」

「そうだな、少しは楽になるだろう。」

 

クリストフが提案し、晴翔が同意するが…

 

「いえ…その必要はないです。」

「「ん?」」

 

「大和君、酔い止め効かないんですよ。」

「……達人だな。」

 

「お手上げだ」と、晴翔が首を振る

 

その時、クリストフの携帯が鳴った

 

「Oh、お電話デス。少々シツレイしマス。」

 

クリストフはその場から少し離れながら電話に出る。

応対の様子からして、会社の人からだろうか。

 

「…ええ、はい…。そうデスカ。

OK、リョウカイデス。」

 

電話を切ると同時、深いため息をつく。

 

「ショウショウ、タイヘンなコトになってしまいましタネ。」

 

チラっと息子の方に目をやる。

そこには友人達と楽しそうに戯れている我が子の姿がある。

 

思わず、目を逸らす。

 

「shit…。イジワルです、マイロード…。」

 

小さく呟くと天を仰ぎ、静かに涙を流した。

 

 

 




すごい、気が付けばもう11話です。
でもあまり話は進んでませんねえ…

最後にちょっとだけ不穏な空気を残した11話
さてさてこの先、どうなりますことやら


それではまた、次のお話で
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