インフィニット・ストラトス 〜絶望の未来から来た戦士〜   作:HOPE

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第3話 適性検査

 

「適性検査…?」

「ああ。ISに触れることでお前がISを使える男性なのか否なのかを判断するんだ」

 

 そう言って、千冬は前と同じ椅子に腰掛けながら悟飯に語りかける。サイヤ人特有の脅威的な回復力を見せ、日常に支障が出ない程度には動くことができるようになっていた悟飯は、千冬から適性検査となるものの話を聞いていた。

 

 悟飯がIS学園に墜落してから1週間。そろそろ新学年という時期に、適性検査をすることが決まったらしい。 曰く、空から落ちてきた人間が生身で助かるはずが無いという日本政府の考えにより、2人目の男性操縦者ではないかと疑われているとのことだ。至極真っ当な考えである。

 無論、異世界から来たという話は悟飯と千冬だけの秘密なので日本政府に伝えられるわけがなかった。

 

「仮に適性があった場合、オレはどうなるんだ?」

「無論、IS学園への入学になるな」

 

 高校生の中に大人を混ぜていいのかIS学園っと、思わずツッコみたくなり引き攣った笑みを浮かべる悟飯。そんな悟飯に気づいていないのか、それともスルーしているのか、はたまた興味がないのか、千冬は続け様に言う。

 

「日時は2日後の夕方ぐらいに実施する予定だ。まだ正確な時間は決まっていないが、拒否権は無いと思っとくんだな」

「…わかった、わざわざすまない織斑さん」

「そう思っているのなら早く回復する事だな」

 

 そう言って千冬は椅子から立ち上がり、そのまま去って行く。その後ろ姿を横目に悟飯は見慣れた天井に視線を動かした。

 ここ数日の間千冬に色々と世話を見てもらったこともあり、早めに打ち解ける事ができた。同世代同士の会話というのは元の世界では経験したことが無かったが、ある程度は会話が弾んだので最初は戸惑ったものだった。違う世界といえど価値観までは然程変わりがない…のかもしれない。

 

(2日後…オレのこの世界での振る舞い方が決まるのか…)

 

 適性があればおそらくモルモットとして捕らえられるかIS学園行き。なければこのまま一文なしで外に放り出される。どっちにしろ悟飯の運命は非常にまずかった。

 だがそんなことを考えることより眠気が勝ってしまい、悟飯は少しばかりの仮眠を取ることにしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 2日後の夕方。約束通り迎えに来た千冬に施設内を案内されながら悟飯は試験会場へと向かっていた。その際施設の大きさに目を奪われ何度か千冬の注意を受けてしまう。千冬の怒り方は奇しくも父に切れていた母によく似ており、気が強い人なんだろうなと内心で思う。

 

「なにか良からぬことを考えたな?」

「…いや、なにも考えてないよ?」

 

 妙に鋭いのも似ているなと思った。

 

 

 

(…さっきから感じる気…なるほど、俺の監視か)

 

 先程から背後に感じる気。明らかに常人離れている動きで周囲に溶け込んでいることからもただならない人物であるのは想像に難くない。

 恐らく別の世界から来たことを知っている人物…IS学園の教師またはそれに準ずる権力を持つ人物といったところか。

 しかしここまで上手く気配を消せるのも珍しい。気を消す技術が有ればそれこそ悟飯すらも欺けるだろう。

 

(なるべく刺激しない方が身のためか…)

「…やはり気づいていたか」

 

 不意にそう言われ千冬の方を見ると、千冬は不敵な笑みを浮かべていた。

 

「気配を消すのが中々上手いようで」

「あぁ。確かにうまい…が、お前にとっては関係なかったようだな…そちらの世界では当たり前なのか?」

「…オレの世界だったら、まあ普通のことだったかもな」

 

 嘘である。相手の気を探る力など彼の周りの人間しか出来ない。普通の人間が気を使って空を飛べたり、位置を探ったり出来るはずがない。パオズ山という田舎の常識しか無い悟飯にはそこら辺の知識は少なかったのだ。

 そんな事を知らない千冬は、とりあえず納得したのかそのまま歩いていく。というかナチュラルに心を読むことができるのはなぜなんだろうか。

 

 それはさておき。体感的に数十分間歩いて目的地に着く。そこには眼鏡をかけた1人の女性がモニター付近で待っている姿があった。

 

「遅くなってしまった。すまない、山田先生」

「いえいえっ! こちらもつい先ほど準備が終わりましたので、ちょうどいいタイミングでした」

 

 山田と呼ばれたこの学園の教師は、千冬と何やら話し込んでいる。悟飯はチラッとネームプレートを見ると『山田真耶』と書かれていた。

 少し時間がかかるようなので、不自然に思われない程度に周囲を見渡す。2人以外にもこの学園の教員らしき人物が同じく不自然にならない程度でこちらを見ている。あるものは顔を、あるものは服を、あるものは髪の毛を、あるものは…己の左腕だったものを。しかしそこはプロといったところ。気にしつつも平然と作業に取り掛かっているようだ。特に嫌な視線を向けられなかったことに悟飯が安堵していると2人の話が終わったのか真耶がこちらに歩いてきた。

 

「初めまして、異世界からの来訪者さん。私の名前は山田真耶。よろしくお願いします」

「こちらこそ…孫悟飯だ。よろしく」

 

 差し出された右手を握り返すと、相手側は満足してくれたらしい。その笑みは見るものを魅了し、健全な男子ならば恋に落ちてしまうだろう。

 まあ、孫悟飯含めサイヤ人には関係のない話なのだが。

 

「では私についてきてください。適性検査用のIS『打鉄』の所まで案内します」

 

 そう言って歩き出す真耶の後を追いかける悟飯。その姿がその場から見えなくなり、次にその姿を拝む事になるのは、千冬達のいる部屋のモニター越しになった。

 

 モニター越しで真耶の指示に従い、待機形態の打鉄に触れる悟飯。ISスーツは悟飯に合わせたサイズがなかった為、彼が落ちてきた時に着ていたボロボロの道着のままで確認することになっている。

 

(異世界からの来訪者…ISを使えるか使えないかで上の対応も変わってくるだろう…さて、鬼が出るか蛇が出るか)

 

 その姿をその場にいる誰もが固唾を飲んで見守っている。それこそ千冬でさえ…()()()()()()()()()すらも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてISに触れた瞬間、()()が揺れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ISに触れた瞬間、まず初めに頭の中に膨大な情報が流れてきた。それこそ人の脳では直ぐには処理できないような情報が一気にだ。金属音が脳内を駆け巡り、立っているのも辛くなっていく。

 その次に感じたもの。それは身体中を駆け巡るありとあらゆる痛みだった。それは想像を絶する程の…それこそ人造人間達のあの時の攻撃(エネルギー弾の雨)程の痛みが己の体を蝕んでいく。体から嫌な音が鳴り響き、おそらく流血なのだろう、体から熱い何かが流れているのが感じられた。

 

 ───このままでは死んでしまう

 

 ふとそんな思考が脳をよぎる。それと同時にいつのまにか宙に浮かんでいたことに気づく。

 いつのまにか自分の体を覆っていた()()()()()()()()()が火花を散らし、まるで命を絶たんとするかの如く締め付けてくる。その光景を見て慌てて止めようとする真耶や他の整備士を横目に、悟飯はこの状況を打開するべく、自身の体内に眠る凄まじい力を呼び起こした。

 

「うぉあああーっ!!!!」

 

 叫ぶと同時に炎のようにゆらめく白きオーラが悟飯を包む。その光はこの世界を照らすだけでなく、莫大なエネルギーの波が地球を伝わり揺れを起こす。地に亀裂を入れ、()()()I()S()()()()()()()()()すらも踏ん張るのが精一杯な風圧を出しながらも、悟飯の体にかかる苦痛は依然存在していた。

 だが、それも束の間の話。

 

『.+|^,?%.?€,%,^£%|^,!*£~~<$,,|$^?%~!?』

 

 誰の声かそれとも幻聴か、空気を裂かんばかりの甲高い音が鳴った次の瞬間、悟飯を包んでいた『打鉄』に亀裂が走っていき、そして木っ端微塵に砕けてしまう。

 その砕けた『打鉄』が地に落ちていくのを()()()()()()()()()()は眺める事もなく、まるで深い深淵に落ちていくようにゆっくりと意識が遠のいていった。

 

 そして悟飯が地面に墜落した衝撃によってこの適性検査は終わりを迎えた。

 これによって悟飯が異世界の人間である事が完全に証明され、更にISを纏える2人目の男性である事も分かってしまった。この事実に頭を抱えたくるもの、困惑するもの、そして愉快になるもの…多くの人の思惑がある中で、悟飯は何度目かの眠りにつくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは広大な宇宙の中を凄まじい速度で動いていた。人々がいうUFOのようなそれは、確かに感じた()()()()()()を求め宇宙を飛んでいた。

 

「───様、目的地までおよそ半年近くかかる予定です。お休みになられてはどうでしょうか?」

 

 部下の声を聞きながら、その人物はモニターに映る蒼き星を見つめる。この星から宇宙にまで響いた莫大な戦闘力…その人物の一族を除いてここまでの力を持つ存在を、その人物は知らなかった。

 否、前までだったらそう言っていただろう。しかし、ここまでの戦闘力を持つ可能性がある存在を、つい最近知ったのだ。

 

「この力の持ち主がそうかは沙汰かではないが…ふふ…必ずや見つけてやるぞ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「超サイヤ人…!」

 

 その一族とサイヤ人が出会うのは必然である…。

 

 





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