嗚呼、王へと至り続ける褪せ人よ。新たなる世界で新たなる旅路を────   作:月明かりの褪せ人

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プロローグ

 それは、不思議な出会いでした。

 

【ふむ、記念すべき100度目の王へと至ったと思えば見知らぬ世界へと至る、か】

 

 私が魔法の力と出会うキッカケになったジュエルシードの事件。それが解決し、リンディ艦長に魔道士として雇いながらフェイトちゃんとビデオ手紙で仲を深めながらも日夜、魔法の練習に励んでいた所、その人と出会う事となりました。

 

 

 口では無くユーノくんみたいに念話で私へと一方的に話し続ける不思議な人。真っ白な魔法使いと言うより魔女のような帽子を被り、帽子と同じ綺麗な白色のローブを纏った格好をしたその人は、突然発生した小規模な次元震で現れました。

 

【興味深い……魔法を極めた私ですら短時間しか行えない飛行魔法。それを目の前の子供がいとも簡単に扱ってる点だ。レアルカリアの系統にも王家や岩石系統にも属さない不思議な魔法、極めて興味深い】

 

 凍えるような寒さを放ち続ける謎の人。私を見つめるその目は、まるで宝石のように真っ青に輝き、私は思わず見惚れてしまっていた。

 

【────のは、なのは!!!】

 

「は、はい!」

 

【大丈夫か? 何か攻撃されたんじゃ……】

 

「ち、違う違う! 違うよクロノくん!!」

 

 だからでしょう。クロノくんの通信に気付けなかったのは。

 あわあわとなりながらも何とか当初の目的を思い出し、クロノくんに私は何ともないと何とか伝えると彼? 彼女? の元へと私は近付きます。

 

【む、こちらに接近して来たな。コレは褪せ人の礼儀として挨拶を……いやいや待て待て。あのような奇抜な格好をしている子供だ。ここはソレ相応の挨拶、リングのモーションか賢者のモーションを……】

 

「あのー そんなに私って奇抜な格好に見えますか?」

 

「!?」

 

 ホントは挨拶や何処から来たかなどを問うべきだったのですが、奇抜な格好と言われてしまったので思わずそちらの方を聞いてしまいました。

 どんな答えが返って来るのか分からなかったですが、実際に帰って来たのは驚きと言う感情でした。

 

【なんと!? 私の声が聞こえているのか!?】

 

「え、は、はい。それはもうバッチリと」

 

 コレが私、高町なのはと褪せ人さんとの最初の出会い。そして、これから巻き起こる大事件のキッカケに過ぎなかったのです。

 

※※※

 

 どうも、全世界の褪せ人の諸君。同じ褪せ人の私だ。タイプは知性重視と技量、筋力ちょっとの魔法使い型。レベルは既に200後半で今回、記念すべき100回も王へと至った周回勢だ。何故そのように周回したかだが……言われたのだ、あるお方から。俺が元の世界へ戻るには世界を百度繰り返し、王へと成り続ける必要があると。

 最初の10回はそのような目的で世界中を旅して、世界を繰り返していた私だったが11回目の時に私は思い付いてしまったんだ。最速で世界をリセットし続けたらどうなるのだろうか、と。

 元々一度目の世界でラナ様と出会い、その影響で月魔法と氷結魔法に魅了されていた私はその二つを重点的に研究、一言で表すなら極めていた為にソレ相応の技量は会得していた。レベルも世界中を余すことなく旅をし尽くしていた為にレベルは打ち止め状態となっていた。だから10回ほど世界をリセットするのはその時の私には容易な事であった。だとすると必然的にやり甲斐が無いと感じる為、凝り性の私がやり甲斐を求め、タイムアタックに走る事は褪せ人としてと唖然の事だったのだ。

 

 そしてその記念すべき100回目にして、ラスト・ラン。

 

 既にタイムは体感28分を切り、最初は苦戦していたモーゴットなどは速攻アズールにて処理し、10秒ほどで戦闘を終わらせるレベルになると黄金樹を自身の手で燃やす事など造作もない。種火など不要、気合で燃やす。

 そしてエルデンリングを修復し、王となった私は最後の最後で28分と言う高過ぎた壁を大きく超えて26分を叩き出し、慣れ親しんだ王座へ腰掛けると次の世界へ至る為、眠りに付いた。

 体感して人生100周。時間にして250年と6ヶ月ほど。思い入れはほとんど無い世界であるが、慣れ親しんだ土地を離れるのは悲しく感じるものだ。そう言えば何故私が元の世界へなど表現を使い、あのお方のお言葉に従っていたか、話していなかったな。

 

 

 実は私はこの世界を遊具として遊んでいた別世界の人間なのだ。

 

 

 だからこそ、この世界で起こる事は事前に知っていたし、1周目はあの世界を楽しんだ。だが、ソレでも故郷へ帰りたがるのは私が人故だろうか。

 意識が落ち、次に目が覚めるとそこには慣れ親しんだ薄暗い洞窟では無く、鉄などで構成された何とも奇妙な建造物などなど。しかし月明かりに照らされ、青白く輝くソレらはある意味私には慣れ親しんだ世界の施設、公園の光景に他ならない光景だった。

 

【ふむ、記念すべき100度目の王へと至ったと思えば見知らぬ世界へと至る、か】

 

 そう口にはするものの、思わず天を見た。

 

 久方ぶりの星など見えぬ空を見た。

 

 そして褪せ人になってから初めて、涙を流した。

 

 私はようやく元の世界へ帰ってきたんだと感動と感激、そして感謝の感情が溢れ涙となって溢れ出した。

 

 そうやって涙を久しぶりに流しているとふと、真っ暗な夜空に見馴れぬ物を目にする。

 

 鳥かドラゴンか、はたまたマレニアか。警戒した事により涙は自然と止まり、右手にあるカーリアの王笏を握り締め、意識を集中する。初手に使うのはラニの暗月。追撃に左手の暗月の大剣か、アズールの杖に持ち替えて滅びの流星を撃ち込む。

 そう考えたが、まずは相手の正体を確認しなければ対処のしようが無い、そう考え直した私は大剣をポーチへと収納し、代わりに拡大鏡を手にするとソレを覗き見る。そして、私は信じられないモノを目にした。

 

【なん、だと……】

 

 眼前に映るは子供姿。白いローブのような羽織ものを見に纏い、私の見たことの無い杖を手にするその子供は何と信じられない事に宙を浮遊。いいや、空を自由自在に飛んでるでは無いか! 

 

【興味深い……魔法を極めた私ですら短時間しか行えない飛行魔法。それを目の前の子供がいとも簡単に扱ってる点だ。レアリアの系統にも王家や岩石系統にも属さない不思議な魔法、極めて興味深い】

 

 暗月、もしくは新月の魔法を使用する際に短時間ばかり宙へと体を浮かす事は出来るが、あの子供のように空を飛ぶ事はどうしても私は出来なかった。だが、私の眼前にてその魔法は頭簡単に行使されている。コレは凄い、凄い事だ! 初めて月の魔法を目にした時と同等の感動をいま、私は感じているぞ。そうこうしている内に空へと浮かぶ子供はゆっくりとこちらへ迫る。

 

 

【む、こちらに接近して来たな。コレは褪せ人の礼儀として挨拶を……いやいや待て待て。あのような奇抜な格好をしている子供だ。ここはソレ相応の挨拶、リングのモーションか賢者のモーションを……】

 

 

 基本褪せ人には言葉は通じない。通じる者確かに一部は存在するが、基本的には無口な者が多い為に会話する事はまず無かった。

 コレは私の経験談なのだが、もしコミュニケーションをとりたい場合は一部の決まった動きをすると良い。基本的には無口な彼らだが、お調子者気質な所がある為にモーションで会話をされると合わせてくれるからな。

 しかし一部の褪せ人の場合にいたってはそのモーションすら通じず、お話(殺意)になるので要注意だ。それを知らず、大円卓下方にて戦闘となり敗北。敗北の代償として私は舌を斬られたからな。

 

 だからこそ私は、空飛ぶ子供を同じ褪せ人と仮定した。

 

 判断材料は様々だが、一番はあの奇抜な格好だろう。壺マスクやデーモン仮面のみ、全裸などの褪せ人などの奇人達はよく相手していたからな。直感で判断出来る。

 

 杖をポーチへ収納し、両手を上げ、モーションへ入りつつあったその時。

 

「あのー そんなに私って奇抜な格好に見えますか?」

 

「!?」

 

 私は奇跡を見た。そして、褪せ人となって空を飛ぶ子供を見た時よりも強い驚きを感じていた。基本私の話す言葉は通じない。けれど、目の前の子供には通じるのだ。マトモな会話が出来るのだ、と。

 

 

【なんと!? 私の声が聞こえているのか!?】

 

「え、は、はい。それはもうバッチリと」

 

 そしてその事に問うとノータイムで帰って来る返事。これはれっきとした会話ではないか? いや、これは会話だ! ラニ様とすら、する事の出来なかった会話の応対だ! 

 

 私は嬉しくなって再度空を見る。

 

 そこにはあの世界でも変わらず浮いていた月と瓜二つな丸々とした惑星が目に映り、さらには煌びやから一筋の光を指す星が輝いていたのだった。

 

「あの〜……大丈夫ですか?」

 

【問題ない、少々喜びに浸っているだけだ……】

 

「は、はぁ……-」

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