名前:獅子王 武蔵 (ししおう むさし)
愛称:-
年齢:4歳(当時)
身長:102cm
体重:16㎏
好きな物:サッカー、榛名(姉)
嫌いな物:グリーンピース
私のせいだ。
「手術中」のランプが点灯した扉の前で立ちすくむ。
幸い、榛名と武蔵は車との接触は無かった。
…否。
本来であれば、榛名と武蔵が撥ねられるはずだった。
政道が身を賭して二人を庇い、そのツケをたった一人で払っている。
ならば、これは「幸い」なんかじゃない、「必然」だ。
政道の選択が二人を救った。
そして、彼自身を窮地に追い込んだ。
どうしてこうなった?
どこで間違えた?
保育園で別れるべきだった?
それ以前に彼に送ってもらうべきじゃなかった?
どうしてそんな状況に?
自分が保育園の閉園時間に遅れそうになったから?
そう、つまるところは…
「全部、全部…、私が悪いんだ…」
唇を強く噛みしめ、すすり泣く。
切れて血が流れている。
それがどうした?
彼は全身擦り傷だらけだ。
きっと骨も折れている。
内蔵だって傷ついているかも知れない。
脳…は、どうだろうか。
少なくとも無傷なはずはない。
もし打ち所が悪かったら?
そうじゃなくても、後遺症が残ったら?
誰が、どうやって、責任を…?
違う!!
責任がどうなんて話じゃない!
一体誰のせいでこんなことに……!!
「姉ちゃん、いたい?」
10歳離れた弟が、榛名の手を握る。
暖かい、感触。
もし、この子が彼と同じ目にあったら…?
考えただけで、目の前が暗くなる。
空気が、冷たくなる。
「お願い…。誰か、助けて。」
「榛名!!武蔵!!」
後ろから声が聞こえる。
振り返ると血相を変えた両親が榛名と武蔵に近づく。
そのさらに奥に、どこか見覚えがある夫婦が見える。
「ごめん、なさい…。ごめんなさい…。ごめんなさい。ごめんなさい。
私のせいです。私が悪いんです…。ごめんなさい…。」
泣きながら、頭を床にこすりつけて謝罪する。
何の意味もない行為。
でも、他に何をすればいいのか分からない。
「君は、無事やんな?」
「…え」
「怪我はないんか?」
「……あ?…は、はい。」
「そんなら良かったわ。」
中年の男性の落ち着いた声が聞こえる。
心から安堵したような、優しい声が。
「…よく、ないです…!私のせいで、政道君が…!!」
「うるさい、黙ってて。
悪いけどね、あの子はアンタとは違うから。
私が生んだ子よ?こんなことでどうにかなったりしないわ。」
女性の冷たく、強く、確信に満ちた声。
「大丈夫、大丈夫や。
やからそんな顔するなや。
女の子が顔を地べたにつけるもんやない。」
同時に、「手術中」のランプが消える。
「あ…」
処置が終わった。
彼は、どうなった?
扉が開かれる。
担架に乗せられ、呼吸器がつけられた彼が眼に映る。
「危ないところではありましたが、一命は取り止めました。」
その言葉が聞こえた瞬間、榛名は糸が切れたように膝から崩れ落ちた。
ああ、良かった。
本当に良かった…。
意識が遠のきかける。その時、
「次は君の番だ」
政道を診ていた医者が榛名に向き直り、右手に触れる。
「…ぐっ!?」
凄まじい痛みと熱。
政道の件で完全に忘れていたが、榛名自身も軽傷ではなかった。
「…腫れが酷い。
骨折しているかも知れない。
私としたことが…急患にかまけて怪我人を見落とすところだったか。
直ぐにレントゲンの準備をする。
…ご両親のうち、どちらかはその子を連れて先に帰った方がいいでしょう。
少々、話が長引くかも知れない。」
診断の結果は「橈骨遠位端骨折」。
当然、次の土曜に控えていたフットボールフロンティア決勝戦への参加は絶望的だ。
続きまして第三話です。
イナズマイレブンと言えば、交通事故ですよね(あくまで個人の意見です)。
今回の話は何と言いますか、ちょっとデリケートな感じのシーンが大半を占めていて表現に困りました。
ので、取り敢えず勢いで書きました。
書いてて思いましたが、過去偏が想定以上に長い。
ちょっと榛名ちゃんがお気に入りになりかけ始めていて、色々筆が乗ってしまいました。
主人公…誰だったかな?
あと、未だに搭乗していない。ジェラールや大和はどうしたものか…。
出来れば次話、せめて次々話には登場させたいですねぇ…。
それではまた、次のお話で