えんだーりりーず! ~リリィの秘密の日記帳~   作:ひょうたんふくろう

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7日目 誰かの想い

 

 黒騎士ったら失礼しちゃう! リリィはサボったんじゃなくて、黒騎士が書きたがっているから書かせてあげているだけなのに! リリィがおねえちゃんだからこういう気配りができるのに、そんな風に思われているなんて! ホントに黒騎士は黒騎士なんだから!

 

 えっと、気を取り直して。

 

 今日はあの分岐路の近くを探索しました。もしかしたらお守りの欠片とか他にも役立つものがあるのかなって思っていたけど、めぼしいものは全然見つかりません。いっぱい、いーっぱい探したのに結局何も見つからないので、リリィはいまちょっぴり不機嫌です。

 

 見つかったのは、せいぜいがボロボロになった本くらいです。壁の間の隙間(?)みたいなところに隠されていて、この本だけはちゃんと形が残っていてページを開くことが出来ました。

 

 ただし、それでもあちこち汚れているし難しい言葉ばかりで、リリィには全然読めませんでした。何より、本なのに絵が一枚も無いのです。あんなの絶対面白くないもん!

 

 『これでも紙なのだから、焚き付けには使えるだろう』って黒騎士は言ってました。でも、イレイェンが『たとえどんな本であろうと、本をそんな風に扱うな』って怒ったので、結局その本は元の場所に戻しておくことにしました。

 

 ……リリィも、その方がいいと思った。たとえどんなにボロボロになったとしても、きっと書いた人の気持ちがあの本には籠っていたと思うし。誰かの大切な思い出を、リリィたちの都合で燃やしちゃうのは良くないよね。

 

 うーん、今日は本当に書くことがないや。リリィがサボっているんじゃなくて、書くことが無いからしょうがないの。うん、しょうがない。

 

 うん、たくさん書いた! リリィ、頑張った! 今日はこの辺で、おしまい!

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽

 

 

 国民性、と言うやつだろうか。この国の多くの人間は書き物に慣れているらしい。思えばこの冒険をしている中で、あちこちでメモの切れ端や覚書などを見つけてきたが……ユリウスやイレイェンといった職務上そう言うことが多そうな人間以外でも、結構頻繁に物を綴っている痕跡がある。

 

 本やメモがあちこちで発見されるのも、おそらくはこの国の文化・風俗的なところに起因しているのだろう。老若男女問わず、ペンを持って机に向かう習慣がついているようだ。

 

 それが良いことなのか、悪いことなのか。少なくとも私はアレは燃やしてよかったと思うんだが。あの魔女は本に貴賤は無く、どれもが大切で尊いものだと熱弁を振るっていたが、やっぱり内容はちゃんと考えるべきだと思う。

 

 もしリリィがあの癖のある筆記体を読めてしまっていたら、彼女はいったいどうするつもりだったのか。そういう意味で、私の対応は間違っていなかったと思うんだが。シーグリッドがアレみたらたぶん発狂して引き裂いてたぞ。

 

 おっと、いけない。つい自分の日記のように書いてしまった。

 

 リリィへ。

 

 村長殿の腹の肉の間に日記を隠すのはやめなさい。村長殿、ちょっと困ってたぞ。悲しそうに笑いながらおずおずと日記を渡された私の気持ちを、どうか想像できるようになってほしい。

 

 

 

 ──結局あの本何が書いてあったの? 純粋に興味あるんだけど。

 

 ──割とエグめの自作官能小説だそうだ。

 

 ──そうか、それ故に隠し方が良かったから形が残っていたのだな。

 

 ──そこなの?




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ファーデンの筆跡
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