名前:エマ・マルティネス
愛称:-
年齢:3歳
身長:95cm
体重:12㎏
好きな物:トースト
嫌いな物:玄米
「遅いな~、ジェラール…」
「榛姉、何か聞いてない?」
「ううん、分かんない…。
どうしたんだろ」
ビーチに行った翌々日、ジェラールは公園に現れなかった。
「明日は海水浴の疲れを取って、明後日にまた公園でサッカーの練習をしよう」
と、一昨日別れる前に約束したばかりだ。
だというのに、定刻になっても彼は現れない。
体調を崩したのだろうか?
しかし、それならクリストフがその旨を伝えにくるはずだ。
ならば、何故…?
「行けばいいだろ、ジェラールの家に」
晴翔が提案する
晴翔は2人を公園まで送ってきていた。
そして、少し離れた所で4人の様子を見物していたのだった。
「晴兄…まだ居たんだ…」
榛名が目を丸くする。
「…シバくぞテメェ…」
晴翔がゴキゴキと指を鳴らし、榛名が慌てて引き下がる。
「取り敢えず、行くぞ」
晴翔が先導して歩き出す。
「所で、ジェラールの家ってどこだ?」
「知らないです。」
「……。よし、帰るか。」
晴翔が回れ右で帰ろうとする。
「逃げんな。」
ガシッと腕を掴む榛名。
ジェラールの家は数分の聞き込みだけで特定できた。
外国人の家族は少々目立つ。
特に、彼らは少しだけ有名だった。
「母親がいない世帯」として。
ピンポーン
ジェラールの家に着き、早速インターホンを鳴らす。
そこは、小さな集合住宅の一室だった。
少し待ったが、返事がない。
留守だろうか?
諦めて引き返そうとすると…。
「皆サン、どうしたのデスカ?」
クリストフが後ろから声をかけてきた。
丁度今帰ってきたらしい。
「どうしたじゃねーよ。
ジェラールが来ないから、迎えにきてやってんだ。」
晴翔が呆れ顔で答える
「ちょっと言い方…」
晴翔を窘める榛名
「Oh、それはスミマセンデシタ。
ワタシ、ショウショウ忙しかったので、自分で行くように伝えたのデスガ…
「カントクフユキトドキ」デス…。
ご迷惑おかけしマシタ。」
深々と頭を下げるクリストフ
流石の晴翔も返す言葉がなかった。
「何かあったんですか?」
クリストフは穏やかに微笑み、
「あがってくだサイ。タチバナシもナンですカラ」
と言い、みんなを部屋に招いた。
部屋の中は非常に清潔だった。
というより、物がほとんどない。
生活感が、ない。
その部屋の片隅で、ジェラールは横になっていた。
「ジェラール!!」
武蔵が名前を呼ぶ
「……」
返事がない。
「おい…!!」
肩を掴んで振り向かせると
「…あ、…む、さし?」
ジェラールは目を真っ赤にして泣いていた。
「…は?」
「今は、ソッとしてあげてほしいデス。
テキトウに座っていただいてケッコウデスヨ。
お茶のゴヨウイいたします。」
「座ろうか」
榛名が子供たちを座らせる。
3人ともただならぬ雰囲気を感じているのか、一言も話さない。
ただ、心配そうにジェラールの様子を見ている。
榛名と晴翔も、言われた通り床に腰を掛けながら状況を整理する。
部屋の中には机や椅子はおろか、家具や家電などの生活必需品のような物が一切ない。
これではまるで…
「まるで、今すぐにでも部屋を引き払えそうな状態だな」
晴翔が小さく呟く
「……あ」
その一言で榛名もこの状況の意味を悟った。
「鋭いデスネ。セーカイデス。
明日、ワタシたちはニッポン発つマス。」
紙コップを人数分用意し、ペットボトルのお茶を注ぎながらクリストフが答える。
「そんな!どうして急に!?」
「一昨日の夕方、電話がかかってきてたな?
何があった?」
「ハルトさん。アナタ、本当にsmartデスネ
ええ、一昨日、祖国から連絡来まシタ
妻が…、亡くなったそうデス。」
「!!」
「そん、…な…」
その言葉が引き金だったかのように、ジェラールが声を上げて泣き始めた。
体全体を大きく震わせながら、泣いている。
「ジェラール君…!!」
「「「ジェラール!!」」」
榛名が、武蔵が、長門が、大和が、ジェラールに駆け寄ってお互いを抱き寄せ合う。
「……」
晴翔は沈黙を守り、クリストフに話の続きを促す。
「妻とは、別居中でシタ。
ニッポンでのセイカツあいませんでシタ。
ですカラ、娘の「エマ」と一緒にフランス帰ってマシタ。」
「………」
晴翔は沈黙を守り続ける。
その眉間にはシワが寄っていた。
妹弟の友人の家族に起きた不幸に心を痛めている。
しかし、
ジェラールは酷く悲しんでいる。
子供たちもつられて泣いている。
榛名は…、子供たちを落ち着かせようと奮闘している。
せめて自分だけは冷静に、平静に、淡々とした態度を貫かなければ…
この父親までもが、悲しみに押しつぶされてしまうような気がしていた。
「妻は…、事故で亡くなったそうデス。」
そう、クリストフの妻は事故で亡くなったらしい。
では…
「…娘さんは?」
始めて、晴翔は沈黙を破った。
僅かに残ったであろう希望を、彼らに聞かせる為に
「エマは、エマだけは…、無事でシタ。
現在はニュウインしているそうデスガ…。
意識はチャンとあるそうデス。」
「明日の朝、日本を発ちマス
その為に、今日の夕方ごろにこの島出マス。
…今日が最後ですから、皆さんにサヨナラ言うようにジェラールには言ったのデスガ…
本当にモウシワケナイデス…。」
改めて、深く頭を下げるクリストフ。
良く出来た父親だと、改めて感心させられた。
「何時だ?」
「…What?」
「何時の船だと聞いている。港まで送ってやる。」
晴翔は既に自動車の運転免許を取得している。
「…2ジカンごデス」
「そうか。
解約の手続きはすべて終わっているのか?」
「さきホド、すませましタ。」
「そうか、待っていろ。足を拾ってくる。」
晴翔は部屋を後にし、車を取りに自宅へ戻った。
(何をいら立っている?他所の家の話だろうが…)
自分に言い聞かせながら、足早に自宅へ向かった。
今回は少し長文になってしまいましたね。
しかし、ここが武蔵君にとってのターニングポイントの一つなのです。
彼はまだ4歳ですが、大切な友人と、悲しい別れ方をしてしまいます。
ただ…、書いていて気づきましたが、ここで一番辛いのクリストフじゃないですかね?それと、晴翔を強調しすぎて榛名や武蔵の存在感が完全に皆無でした。
むやみやたらにキャラ増やすもんじゃないですね。一個学びました。
それではまた、次のお話で