イナズマイレブン ノヴァ   作:麻婆麺

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第22話 八神玲名

 

ここはとある病院の一室。

10歳前後の少女がスポーツ誌を読んでいる。

 

「すごいね。

武蔵、優勝したんだって。

しかも10-0かぁ。圧勝だ。」

 

少女はベッドの上で眠っている少年に語りかける。

 

「昨日、久しぶりに話したんだ。

武蔵が今日、会いに来てくれるって。

嬉しいよね、大和。」

 

あの日以来、八重崎大和はずっと眠り続けている。

医者からは、二度と目を覚ますことはないかもしれないとまで言われている。

しかも…

 

長門(まただ…。また、広がっている……)

 

長門はそっと大和の患者服の袖を捲ると、大和腕の皮膚の一部が硬化し、紫色に発光している。

大和は眠り続けている間に、謎の結晶体に体を侵食されていた。

この症状が進行すれば、何が起こるか分からない。

この7年の間に様々な医療機関の検査を受けたが、この症状の原因は分からなかった

挙句、「隕石と共に飛来したウイルスによるものだろう」などと言い出す始末だ。

 

長門「…ホントにウイルスが原因なら、とっくに私の体はそこら中石にされてるよ。」

 

静かに長門が呟く。

その声色には焦りや不安が込められていた。

その時

 

コンコンコンッとドアを叩く音が聞こえた。

 

長門「あ、武蔵が来たみたいだね。

久しぶりだ。きっと大きくなってるだろうなぁ〜。」

 

長門がドアを開け、病室へ促そうとしたが…。

 

長門「……へ?」

 

思いもよらない人物が、そこに立っていた。

その人物は青い長髪をたなびかせ、告げる。

 

「久しぶりだな、長門。

私のことは覚えているかな?」

 

長門「玲名…ちゃん?」

 

玲名「急に押しかけてすまない。

迷惑だったか?」

 

長門「そ、そんなことないよ!

ただその…、意外すぎて…。」

 

長門は一時期、吉良財閥が運営する孤児院、「お日さま園」に世話になっていた時期があった。

そこで年が近く、同性でサッカーが好きな八神玲名や他の子供達とも仲良くなっていた。

 

玲名「それはよかった。

あぁ、これはお見舞いだ。えっと…、メロンは好きか?」

 

長門「ああうん…、好きだと思うけど…」

 

チラッと大和の方を見て

 

長門「ちょっと、厳しいかも?」

 

玲名「……。しまった。

花とかにするべきだったな。

…弟はまだ目覚めないのか?」

 

長門「うん。

ずっと眠っている。

相変わらずお寝坊さんなんだから。

楽しい夢でも見ているのかな?」

 

長門がお茶らけるように笑う。

明らかに作った笑顔だった。

 

玲名「…無理をするな、長門。

私たちの仲だろう?

だから、取り繕うような真似はやめろ。」

 

玲名は優しく長門を抱きしめ、続ける。

 

玲名「お父様…、お日さま園の出資者の男の人を覚えているか?」

 

長門「…星次郎さん?」

 

玲名「そうだ。

今お父様は、7年前に飛来したあの隕石についての研究をしているんだ。」

 

 

長門「…どうして、そんな事を?」

 

玲名「一言で言えば、「世界を変える為」だ。

そして、お前の弟にもそれに協力して欲しい。」

 

長門「…協、力…?」

 

長門は、少しだけ嫌な予感がした。

 

玲名「彼を蝕んでいるあの結晶、あれが研究の手がかりになるかもしれない。」

 

長門「…それは、つまり……」

 

玲名「勘違いしないでくれ。

貴重な事例の一つとして、観察したいだけらしい。

勿論、放置するわけじゃない。

お父様は、彼が最新の医療を受けられるように手を打ってくれるそうだ。

研究によって得られたあらゆる知識や成果を、彼の治療に使う。

彼が元の体に戻れるように手を尽くす。」

 

長門「……そんなこと、急に言われても…。」

 

玲名「…気持ちはわかるさ。

だが、よく考えてみろ。

良い話のはずだ。

お前は、大和を治したい。

お父様は、あの隕石の謎を解明したい。

利害は一致しているぞ。」

 

長門「………」

 

玲名(もうひと押しだな)

 

玲名が言葉を続けようとすると…

 

「ごめんなさい、空けてくださる?」

 

看護婦さんに声をかけられた。

病室の入り口を塞いでいたのだから当然だろう。

 

看護婦さん「こちらです、獅子王さん。」

武蔵「どうも。

久しぶりだな、長門。」

 

と、武蔵が病室に入ってくる。

 

長門「武蔵‼︎久しぶり、会いたかったよ〜。」

玲名「……ッチ」

 

武蔵「なんつーか…、あれか…?

お邪魔だったか?」

 

抱き合っている女子2人を見て武蔵が申し訳なさそうに頭を掻く。

一瞬、青髪の女の子からキッと睨まれた気がしたので尚更気まずい。

 

長門「い、いや…そんなことは…」

 

玲名「ないのか…?」

 

玲名が寂しそうに長門を見つめる

 

長門「そ、そういうわけじゃ…!」

 

と、オロオロしている長門を見て玲名が笑う。

 

玲名「冗談だ。

紹介が遅れたな。

私は玲名、八神玲名だ。」

 

武蔵「…獅子王武蔵。」

 

玲名「獅子王か。覚えておこう。

さて、私はここらでおいとまするとしよう。」

 

「近々良いものを見せてやる」と長門に耳打ちして玲名は去っていった。

 

 

 

 

 

 

 




本編のキャラも少し絡めていこうと思ったのでエイリア勢から1人だしてみました。
なーんか不穏な気配がするぞぉ?って感じで今回は切りました。
おそらく、この先の展開は割とめちゃくちゃなことになると思われます

自分でも何であんなことやろうと思ったのかわかんない。でもやってみたかったんだから、そりゃ仕方ねぇよなぁ?

それでは、次のお話で

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