イナズマイレブン ノヴァ   作:麻婆麺

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第16話 大切なもの

 

榛名「そう…、経過は順調なんだね。

本当によかった。」

 

政道『あぁ、お陰様でな。

正直、自分でも信じられない。

事故に遭う前より調子がいいくらいだ。』

 

夏が終わり、紅葉が色付くころ。

榛名は久しぶりに自室で政道と話していた。

あの日の事故以来、「二度と走れないかもしれない」とまで言われた政道だったが、クリストフの知人の手によって奇跡の回復を果たしたらしい。

国際線を使って、近況報告をしてくれたのだ。

 

政道『母さんも、喜んでくれたよ。「榛名のおかげだ」って言っていた。

「悪いことをした」とも言っていたが…、何かあったのか?』

 

榛名「ううん、何にも。

お母さんはお元気?」

 

政道の母、真希は息子の治療に同行していた。

 

政道「ああ、元気だよ。

次の検査で問題がなければ、日本に帰れるらしい。」

 

榛名「本当!?お土産期待しているからね!」

 

「では、期待に応えるとしよう。学校の連中にもよろしく」と言い残し、政道は電話を切った。

 

もうすぐ政道に会える。

思わず、頬が緩んだ。

 

その様子を見て…

 

長門「デキてるぅ〜」

 

っと長門が榛名を揶揄う。

どこで覚えた?そんな言葉。

 

「お姉さんを揶揄うんじゃありません」と、長門を脇をくすぐる。

 

「あの、榛姉さん…」

 

部屋のドアをそっと開けて、隙間から大和が覗き込んでいた。

 

大和「じゅんび、できたって。」

榛名「ありがとう。すぐ行くからね。」

 

長門と違って大和は静かで大人しい。

双子でも性格は案外似ないようだ。少なくとも、この子達に関しては。

それでも仲は凄く良い。

双子というのは、それだけで特別なのだろう。

 

階段を降りて台所に向かうと…

 

「誕生日おめでとう」

 

四方八方からクラッカーが鳴り、お祝いの言葉をかけられる。

どうしよう、ニヤけが止まらない。

今日は、榛名の14歳の誕生日だったのだ。

 

「あ、ありがとう…」

 

ぎこちなく笑いながら応える。

人間、感情の昂りが一定以上に達すると、かえって稚拙な表現しか出来ないものだ。

 

悶々としたまま着席すると、武蔵から何やら紙のようなものを渡される。

「かんしゃじょう」と書かれていた。

武蔵が文面を読み上げてくれていたようだが、何も聞こえない。

感動のあまり脳の処理が追いつかず、フリーズしていたのだ。

 

「とりあえず、部屋に神棚を作ろう。そして、この「かんしゃじょう」を祀らなければなるまい。」

フリーズから立ち直った後、榛名は決心するのだった。

 

 

豪勢な食卓を囲みながら、思い出話や将来の夢の話などに花を咲かせる。

 

武蔵「おれは姉ちゃんみたいなすげぇすとらいかーになる!」

長門「長門はね〜。しょうらい、「せきゆおー」になるの。あらぶに行って〜、せきゆいっぱいホリホリして〜、おーがねもちになるんだ〜。それでね、せかいのけーざいをぎゅうじるの〜。」

 

武蔵と長門は声高に自分の夢を語る。

少々、ドス黒い野望の様なものも聞こえたが、おそらくは耳の錯覚だろう。

 

榛名「そ、そうなんだ〜。頑張ってね…。

大和君は?」

 

大和「…私は…。私は、ずっとみんなとここにいたいです。

みんなといっしょにわらったり、ないたり、おこったり…。

私はきっと、そのためにうまれてきたんだとおもうから…。」

 

武蔵「…なにいってんのかぜんぜんわかんねー。」

 

長門「むずかしいよ〜。」

 

2人はヤジを飛ばすが、榛名には大和の気持ちが少しだけ分かる気がした。

 

榛名「…うん、そうだね。

それがきっと、一番大切なことなのかも。

でも大丈夫。大和君の願いは、叶うよ!

みんな、ずっと一緒だから!」

 

 

何気ない日常、ありきたりな幸せ

それは誰の手にもあって、誰の手からもすり抜けていく。

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