イナズマイレブン ノヴァ   作:麻婆麺

20 / 26
第19話 ターニングポイント2

 

9月14日 AM5:48

雲雀島

 

「…おい!来てくれ‼︎

子供が倒れている!

…2人だ!」

 

災害発生から翌日、雲雀島では懸命な救助活動が行われていた。

火は既に消し止められ、生存者の保護と避難所の開設、遺体の回収と安置に追われている。

今しがた救助隊員の1人が10代程の少女と5歳前後と思われる男の子が手を繋いで倒れているのを発見した。

 

「何故こんなところに…」

「火の手から逃げてきたに決まっている!

…おい君、大丈夫か⁉︎」

 

駆けつけた救助隊員の男が少女を軽く揺さぶり、反応を見る。

 

「…ッ。………もう、ダメだ。」

 

反応はない。

それ以前に、体が異様に冷たい。

死後数時間は経っている。

 

「……そうか…。そっちの子は…?」

 

「この子は……、‼︎

まだ温かい!息もある‼︎」

 

「本当か⁉︎

なら、すぐに避難所へ…」

 

隊員の1人が幼い男の子を抱き上げようとする。

 

「…あ?」

 

すると、何かに引っ張られた様な気がした。

少女の冷たく、硬直した手がその子の手を強く握りしめている。

 

(何という力だ…。)

 

隊員は少女の指を一本ずつ剥がす。

 

「(大の男が両手を使ってやっととは…。)

…大丈夫。もう大丈夫だ。

この子は我々が責任を持って保護する。

必ず、ご両親の元へ送り届ける。

だからどうか、安心して…」

 

やっとの思いで2人を引き剥がし、それぞれ別の場所へ運びだした。

 

---------------------------------------

 

同日 PM1:04

 

村上中学校の体育館には大勢の避難民で溢れかえっていた。

無事を喜びあう者、悲しみにくれる者、意味合いは違えど大半は涙を流している。

 

そんな中、ただ静かに体育座りをしている女の子がいた。

その傍らには頭に包帯を巻かれた状態で眠っている男の子がいる。

 

「食べ物、もらってきたよ。少しは食べないと…」

 

1人の大人の女性がその子に語りかけた。

渦波由紀。この島の住民で、保育園に勤めている。

彼女はその女の子の担任でもあった。

 

「いらない。

大和がおきてから、いっしょにたべるの。

いまは、いらない。」

「長門ちゃん…。

…そうだね。早く起きると良いね。」

 

由紀はそっと長門を抱き寄せ、

 

(早く戻って来て…、大和君…)

 

心から、そう祈った。

 

長門「…まただ。」

 

長門が静かに呟く。

その時、

 

「長門!!!」

 

体育館の出入り口に1人の男性が現れる。

 

由紀「…!晴翔君!?」

 

由紀が驚愕の声をあげる。

晴翔は現在、島外の高専に通っている。

 

由紀「どうしてここに…」

晴翔「慌てて駆けつけて来たに決まってるだろ。

んなことより長門!無事なのか!?怪我は!!?」

 

晴翔は長門の体中をまさぐる。

すると…

 

「…ひッ、…ぐ、ぅぅ……」

 

長門が泣き出してしまった。

 

由紀「この変態!!!!」

 

由紀が晴翔の頬を引っ叩く。

晴翔は、「ざけんなテメェ!!」、「こっちは真面目なんだ!」と怒鳴り散らしつつも長門の無事に安堵していると、長門が晴翔に抱きついて大泣きする。

 

長門「やまとが…、やまとがぁ…!!」

 

晴翔「……おい…。」

 

安心したのも束の間。

晴翔の表情が凍りつく。

 

晴翔「…畜生…。クソッタレだこんなの…。」

 

晴翔は目を瞑り、歯軋りした。

 

------------------------------------

 

死者:300名 行方不明者:238名 負傷者:957名

雲雀島の悲劇は瞬く間に世界中に知れ渡り、大きな反響を呼んだ。

隕石の落下や爆発自体は、稀ではあるものの前例はいくつか確認されている。

しかし、それにより人的被害が発生し、町一つが壊滅的打撃を受けた事例は過去に記録がなかった。

後に「雲雀大爆発」と呼ばれるこの事件は多くの人の日常を破壊し、その心に深い爪痕を残したのだった。

 




ようやく過去編が終わりました。長かった。

ここまでが実質プロローグです。一言で言えば、「一章丸々使ったクソ長いキャラクター紹介」的なものです。
長々と続いたこのプロローグ、「序章 黄金の日々」と題しましたが、ここでは武蔵や八重崎姉弟、ジェラールにとっての「宝物の様な思い出の日々」を描きたいと考えて執筆しました。同時に彼らはそれぞれ「大切なもの」を失ってしまい、その心に影を落とすことになる大きな出来事がありました。わざわざ隕石を選んだのも一応理由はありますが…それはまたの機会で…(続けばですが)
振り返るとマジでサッカーそっちのけ過ぎてイナズマイレブン要素がホントに皆無でしたね…。「これ…、イナイレでやるストーリーじゃなくね?」と時々思ったりしてましたが…、「何でかわかんねぇけどすげぇやってみたかった」ので勢いでやっちゃいました。
所々文章がアレすぎて自分の文章力のなさに絶望しかけましたが…ひとまず序章はここで終わりにしたいと思います。(この章の主役の榛名ちゃんはもういないのでこれ以上続ける意味あまりないし…)


それではまた、次のお話で
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。